羊の木 評価と感想/社会的な問題の設定を生かせてないような?

羊の木 評価と感想
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連続ドラマでやった方が ☆3.5点

「がきデカ」の山上たつひこ原作、「ぼのぼの」のいがらしみきお作画で雑誌イブニングに連載されていた2014年の第18回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞受賞作を実写映画化。
監督は吉田大八、主演に関ジャニ∞の錦戸亮、共演に木村文乃、北村一輝、優香、市川実日子、水澤紳吾、田中泯、松田龍平

予告編

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映画データ

羊の木 (2018):作品情報|シネマトゥデイ
映画『羊の木』のあらすじ・キャスト・評価など作品情報:山上たつひこといがらしみきおによる、第18回文化庁メディア芸術祭優秀賞(マンガ部門)に輝いた問題作を、アレンジを加え実写映画化。
羊の木 : 作品情報 - 映画.com
羊の木の作品情報。上映スケジュール、映画レビュー、予告動画。「桐島、部活やめるってよ」の吉田大八監督が錦戸亮を主演に迎え、山上たつひこ原作・いがらしみきお作画の同名コミックを...

本作は2018年2月3日(土)公開で、全国213館での公開です。
アスミック・エース配給でテレビ東京の映画ですね。

東京だとメインでやってる上映館はTOHOシネマズだと思うんですけど、予告編はあまり見かけなかった気がします。

例によって原作は未読ですが、作画いがらしみきおさんと聞いて「特命係長 只野仁」の画を思い浮かべましたが、あれは柳沢きみおさんでした…。

監督は吉田大八さん
近作は『桐島、部活やめるってよ』『美しい星』を観てます。
観てるときは吉田大八監督『紙の月』以来か、と思ったんですが、昨年『美しい星』がありました。
今回は間隔短いですね。

主演は錦戸亮さん
映画出演作は初めて観ました。

ドラマは「犬を飼うということ〜スカイと我が家の180日〜」とか「よろず占い処 陰陽屋へようこそ」とか「ごめんね青春!」とかを見てます。

共演に松田龍平さん
近作は『探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点』『麦子さんと』『まほろ駅前狂騒曲』『モヒカン故郷に帰る』『殿、利息でござる!』『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』『散歩する侵略者』『探偵はBARにいる3』を観てます。

共演に木村文乃さん
近作は『ニシノユキヒコの恋と冒険』『イニシエーション・ラブ』『スキャナー 記憶のカケラをよむ男』『RANMARU 神の舌を持つ男』『追憶』『火花』『伊藤くん A to E』を観てます。

共演に北村一輝さん
近作は『KILLERS/キラーズ』『無限の住人』『8年越しの花嫁 奇跡の実話』を観てます。

共演に優香さん
近作は『黒執事』『人生の約束』『オーバー・フェンス』を観てます。

共演に市川実日子さん
近作は『ジ、エクストリーム、スキヤキ』『ミュージアム』『シン・ゴジラ』『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』『三度目の殺人』『ナラタージュ』『DESTINY 鎌倉ものがたり』を観てます。

他に共演と配役は以下の通りです。

月末一: 錦戸亮
石田文: 木村文乃
杉山勝志: 北村一輝
太田理江子: 優香
栗本清美: 市川実日子
福元宏喜: 水澤紳吾
大野克美: 田中泯
宮腰一郎: 松田龍平
雨森辰夫: 中村有志
内藤朝子: 安藤玉恵
田代翔太: 細田善彦
月末亮介: 北見敏之
須藤勇雄: 松尾諭
志村妙子: 山口美也子
神崎良作: 鈴木晋介
目黒厚: 深水三章

あらすじ

さびれた港町・魚深(うおぶか)に移住してきた互いに見知らぬ6人の男女。
市役所職員の月末(つきすえ)は、彼らの受け入れを命じられた。
一見普通にみえる彼らは、何かがおかしい。
やがて月末は驚愕の事実を知る。
「彼らは全員、元殺人犯」。
それは、受刑者を仮釈放させ過疎化が進む町で受け入れる、国家の極秘プロジェクトだった。
ある日、港で発生した死亡事故をきっかけに、月末の同級生・文(あや)をも巻き込み、小さな町の日常の歯車は、少しずつ狂い始める・・・。

(公式サイトhttp://hitsujinoki-movie.com/story.phpより引用)

ネタバレ感想

まずはジャニーズの写真、ネット解禁よかったですねー。

ジャニーズの写真、ついにネット解禁。錦戸亮が笑顔で記者会見
ジャニーズ事務所が1月31日より、一部制限をつけて写真のウェブ掲載を許可へ。

映画ブログやってるとジャニーズ主演作の映画だけポスターとかなくて、各映画サイトもオリジナル画像とか用意してましたが、主役不在でポスターを作る『鋼の錬金術師』なんかはいい方で、中には何の映画だか分からないような画像もありました(笑)

