銃 評価と感想/銃のある生活

映画 銃 評価と感想
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見どころは親子共演くらいでしょうか ☆3点

芥川賞作家・中村文則のデビュー作で新潮新人賞を受賞した小説の映画化。
とある事件現場の遺体そばに落ちてた銃を拾った大学生の青年が、次第に銃の魅力に取り憑かれていく様を描いた作品。
監督は武正晴、主演は村上虹郎、共演に広瀬アリス、日南響子、岡山天音、リリー・フランキー

予告編

映画データ

銃 (2018):作品情報|シネマトゥデイ
映画『銃』のあらすじ・キャスト・評価・動画など作品情報:芥川賞作家・中村文則のデビュー作を、『2つ目の窓』などの村上虹郎を主演に迎えて映画化。
銃 : 作品情報 - 映画.com
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本作は2018年11月17日(土)公開で、全国68館での公開です。
2019年3月まで順次公開されて、最終的には90館での公開となるようです。

監督は武正晴さん
近作は『百円の恋』『リングサイド・ストーリー』『噓八百』を観てます。

主演は村上虹郎さん
近作は『ディストラクション・ベイビーズ』『武曲 MUKOKU』『ナミヤ雑貨店の奇蹟』『AMY SAID エイミー・セッド』『犬ヶ島(声の出演)』を観てます。

共演に広瀬アリスさん
近作は『銀の匙 Silver Spoon』『新宿スワンⅡ』『旅猫リポート』を観てます。

共演にリリー・フランキーさん
近作は『凶悪』『トイレのピエタ』『野火』『バクマン。』『恋人たち』『シェル・コレクター』『海よりもまだ深く』『二重生活』『SCOOP!』『聖の青春』『美しい星』『奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール』『blank13』『サニー/32』『ラプラスの魔女』『万引き家族』『SUNNY 強い気持ち・強い愛』を観てます。

他に共演と配役は以下の通りです。

西川トオル: 村上虹郎
ヨシカワユウコ: 広瀬アリス
トースト女: 日南響子
隣の母: 新垣里沙
ケイスケ: 岡山天音
警官: 後藤淳平
ヤマネ: 中村有志
トオルの実父: 日向丈
トオルの実母: 片山萌美
萩原啓一郎: 寺十吾
駅前のウエイトレス: サヘル・ローズ
テレビキャスター: 山中秀樹
刑事: リリー・フランキー
乗車客: 村上淳

あらすじ

俺は拳銃を拾った――。
大学生、西川トオル(村上虹郎)は、雨の夜の河原で、ひとりの男の死体と共に放置されていた拳銃を手にし、それを自宅アパートに持ち帰った。
まもなく、その銃は彼にとって、かけがえのない宝物のような存在になった。
見つめれば見つめるほどに、触れたならば触れるほどに、愛しさがこみあげてくる。
誰かを脅すことも、守ることも、殺すことも、また自ら死ぬことも可能にする銃という<道具=武器>は、大学生活の心的様相もあざやかに変えていく。
悪友のケイスケ(岡山天音)に合コンへ誘われたトオルは、その夜出逢った女と一夜を過ごす。
翌朝、目覚めると、女がトーストを焼いていた。
朝食をとりながらテレビを見ていると、あの銃と関係する男の遺体が発見されたというニュースが目に飛び込んでくる。
途端に気分が悪くなったトオルに対し、優しく接する女。
その日以来、トオルは彼女のことを“トースト女”(日南響子)と頭の中で呼ぶことにした。
そしてセックスフレンドとして、度々性欲を吐き出すようになった。

アパートの隣の部屋から、時折、子供の泣き声と、我が子を罵倒する母親(新垣里沙)の声が漏れてくる。
それはトオルにとって、親との忌まわしい過去をよみがえらせる。
彼は大音量の音楽で打ち消そうとしていた。
大学の学食で、以前も講義中に話しかけてきたヨシカワユウコ(広瀬アリス)と再会した。
トオルは、やけにフレンドリーで、自分に興味がある素振りを見せる彼女と付き合うことを妄想した。
すぐにセックスする対象ではなく、あえて時間をかけて親しくなることを計画した。
それはきわめて魅惑的な「ゲーム」に思えた。
意識的かもしれないし、無意識かもしれないが、いずれにせよ、彼はヨシカワユウコと“トースト女”を両極に配し、ふたりの女のあいだで、自分なりのバランスをとっていく。
日々、銃に惹かれていくトオル。
やがてカバンに入れて持ち歩くようになった。
その刺激は、トオルをさらに高揚させていった。

トオルのアパートをひとりの刑事(リリー・フランキー)が訪れた。
刑事は、トオルと銃のすべてを知っているようだった。
部屋に入ろうとする刑事をなんとか防いだトオルだったが、喫茶店に移動して、尋問を受ける。
「人間を殺すとね、不思議なことかもしれませんが、普通の理性でいれなくなるそうですよ」
そして、刑事からある言葉が発せられたとき、トオルは後戻りのできない「どこか」に、否応なく踏み出していくのだった――。

公式サイトより引用)

ネタバレ感想

劇場での予告編はテアトル新宿で特報的なのを1度見ただけなんですけど、2018年2本目となる武正晴監督作で、90年代に松竹のプロデューサーとして一世を風靡した奥山和由さんの製作で、予告も白黒でカッコよくて、最後に銃弾が血液に落ちるところなんかはカラーだったので、パートカラーだった『シン・シティ』みたいなのを思い浮かべて少し期待して観に行きました。

