松ケンの役作りに驚嘆! ☆4.5点
予告編
映画データ
将棋ソフトの不正使用疑惑に揺れる将棋界ですが、早逝した村山棋士はこのような事態を予見したのか気になるところです。
あらすじ
1994年、大阪。路上に倒れていたひとりの青年が、通りかかった男の手を借りて関西将棋会館の対局室に向かっていく――。
彼の名は村山聖[さとし](松山ケンイチ)。現在七段、“西の怪童”と呼ばれる新世代のプロ棋士だ。聖は幼少時より「ネフローゼ」という腎臓の難病を患っており、無理のきかない自らの重い身体と闘いながら、将棋界最高峰のタイトル「名人」を目指して快進撃を続けてきた。
そんな聖の前に立ちはだかったのは、将棋界に旋風を巻き起こしていた同世代の天才棋士・羽生善治(東出昌大)。すでに新名人となっていた羽生との初めての対局で、聖は必死に食らいついたものの、結局負かされてしまう。
「先生。僕、東京行きます」
どうしても羽生の側で将棋を指したいと思った聖は上京を希望し、相談を持ちかける。先生とは「冴えんなあ」が口癖の師匠・森信雄(リリー・フランキー)だ。聖は15歳の頃から森に弟子入りし、自分の存在を柔らかく受け入れてくれる師匠を親同然に慕っていた。
体調に問題を抱える聖の上京を家族や仲間は反対したが、将棋に人生の全てを懸けてきた聖を心底理解している森は、彼の背中を押した。
東京――。髪や爪は伸び放題、本やCDやゴミ袋で足の踏み場もなく散らかったアパートの部屋。酒を飲むと先輩連中にも食ってかかる聖に皆は呆れるが、同時にその強烈な個性と純粋さに魅了され、いつしか聖の周りには彼の情熱を支えてくれる仲間たちが集まっていた。
その頃、羽生善治が前人未到のタイトル七冠を達成する。
聖はさらに強く羽生を意識し、ライバルでありながら憧れの想いも抱く。そして一層将棋に没頭し、並み居る上位の先輩棋士たちを下して、いよいよ羽生を射程圏内に収めるようになる。
そんな折、聖の身体に癌が見つかった。「このまま将棋を指し続けると死ぬ」と医者は忠告。しかし聖は聞き入れず、将棋を指し続けると決意。もう少しで名人への夢に手が届くところまで来ながら、彼の命の期限は刻一刻と迫っていた…。(公式サイトより引用)
ネタバレ感想
松山ケンイチさんの村山聖は予告編で見たときは、そこまで太って見えなかったんですが、実際スクリーンで見たら想像以上に太っててビックリしました。
映画は124分という尺もあって、かなりじっくりと丁寧に撮られていて、情緒あるいい映画だったと思いますし、面白かったです。
羽生さんとの対局は計3戦描かれるのですが、対局の撮り方も凄く凝ってて、1戦目なんかは盤と駒をアップにして迫力があって、漫画を描くシーンをプロジェクションマッピングで表現した『バクマン。』みたいに工夫が凝らされていたと思います。
2戦目と3戦目もピンと張り詰めた空気の中で、村山棋士の体を揺する仕草であったり、羽生棋士の頭を掻いたり扇子を開いたり閉じたりする仕草をじっくり撮ってて、上質のボクシング映画みたいな緊張感がありました。
西の怪童と言われた破天荒ぶりを表現した松山ケンイチさんは言わずもがなですが、羽生善治棋士を演じた東出昌大さんが素晴らしかったです。
今年は東出さんの出てる映画は『ヒーローマニア-生活-』と『クリーピー 偽りの隣人』を観ましたが、正直、それらよりは、ブレイクするきっかけとなった『桐島、部活やめるってよ』みたいな寡黙な役の方が合うと思います。
桐島の時も表情をあまり出さない役でしたが、今作の羽生棋士の役も凄く合っていたと思います。
脇を固める俳優陣もリアルで母親役の竹下景子さんはほうれい線くっきり、編集者役の筒井道隆さんはくたびれた感が凄い出ててよかったです。
師匠役のリリー・フランキーさんの「村山くん、詰んどるで」には笑ってしまいました。
それにしても森義隆監督という名前を聞いたことが無かったんですが、上手かったですね。
先日観たヴィム・ヴェンダース監督の『誰のせいでもない』みたいな映像の趣がありました。
調べてみたら『宇宙兄弟』の監督さんなので、今度見てみたいと思います。
自分はある程度将棋を知ってて、羽生七冠や村山死去もリアルタイムで知ってますが、将棋を知らなくても楽しめると思いますし、面白くて感動できる作品なのでおすすめです。
鑑賞データ
丸の内ピカデリー SMTメンバーズ 次回割引鑑賞クーポン 1200円
2016年 133作品目 累計148900円 1作品単価1120円
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