忍びの国 評価と感想/日本版デッドプールの趣

忍びの国 評価と感想
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金が全て。風が吹けば桶屋が儲かる ☆4.5点

『のぼうの城』の和田竜による天正伊賀の乱を題材とした同名小説の映画化。
監督は『映画 怪物くん』や『殿、利息でござる!』の中村義洋
主演は『映画 怪物くん』でも主演した嵐の大野智

予告編

「忍びの国」予告 – YouTube

映画データ

忍びの国 (2017):作品情報|シネマトゥデイ
映画『忍びの国』のあらすじ・キャスト・評価など作品情報:「のぼうの城」「村上海賊の娘」などの作家・和田竜の小説を実写化したアクション時代劇。
http://cinema.pia.co.jp/title/170597/

ファーストデーということで、何か無いかなと探していたところ、日劇スクリーン3、夜の回の上映がわりと席に余裕があったので鑑賞しました。
トータルでは6割くらいの入りでしたかね。
女性客の方が多かったです。

上の予告編より短い予告編は劇場でよく目にしていて、石原さとみさんの奥さんのやつがインパクトあって面白そうだなと思ってたんですけど、公開が近づくにつれて長いバージョンの予告を目にするようになると、なんか最初のイメージと違ってイマイチな気がしたんですけど、結果的には面白くて観に行ってよかったです。

監督は中村義洋さん
監督の作品は最近のはわりと見てて『殿、利息でござる!』「予告犯』『白ゆき姫殺人事件』『ナゾトキネマ マダム・マーマレードの異常な謎 出題編/解答編』『みなさん、さようなら』は映画館で観てるので、近年では一番見てる監督さんかもしれません。

殿、利息でござる! 評価と感想/無私の日本人の美徳
原作「無私の日本人」の映画化 ☆4.5点 予告編 映画データ あらすじ 金欠の仙台藩は百姓町人へ容赦なく重税を課し、破産と夜逃げが相次いでいた。 さびれ果てた小さな宿場町・吉岡宿で、故郷の将来を心配する十三郎(阿部サダヲ)は、知恵者の篤平治...

元々は『アヒルと鴨のコインロッカー』をテレビでやってたのを見て知った監督なんですけど、前作と今作といいですね。

主演に嵐の大野智さん
映画出演作は初めて見ました。
ドラマは「鍵のかかった部屋」を全話、「怪物くん」と「世界一難しい恋」を途中で脱落しています。

共演に石原さとみさん
去年の『シン・ゴジラ』とか『カラスの親指』を映画館で観てます。

カラスの親指 評価と感想/新人の能年玲奈さんが素晴らしい
シロウトとクロウト ☆5点 予告編 映画データ あらすじ 悲しい過去を背負ったままサギ師になったタケ(阿部寛)と、成り行きでコンビを組むことになった新米サギ師のテツ(村上ショージ)。そんな2人の元に、ある日ひょんなことから河合やひろ(石原さ...

共演に鈴木亮平さん
『TOKYO TRIBE』のメラ役で一気にファンになりました。

TOKYO TRIBE 評価と感想/一気に鈴木亮平さんのファンになっちゃいました
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ホットロード』『予告犯』『俺物語!!』『HK 変態仮面 アブノーマル・クライシス』とかを映画館で観てます。

共演に伊勢谷友介さん
るろうに剣心 京都大火編 / 伝説の最期編』『ジョーカー・ゲーム』『新宿スワン』『劇場版 MOZU』『新宿スワンII』『3月のライオン 後編』とかを映画館で観てます。

他に共演と配役は以下の通りです。

無門:大野智(嵐)
お国:石原さとみ
日置大膳:伊勢谷友介
下山平兵衛:鈴木亮平
織田信雄:知念侑李(Hey! Say! JUMP)
百地三太夫:立川談春
北畠具教:國村隼
長野左京亮:マキタスポーツ
北畠凛:平祐奈
下山次郎兵衛:満島真之介
下山甲斐:でんでん
音羽の半六:きたろう

