2018年劇場鑑賞198作品の中からのベストテンです。 今年も絞り切れず邦画と洋画分けてあります。
邦画(87作品)
1位:寝ても覚めても(監督:濱口竜介)
2位:恋は雨上がりのように(監督:永井聡)
3位:祈りの幕が下りる時(監督:福澤克雄)
4位:来る(監督:中島哲也)
(感想まだ未投稿)
5位:孤狼の血(監督:白石和彌)
6位:娼年(監督:三浦大輔)
7位:センセイ君主(監督:月川翔)
8位:累 -かさね-(監督:佐藤祐市)
9位:犬猿(監督:吉田恵輔)
10位:星くず兄弟の新たな伝説(監督:手塚眞)
今年の邦画は『万引き家族』のカンヌパルムドール受賞とか、インディーズ映画『カメラを止めるな!』の邦画では前例の無いヒットの仕方とか明るい話題もありましたが、個人的な印象としては、製作委員会方式で最低でも興収10億円台は見込んで作られたであろう作品が悉くコケて、全体としては昨年に引き続き低調だった気がします。
まだ分からないですが2007年以来に邦画の興収を洋画が上回る気がするんですが、そんな2018年の邦画のマイベストテンは、1位が圧倒的に抜けてて、2位~5位が横並び、6位~10位がその次の横並びという感じです。
1位の『寝ても覚めても』は『わたしは、ダニエル・ブレイク』の二番煎じ的だった『万引き家族』より個人的にはパルムドールをあげたい作品で、濱口監督の演出メソッドが別格官幣社というくらい素晴らしく、小津作品にも通じるものを感じました。
2位の『恋は雨上がりのように』は山口達也パイセンの事件で公開タイミングとしては最悪で興収も約6.7億円と振るわなかったんですけど、昨年『帝一の國』をヒットさせた永井聡監督の手腕は確かで、大泉洋さんと小松菜奈さんの両主演の演技も素晴らしかったです。
大泉洋さんは『こんな夜更けにバナナかよ』、小松菜奈さんは『来る』が公開中ですがこちらの演技もかなりいいです。
3位の『祈りの幕が下りる時』は、後からネットフリックスで『砂の器』(アマゾンプライムでも見れます)を見直して、ここまでそっくりだったのかと驚いたんですけど、砂の器でモヤっとした動機の部分が上手く改変されていて、更に一捻り二捻りあって面白かったです。
4位の『来る』は感想まだ書けてないんですけど面白かったです。
映画館で特報的な予告を最初に見たときは、今年見た予告の中ではインパクト最大でかなり面白そうと思いました。
ただ公開が近づいてきて長いバージョンを目にしたら「そうでもないかな?」と思えてきて、ザキヤマさんのCMで完全に戦意喪失しました。
でも結果的には最初に特報を見たときの期待に応えてくれました。
「ジャパニーズ・コクソン」「除霊版シン・ゴジラ」の声は言い得て妙で、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』的なパワフルさもあって面白かったです。
エンドロールがロールしないエンドクレジットで非常に短かったんですが、きっと『シークレット・オブ・モンスター』を意識していると思います。
5位の『孤狼の血』も予告編を初めて見たときから楽しみしていた作品で、その期待に応えてくれました。
興収が10億いかず思ったよりヒットしませんでしたが、続編の製作が決定してよかったです。
6位の『娼年』はR18+作品を全国90館弱で公開するというチャレンジングな試みで、オープンしたばかりのTOHOシネマズ日比谷の大スクリーンで鑑賞するという面白い体験もしました。
公開時から「海外の映画祭に持っていったら面白いんじゃないかな」と思いましたが、今年公開された『素敵なダイナマイトスキャンダル』や『止められるか、俺たちを』で1970年代や若松孝二監督に触れて大島渚監督を思い出すと、70年代に『愛のコリーダ』とか本当に藤竜也さんが本番する映画作ってカンヌで上映しちゃったりして、「60年代に人類は月面着陸出来たのに何で今出来ないんだろ?」的なことを思って、改めて凄いことやってたなぁと思いました。
7位の『センセイ君主』は今年の邦画で一番笑いました。
洋画では公開中の『アイ・フィール・プリティ!』が一番笑いましたが、そちらはアメリカ版渡辺直美と言われるコメディエンヌのエイミー・シューマー主演ですが、本作はまだ新人と言っていい女優の浜辺美波(そういえば名前が渡辺直美さんに似てますね)さん主演で、そのポテンシャルの高さは恐るべしでした。
8位の『累 -かさね-』は漫画原作ながら、土屋太鳳さんと芳根京子さんの演技力の高さを最大限に引き出した良作でした。
9位の『犬猿』はやっぱり吉田恵輔監督のオリジナル脚本は面白いですね。
『ハッピーアワー』での濱口演出に近くて、脚本や台詞が演者に当て書きされてる部分があるのでリアリティがあって観てる方も身につまされます。
ニッチェの江上敬子さんと、グラドルの筧美和子さんのキャスティングが見事でした。
10位の『星くず兄弟の新たな伝説』はメタ的な構造とかを含めて、とにかく自由で楽しそうにやってて、昔はわりとあったと思うんですが、最近では無い毛色の映画で面白かったです。
ベストテン以下では昨年末の公開の『花筐/HANAGATAMI』、それから『カメラを止めるな!』と『万引き家族』も当然面白かったです。
洋画(111作品)
