淫行にきちんと触れてる点がよい ☆5点
2014年から「月刊!スピリッツ」に連載され、2018年1月からはアニメ化もされた眉月じゅんによる同名漫画の実写映画化。
バツイチのファミレス店長に恋心を抱く女子高生の青春を描いた作品で監督は永井聡、主演に小松菜奈と大泉洋
予告編
映画データ
本作は2018年5月25日(金)公開で、全国301館での公開です。
配給は東宝で制作はAOI Pro.です。
劇場での予告編は、この手の恋愛映画にしてはよく目にしました。
スイーツ映画とは対象が少しずれる感じだからでしょうかね?
学生時代にファミレスでバイトしてたこともあって、予告編の段階から面白そうだなと思ってました。
原作漫画の存在は知らず、アニメ化されたのも知らずでの鑑賞です。
監督は永井聡さん
近作は『世界から猫が消えたなら』『帝一の國』を観てます。
主演に小松菜奈さん
近作は『渇き。』『予告犯』『バクマン。』『ヒーローマニア -生活-』『ディストラクション・ベイビーズ』『溺れるナイフ』『沈黙 -サイレンス-』『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』『坂道のアポロン』を観てます。
主演に大泉洋さん
近作は『探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点』『アイアムアヒーロー』『東京喰種 トーキョーグール』『探偵はBARにいる3』『鋼の錬金術師』を観てます。
共演に清野菜名さん
近作は『TOKYO TRIBE』『虎影』『東京無国籍少女』『ユリゴコロ』を観てます。
他に共演と配役は以下の通りです。
橘あきら: 小松菜奈
近藤正己: 大泉洋
喜屋武はるか: 清野菜名
加瀬亮介: 磯村勇斗
吉澤タカシ: 葉山奨之
西田ユイ: 松本穂香
倉田みずき: 山本舞香
久保: 濱田マリ
大塚: 篠原篤
九条ちひろ: 戸次重幸
橘ともよ: 吉田羊
あらすじ
高校2年生の【橘あきら】(17)は、アキレス腱のケガで陸上の夢を絶たれてしまう。偶然入ったファミレスで放心しているところに、優しく声をかけてくれたのは店長の【近藤正己】(45)だった。 それをきっかけに【あきら】は、ファミレスでのバイトを始める。バツイチ子持ちで、ずっと年上の【近藤】に密かな恋心を抱いて……
【あきら】の一見クールな佇まいと17歳という若さに、好意をもたれているとは思いもしない【近藤】。しかし【近藤】への想いを抑えきれなくなった【あきら】はついに【近藤】に告白する。【近藤】は、そんな真っ直ぐな想いを、そのまま受け止めることもできず―
真っ直ぐすぎる17歳、さえない45歳。ふたりに訪れる、人生の雨宿りの物語。(公式サイトhttp://koiame-movie.com/story.htmlより引用)
ネタバレ感想
キャラ設定などはウィキペディアをどうぞ
感想はズバリ、「大人とはこういうものだ」という映画で、『ナラタージュ』の葉山先生には爪の垢を煎じて飲ませてあげたい映画でした(笑)
恋愛部分に於いては「101回目のプロポーズ」のような落差のある設定で、101回では冴えない中年男性(武田鉄矢)と超絶美女(浅野温子)、本作では中年バツイチファミレス店長と女子高生という組み合わせで、こういう設定は『美女と野獣』なんかと同じで人々の心を掴みますよね。
(因みに韓国版リメイクではチェ・ジウ、中国版リメイクではリン・チーリンが演じ、いかに高コンテンツだったかが分かります)
ただ本作の場合、相手が女子高生ということで、下のようなイメージが必ず付いて回ります。
しかし本作の場合は店長が、あきらの好きが「人間的に好き」から「異性として好き」と気付いた時点でブレーキがかかるようになっています。
具体的には、漫画原作とアニメで同じシーンがあるのかは分かりませんが、映画では店長が淫行を報じるニュースを見てハッとするシーンがあります。
なのでこのお話はそっちの方へいかないんだと安心して見ることができました。
『ナラタージュ』では葉山先生が卒業式直後に教え子にキスしますし、『ママレード・ボーイ』では教師が図書室で生徒にキスしてて、理性的な大人の存在というものが皆無でしたので、それだけで本作は素晴らしいと思いました。
店長を見てて思い出したのは『アウトレイジ ビヨンド』の大友です。
