ディストラクション・ベイビーズ 評価と感想/破壊神の子供たち

ディストラクション・ベイビーズ 評価と感想 映画感想

きっと激しく好き嫌いが分かれる映画 ☆5点

予告編

映画データ

ディストラクション・ベイビーズ (2016) - シネマトゥデイ
『イエローキッド』『NINIFUNI』などの真利子哲也監督が手掛けた若者による群像劇。『桐島、部活やめるってよ』などの喜安浩平が共同で脚本を手掛け、愛媛県松山を舞台に、若者たちの欲望と狂気を描く。
ディストラクション・ベイビーズ|映画情報のぴあ映画生活
『ディストラクション・ベイビーズ』は2016年の映画。『ディストラクション・ベイビーズ』に対するみんなの評価やクチコミ情報、映画館の上映スケジュール、フォトギャラリーや動画クリップなどを紹介しています。

本作は2016年5月21日(土)公開で、配給が東京テアトルとなっています。

現在(2016年5月27日)、東京では上映1館のみで、テアトルグループが力入れてるとあって、結構お客さん入ってましたね。

ここ最近、キネマ旬報ベスト10ではテアトル新宿上映作品が結構入ってることがあるので、見逃せない感じかなと思い観に行きました。

本作、真利子哲也監督の『ディストラクション・ベイビーズ』はかなり前から予告編が流れていたこともあって期待していました。

予告編やポスタービジュアルでピンクの字が使われていたので、凄まじい暴力と相俟って、ニコラス・ウィンディング・レフンの『ドライヴ』感あるのかな?と思ったりしてました。

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あらすじ

愛媛県松山市西部の小さな港町・三津浜。海沿いの造船所のプレハブ小屋に、ふたりきりで暮らす芦原泰良(柳楽優弥)と弟の将太(村上虹郎)。日々、喧嘩に明け暮れていた泰良は、ある日を境に三津浜から姿を消す──。それからしばらく経ち、松山の中心街。強そうな相手を見つけては喧嘩を仕掛け、逆に打ちのめされても食い下がる泰良の姿があった。
街の中で野獣のように生きる泰良に興味を持った高校生・北原裕也(菅田将暉)。彼は「あんた、すげえな!オレとおもしろいことしようや」と泰良に声をかける。こうしてふたりの危険な遊びが始まった。やがて車を強奪したふたりは、そこに乗りあわせていたキャバクラで働く少女・那奈(小松菜奈)をむりやり後部座席に押し込み、松山市外へ向かう。その頃、将太は、自分をおいて消えた兄を捜すため、松山市内へとやってきていた。泰良と裕也が起こした事件はインターネットで瞬く間に拡散し、警察も動き出している。果たして兄弟は再会できるのか、そして車を走らせた若者たちの凶行のゆくえは──

公式サイトより引用)

ネタバレ感想

これはきっと好き嫌いが完全に分かれるだろうし、賛否両論ある問題作だと思うんですが、自分は有りだし好きですね。

何せ、観てもよく分からない(笑)

いきなり絡んで、殴って、というのが続きまして、主人公も全然喋らない(笑)
主人公が初めて喋るのは、始まって4~50分くらいしてからでしょうか?

これ、映画を最後まで観ても、なぜ主人公が暴力を振るうのか?とは明示されてなくて、一切分からないです。

なのでこの映画は観客が如何ようにも受け止めていい訳でして、そこに想像する楽しさがあります。

ただ主人公を観ていくと、主人公の暴力にはある一定のルールがあると思います。
女子供(弱い者)には手を挙げないとか、殺すのが目的ではないとか。

どちらかというとイキってる人間、自分より強そうな人間(最初のギターの人は謎でしたが、あの人は結果強かった)に絡んでいってると思いましたし、ぶちのめしたら終わり。

ゴミ箱を漁ってうまい棒食ったり、スーパーの中で食品をそのまま食べちゃったりするのに、ぶちのめした相手からお金を盗るとかはしない。

私はここら辺を観てて、リスカなんかをする人(これCoccoさんが言ってたんですけど「血が出る、潮(海)の匂いがする、生きてる!」と感じる)と同じように、主人公も痛みでしか自分を感じられないんじゃないかなと思いました。

相手を殴るけど、自分の拳も痛い。
もちろん反撃もある。
ボコボコにされる。
身体中痛い。
でも生きてる。

主人公はボコボコにされて顔も腫れ上がるんですけど、次のシーンでは治まってるんですよね。
ここをリアリティが無いと捉えるかなんですけど、監督はあえてやってると思いました。

これに至って自分は、主人公に人間を超えた何かを感じました。
上手く言えないんですが、それは”混沌”だったり”理不尽さ”だったり、そういう何かです。

本来、チキンで小心者の裕也は主人公に出会って変わります。
彼の暴力は欲望を満たすための手段です。
女子供にも容赦なく手を挙げるし、金も盗る。
虎の威を借る狐状態で観てて胸糞悪いんですが、彼が我々観客に一番近い。
つまり人間ということです。

那奈も主人公の出現によって、凄まじい暴力を発動させます。
主人公の混沌さによって引き出される内なる凶暴性。
そういう所に主人公の人間を超えた何かを感じました。

やられてもやられても、にじり寄っていく様はターミネーターのようで恐ろしくもあります。
なんか、あのジリジリと迫ってくる様は今年観たホラー映画『イット・フォローズ』にも似た感じがして、余計、観念的な何かを感じました。

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映画を観てて、もし自分があの存在に触れたらどうするか考えました。
自分だったらあの存在には関わらずに全力で逃げると思いました。
彼に触れたら何かが変わってしまう。
そう感じました。

さてこの映画、柳楽優弥さんの演技無しには語れません。
彼の醸しだす雰囲気、佇まい、少ないながらも印象的に吐き出される台詞。
どれをとっても素晴らしくて圧倒されました。

真利子監督の演出もよかったです。
引き気味に俯瞰的構図で撮るカメラは北野武監督作品のようでもあり、共通した重さや痛みを感じました。

エンドロール終わったとき、鈍器で頭を殴られたような衝撃だったんですけど、不思議となんとなく涙も出てきて。

弟の兄を想うひたむきさを思うと切なくて、切なくて。
何か色々と説明されないんですけど、あの兄弟の崇高さには心打たれました。

鑑賞データ

テアトル新宿 TCGメンバーズ ハッピーフライデー 1000円
2016年 57作品目 累計66700円 1作品単価1170円

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