ハード・コア(山下敦弘監督)評価と感想/オフビートが自分には合わず

ハード・コア(山下敦弘監督)評価と感想

現代的にアップデートした方がよかったかも ☆3点

1991年(平成3年)から93年までグランドチャンピオンに連載された、狩撫麻礼原作・いましろたかし作画の漫画「ハード・コア 平成地獄ブラザース」を、原作ファンの山下敦弘監督と山田孝之がタッグを組み実写映画化。
社会に溶け込めない不器用な男たちの前に、突如謎のロボットが現れたことから一変していく様を描き、山田孝之が主演の他にプロデューサーも務めた作品。
共演に佐藤健、荒川良々、石橋けい、松たか子

予告編

映画『ハード・コア』11/23公開 予告編

映画データ

ハード・コア|映画情報のぴあ映画生活
『ハード・コア』は2018年の映画。『ハード・コア』に対するみんなの評価やクチコミ情報、映画館の上映スケジュール、フォトギャラリーや動画クリップなどを紹介しています。

本作は2018年11月23日(金)公開で、全国51館での公開です。
順次公開されて70館程度での公開のようです。
配給はKADOKAWA

監督は山下敦弘さん
近作は『味園ユニバース』『オーバー・フェンス』『映画 山田孝之3D』を観てます。

主演は山田孝之さん
近作は『凶悪』『新宿スワン』『バクマン。』『信長協奏曲』『テラフォーマーズ』『何者』『映画 山田孝之3D』『銀魂』『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』『50回目のファーストキス』を観てます。

共演に佐藤健さん
近作は『るろうに剣心 京都大火編伝説の最期編』『リアル~完全なる首長竜の日~』『トイレのピエタ』『バクマン。』『世界から猫が消えたなら』『何者』『亜人』『8年越しの花嫁 奇跡の実話』『いぬやしき』『億男』を観てます。

共演に荒川良々さん
近作は『予告犯』『(実写版)心が叫びたがってるんだ。』を観てます。

共演に石橋けいさん
近作は『天空の蜂』『望郷』『AMY SAID エイミー・セッド』を観てます。

他に共演と配役は以下の通りです。

権藤右近: 山田孝之
権藤左近: 佐藤健
牛山: 荒川良々
水沼多恵子: 石橋けい
金城銀次郎: 首くくり栲象
水沼: 康すおん
: 藤原季節
バーの女: 松たか子

あらすじ

人間同士の交流が希薄になり、打算的な生き方をする人々が増えた現代日本。
その都会の片隅で細々と生きる権藤右近(山田孝之)は、あまりにも純粋で、信念を曲げることが出来ず、世間に馴染めないアウトロー。
弱者を見下し利用しようとする世間に対して、間違いを正そうとする信念を暴力に変えてきた彼は、仕事も居場所もなくしてきた。

あるハロウィンの夜、カラオケバーで仮装し、バカ騒ぎする若者たちを横目に、酒を飲みながらイライラを募らせていた右近だったが、ついに爆発。
きっかけは、隣りで「バカみたい…」と漏らしながらひとり飲んでいたOL風の女性(松たか子)が若者たちに誘われるままカラオケで熱唱し、男からのキスを躊躇することなく受け入れてしまったことだった。
右近は、男の頭に激しい頭突きを放ち、店内は大騒ぎに。
そのまま爆睡してしまった右近が目を覚ますと、虚ろな目に飛び込んできたのは、商社マンの弟・左近(佐藤 健)が、代金を払いながら「悪いけど、もうこの店には…」と注意されている光景だった―。

そんな右近の仕事は、怪しい結社を組織する活動家・金城銀次郎(首くくり栲象)と、その番頭・水沼(康すおん)が、群馬の山奥で進める埋蔵金探し。
共に働く精神薄弱気味の牛山(荒川良々)だけが唯一心を許せる友人だった。
女性を知らない牛山を不憫に思い、何とかしてやりたいと考えている。

ある日、そんな彼らの、自由でどこか呑気な日々が一変する出来事が起きる。
住所不定の牛山が住処にする廃工場で、古びた謎のロボットを発見したのだ。
牛山はすぐにそのロボットを友人のように受け入れ、自分たちに寄り添うロボットに次第に親しみを覚えた右近も「ロボオ」と命名して友情関係を深めていく。

やがてAIの知識もある左近が、ロボオが見た目とは違い、現代科学の水準を遥かに凌駕する高性能であることを突き止める。
「ロボオの人工知能があれば、埋蔵金の発掘なんてちょろいぜ!」と主張する左近に導かれ、群馬の山奥へと向かった3人と1体は、ロボオの能力を使い、まんまと100憶を超える本物の埋蔵金を見つけてしまうのだった!