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百聞は一見に如かずですから、やっぱりポスターの方が分かりやすいですよね。

 

さて本作ですが、漫画原作は未読ですが、予備知識として、「殺人歴のある元受刑者の移住を受け入れた町を舞台にしたお話」ということだけ事前に知った上で鑑賞しました。
『バトル・ロワイアル』みたいな血みどろの抗争が繰り広げられるのかな?と思いましたが違いました。

漫画原作だと11人受け入れるところを映画では6人に、市長の役割を課長にして、月末は漫画原作だと市長の友人の仏壇屋なんですが、それを市役所職員に設定変更してるみたいです。

ただ11人を6人に変更するのは構わないんですが(それでも充分に一人一人を描けないので)、月末を民間人から公務員にしてしまうと、映画サイトの解説文なんかにある「移住者の素性を知らされていない町の人々の日常がゆがんでいくさまを描く」っていうのが描けないんじゃないか?と思いました。
というより、歪んでいくのは月末1人だった気がします。

映画は終わってみると、描いてる情報量は大して多くはないのですが、テンポが悪い気がしました。
特に前半。
無駄なシーンが多くて、特に先日、吉田でも恵輔監督の方の『犬猿』を観たばかりなので、序盤をもっと上手くまとめられなかったのかな?と思いました。
(優香さんのチビTはよかったですけど)

のろろ様に関するくだりも長くて、あまりにも祭りの様子を長々と映すんで、一瞬、ご当地映画かと思いましたけど、架空の街ですよね。

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ただ終盤、のろろ祭りを取り上げた記事が全国紙に載って、目黒厚という人物が宮腰一郎の写真を指差して「この人物を知らないか?」と魚深市を尋ね回り始めると物語は面白くなってきましたが、ここまででもう残り40分くらいだったと思います。

ここでざっと各人の前科をおさらい。

宮腰は因縁付けてきた相手を突き飛ばしたら打ち所が悪くて相手が死んじゃったということで過剰防衛を問われて懲役一年半です。

杉山はこの6人の中では最初から態度悪い奴で、「池袋なんちゃら事件」というのを起こして懲役八年です。

太田は旦那とのSMプレイが高じて首絞め過ぎちゃったってやつです。

大野は元ヤクザなんで懲役18年と長いですが魚深市に来るにあたりカタギになってます。

栗本は酒乱でDVの夫に長年苦しめられてて、衝動的に酒瓶で滅多打ちにした殺人の罪です。

福元は小心者で上司のパワハラに耐えかねて殺したとかそんなのでした。

基本的に悪そうな奴は杉山だけで、他の前科者は同情すべき点もありそうで、この国家の極秘プロジェクトで受け入れなくても?という気はします。

物語は中盤過ぎまで、何かが起こりそう、って雰囲気で話を引っ張る感じです。

宮腰は街になじもうと努力していて、月末(ベース)と石田(ギター)と須藤(ドラム)がやってるバンドを見学してる内に自身もギターを買い、石田に習う内に付き合う感じです。

杉山は、この受け入れプログラムは10年間なのですが、10年も耐えられなそうってことで、暴れたくてウズウズしてます。

太田は勤務先のデイケアセンターで患者である月末の父と出会うと、なぜだか恋に落ちます。
フケ専なのかな?
月末の父親役を演じる北見敏之さんもあのご年齢(66歳)で優香さんとベロチューかますとは思わなかったんじゃないかと思います。

大野はのろろ祭りで日本酒を飲み過ぎた福元を止めようとしたときに、怖い顔を見せたことで勤務先のクリーニング店に閑古鳥が鳴きます。
店主の内藤朝子は、「ちょっと凄んだだけで元ヤクザだって噂する方がどうかしてる」と庇いますが、大野が前科者であることを告げると嘘をついてたことに怒りますが、真面目な勤務ぶりは見てたのでそのまま働いてもらいます。

栗本はスーパーで買ってきた魚が1パックに2尾入ってるので、1尾は自分が夕飯で食べるために焼きますが、もう1尾はなぜか庭先に埋めます。
その後も清掃員の勤務先で小動物の死骸を見つけると拾ってきては庭先に埋め、土墓にして供養します。

福元は勤務先の床屋で店主の雨森から「その坊主の仕方はどこで習った?」と聞かれドキッとします。
前科者であるのが雨森にバレたかと、訪ねて来た月末に相談してると、買い物に出ていた雨森が帰ってきます。
その場を取り繕うために月末が髭剃りに来店したことにしますが、月末の首筋にあてる髭剃りナイフの手は震えてて観客をハラハラさせるという演出なんですが、ちょっと意地が悪いです。
震える手に耐えられなくなった月末が雨森に「実は~」と切り出すと、雨森も前科者だったというオチで、福元と雨森で涙するっていうエピソードでいい話なんですが、その後の、のろろ祭りの際に雨森が福元に酒を飲ませ過ぎたことで、酒乱の気が有った福元が暴れてしまい、魚深市に来て初めて一堂に会する前科者たちに不穏な空気が流れます。

