パディントン2 評価と感想/不寛容な社会にパディントンの優しさが染み渡る

パディントン2
広告

排外主義とブレグジットを超えて ☆5点

2017年に亡くなったイギリスの作家マイケル・ボンドの児童文学『くまのパディントン』の実写映画で世界興収2億6千万ドル超のヒットとなった第一作の続編。監督は引き続きポール・キング、主役パディントンの声にベン・ウィショー、ゲスト悪役にヒュー・グラント

クマのパディントン
マイケル ボンド
¥ 1,296(2018/11/21 18:51時点)

予告編

映画『パディントン2』予告篇(60秒)

映画データ

パディントン2 (2017) - シネマトゥデイ
マイケル・ボンドの児童文学を実写映画化した『パディントン』の続編。ペルーの密林からイギリスに渡って暮らしていたクマのパディントンが、ある絵本をめぐる事件に遭遇する。
パディントン2|映画情報のぴあ映画生活
『パディントン2』は2017年の映画。『パディントン2』に対するみんなの評価やクチコミ情報、映画館の上映スケジュール、フォトギャラリーや動画クリップなどを紹介しています。

本作は2018年1月19日(金)公開で、全国317館での公開です。
イギリス・フランスの合作映画でスタジオカナルの配給です。

日本での配給は前作に引き続きキノフィルムズで、前作268館の公開より50館ほど増えました。
前作はイギリスで公開されてから日本で公開されるまで1年以上空いたのですが、本作は2か月ほど遅れての公開です。

監督はポール・キング
イギリスでテレビシリーズの演出を中心に手掛けてきた方で、前作『パディントン』を撮る前の長編映画は『Bunny and the Bull』という日本未公開のコメディ映画のみです。
監督を変えなかったのはとてもいい判断だったと思います。

実写版「パディントン」続編に前作の功労者ポール・キング監督が復帰 : 映画ニュース - 映画.com
英作家マイケル・ボンドの児童小説の人気キャラクター「くまのパディントン」を実写映画化した「パディントン」の続編に、前作のポール・キング監督の復帰が決定したと米Deadlineが報じた。キング監督は続編の脚本も手がける。「パディントン」は、南

主演は声の出演でベン・ウィショー
近作は『パディントン(声の出演)』『007 スペクター』『リリーのすべて』『未来を花束にして』『王様のためのホログラム』を観てます。

共演にヒュー・グラント
近作は『Re:LIFE~リライフ~』『コードネーム U.N.C.L.E.』『ブリジット・ジョーンズの日記 ダメな私の最後のモテ期(写真のみ)』『マダム・フローレンス!』を観てます。

共演にブレンダン・グリーソン
近作は『オール・ユー・ニード・イズ・キル』『未来を花束にして』『アサシン クリード』『夜に生きる』『ヒトラーへの285枚の葉書』を観てます。

他に共演と配役は以下の通りです。

パディントン: (声の出演)ベン・ウィショー
ブラウンさん: ヒュー・ボネヴィル
ブラウン夫人: サリー・ホーキンス
ジュディ: マデリン・ハリス
ジョナサン: サミュエル・ジョスリン
バードさん: ジュリー・ウォルターズ
グルーバーさん: ジム・ブロードベント
カリーさん: ピーター・カパルディ
ナックルズ: ブレンダン・グリーソン
フェニックス・ブキャナン: ヒュー・グラント

あらすじ

ロンドンのウィンザー・ガーデンで、ブラウン家の“家族”として、幸せに暮らすパディントン(声:ベン・ウィショー)。
誰に対しても礼儀正しく親切なパディントンは、たくさんの友達に囲まれていた。
もうすぐ、ペルーでひとりぼっちだったパディントンを育て、ロンドンへと送り出してくれたルーシーおばさんの100歳の誕生日。
完ぺきなプレゼントを探していたパディントンは、グルーバーさん(ジム・ブロードベント)のアンティークショップで、ワンダフル! な飛び出す絵本を見つける。
だが、世界にたった1冊しかないその絵本は、とても高価だ。
パディントンは、働いてお金を貯めようと決意する。

