アニメ版を超えてきた ☆5点
予告編
実写映画『心が叫びたがってるんだ。』本予告 | 2017年7月22日(土)全国ロードショー
映画データ
「あの花」のスタッフにより2015年に劇場版オリジナルアニメとして公開された同名作品の実写映画化で監督は熊澤尚人
W主演にSexy Zoneの中島健人と芳根京子
共演に石井杏奈と寛一郎
「あの花」はテレビ版を見てて、劇場版は見てなく、実写ドラマ版も見てない感じです。
アニメ版の「ここさけ」はスマッシュヒットとなっていたので公開から2週間くらいして観に行きまして、そのときの感想がこちらです。
実写版の本作に関しては、アニメ版を観てお話も知ってますし、取り立てて見る必要もないかなと思ったのですが、公開週の週末動員ランキングがまさかの9位。
普通、この手の作品なら1日4回以上は上映すると思うんですけど、2週目に入ると軒並み1日3回とかの上映になってて明らかに減らされてます。
これは『サクラダリセット』の二の舞になっちゃうと思い、慌てて観てきました。
7月29日にちょうどテレビでもアニメ版の放送してたので、比較するのにこれ幸いとも思いました。
監督は熊澤尚人さん
初めましての監督さんです。
『近キョリ恋愛』を監督してるようですが未見です。
今年はこのあと9月に吉高由里子さん主演の『ユリゴコロ』という作品が公開されるようです。
http://yurigokoro-movie.jp/
主演はジャニーズグループSexy Zoneの中島健人さん
映画は『銀の匙 Silver Spoon』を観てます。
W主演に芳根京子さん
映画では初めて見ます。
朝ドラ「べっぴんさん」は全話見てます。
共演に石井杏奈さん
石橋杏奈さんと名前間違えてしまうやつです。
E-girlsの方なんですね。
映画は初めましてかな?と思ったら『世界から猫が消えたなら』に出演されてました。
どの役だったかな?
共演に寛一郎さん
映画でもテレビでも初めましての方で、佐藤浩市さんの息子さんで三國連太郎さんのお孫さんです。
最近、二世俳優さんの芸名が名前だけなんですけど流行りなんですかね?
例:太賀さん、趣里さん、真剣佑さん(最近、新田姓つきました)等々です。
他に共演と配役は以下の通りです。
坂上拓実:中島健人
成瀬順:芳根京子
仁藤菜月:石井杏奈
田崎大樹:寛一郎
城嶋一基:荒川良々
成瀬泉:大塚寧々
三嶋樹:西山潤
山路一春:福山康平
相沢基紀:上川周作
岩木寿則:川村亮介
江田明日香:金澤美穂
宇野陽子:萩原みのり
あらすじ
高校3年の坂上拓実は、「地域ふれあい交流会」の実行委員に任命されてしまう。
一緒に任命されたのは、おしゃべりが出来ない少女・成瀬順。
彼女は幼い頃、自分の一言で、両親が離婚してしまい、それ以来誰にも心を開かなくなっていた。
その他、優等生の仁藤菜月、野球部の元エース田崎大樹が選ばれた。
実は拓実と菜月は元恋人で、2人は自然消滅した後、お互いに気持ちは確認できずにいた。
担任の思惑で、”ふれ交”の出し物がミュージカルに決定。
「ミュージカルは奇跡が起こる」という一言に、勇気を出した順は詞を書くことを決意し、さらに主役に立候補する。
そんな彼女の姿に感化された拓実が曲をつけることに。
順は拓実の優しさに好意を寄せるようになり、菜月は自分の想いを諦め、そして夢を追う順の姿に大樹は好意を寄せ始める。
目の前の人に好きと言えず、すれ違う4人。
そして、舞台当日「やっぱり歌えない」と順は消えてしまい、拓実は順を探しに行く。
しかし、舞台は、主役不在のまま幕をあける…(公式サイトより引用)
ネタバレ感想
まず冒頭、しばらく観てて思ったのが、「すごっ、完コピしてる」でした。
アニメ版では高校2年生の秋だった設定が、本作では高校3年生の春になってます。
主人公もアニメ版では順だったのが、実写では拓実を主人公にして、物語を拓実に語らせることによって上手く推進させてました。
アニメ版で、順が自分自身で殻を作ってしまう象徴である玉子の妖精は、アニメ的表現なのでどうするのかな?と思いましたら、玉子を祀る神社を登場させることで上手く回避してました。