ただ、感想としては上映時間97分の映画だったんですけれど、ちょっと眠たくなっちゃいまして、あんまり面白くなかったかなぁと。

1回だけ見た特報では、中村文則さん原作というのを見落としてたんですが、観終わってみると中村文則さんテイストだなぁと思いました。

というのも、いつものように原作は未読なんですけれども、2018年に公開された『悪と仮面のルール』と『去年の冬、きみと別れ』を観てるので、中村文則さんのテイストは何となく掴んでいるつもりでして、厨二的といいますか、まぁ本作もそんな感じでした。

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まず、善良な一般市民なら河原で遺体見つけたら警察に通報すると思いますし、そばに落ちてる拳銃も拾っていきませんが、それを言っちゃうと物語が成り立たないので、まぁ良しとします。
リバーズ・エッジ』でも、河原で見つけた遺体を「僕だけの秘密の宝物」にしてましたから。

それで拳銃を拾ったのも主人公に何か大それた計画がある訳では無く、何か目的があって拾った訳ではないので、その後の展開も想像の範囲内で話が進みます。

まず最初は拳銃を拾ったことに満足して、一人暮らししてるんで誰に見つかる訳でもないんですが、自宅に拳銃を隠します。
そして自宅を出て大学などに居れば、「自宅に拳銃がある」という事実だけで万能感を得ます。

しかし、自宅にあればやっぱり触りたくなるというのが人間の性分なので、大事にしまっている拳銃を取り出して、手に取って眺めてうっとりします。

この辺のシーンは『マッドマックス 怒りのデス・ロード ブラック&クロームエディション』のように、拳銃のクロームメッキが強調された映像になってました。

また、主人公が銃を磨いたりもしてたので刀剣美術的な側面もあると思います。

そして手に取って触っていれば発射したくなるのも性分ということで、まずは外出時にも携帯するようになります。
そして発射対象が、物、動物、人間とエスカレートしていくんですが、この想像できる展開と主人公の心の内がモノローグによって語られていくので、朗読劇のようで眠くなっちゃうんですよね。

さらに、97分と短めの映画にしても物語の内容にボリュームがある方じゃなくて、60分ドラマの1話分で描けちゃいそうな内容なんですが、文庫本は216ページの分量で、そこに桃井かおりさんが映画化した『火 Hee』という短編小説も収録されているので、原作自体が短いんだと思うんですが、それを97分も使って物語が間延びしちゃったのも眠くなった原因じゃないかと思いました。

そしてあまり刺激の無い物語の中で刺激のあるシーンといえば日南響子さん演じるトースト女とのセックスシーンだったと思うのですが、せっかく日南さんが脱いでるのにモノクロのため見辛く、モノクロだったらわざわざ脱がなくてもいい気がしましたし、脱ぐんだったらカラーの方がよかった気がして、そもそも本作はモノクロじゃなくてもよかったんじゃないかと思いまして、「白黒にした意味もよく分からないなぁ」とか考えてしまいました。

それからジャルジャルの後藤淳平さん演じる警官から職務質問を受けるシーンも完全に怪しいんですけど、見逃されるところが映画的といいましょうか、現実はこうはいかないよなぁと思ったり。

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そして極めつけはリリー・フランキーさん演じる刑事が訪ねてくるシーン。
逮捕状こそ持っていませんが、ほとんどバレているじゃないですか、防犯カメラや目撃証言もあるみたいですし。
おそらく遺体の事件に関しては捜査本部が立ってると思うんですが、後藤淳平さん演じる警官からの職質も情報として上がってると思うんですよね。
刑事も遺体事件の犯人とは思ってないでしょうけど、拳銃に関しては任意同行をかけられるくらいの重要容疑者だと思ってる気がしたんですが、任意同行で警察署に連れて行かれれば、トオルはトースト女の家でも吐いてますし、すぐにゲロったんじゃないかと思いますが、喫茶店で話をするというヌルさでした。

結局、トオルは幼児虐待をしている隣人の女を制裁の名のもとに殺そうとしますが、いざとなると引き金を引けず、我に返ると拳銃を捨てに行こうと決意します。

しかし、遠くに捨てに行こうと電車に乗ったら、居合わせたDQN客とトラブルになり衝動的に発砲、殺害してしまって、「こんなはずじゃなかった」とうろたえて、映画はジ・エンドなんですが、このDQN客を村上淳さんが演じていて親子共演を果たしたのが見どころって感じでした。

村上虹郎&村上淳が『銃』で親子共演!|シネマトゥデイ
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ただ調べたら映画での親子共演は2度目だったみたいで、それを知っちゃうとそんなにレア感無かったかな。

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ただ、それでも銃を題材にするんだったら、これくらいの心の闇を描いて欲しかったなと思いましたね。

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自分は中村文則さんの小説を1冊も読んだことが無いのですが、読者から評価が高いのは主人公の内面描写にあるようなのですが、それって非常に映像化し辛く、やるとすれば本作のようにモノローグ過多になってしまうと思うのですが、元来、主人公が心の迷路の中にいるような感じで、あーでもない、こーでもないと、ウダウダ、ウジウジしてるのは殆ど興味が無いんで、個人的にはどの作品が映画化されても「つまらなく感じるんだなぁ」というのが分かった、『銃』を観ての感想でした。

鑑賞データ

テアトル新宿 TCGメンバーズ ハッピーチューズデー 1000円
2018年 184作品目 累計165600円 1作品単価900円

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