まずは、理髪店の雑用係を始めるパディントンだったが、店主の留守の間に訪れた客の髪をバリカンでごっそりと刈ってしまったのがバレて即刻クビに!
気を取り直して、ブラウン家の人々と今日からオープンする移動遊園地へ出かけると、昔は人気俳優だったが、今は落ち目のブキャナン(ヒュー・グラント)が司会を務めていた。
開会宣言の役に指名されたパディントンは、ブキャナンからかなえたい夢は何かと聞かれ、飛び出す絵本を手に入れることだと答える。
するとなぜか、ブキャナンの目がギラリと光るのだった。

翌日から、窓ふきの仕事を始めるパディントン。
最初は失敗続きだったが、徐々に腕を上げ、貯金箱代わりのボトルに着々とコインが貯まっていく。
ある夜、帰り道にグルーバーさんの店のウインドウを覗き、「もうすぐだよ」と瞳を輝かせていたその時、何者かが窓から侵入し、飛び出す絵本を盗んで逃げて行く。
必死で追いかけるが、男は跡形もなく消え失せ、なんと駆け付けた警官にパディントンが逮捕されてしまった!

実は絵本には、驚くべき秘密が隠されていた。
それを知って長年探し求めていたブキャナンの仕業なのだが、舞台衣装とメイクで変装していたため、パディントンの証言による似顔絵では誰だかわからない。
裁判で有罪を言い渡されたパディントンは、すっかりしょげるが、刑務所一凶暴な囚人ナックルズ(ブレンダン・グリーソン)のハートをつかみ、食堂のメニュー改革を成し遂げて人気者となり、意外にも楽しいプリズンライフを送り始める。

だが、ルーシーおばさんの誕生日までには、何としても無実を証明しなければならない。
果たして、パディントンはブラウン家の人々と共に、絵本の秘密と真犯人にたどり着くことが出来るのか──?

公式サイトより引用)

ネタバレ感想

前作『パディントン』は、悪役にニコール・キッドマンを迎え、トム・クルーズの元妻に『ミッション:インポッシブル』のパロディをやらせるとか(笑)かなり面白かったんですが、本作は個人的には前作を超えてきましたね。

パディントン 評価と感想/さすがハリーポッター製作チーム面白い
紳士ですが結構やらかします ☆5点 予告編 映画データ あらすじ イギリス・ロンドン。真っ赤な帽子を被った小さな紳士が、はるばるペルーから家を探しにやってきた。大好きなマーマレードだけを、スーツケースいっぱいに詰め込...

不覚にもラストで涙してしまいまして(笑)パディントンやブラウン家、周囲に住む人々の優しさが心に染み渡りました。

 

本作でのパディントンの目的は、前作で老クマホームに入ったルーシー叔母さんの100歳の誕生日に素敵なプレゼントを贈ることです。
前作でも協力してくれたグルーバーさんの骨董品店に行くと素敵な絵本を見つけます。
それは飛び出す絵本で、ロンドン各地の名所が再現されたものでした。
ロンドンに来ることが叶わなかったルーシー叔母さんに最適なプレゼントを見つけたパディントンは購入しようとしますが、その絵本は古い一点もので高価なものでした。
持ち合わせのお金では足りないパディントンが働いてお金を貯めようと決意するところが映画の導入部です。

そこまでの導入部ではウィンザー・ガーデンで暮らす人々とパディントンとの交流も描かれます。
オートロックのドアを鍵を持たずに出てくる人に確認してあげたり、ゴミ収集車の仕事をしながら資格試験を目指す人の勉強相手になってあげたりと、周囲の人から愛され信頼されているのが分かります。
前作から引き続きの排外主義のカリーさんを除いては。

理髪店の留守番のつもりで引き受けた仕事が話の流れからミスを犯すと、自身で近所を営業して回りながら窓ふきの仕事を始めます。
当初は失敗続きだったものの、失敗から自分の体で洗うことを思いつくと効率よく磨けるようになり、お金がどんどん貯まります。