一番タチの悪いはやっぱり杉山で面白がって福元の写真をパシャパシャ撮ってます。
刑務所にいたときに写真部だったということでキャノンEOSの一眼レフカメラを持ってます。

栗本は夫の酒乱がトラウマになっていたことから気が動転して飛び出すと、その場を離れます。

大野は前述したように、昔取った杵柄じゃないですけど元ヤクザということで抑えようとしますが、福元の暴れっぷりは凄まじく跳ね飛ばされます。

意外だったのは宮腰で、アントニオ・ホドリゴ・ノゲイラのようにいつの間にか福元に絡みつくとチョークスリーパーで抑えます。

この後は海から上がってきたのろろ様を迎えて街を練り歩くんですが、この隊列に参加する杉山と宮腰の写真が新聞に載ったことによって事態が動き出します。

のろろ様の隊列は見てはいけないので、街の人は家の中にいるんですが、太田はこのとき月末の家を訪れていて月末の父と会っていましたが、バランスを崩して転んだ月末の父が骨折してしまい入院することになると、月末父と太田の交際が月末にも明らかになります。
月末は太田に前科のことを明かしたのかと聞くと、明かして無いとのことで、もう父とは会わないでと言います。

月末は石田のことが学生時代から好きでしたが、その思いを伝えられずにいました。
バンドをやってるのは石田と一緒にいたいからで、その思いは須藤に見透かされていましたが、石田と宮腰が付き合ってるのを知った須藤は、自身がパパ活に忙しいこともあってもうバンドはいいんじゃないかと言います。

石田と宮腰が付き合ってるのを知らなかった月末はショックを受けます。
月末は宮腰への嫉妬から、つい石田に前科のことを明かしてしまいます。
口を滑らせてしまったことを後悔した月末は、このことは誰にも言わないでと石田に言いますが、だったら最初から言うなと石田にキレられます。

月末は宮腰に電話して、石田に前科のことを話してしまったことを謝罪すると、宮腰はその謝罪は市の職員としてか友達としてかを聞いてきます。
月末が友達としてだと答えると、宮脇はだったらいいよと許してくれるのでした。

魚深市で聞き込みを続けていた目黒は、港で作業している杉山に辿り着きます。
杉山は目黒と宮腰の間に何があったのかを話すのを条件に宮腰の居場所を教えます。

前科を知られた宮腰は、石田を試すかのように深夜の公園に連れて行きますが、石田は動じません。
宮腰はわざと嫌われるように石田の首を絞めると、石田を深夜の公園に残して帰ってしまい別れを告げるのでした。

別の日、バンドの練習をしてると宮腰は仕事のため遅れるとのことでしたが結局来ませんでした。
宅配便の仕事をしてる宮腰はその日は荷物が多かったからなんですが、夜、配達の荷物も少なくなったところに目黒が現れます。
宮腰は目黒が現れても心当たりがありませんでしたが、揉み合いになると場面が変わります。

この極秘プロジェクトを知ってるのは課長の神崎と月末だけのはずでしたが、内勤のはずの月末の外出が多いことに気づいた後輩の田代が、課長のパソコンを見てこのプロジェクトに気づいていました。
田代は好奇心から6人の前科について調べ、月末にアドバイスしてましたが、宮腰が過剰防衛で1年半の実刑を受けるのはおかしいと言います。
初犯なら執行猶予が付くはずで、田代はその前の前科も調べましたが前科は無かったとのことでした。
しかし田代は少年院なら前科がつかないんじゃないかと言い、過剰防衛で実刑になったのは裁判官がそれを鑑みたからではないかと言います。
そして市役所に目黒という人物が宮腰を探しに来たと言い、少年院の件で関わりがあるのではないかと言うのでした。
市としては個人情報保護法があるので宮腰の事を明かすことなく目黒に丁重にお引き取り頂いていました。

バンドの練習に参加できなかった宮腰が月末の家を訪ねてきます。
ギターも出来る月末は宮腰に教えながら、色々話をします。
宮腰は月末が石田のことを好きだったのは知らなかったと言い、知ってたら付き合わなかったと言いますが、別れたので安心してほしいと言います。
月末は宮腰に少年院に入ってたのかを聞きます。
宮腰は再び、市職員としてか、友達として聞いてるのかを聞くと、月末は友達としてと答えます。
宮腰は少年院に入ってたと言います。