あらすじ

時は戦国。
魔王・織田信長は諸国を次々と滅ぼし、勢力を拡大していた。
次に狙う伊勢・北畠(きたばたけ)家には次男の信雄(のぶかつ)を送り、日置大膳(へきだいぜん)、長野左京亮(ながのさきょうのすけ)らの重臣ともども、支配下におくことに成功した。
特に日置大膳はその武勇が織田家に轟くほどの猛者で、織田の軍勢はさらに盤石なものとなった。
今や織田家の天下統一は目前であった。
しかし、その織田信長でさえ攻め入らなかった国がひとつだけあった。
それは伊勢の隣国・伊賀。伊賀に棲(す)むのは人を人とも思わぬ人でなしの忍者衆で、“虎狼(ころう)の族(やから)”と呼ばれて恐れられていた。
そんな忍者のひとり、無門(むもん)は、“どんな堅牢な門でも彼の前では意味をなさない”と形容されるほどの凄腕の持ち主だが、普段は無類の怠け者で、女房のお国(くに)の尻に敷かれる毎日を送っていた。
一方、腕は無門に匹敵する伊賀忍者の下山平兵衛(しもやまへいべえ)は、家族の命でさえも粗末に扱う伊賀の考えに疑念が生じ、故郷の伊賀こそ滅亡すべきと考えるようになっていた。
そしてある日、ついに織田軍が伊賀討伐の兵を挙げる。
下山平兵衛が祖国を裏切り、伊賀への手引きを行ったのだった。
最強織田軍 対 伊賀忍び軍
圧倒的な戦力で伊賀に攻め込む織田の軍勢。
伊賀は武力・兵力では到底かなうはずもない。
しかし、無門率いる忍びの軍団は誰も想像できない秘策を用意して織田軍に対抗するのだった!

(公式サイトhttp://www.shinobinokuni.jp/aboutthemovie/story.htmlより引用)

ネタバレ感想

映画は冒頭、百地三太夫の軍団と下山甲斐の軍団が同じ伊賀忍者同士なのに戦うという、理解し辛い展開で始まるのですが、物語が段々進んでいくと、これこそが伊賀忍者が「虎狼の族」と呼ばれる所以だというのが分かります。

ウィキペディアで伊賀忍者の項目を見ると
「甲賀忍者が1人の主君に忠義を尽くすのに対し、伊賀忍者は金銭による契約以上の関わりを雇い主との間に持たない点であるとされる。伊賀郷士はしばしば雇い主が敵同士の場合でも、依頼があれば双方に忍者を派遣する実例をも持つ。そのため他の郷の忍者よりも一層、たとえ仲間であろうと即座に処断できるような厳酷な精神も求められた。」
とあり、お金が全ての価値基準で、例え伊賀忍者同士であっても、敵味方で雇われれば殺し合いをするということで、冒頭の展開となる訳です。

参考 伊賀流 – Wikipedia

百地三太夫に40文で下山次郎兵衛殺害の依頼を受けた無門は「川」と呼ばれる決闘方法で次郎兵衛と決着をつけることになります。

この「川」というのは、お互いが地面に足で線を引き、その中で戦うという接近戦で、線から出れば周りを取り囲む敵味方の仲間から押し戻されます。
負けは即ち死を意味することで、二本の線の間に倒れているのが川の字に見えることから、この名前が付けられています。
(海外だとお互いの手を縛ってナイフで戦うやつとかありますよね)

死ぬまで互いをナイフで刺し合う!? 絶対逃げられない“ヘレナ流決闘”とは?|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
昨年のアメリカ大統領選挙でも話題となった「アメリカとメキシコの国境問題」。そんな現代にも通じる国境問題をモチーフにした映画『ある決闘 -セントヘレナの掟-』が、6月10日(土)に公開される。

この「川」は古代ローマのコロッセオで行われた剣闘士の試合のように、戦いの最中であっても行われれば、伊賀忍者は大変熱狂します。

伊賀忍者一の使い手である無門は、次郎兵衛を全く寄せ付けることなく、圧倒的力の差で殺害するのでした。

この一連の描写、やってることは結構残酷で、これ以降も無門は圧倒的無双力を発揮して戦っていくのですが、戦闘シーンは残酷なんですけど、ふざけてるんですよね。
観てて『デッドプール』みたいだなと思ったんですけど、第四の壁を突破して観客に語りかけてくるところまでは無いんですが、カメラ目線のときがあったりと、それに近い表現が多々あります。

デッドプール 評価と感想/俺ちゃんの俺ちゃんによる俺ちゃんのための俺ちゃん
極私的ヒーロー 世界の平和は救いません  ☆4点 予告編 映画データ えっと、マーベル・シネマティック・ ユニバースの方には入ってこないんですね。 マーベル自体も疎いんですが、X-メンはさらに疎くて...。 正直、期待したほどでは無かったん...

