追憶 評価と感想/降旗康男監督、木村大作キャメラマンの巨匠コンビ

映画 追憶 評価と感想
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分かりやすくてよかった ☆4点

予告編

映画「追憶」予告

映画データ

追憶 (2017):作品情報|シネマトゥデイ
映画『追憶』のあらすじ・キャスト・評価など作品情報:『駅 STATION』『鉄道員(ぽっぽや)』などの降旗康男監督と撮影の木村大作がタッグを組み、『永遠の0』などの岡田准一が主演を務めたミステリードラマ。
追憶 : 作品情報 - 映画.com
追憶の作品情報。上映スケジュール、映画レビュー、予告動画。「鉄道員(ぽっぽや)」「あ・うん」などの名作を手掛けた監督・降旗康男と撮影・木村大作が9年ぶりにタッグを組み、岡田...

高倉健さんの遺作となった『あなたへ』の監督(降旗康男)製作(市川南)脚本(青島武)がタッグを組み、降旗監督とは『憑神』以来10年振りの撮影担当になる木村大作さんを加え、主演にV6の岡田准一さんを迎えたヒューマンミステリーです。

第六十九回 木村大作 映画にすべてを賭けた男が語る映画作りの真髄 厳しさの中にしか本当の美しさはない|平成の世にサムライを探して|日立ソリューションズ
たった一度の人生なら、こんな風に生きてみたいと思わせてくれる熱血仕事人を取材する“平成の世にサムライを探して”。第六十九回は撮影監督・映画監督 木村大作氏。日立ソリューションズのビジネスコラムの『平成の世にサムライを探して』をご紹介。

また主要キャストに長澤まさみさん、小栗旬さん、木村文乃さん、柄本佑さん、安藤サクラさんと30歳前後のキャストを配し、キャスト若手、スタッフベテランという感じになってます。

あと共同脚本で『脳男』『グラスホッパー』の瀧本智行監督の名もクレジットされています。

本作は富山を舞台にしており、富山舞台の作品は昨年観た『人生の約束』以来かな。

それから『彼らが本気で編むときは』での出演が最後かと思ったりりィさんですが、本作にも出演されていました。

他に共演と配役は以下の通りです。

四方篤: 岡田准一
田所啓太: 小栗旬
川端悟: 柄本佑
四方美那子: 長澤まさみ
田所真理: 木村文乃
県警幹部: 矢島健一
先輩刑事: 北見敏之
同僚刑事: 安田顕
同僚刑事: 三浦貴大
同僚刑事: 高橋努
涼子のヒモ: 渋川清彦
篤の母: りりィ
悟の妻: 西田尚美
仁科涼子: 安藤サクラ
山形光男: 吉岡秀隆

あらすじ

富山県の漁港で殺人事件が起きた。
事件によって、かつて親友だった3人は、刑事、容疑者、被害者として再会することになった。
刑事・四方篤(岡田准一)―――妻(長澤まさみ)へ自分の心をうまく伝えられず、すれ違いの日々を送る。
なぜ、愛する人にも心を開くことが出来ないのか。
容疑者・田所啓太(小栗旬)―――会社の好転、妻(木村文乃)の妊娠、新居の建築と幸せの絶頂の中、なぜ、事件の真相を語ろうとしないのか。
被害者・川端悟(柄本佑)―――倒産寸前の会社と家族のため、金策に奔走していた。なぜ、殺されなければならなかったのか。
25年前、親に捨てられた3人は、涼子(安藤サクラ)が営む、喫茶「ゆきわりそう」に身を寄せていた。
常連客の光男(吉岡秀隆)とともに5人はまるで家族のような間柄になった。
だが、ある事件を機に、その幸せは終わった。
無実を信じる四方の問いかけにも、田所は口をつぐむ。
一体、何を守ろうとしているのか。
3人の過去に何があったのか。
複雑に絡みあった壮大な人生のドラマは、25年の時を経て、再び運命の歯車を回し始める。

(公式サイトhttp://tsuioku.jp/about/より引用)

ネタバレ感想

まず篤は、子供の頃、母(りりィ)に新しい男が出来る度に捨てられてて『彼らが本気で編むときは』の女の子みたいなんですが、涼子に助けられて世話になります。
啓太は、工務店を営む父親との折り合いが悪いってだけで、涼子のとこで厄介になってます。
悟は、孤児院から来たそうです。

それで涼子はヤクザ(渋川清彦)の元情婦だったんですが、刑務所に入ったのを機に別れてて、ゆきわりそうで幸せに暮らしてたんですが、男が現れるんですね。
それでまたヒモのように居着いて、喫茶店の稼ぎなんて少ないからソープで働かされそうになったり、DV受けたり、子供たちを排除しようとしたりするんで、篤たちはヤクザを殺そうと計画します。