動物による窓ふきはボディ洗いで『SING/シング』と同じなので笑ってしまいます。

『SING/シング』本編映像/カーウォッシュ

また、パディントンによる窓ふきは、塞ぎ込みがちだった近所の大佐の心も晴れやかにします。

移動遊園地で飛び出す絵本のことを話すと、かねてから本を探していたブキャナンが目を光らせます。
ブキャナンはウィンザー・ガーデンの一画に暮らす俳優で一昔前のテレビスターでしたが、現在はペットフードのCMで犬に扮してドッグフードを食べるという役で落ち目でした。
ただ豪華な暮らしぶりは変えられず、周囲の人からは裕福と思われていましたが内情は火の車でした。

ブキャナンはその絵本とは祖父の代から因縁があって、その絵本が持つ秘密を知っていました。
サーカスのマジシャンだった祖父は、同じくサーカスの花形で裕福だった女性に嫉妬し、貯め込んだ宝飾品を奪おうと考え、ロープに細工をして殺してしまいます。
しかし、宝飾品は見つからず、見つかったのは絵本だけでした。
絵本が宝飾品の在処を示した地図であると睨んだものの、結局お宝は見つけられず絵本の行方も分からなくなっていたのでした。

祖父の日記からそのことを知ったブキャナンは借金返済のため、宝飾品目的で絵本を奪うと、その変装技術でパディントンの追跡を巻きます。
現場に居たところを警察官に目撃されていたパディントンが逮捕されると裁判が開かれますが、パディントンが証言する犯人の目撃証言が無く窮地に追い込まれます。
運の悪いことに裁判官はパディントンが理髪店でミスをした人物で、懲役10年を言い渡されるのでした。
刑務所に収監されたパディントンでしたが、ブラウン家や街の人々は協力して犯人の目撃情報を探します。

刑務所でパディントンは洗濯係になるんですけど、洗濯機に赤色の靴下を入れてしまったため、囚人服がピンクになってしまいます。
そのため刑務所のくだりは、ウェス・アンダーソン監督の『グランド・ブダペスト・ホテル』みたいな雰囲気でほっこりします。

グランド・ブダペスト・ホテル (字幕版)
ウィレム・デフォー
¥ 300(2018/11/21 18:51時点)

刑務所では囚人一凶暴で十年来食堂のシェフとして不味い料理を作り続けるナックルズに、誰も言えなかったレシピの改善を提案すると、パディントンが持っていたマーマレードサンドを偶然口にしたことから意気投合し、楽しい刑務所生活を送れるようなります。

パディントンは月1回許可されてるブラウン家との面会を楽しみにしてます。
ブラウン家に囚人仲間が出来たことを報告し、ブラウン家からは目撃情報を探してる旨が伝えられます。

パディントンの無実を信じたナックルズたちは脱獄して、無実の証明に協力すると申し出ますが、ブラウン家を信じているパディントンは断ります。

一方、ブラウン家では全く掴めない目撃情報に疑問を持ちます。
グルーバーさんと現場検証をすると、犯人は他に金目のものがあるのに、他の物には目もくれず絵本を狙ったことが分かります。
絵本に秘密があると睨んだブラウン家はグルーバーさんからその絵本の由来を聞くと、その絵本の作者の孫で移動遊園地で占いをしている女性に辿り着きます。
その女性に聞くと、その絵本はどうやら宝の在処を示したものであるらしいことを聞かされ、絵本に載っているロンドンの各所を調べると器物破損などの小さな事件が起きてることが分かります。
その現場では怪しい修道女などが目撃されていて、似顔絵を作成していくうちに、ふとブキャナンのことが頭に浮かぶのでした。

ブキャナンが俳優で変装が得意だと考えたブラウン家は、ブキャナンの家に忍び込みます。
絵本は見つけられませんでしたが、彼が借金苦であるのを知り、暗号を解いたと思われるメモと屋根裏部屋に変装で使ったと思われる衣装を見つけます。
ブキャナンが犯人であるとの目星が付いたブラウン家はパディントンに伝えに行こうとしますが、推理に夢中になるあまり月一回の面会時間に間に合いませんでした。