これ知らなかったんですがWOWOWでは本作の公開記念に特集が組まれてて、その中に『デッドプール』入ってたんですね。


そんな無門ですが、ソクラテスのような恐妻家で、妻のお国に頭が上がらないのが大変面白いのです。
それには理由があって、無門が安芸の国で密偵に入った屋敷で見初めたお国に
「俺は伊賀忍者一の使い手だから稼ぎがいい。一生お前にお金で不自由させることはない」
と強引に連れ去って来たためでしたが、伊賀の国は不景気に喘いでいて約束した稼ぎを渡せていませんでした。

というのも、戦国時代といえども織田信長が勢力を拡大し国が安定してくると、乱世にはあった戦国諸大名からの依頼がめっきり減ってしまい稼ぎが少ないのでした。

この辺は軍事介入することで軍需産業を潤し景気を支えるアメリカみたいだなと思いましたが、映画内でも描かれていた「金が全て」という価値基準が侵食する現代に通ずるテーマだと思いました。

伊賀忍者は十二家評定衆という合議制をひいており、織田家には屈しないことで一致してましたが、いざ隣国の伊勢が織田の領地になり伊賀への進軍の機運が高まると、織田の傘下に下ることを決めます。

織田の傘下に下る旨を伝える使者として十二家評定衆の1人、下山甲斐の長男・下山平兵衛を向かわせますが、弟・次郎兵衛が殺されても何とも思わない父や、人の命を虫けら同然のように扱う伊賀の国に絶望を抱き裏切ります。
織田家に伊賀の情報を漏らし、進軍するように勧めるのでした。

しかし、織田信雄の家来になったばかりの日置大膳が、元の主君・北畠具教を討たされたことに納得しておらず、非協力的で進軍に消極的だったので織田軍は進軍をためらいます。

何とか伊賀を陥れたいと考える下山平兵衛は、以前、十二家評定衆が「伊賀国内に織田家が築城するということになったら困る」と言ってたのを思い出すと、協調関係を匂わし、築城に参加すれば高い手当が出るとお金で釣り、伊賀忍者を築城に参加させるのに成功します。

城が完成すると評定衆は織田家に城を明け渡します。
織田家はそこを足掛かりに伊賀を攻め落とそうと考えていましたが、評定衆は明け渡した途端、城を爆破させるのでした。

城を作ったのは賃金を得るためで、織田信雄を出し抜いたのでした。

すると怒った織田信雄が進軍しますが、それは評定衆の想定通りでした。

下山平兵衛の父・下山甲斐は次郎兵衛が殺されたことに素っ気無い態度を取ることで平兵衛の反抗心を煽り、裏切るよう術をかけていたのでした。
織田信雄が進軍してきても、信雄を恨んでいる日置大膳が進軍してこなければ勝算ありと踏んでいました。

また築城が困ると言ったのも平兵衛に聞かせるためで、単純に外貨を獲得する手段くらいにしか思っていませんでした。

連戦連勝の織田軍に勝てば、また伊賀の名が轟き、戦国諸大名から引く手あまたになるだろうと、「風が吹けば桶屋が儲かる」式に考えていたのでした。

一方の日置大膳も平兵衛が術にかけらていることを見抜き、評定衆が自身の不戦を想定しているのを知ると、進軍を決意するのでした。

物語を見てると、伊賀忍者のクズっぷりと評定衆の掴みどころの無さに戸惑うんですが、評定衆の掴みどころの無さはカモフラージュで、実際には何手先も読んでいて、この辺の描写は面白かったですね。
そして、評定衆の動きも「金が全て」というシンプルな行動原理に収束していたことに気付くのでした。

実際に織田軍が進軍してくると、評定衆の読みは外れ、日置大膳は進軍してくるし、味方の伊賀勢が半分も集まりません。

伊賀勢が集まらないのは織田と戦ってもお金にならないからで徹底しています。

無門もお金にならないので当然の如く逃げ出します。
織田信雄の真意を聞き出すべく寝込みを襲った際に、牢屋で出会った北畠具教の娘、北畠凛より織田信雄の首を取る報酬として渡された一万貫の価値がある小茄子という茶器を持っていたので、それを元にしてお国と京都で暮らそうと考えていました。