キリスト教にはイースターエッグがありますし
日本には言霊(言魂)があるので、これは上手い変更だと思いましたね。
最近乱暴な言葉がツイッターで飛び交ってます。人や団体に対してくたばれとか乱暴な言葉は使ってはいけません。仏教には汚い言葉、乱暴な言葉を使ってはいけない優しい言葉を使おうという意味で「不悪口(ふあっく)」という言葉があります。乱暴な言葉を使ってる人がいたら「ふあっく!」と言いましょ pic.twitter.com/iBv6ddk8xe
— 坊主 (@bozu_108) 2017年7月22日
アニメ的表現が上手く回避できたところで、本作で、一番、実写化するのに難しいのは成瀬順だと思ったんですよね。
アニメ版では主要4人のキャラクターの中で、声が一番アニメ声だと思ったことがまず一つ。
『聲の形』のように聾啞ではなく、精神的に喋れないもので、声を出そうとするとお腹が痛くなるので、必然的にアニメ的な振る舞いが多くなることが一つです。
なんですが、芳根京子さんは非常に上手く演じられていましたね。
序盤は髪で顔が見えなくて影が薄い感じで、拓実の後も貞子みたいに付いてく感じなんですが、メールを使って拓実とやり取りが出来るようになると、微妙に変わるその表情の素晴らしいこと。
特に目力。
あざとくない程度に訴えかけてくるものがあって上手いなと思いました。
それから、まだ声にならない声。
この表現も難しかったと思うんですが上手かったなぁ。
なんかもう前半で演者さんたちの目を見ててもうるっとしてたので、後半は号泣必至なんじゃないかと思いました。
後半はアニメ版よりサブキャラにも満遍なく光が当たっていたのもよかったです。
ふれ交の準備を描くことで、クラスの一体感が出てましたので、最後のミュージカルシーンに効いてきました。
先生役の荒川良々さんもよかったです。
最初出てきたときは、アニメ版とは一番イメージが違うキャラクターで違和感があったのですが、アニメ版が少しすかした感じながら、その実は生徒のことをよく見ていて何でも知っている、というキャラだったのに対し、荒川さんの方はもう少し朴訥な感じで、松岡修造さんほどの熱血漢ではありませんが、口癖のように「古今東西ミュージカルでは奇跡が起きるもんなんだよ」という願望を言っていて、実際その通りになるんですが、荒川さんの言い方の方が、より作品全体を包むメタ的な構造になってると思いました。
なのでアニメ版より、もう少しミュージカル映画らしい感じもして『ラ・ラ・ランド』感ありました。
田崎と山路の関係も分かりやすかったですし、アニメ版よりも、より母と娘の話にもなってるなぁと思いました。
後半のクライマックス、順がラブホテル跡で拓実を罵倒するところは、圧倒的に実写版の方が好きですね。
もう、拓実に告白する前にできる間のところで、全身鳥肌立ちましたよ。
恐るべき芳根京子。
アニメ版の成瀬の萌え要素がよかった人には、芳根さんの実写版は魅力的に映らないと思うんですけど、実写映画として非常に上手くまとまってると思います。
というか、元々のテーマからして、このシナリオは実写向きだと思うんですよね。
ただアニメ版の興収には追い付いていないようで勿体ない。
皮肉にも実写ドラマ版「あの花」のめんま役だった浜辺美波さんが主演してる『君の膵臓をたべたい』が一週間後に公開されて3位スタートと差を付けられてしまいました。
フィルマークスを見ると鑑賞した人の満足度は高いようなので、口コミでどれだけ伸ばしていけるか?でしょうか。
「言葉は時に人を傷つける」というテーマは、ツイッターなどのSNSを利用してる人向きのテーマだと思いますし、その拡散力でより多くの人に見ていただきたい作品です。
鑑賞データ
TOHOシネマズ日本橋 ファーストデイ 1100円
2017年 126作品目 累計134000円 1作品単価1063円
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