出所した大友に張会長が、大友の世話をするように女性を宛がってくれるんですが、大友は下のように言うんですよね。
「悪いけどよぉ、帰ってくんねえか」
「俺、そんな気ないぞぉ」
これが理性ある大人(男)ってもんでしょう。
ただ、あきらの思いも無下には出来ません。
本作の場合、あきらの真っ直ぐな思いを店長がどう往なすかなんですが、これがまた上手かったです。
冴えないファミレス店長と思われた近藤には、読書好きで作家を目指してた過去があります。
なのであきらにかける言葉が的確です。
「自分で決めたならいいけど、立ち止まってるだけならそれは自分で諦めようとしてるんじゃないかな」
予告編を見てた時は、てっきりアキレス腱断裂して競技復帰が叶わないのかな?と思ってたんですが、そうでは無かったんですね。
ちょうど「スラムダンク」で怪我で挫折して荒れてしまった三井寿みたいな感じで、エースだった者の挫折といいましょうか。
だから店長の言葉はスラムダンクの安西先生の言葉のように刺さってきます。
陸上部で監督の存在が描かれないのもポイントだと思います。
漫画原作は全10巻あるようなので、映画には全部詰め込めないでしょうが、この作品は登場人物たちの台詞がいいですね。
原作の良さなんだと思いますが、それが映画内でも生きていて、だからといって台詞で語られ過ぎることもなく、適度に余白があって叙情的でよかったと思いました。
キャスト陣ではあきら役の小松菜奈さんがよかったです。
黙ってると「睨んでる」とか「怒ってる」ように見られる人いますが、その雰囲気がよく出ていました。
また本作はわりと陸上スポ根モノ要素もあったので、長身でスレンダーな小松さんの短距離選手は合ってました。
あきらの母親役は吉田羊さんだったんですが、乳酸菌ショコラやWOWOWのCMでよく共演してますよね。
このCMは『キャロル』を観た1年後くらいから放送されたんですが、この2人の関係性がよく分からなくてキャロル的関係なのかな?と思ったんですが、本作では母娘という関係でした。
近藤店長役の大泉洋さんもよかったです。
原作者の眉月さんによると「やまとなでしこ」の堤真一さんのイメージで書いたそうなんですが、それだとカッコよくなり過ぎてしまうので、大泉さんでよかったと思います。
漫画『恋は雨上がりのように』眉月じゅんインタビュー。「漫画というものの楽しさを伝えられる作品になれば」 【アニメ・実写映画化記念】 [T-SITE LIFESTYLE]
また、店長の大学時代の親友で作家として成功してる九条ちひろ役を戸次重幸さんにすることによって、漫画の中の青春とTEAM NACSの青春がリンクして相乗効果が生まれたのもキャスティングの妙だと思いました。
(もし店長役を堤さんにしてたら九条役は古田新太さんかな?)
あとは単純にファミレス描写がよかったです。
ファミレスでのバイトはちょうど加瀬なんかと同じ年齢で楽しかったので、その頃の気持が蘇ってきました。
あきらが出すシフトのメモとか、休憩室に貼ってあるシフト表の店長の欄が9時-21時とかあるあるでした(笑)
あと飲食店バイトでは必須と言っていいまかないです。
ファミレスでは従食と呼ぶと思いますが、あきらがなぜ毎回ホットサンドイッチだったのかは謎です(笑)
自分は従食ではパスタばっかり食べてました。
上の原作者のインタビューにあるように「恋愛漫画として描いてない」というのは本作を観てても感じました。
本作は青春の甘酸っぱさを喚起させてくれる作品で、日大アメフト問題などを見ても分かるように、正しく導いてくれる大人が少なくなった今、一服の清涼剤のような気持のいい作品になってると思います。
幸いにしてアニメ版はアマゾンプライムビデオで全話見れるようなので見ようと思います。
激しくおススメです。
鑑賞データ
新宿ピカデリー SMTメンバーズ割引クーポン 1200円
2018年 89作品目 累計80800円 1作品単価908円
コメント
観に行こうかずっと迷っていてレビュー参考にして行ってみました。
良かったです!
漫画原作でこうも違うとは‼︎
わたるさん、コメントありがとうございます。
拙ブログを参考に観に行っていただけて嬉しいです。
公開からそろそろ1か月が経とうとしていますが、上映回数こそ減ってるものの公開館数はそれほど減ってないので健闘してるのではないかと思います。