しかし、お国はそんな簡単に国を捨てるプライドもへったくれもない無門に愛想をつかし、残って戦うと言います。
お国に頭の上がらない無門は、信雄の首を取ったら5千貫、兜武将の首を取ったら数十貫と賞金を付けると、逃げ出していた仲間があっという間に戻ってくるのでした。

この後は、雑魚敵にはデッドプールばりの無双を見せる無門。
強敵、日置大膳との対決では、今まで戦闘の際は外したことが無かった鎖帷子を外し、ドラコンボールの亀仙人が甲羅を外したが如く暴れ回り、日置大膳をあと一歩のところまで追いつめるものの、織田信雄の反撃で邪魔されますが、結局、織田軍は退却し伊賀勢が勝利します。

織田信雄が放った矢で死んだと思われた無門ですが、当然のように死んでなく信雄が戻った伊勢の居城で兵士に扮し暗殺の機会を伺っていると、平兵衛が現れ「川」で決闘しろと言います。
自分が死んでも信雄、日置、長野の3人は手を出すなと約束させると、3人と無門が引き連れた仲間が見守る中、決闘が始まります。

今までの戦いはふざけてましたが、この戦いは真剣で平兵衛を殺すと、約束通り信雄には手を出さず命をいったん預けて伊賀の国に戻るのでした。

平兵衛との決闘で人間の心を取り戻した無門は、平兵衛でさえ虫けらのように操っていた十二人衆に怒りを覚え刃を向けると、一転して伊賀勢から狙われる立場になります。
三太夫が無門を討ち取れば一生年貢を免除すると言ったからですが、夫のピンチにお国は小茄子を割ると言って伊賀勢を脅しますが虎狼の族に通用するはずもなく毒の吹き矢の餌食になってしまいます。

伊賀忍者は毒の訓練を受けていたため耐性がありましたが、お国に耐性はなくみるみるうちに毒が回って弱っていきます。
無門の腕に抱かれながら、無門の本当の名前を教えて欲しいというお国でしたが、無門に名前はありませんでした。

無門は幼いころに伊賀忍者、暗殺者となるべく他の国から連れられてきて、自分の名前も知らないのでした。
それを聞いたお国は、初めて無門の悲しい生い立ちを知って「可哀そうに」と呟いて息を引き取るのでした。

悲しみにくれる無門をよそに、割れた小茄子に群がる虎狼の族に「お前らは人ではない」と言って、無門は伊賀を去っていきます。

エピローグは2年後に飛び、第二次天正伊賀の乱で伊賀は織田軍に滅ぼされますが、戦場では無門の姿を見たという噂が流れます。
日置大膳も織田軍の隊列の中に無門の声を聞きますが、姿は確認できませんでした。

織田軍に滅ぼされた伊賀の国に現れた無門は、かつてお国が忍者訓練の最中に助けた少年を連れて、京へ向かって物語は終わります。

 

お話としては虎狼の族だった無門が、人としての心の痛みを知り人間となる話で切ないです。

自分の不幸な生い立ちに蓋をするように、伊賀忍者一の使い手として余裕を見せてきた無門は、ヨユーと言っているデッドプールとまさに同じでした。

本作は、何といっても無門を演じる大野智さんの演技が素晴らしかったです。
戦闘時には相手をバカにしたような飄々とした演技ですが、一転してお国の前ですと全く頼りない恐妻家という雰囲気がよく出ていました。
そして人間の心を取り戻し、お国の死の悲しみにくれるところでは、それまでの演技とは一変してシリアスで大変見応えのある演技になっていると思います。

本作で惜しいなと思ったのは残酷描写ですね。
このタイプの映画には珍しく結構血が出てると思いましたが、虎狼の族の非人間性を表すにはR15+くらいでもよかった気がします。
大野智さん主演ということでファン層を考えると難しいでしょうが、昨年公開された『ヒメアノ~ル』では森田剛(V6)さんにマスターベーションさせたり、脚の骨を剥き出しにさせたりしてたので、その点がやや惜しいかなと思いました。

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それでもアクションシーンではCGなどで面白い画が撮れていたと思いますし、無門とお国のやり取りが面白かったので、デッドプールを0.5点上回る☆4.5点です。

鑑賞データ

TOHOシネマズ日劇 ファーストデイ 1100円
2017年 108作品目 累計116000円 1作品単価1074円

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