桐島、部活やめるってよ 評価と感想/吉田大八監督の名を覚えました

桐島、部活やめるってよ 評価と感想
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1年後は「桐島、東大受かったってよ」  ☆5点

予告編

映画データ

桐島、部活やめるってよ (2012):作品情報|シネマトゥデイ
映画『桐島、部活やめるってよ』のあらすじ・キャスト・動画など作品情報:早稲田大学在学中に第22回小説すばる新人賞を受賞した朝井リョウのデビュー作を映画化した青春群像劇。
http://cinema.pia.co.jp/title/158438/

あらすじ

いつもと変わらぬ金曜日の放課後、バレー部のキャプテンで成績優秀、誰もがスターとして一目置いていた桐島が突然部活を辞めたというニュースが学校内を駆け巡る。桐島の恋人でさえ彼と連絡が取れないまま、桐島と密接に関わっていた生徒たちはもちろんありとあらゆる生徒に波紋が広がっていく。人間関係が静かに変化し徐々に緊張感が高まっていく中、桐島とは一番遠い存在だった映画部の前田(神木隆之介)が動き出す……。

MovieWalkerより引用)

ネタバレ感想

朝井リョウさんの原作は未読です。

事前の予備知識もほぼ無しで鑑賞しました。

ツイッターで『モテキ』の大根仁監督が絶賛してたのを見て、1時間後には劇場で観てました。


舞台はある地方の高校生の1週間を切り取った出来事です。

映画は冒頭、繰り返される金曜日で始まります。
同じシーンを登場人物ごとの違う視点で見せながら、時間軸を逆行していく感じは『メメント』を意識したのかな?と思いました。

公式HPにも、事実1~、事実2~みたいな表記がありましたので。

話の中心に据わる「桐島」をマクガフィンにして、最後まで登場させずに引っ張るのは「ユージュアル・サスペクツ」を彷彿させました。

だからといってそれらが模倣ではなく、映画的手法として(原作の構成がそうなのかもしれませんが)上手く使われていて、類まれなる青春群像劇として展開していきます。

この映画は脚本が抜群に面白いのと、それぞれのキャラクターのセリフに哲学的重さがあって心に響きます。

「出来るやつ」にも、「出来ないやつ」にも、それぞれの苦悩があってそれらが丁寧に描かれています。

この映画が救いなのは、ともすれば学校内での格差(スクールカースト)が昨今のニュースを賑わしている「いじめ」に繋がるところが、この映画ではそこまでには至らずにうまく棲み分けが出来ているという事です。

若い人には「他者との違いを認め共存していく」ということを知ってほしいと思いました。

映画は神木隆之介さんが演じる映画部の前田を狂言回しにすることで、様々な映画へのオマージュにもなっていました。

分かりやすいところでは、ロメロの「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」や塚本晋也監督の「鉄男」などですが、映画のテーマとして描かれる生徒たちの揺れ動く心情や機微は中原俊監督の「櫻の園」を思い起こさせました。

もちろん、それらの映画を知らなくても十分楽しめますし、映画好きならニヤリと出来ること請け合いです。

夏休みのこの時期に中・高校生に是非見てほしい映画で、2学期からの学校生活に生かしてほしいと思いました。

鑑賞データ

シネリーブル池袋 水曜サービスデー 1100円

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