1位:しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス(監督:アシュリング・ウォルシュ)
2位:ブリグズビー・ベア(監督:デイヴ・マッカリー)
3位:グレイテスト・ショーマン(監督:マイケル・グレイシー)
4位:ヘレディタリー/継承(監督:アリ・アスター)
(感想まだ未投稿)
5位:パディントン2(監督:ポール・キング)
6位:君の名前で僕を呼んで(監督:ルカ・グァダニーノ)
7位:女は二度決断する(監督:ファティ・アキン)
8位:ワンダー 君は太陽(監督:スティーブン・チョボスキー)
9位:聖なる鹿殺し(監督:ヨルゴス・ランティモス)
10位:バトル・オブ・ザ・セクシーズ(監督:ジョナサン・デイトン&ヴァレリー・ファリス)
2017年に引き続き今年の洋画も豊作で絞るのに苦労しましたが、1位~4位までは順位通りで5位以下はほぼ横並びって感じです。
1位の『モード・ルイス』はなんでしょう、昨年の『ヒトラーへの285枚の葉書』みたいに、名もない夫婦の質素で慎ましやかな暮らしぶりを観てると心打たれて、完全に個人的な琴線ゾーンに入ってます(笑)
絵が素敵でカナダ大使館まで見に行っちゃいました。
2位の『ブリグズビー・ベア』は1位同様、鑑賞前に予告編も見たこと無く全くノーマークでしたが、設定の奇抜さから映画愛に繋がっていく物語が見事でしかもインディーズ映画ときてるんですから驚きました。
ソニー・ピクチャーズ・クラシックスが製作費を上回る500万ドルで配給権を獲得して、アメリカ版『カメラを止めるな!』とも言えると思いますが、カメ止めほどヒットしなかったのが不思議です。
3位は『グレイテスト・ショーマン』
感想はまだ未投稿ですが今年は同じタイプの映画で『ボヘミアン・ラプソディー』と『アリー/ スター誕生』があり、3作とも素晴らしかったんですが、クイーンは実話で楽曲を知ってる部分があるのと、アリーは『スタア誕生』のリメイクなので、グレイテスト・ショーマンを選びました。
とにかくレベッカ・ファーガソン(実際にはレベッカじゃないですけど)が歌う「ネバーイナフ」が聴いてるだけで涙出るタイプの曲で、ブリテンズ・ゴット・タレントでポール・ポッツが歌う「誰も寝てはならぬ」と同じでやられました。
4位の『ヘレディタリー/継承』は昨年末か今年初めに炎に包まれる短めの予告を見て、かなり怖いと評判になってるのは知ってました。
ただ今年公開されて同じように評判になっていてアメリカでは興収的にもヒットした『クワイエット・プレイス』と『死霊館のシスター』が案外だったので、あまり期待していませんでした。
タイトルもヘレディタリーという聞きなれない単語なので、公開されてもスルーするところでしたが、これは凄くて「21世紀のシャイニング」と言っていいと思います。
ジャック・ニコルソンが迷路のミニチュアを覗くシーンがありますが、本作の冒頭と同じですよね。
5位は『パディントン2』
子供から大人まで楽しめるエンタメ作品でありながらメッセージ性も高くて素晴らしかったんですが、このシリーズ、日本ではいまいちヒットしなくて残念です。
2016年の『パディントン』も☆5点付けてるんですが、2016年は『ズートピア』もあったのでベストテンには入れませんでしたが、両作とも見ていただきたいです。
6位の『君の名前で僕を呼んで』は2016年のマイ洋画ベストテン2位の『キャロル』に匹敵するラストショットで、ティモシー・シャラメがとにかく素晴らしかったです。
7位は『女は二度決断する』
テロ事件から始まり、中盤以降は重厚な法廷ドラマとなるので、そのまま進むのかと思いきや意外なラストにやられました。
カンヌで女優賞を受賞したダイアン・クルーガーの演技が見事でした。
8位は『ワンダー 君は太陽』
難病モノのお涙頂戴劇かと思ったら、複数の視点になる構成が見事で、誰の立場にも寄り添える優しい映画でした。
9位の『聖なる鹿殺し』は、言わんとしてるテーマなどは分かりませんでしたが、スクリーンの画面に惹きつけられる魅力がありました。
終始、不穏さを醸し出しているバリー・コーガンの演技が見事でした。
10位の『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』は、下にあげた作品と入れ替えてもよかったんですけど、この実話を知らなかったというのと、エマ・ストーンとスティーヴ・カレルが好きなので入れた感じです。
ベストテン以下では『キングスマン:ゴールデン・サークル』『マンハント』『BPM ビート・パー・ミニット』『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』『さよなら、僕のマンハッタン』『犬ヶ島』『判決、ふたつの希望』『ボヘミアン・ラプソディ』『パッドマン 5億人の女性を救った男』『アリー/スター誕生』などもよかったです。
2019年の公開作も楽しみなんですが、見たい作品が増えるばっかりで、感想を書く時間が取れなくて投稿が追い付かないのが悩みの種です(笑)
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