左近が握る埋蔵金の行方、悲しい牛山の過去、右近の水沼の娘・多恵子(石橋けい)との禁断の恋、会頭・金城の失踪―

この腐れきった世の中で、ジレンマを抱えながら生きる彼らの運命は何処へ向かうのか……。

公式サイトより引用)

ネタバレ感想

公開2~3か月前くらいから、ヒューマントラストシネマ渋谷に行く度に予告編が流れてて、面白そうだったので鑑賞しました。
漫画原作の存在は知らず、もちろん未読での鑑賞です。

原作者の狩撫麻礼さんは名前に見覚え聞き覚えは無かったのですが、松田優作さん監督主演の『ア・ホーマンス』の原作者だったんですね。

あとハリウッドでリメイクもされたパク・チャヌク監督の『オールド・ボーイ』も土屋ガロン名義での原作者で凄い方だったんですね。漫画読まないので全然知りませんでした。

惜しくも本作完成前の2018年1月7日に70歳でお亡くなりになったそうで、ラストで「狩撫麻礼に捧ぐ」とテロップが刻まれていましたが、ご冥福をお祈りしたいと思います。

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さて、肝心の映画の方なんですが、面白いか面白く無いかと言われると、あまり面白く無かったです。

Amazonのなか見!検索で冒頭を読むと、松たか子さんのシーンなんか原作通り(ハロウィンという現在的な設定にはなっていましたが)にやってると思うのですが、主人公・右近に共感出来なかったのが大きな要因でしょうか。

右近がどのようにして社会からドロップアウトしていったかが描かれないので、冒頭のバーのシーンでも嫉妬して暴力を振るっただけにしか見えず、あらすじにあるような「間違いを正そうとする信念を暴力に変えてきた」という風には見えなかったんですよね。

そして、そんな社会からドロップアウトしてる右近は、右翼結社の会頭・金城に心酔してる(拾ってもらった恩があるということで)訳ですが、やってることは埋蔵金探しっていう「ギミア・ぶれいく」臭がするので、「平成3年の原作なんだなぁ」と改めて思いました。

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本作で描かれている格差社会は平成の30年を通して変わってない、というかむしろ加速しててテーマの普遍性はあると思いますし、これも一種の貧困ビジネスだと思いますが、それが「埋蔵金探し」ってなっちゃうと、途端にリアリティ(まぁロボットが出てくる時点でリアリティは無いのですがそれは別として)が無く、現在性も感じられないので、シェアハウスとかに上手いこと改変出来なかったかなぁと思いました。

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というか、冒頭のバーのシーンでチャラついた若者に正義の鉄槌を加え、右翼団体に所属してるならば、『凶気の桜』の方に話が転がってもおかしくないと思ったんですが、ただ言われるがままに穴を掘ってるだけの主体性の無い右近に、主人公としての魅力を感じられなかったのが、本作を面白く感じられなかった大きな要因かもしれません。

そして、人工知能搭載のロボットが出てくるわけですが、言ってみれば「大人のドラえもん」ですよね。
因みに「ギミア・ぶれいく」には藤子不二雄A氏(ドラえもんは藤子・F・不二雄氏ですが)が出演していたので、何気に本作はギミア・ぶれいく案件だったのかもしれません。

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ロボオの登場によって埋蔵金は発見され、商社マンの左近が海外で換金ルートを探すってトコだけ妙なリアリティがありましたが、水沼の淫乱な娘に誘惑されたり、水沼に会頭殺しの罪を着せられそうになったり、どうも話があっちこっちに逸れる気がしてテンポも悪く感じ、上映時間124分がやや長く感じました。

そして話はどういう所に帰結するのだろうと観ていると、水沼のタレコミにより警察にテロリストとして包囲され万事休すとなりますが、ロボオが「これが最適解」と言って2人を抱きかかえ空を飛んでいくと、無事に逃げおおせた訳では無く上空で爆発してしまいます。

そして死んだと思われた左近が金塊の換金に成功して戻ってくるものの、右近と牛山の姿は無く「完」の文字で映画は終了しますが、山下監督は原作には無いその後を付け足したようです。

上空で爆発したと思われた右近と牛山は生きていて、どこか南の島で暮らしています。
そして牛山には現地で結婚したと思われる妻がいて、赤ちゃんが生まれるのを右近が手伝うと、波打ち際には動かなくなったロボオが横たわっていて、映画は一応ハッピーエンドで終わる感じでしょうか。
見方によっては『バンコクナイツ』なんかの沈没組にも見えなくもないですが。

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90年代の設定なら90年代だけを描き、現代を描くなら全体をアップデートした方がよかったと思います。

それにしてもここ最近、『リバーズ・エッジ』や『愛しのアイリーン』といった90年代の漫画が映画化されましたが、物語が持っている社会背景は大きく変わってないと思います。

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ただ『リバーズ・エッジ』は女性原作者ということもあるのか、テーマの普遍性や登場人物の行動に納得がいったのですが、『愛しのアイリーン』も本作も男性原作者ということがあるのか、登場人物の行動が現在とはズレてる気がして、そこが個人的には評価が高くならなかった所でした。

本作の映画化は、山下監督と山田さんが偶然にも原作ファンで思い入れのある漫画だったことから実現まで漕ぎ着けたようですが、やはりこうしたテーマを描くなら今の日本をリサーチして、リアリティを持って描かなければ、オフビートコメディとして描くにしても説得力は弱いと思いまして、この辺が上手いのが『万引き家族』の是枝監督なんだなぁと思いました。

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ところでエンドロールで「特別協力 深田恭子」とクレジットされていたので、どういうことか?と思ったら、部屋に深キョンのポスターが貼ってあっただけとのことでした。

鑑賞データ

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2018年 187作品目 累計168600円 1作品単価902円

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