杉山が勤める釣り船の上に宮腰がいます。
杉山は目黒を殺すのを見たと宮腰に言います。
杉山は宮腰を脅すのが目的では無く、海上取引でヤクを仕入れ魚深市で捌こうと持ち掛けます。
そして妙な気を起こさないように保険は掛けてあると言います。

船が港に着いた宮腰は車で帰るふりをして杉山を轢き殺します。
杉山を轢き殺す前に、目撃者となりそうな港にいる人も轢き殺していました。

その晩、月末は話したいことがあると言って、スナックでバイト中の石田に電話を入れると、バイトが終わったら石田が月末の家に来ることになります。

仕事を終えた月末が家に帰ると宮腰が家の前で待っていました。
宮腰はのろろ像が祀られている岬に行こうと月末を車に乗せます。
月末が岬に行く理由を聞くと、宮腰は目黒や杉山を殺したことを話します。
月末から、昔行われていたのろろ祭りの生贄の話を聞いていた宮腰は、警察に自首しようと説得する月末に対し、どうせ死刑になると言って、儀式のように2人で飛び込んでどちらかが助かるのをやろうと言います。
宮腰は自分が死んで月末は助かると思うと言います。

バイトを終えて月末の家に着いた石田は月末の留守を確認すると電話を入れます。
月末が出た電話を宮腰が変わると石田にも岬に来るように言います。

その頃には港で死体が見つかり事件が発覚し警察も動きます。

岬に着いた月末は必死に宮腰を説得しますが聞く耳を持たず、逆に宮腰は月末の首に手をかけますが思いとどまります。
そうするうちに石田も岬に着きますが、宮腰は月末の手を握ると崖から飛び降りてしまいます。
石田は海に落ちた2人を見ると、宮腰だけが海面に顔をだします。

すると岬ののろろ像の頭部が取れて海に落ちると海面に顔を出した宮腰に直撃します。
のろろ像の頭部と宮腰が沈むと、月末が海面に顔をだし助かるのでした。

ラスト、太田の土墓からは若葉が芽を出し、港からはのろろ像の頭部が引き揚げられて、それをバックに大野と内藤が笑顔で2ショットを撮り、石田は月末が勧めた街道沿いのラーメンを食べに行くと言って映画は終わります。

 

映画は冒頭こういうのが出てきて、何のことだか分からなかったんですが、公式ホームページhttp://hitsujinoki-movie.com/hitsujinoki.phpを見ると「羊の木」のことを形容してるようです。

ウィキペディアを見ると「バロメッツ」という伝説上の植物らしく、綿の成る木=木綿を知らなかったヨーロッパ人が羊が成る木と勘違いしたらしいんですが、この「羊の木」というタイトルが内容にどう掛かってるのかはよく分かりませんでした。

映画内では栗本が海岸清掃したときに、羊の木が書かれた缶の蓋を拾って家に飾ってるんですが、特にセリフなどで羊の木について言及されるシーンはありませんでした。

原作が文化庁のメディア芸術祭マンガ部門を受賞してるのは、社会的な問題を扱っているからだと思うのですが、映画では冒頭の設定として組み込まれてるだけで、全編を通して訴えかけてくるものは無い気がしました。

というのも前科者と街の人たちとの交流が描かれないからで、限定的に大野と内田、福元と雨森、太田と月末父のエピソードが描かれますが、内田も雨森も月末父も地元コミュニティとの繫がりが描かれないので社会性が感じられませんでした。
また、彼らが前科者であることを知った葛藤などは描かれず、普通にいいエピソードとして処理されてる気がしました。

その代わり、社会的な問題というより、月末と宮腰の友情や石田を巡る三角関係など、月末のパーソナルな部分に焦点を当ててた気がします。

宮腰の描かれ方もよく分かりませんでしたね。
最後の方はサイコパスみたいに描かれてましたが、目黒と杉山を殺した理由ははっきりしてると思うんです。
目黒は訪ねて来なければ死ななかったと思いますし、杉山も脅してこなければ死ななかったと思うんですが、全く罪のない人を巻き込んで轢き殺すサイコキラー的な描かれ方は解せませんでした。
宮腰の過去の事件でそのような事案があるなら別ですが、宮腰が謎の柔術使いだったり、あまりにもモンスター化し過ぎだと思いました。
そのため、宮腰を演じた松田龍平さんが宇宙人ぽくて『散歩する侵略者』になってると思いましたね。

映画はつまらない訳ではないですが、設定倒れになってる気がして、普通にサスペンスやスリラーとしてなら楽しめますが、社会的な問題に斬り込んでいるかというと疑問符が付く感じで、どちらかというとエンターテイメント作品に仕上がってると思います。

鑑賞データ

TOHOシネマズ上野 シネマイレージデイ 1400円
2018年 29作品目 累計19200円 1作品単価662円

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