麦子さんと 評価と感想/脚本:吉田恵輔・仁志原了が紡ぎだす空気

麦子さんと 映画感想
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「あまちゃん」っぽい感じもしますよ  ☆4.5点

『ばしゃ馬さんとビッグマウス』の吉田恵輔監督、脚本・仁志原了のコンビによるオリジナル脚本で主演は堀北真希
幼い頃に捨てられ母に反発してたヒロインが納骨のために訪れた亡母の故郷でその思いを知る。共演に松田龍平、余貴美子

予告編

映画データ

(シネマトゥデイ)
https://www.cinematoday.jp/movie/T0017171
(ぴあ映画生活)
http://cinema.pia.co.jp/title/162300/
予備知識もなく、全くのノーマークで観た前作『ばしゃ馬さんとビッグマウス』が思いのほか面白く、自分的には今年のベストワンになろうかと勢いの吉田恵輔監督の新作ということで期待に胸を膨らませて観に行ってまいりました。


感想としては、「吉田監督やっぱり上手いなー」と思いました。

あらすじ

とある田舎の小さな駅に降り立った一人の女性、小岩麦子(堀北真希)―。
アニメショップでアルバイトをしながら、声優になることを夢見ている彼女は、亡くなったばかりの母の納骨のために、初めて母の故郷にやって来た。
そこで彼女は出会う人々から、次々に「彩子ちゃん!?」と声をかけられる。彩子とは、彼女の亡くなった母のこと。若き彩子の姿にう瓜二つである麦子の登場に、街の人々が一気に色めき立つことになる。
なぜなら、数十年前、彩子はこの地のアイドル的存在であり、町中の憧れの的だったのだ。偶然にも駅で麦子を乗せたタクシー運転手の独身男・井本(温水洋一)や、妻の夏枝(ふせりえ)とともに旅館を営む春男(ガダルカナル・タカ)など、母のファンや母のストーカーそして母の親友・・・いい大人たちが誰もが青春時代の続き、と言わんばかりに麦子の周囲で騒動を巻き起こす。だが、麦子にとっての彩子は、幼い自分と現在パチンコ店で働く兄・憲男(松田龍平)を捨てて出て行った、最低の母親に過ぎなかった。

その数ヶ月前の東京。3年前の父の死後も、憲男とふたりで暮らしていた麦子の元に、彩子(余貴美子)は突然舞い戻ってきた。母の記憶がない麦子は、どこか疲れた彼女の登場に戸惑いながらも、彼女に言われるがまま、3人で暮らし始めることになる。だが、すぐに憲男が家を出てしまい、麦子は彩子と二人っきりに・・・。初めは素直になることができず、朝に鳴りっぱなしの壊れた目覚まし時計や、鼻歌で歌っている「赤いスイートピー」など、彩子の行動すべてが気に入らない麦子だが、時間が経たないうちに、少しずつ母親の存在を意識し始めていく。

しかし、ある日、密かに入学を考えている声優学校の案内書を勝手に見られてしまったことで、麦子は彩子に向けて、ある言葉を投げつけてしまう—。
「私、あなたのこと、母親と思ってないから」。

それから数日後、母・彩子は帰らぬ人となってしまった…。彼女が末期の肝臓ガンであったことは、誰にも知らされていなかった。母親を亡くしたという実感がないまま、そして憲男に頼まれるがまま、麦子は四十九日にあたるこの日、母の故郷を訪れた。しかし、肝心の埋葬許可証を自宅に忘れてしまったことで、すぐには霊園に納骨できず、東京から許可証が届くまでのあいだ、彼女は町に滞在することとなる。

そして、彩子の友人だった霊園に務めるミチル(麻生祐未)の口から、意外な事実を聞く麦子。彩子はアイドル歌手を目指して、上京していたのである。これを機に、数日間、町の人々と母の青春の続きに付き合わされる麦子だったが、そこで初めて、今まで知らなかった母の人生を知ることになる。あの壊れた目覚まし時計や、彼女が何気なく口ずさんでいた「赤いスイートピー」…。そんな亡き母が遺したもの、そして井本の「彩子ちゃんはもういないんだよ。麦子ちゃんのお母さんは一人しかいないんだよ」という言葉など、彼女の故郷が教えてくれたこと—それが分かったとき、どこかで母を憎んでいた麦子の心の中には、ある想いが広がっていく…。

公式サイトより引用)

ネタバレ感想

吉田監督は仁志原了さんという脚本家と共同で脚本されてるのですが、前作「ばしゃ馬さん」(私はお二人の半自伝的な映画だと思っております)の紹介記事などを見ると、どうもこのお二人[水と油]みたいで性格も全然違うみたいなんですが、お二人が共同で作業されるとうまい具合に[乳化]して味わい深い作品となる気がします。

今作もお話としては劇的なことがあるわけではないのですが、日々の生活の中で誰にでも思い当たるようなことを丁寧に切り取って、心の琴線に触れるように描くのがとても上手いと思います。

派手さはないので、ややもすると素通りしてしまいそうになるお話も、小さなところで観客の心に引っかかるようになってて、たとえば麦子(堀北真希)がアニメイトでバイトしてて声優目指しててちょっとオタクっぽい設定だったりとか、お兄ちゃん(松田龍平)は自宅にパチスロの実機を置いてるだとか、ちょこちょこ引っかかるようになっていて、またそれらが伏線となったりしてうまく回収されます。

それと吉田監督はカメラワークも秀逸だなぁと思って、台詞のないシーンでちょっとPVみたいな感じになる時も、主人公の心の機微をうまく捉えるようなカメラワークで上手だなぁと思います。

あと音楽の使い方も非常にうまくて、前作ではかみむら周平さんのインストが効果的に使われていて良かったのですが、今作では松田聖子さんの「赤いスイートピー」が印象的に使われていて(でも実際には聖子さんが歌ってるバージョンは最後に1回だけ)、ここで涙した人も多かったんじゃないかと思います。

今回のお話は、母(余貴美子)と娘の確執だったり、お母さんがアイドルになろうと思って上京してたりと「あまちゃん」っぽい感じもしますが、こちらもなかなかの良作だと思います。

次作の『銀の匙』も楽しみにしています。

鑑賞データ

テアトル新宿 TCGメンバーズ ハッピーフライデー 1000円

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