意気消沈したパディントンは断っていた脱獄を決行するとナックルズたちと外の世界に出ますが、ナックルズは用意した水上飛行機に乗って海外に行ってマーマレードを作ろうと言います。
ブラウン家もいつかはパディントンを忘れると考えていたナックルズの優しさでしたが、パディントンはロンドンに残り無実を証明すると言って別れます。

パディントンはブラウン家に迷惑が掛かってはいけないと、脱獄したことを告げるために公衆電話から電話しますが、留守番電話でした。
留守番電話にメッセージを入れて公衆電話を離れようとすると折り返し電話がかかってきて出るとブラウン家でした。

ブラウン家から犯人がブキャナンだと知らされ、暗号を解いたメモを読み上げられると、絵本を何度も見ていたパディントンは移動遊園地にあった電子オルガンに関することだと気づきます。
移動遊園地は閉園し、次の目的地に行くため貨物列車に乗せられ、もうすぐ出発することが分かると、ブラウン家とパディントンは駅で落ち合うことになります。

ゴミ収集車の人の協力で貨物列車の出発に間に合ったパディントンは列車に飛び乗りますが、ブラウン家はギリギリ間に合いませんでした。
しかし、鉄道オタクであるブラウン家の息子ジョナサンが豪華列車を運転し後を追うとブキャナンを追い詰めます。

ブラウン家の活躍でブキャナンを捕まえますが、ブキャナンによって切り離されたパディントンが乗った貨物車両は川に沈んでしまいます。
ブラウン夫人が川に飛び込んで救出に向かいますが、チェーンがかかった扉は僅かに開くのみでした。

するとそこへ水上飛行機に乗っていたナックルズたちが引き返して救出に加わります。
4人がかりで扉を引くとチェーンが外れパディントンを無事救出するのでした。

真犯人ブキャナンの逮捕によりパディントンは無罪となりますが、ブラウン家に戻ったパディントンは3日間意識不明でした。
ルーシー叔母さんの誕生日に目を覚ましたパディントンは、プレゼントを贈れなかったことを悔やみますが、皆は代わりに素敵なプレゼントを贈ったと言います。
しかし、ロンドンの街並みの飛び出す絵本に勝るプレゼントは無いと考えていたパディントンは元気が出ません。

すると皆はパディントンを玄関に連れて行き扉を開けます。
そこには大佐の飛行機によって連れられてきたルーシー叔母さんが立っていました。
久しぶりの再会に抱きしめ合って涙を流して喜ぶ2人を皆が祝福すると、オラも貰い泣きして映画は終わります。

 

いやー、本作は凄くよかったですね。
前半に示された細かい伏線が、ラスト、パディントンを助けるために見事に回収されていく素晴らしい脚本でした。

本作では冒頭、川に流されてきた小さなパディントンをルーシー叔母さんとパストゥーゾ叔父さんが助ける出会いのシーンが描かれるので、ラストでの再会がより効いてきました。

実は前作を観たときは、派手なアクションやドタバタに目を奪われて、パディントンがイギリスの移民問題を扱った作品だとは気付かなかった(差別的なことは扱ってると思いましたが)のですが、本作ではそれがより顕著に描かれていて排外主義からブレグジットに至ったイギリス、右傾化する世界の不寛容さを、パディントンの寛容さが包み込んでる気がしました。

また、寛容なのはパディントンだけでなく、ブラウン家をはじめ近隣の人々も寛容ですし、裁判官をたしなめる奥さんなど、ちょっとしたシーンでも描かれます。

ポピュリズムによるものなのか、ギスギスしたニュースばかりが報道される昨今、不寛容だけが世界を覆ってるような気にさせられますが、気づきにくいだけで寛容さは身近にあると思います。

身近にある寛容さに目を向けて、それを大切にしていけば、パディントンの世界のように緩やかに社会を変えていけるかもしれないと思わせてくれる映画で、子供から大人まで楽しめる作品となっているので是非多くの方に見ていただきたい映画です。

鑑賞データ

TOHOシネマズ上野 1か月フリーパスポート 0円
2018年 15作品目 累計6700円 1作品単価447円

コメント