電器屋の光男の手伝いをしていた3人は、光男が電球交換する間に待ってた車を抜け出し、ゆきわりそうへ向かうとちょうど涼子をレイプしたやくざが降りてきたとこでした。
篤がバットで殴るもヤクザに抵抗されて首を絞められると、啓太はそばに有ったナイフでヤクザを刺します。
階下での物音に気付いた涼子が降りてきて啓太が刺したナイフを更に押し込んで止めを刺すと光男もやってきます。

涼子はこのことは全部私に任せて、あなたたちは全部忘れなさいと言います。
そしてもうみんな金輪際会うなと。

時は過ぎて25年後。

篤は富山で刑事になってます。
上司(北見敏之)の奥さんの紹介で結婚した保育士の妻とは5年になりますが、流産したのを機に関係がギクシャクして半別居状態です。
新しい男を作っては出て行ったりを繰り返した母親も、年を取れば見向きもされず今は一人。
孤独に耐えられず、金の無心ばかりするのにも苦しめられています。

悟は東京の北池袋で婿養子で入ったガラス屋を経営してますが業績は芳しくなく従業員(太賀)の給料も2か月遅配してます。
妻(西田尚美)と小6の娘一人。

啓太は輪島で実家の工務店を継いで田所興業を経営してます。
妻は妊娠9か月。ゆきわりそう跡地にマイホームを建てようとしています。
3人の中では羽振りが一番良さそう。

悟は給料等を払うため、金策に走りに2泊3日で富山に向かいます。
以前から経営が厳しくなると啓太に融通してもらっていましたが、妻には詳しいことは伝えていません。
妻からはついでに富山に住んでる妹夫婦から借りた香典1万円を返してきて欲しいと頼まれます。

次の日、篤が昼食に市内の中華料理屋に入ると悟と25年ぶりに出くわします。
気付いたのは悟でした。
25年前、ゆきわりそうでの名物はラーメンでしたが、篤はメンマだけは残していて、この中華料理屋で頼んだラーメンもメンマだけ小皿にはじいていたのを悟が気付いたのでした。

夜、市内の居酒屋で旧交を温める2人。
過去のことなど忘れたかのように屈託なく色々と話す悟に対し、過去を引きずって口が重い篤。
悟はガラス屋の現状と、度々、啓太にお金を借りに来てることを話します。
啓太は輪島で父親の土建業を継いでるとのことでした。
サウナに泊まろうとする悟に対し、手持ちのお金を渡すことしか出来ない篤でした。

翌々日、他殺死体発見の一方を受けて篤ら富山県警が駆け付けると死んでいたのは悟でした。
そばに停まっていたレンタカーの貸し出し票から身元はすぐ判明しましたが、篤は友人ということを明かしませんでした。

これ、篤は子供の頃の殺人が発覚するのを恐れて言わなかったと思うんですが、涼子が服役して事件は終わっていますし、一事不再理の原則からして篤たちが裁かれることは無いと思うので、殺人の告白までするかは別としても、悟とは友人関係であることを言ってもよかったのになぁと思いました。

篤は知らないふりをして捜査に参加するのでややこしくなります。

その日の夜の捜査会議で悟の足取りが分かり、妹夫婦に香典代を返したあとに殺されたこと。
富山へは金策のため訪れていたこと。ただ妻は金策のため誰に会うかまでは知らなかったこと。
銀行の封筒があったことから金が工面出来てから殺されたことと財布など金目の物も盗まれてたこと。
レンタカーの走行距離から推測すると、殺害された場所よりかなり離れたところに行ってること。
などが分かります。
篤は知ってることばかりなのですが、言えません。

捜査会議での班分けで同僚(安田顕・三浦貴大)と東京での捜査にあたる篤。
悟の経営するガラス屋で一人しかいない従業員から話を聞いたり、娘から話を聞いたりします。
帳簿をめくっていると、あんどの里と書かれた封筒を見つけ、反射的に内ポケットに入れます。
事件の手掛かりになりそうな証拠品の隠蔽です。

東京での捜査は収穫なさそうってことで、翌日は篤だけ富山に戻るということになり、その日の捜査を終えてホテルへ戻ると、母親から電話があり薬を大量に飲んだと言われます。
東京にいて動けないので妻に電話して様子を見に行ってもらうと、自殺を図ったとのことで救急車で運ばれましたが命に別条はないとのことでした。

翌日、富山に戻った篤は県警には顔を出さず輪島の啓太の元に向かいます。
上司には時間差で母が自殺を図ったことを伝えて休みにしてもらいました。

25年ぶりに会う篤と啓太ですが、篤は悟がお前に金を借りに来たことは分かってるんだと、頭ごなしに言って、知ってることを教えろ!とやるから啓太が反発します。

篤はここでも、捜査してる上で悟が友人ということを秘密にしている、ということを正直に啓太に話せばいいのですが、自分のやましいことは隠して相手を追求しようとするから話がややこしくなります。

観客としては、啓太が犯人だとは思えないのですが、篤は疑ってる面もあって、ちょっと『怒り』みたいな感じだなと思いました。

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それから篤はあんどの里を訪れます。
離れた駐車場から建物を見張ってると、出てきたのは年取った光男と車椅子に乗った涼子でした。
篤以外の4人はすでに交流があったことが分かります。

篤が自宅に戻ると、捜査は着々と進んでいて、街の防犯カメラやNシステムにより、悟の行動が割れてきていて、悟と篤が会っていたのもバレていました。
篤は上司にやましいことは無かったが疑われるのが怖かったと言って、上司も胸の内だけにとどめて置くと言いますが捜査からは外されます。
その際、啓太の似顔絵を見せられるんですが、またも知らないと嘘をつくからややこしくなります。

啓太が犯人じゃないだろうから、正直に言った方が事件解決早そうなのになぁと思って観てます。

警察は啓太が銀行で400万円おろしたことも分かったので、啓太の行動確認に刑事を張り付かせるようになります。

捜査を外された篤は、再びあんどの里に向かうと光男に声をかけ話しを聞きます。
刑務所から出所した涼子と一緒になったこと。
涼子は数年前に交通事故に遭い、車椅子生活を余儀なくされ、脳に損傷も負っていて昔のことも覚えてないこと。
事故を新聞で知った啓太らが来てくれたことなどを知ります。
そして改めて光男から昔のことは忘れていいと言われます。

そして再度啓太の元に向かいます。
同僚刑事(髙橋努)らが、行動確認に張り付いてましたが、それを飛び越えて啓太に詰問します。
再び言い争いになるとそれを見ていた啓太の妻が体調を崩し産気づきます。
篤の車で病院に向かう啓太と妻。それを追う同僚刑事たち。
病院に着くと早産ということで帝王切開による緊急手術となります。

手術の間、話をする篤と啓太。
啓太は悟に会って金を渡していたことを認め、無理するくらいなら会社を閉めた方がいいとアドバイスしてたことも明かします。
涼子の交通事故は新聞で知って会いに行くと、光男からこれだけは憶えていて欲しいと一つのことを託されます。
それは涼子が刑務所で出産していたことでヤクザとの間に出来た子がいることでした。
そして実はその子こそが啓太の妻の真理で、施設で育って出生の秘密を知らない真理を真実から守ろうとしていたのでした。

序盤で、涼子がヤクザにレイプされてるとき、これ子供出来ちゃうんじゃないかなぁ?と思って観てましたがビンゴでした。
ただそれが妻の真理とは思いつきませんでしたね。
この映画の予告は年頭から観てたと思うのですが、殆ど予告を目にしなかった『愚行録』を観るまで雰囲気的にごっちゃになっていたんですが『灼熱の魂』っぽいところとかは似てるかも。

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篤が啓太が守ろうとした秘密を知ると、東京に残った同僚刑事から電話があって犯人を逮捕したと連絡が入ります。

犯人は悟の妻と従業員で保険金目当ての殺人でした。
小6の娘が母と従業員の関係に気づいていて、それを元にアリバイを当たったところ、妻と従業員は口裏を合わせていましたが、従業員は富山を訪れていて、香典代を返しに妹夫婦の家に寄ったあとに殺す計画でした。

妻が悟に香典代を返してきてと言ったとき、振込で済むのにな?と思ったのですが、そこも伏線でした。
従業員が2か月給料遅れてても気にしてなかったので、いい奴だなぁと思ったのですがそこも伏線か。

この妻と従業員の話は『郵便配達は二度ベルを鳴らす』みたいで、こっち視点による西田尚美さんと太賀さんによるエロティック不倫ミステリーにしても面白いんじゃないかなと思いました(というか結構見たい)

物語的には篤が正直に話していれば何てことない話で、篤の空回り感が否めませんが、テーマ的には大切な人を信じられるかって話で『怒り』に近いのかなと思います。

この映画いいなと思うのは語り過ぎないところですかね。
ヤクザが刑務所に入ってたであろうこととか、篤の妻が流産してるだろうこととかは、直接描かれませんが想像できます。
篤と妻が離婚してるんだかしてないんだかもはっきりしないのですが、篤が指輪をしてるのでまだかろうじて離婚してないんだな、とか。

啓太は悟の死や涼子の事故も新聞で知って、新聞よく読んでるなという印象ですね。
よく気づくヤツ。
対照的に篤は刑事なのに気づかないヤツで、悟にも気づかなかった。
妻のことも母のことも気づかなったけど、あの母親の元で育ったのはかなり可哀想だなと思います。

昔は2時間ドラマのサスペンス・ミステリーなんかでも、当たりの回のときは、これくらいのレベルの作品があったと思うんですけど、最近はドラマでも映画でもこういう雰囲気の作品がすっかり無くなっちゃったので、逆に新鮮でしたね。

上映時間が100分を切って99分なのも絶妙な気がしますし、話も分かり易いですし、犯人誰だろう?というミステリーを軸にして観れるのでダレることもなくて最後まで集中して観れたので面白かったです。

鑑賞データ

TOHOシネマズ六本木ヒルズ シネマイレージデイ 1400円
2017年 74作品目 累計77000円 1作品単価1041円

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