ワーナーブラザース絶好調 ☆5点
週刊少年ジャンプに2004年から連載中で累計発行部数5000万部を超える空知英秋のSF時代劇コメディ漫画の実写映画化。
監督は福田雄一、主演に小栗旬、共演に菅田将暉と橋本環奈
予告編
映画データ
漫画原作は未読です。
以前にも度々書いてますが「週刊少年ジャンプ」離れはわりと早かった方で中学上がるときにはもう読んで無かったので、今度実写化される「ジョジョの奇妙な冒険」とかも全然読んだことないんですよね。
荒木飛呂彦先生なら「魔少年ビーティー」おもしれー、とかの頃で止まってます。
本作に関しては、最近の、何でも漫画原作を実写化するというのに否定的なのと、劇場でも頻繁に見た、上の予告編のセット感ですとかCG、CGした感じですとか最後のお尻斬るやつとか面白くないなと思って、否定的だったんです。
正直観なくてもいいかなぁとも思ったんですが、福田雄一監督ということで少し期待してる自分もいたりして揺れる乙女心みたいだったんですけど、公開されたら漏れ伝わってくる評判は上々で、見る前には完全にネガティブな思いは払拭されてました。
監督は福田雄一さん
その存在を知ったのは「33分探偵」からですかね。
変わったドラマ作ってるなぁと思いましたが、その取り組みは必ずしも上手くいってるとは思えなかったんです。
「勇者ヨシヒコ」は第2シーズンから入ったクチで出遅れたこともあって、ドラクエのパロディなどは笑えるんですが、内輪ネタになると全然面白くなくてそこまでの評価じゃなかったんです。
評価変わったのは昨年劇場で観た『HK/変態仮面 アブノーマル・クライシス』が凄く面白かったからで、その前にテレビで『HK 変態仮面』を見たんですが、もの凄くパワーアップしてたんです。
ちょっと尋常じゃないくらいパワーアップしてるなと思い2016年の邦画の年間ベストテンの6位に上げたくらいです。
主演は小栗旬さん
ワーナー作品は去年の『テラフォーマーズ』『ミュージアム』と続きますね。
他に近作ですと『信長協奏曲(ノブナガコンツェルト)』『追憶』を観てます。
共演に菅田将暉さん
4月に公開された『帝一の國』のスマッシュヒットが記憶に新しいところで、まだ全国でも3館ほど上映してますね。
近作では『共喰い』『闇金ウシジマくん Part2』『海月姫』『ピンクとグレー』『ディストラクション・ベイビーズ』『二重生活』『セトウツミ』『何者』『溺れるナイフ』を観てます。
いやー、リンク貼るの疲れた。
これでも最近の映画出演作の5割以下ですからね。
ファンの人は映画追うだけでも大変だと思いますよ。
共演に橋本環奈さん
去年の初主演映画『セーラー服と機関銃 -卒業-』が興収1億円に届かなかったみたいなんですけど、ちょっと気の毒に思いましたよ。
今年の『ハルチカ』もよかったんですけど、小出さんが大変なことになってしまいました。
他に共演と配役は以下の通りです。
坂田銀時: 小栗旬
志村新八: 菅田将暉
神楽: 橋本環奈
志村妙: 長澤まさみ
桂小太郎: 岡田将生
平賀源外: ムロツヨシ
土方十四郎: 柳楽優弥
沖田総悟: 吉沢亮
近藤勲: 中村勘九郎
高杉晋助: 堂本剛
岡田似蔵: 新井浩文
武市変平太: 佐藤二朗
来島また子: 菜々緒
村田鉄矢: 安田顕
村田鉄子: 早見あかり
あらすじ
侍の国…この国がそう呼ばれたのも今は昔の話。
江戸時代末期、宇宙からやってきた「天人(あまんと)」の台頭と廃刀令により、侍は衰退の一途をたどっていた。
かつて攘夷志士として天人と最後まで戦い「白夜叉」と恐れられた坂田銀時も、今は腰の刀を木刀に持ち替え、かぶき町の便利屋<万事屋(よろずや)銀ちゃん>を呑気に営む日々。
そんな彼の元に、かつての同志である桂小太郎が消息不明になり、高杉晋助が挙兵し幕府の転覆を企んでいるという知らせが入る。
事件の調査に乗り出した万事屋メンバーの新八、神楽の身に危険が迫ったとき、銀時は再び剣をとる。
進む道、戦う意味を違えたかつての同志と対峙し、己の魂と大切な仲間を護るために――。(公式サイトより引用)
ネタバレ感想
いやー、去年は『テラフォーマーズ』とかコケてたワーナー作品ですが、今年は『22年目の告白-私が殺人犯です-』と本作と絶好調じゃないですか。
しかもこの2作は全く毛色が違って、22年目はストーリーの妙を楽しむ映画でしたけど、本作はパロディですな。
ストーリーはあって無いようなものと言ったら怒られますが、ギャグやパロディのオンパレードで第4の壁を突破するなどメタ的な構造にもなってます。
漫画原作もそうしたメタ構造になってるみたいで、原作ファンからも評判がいいという稀有な作品になっています。
一応、あらすじは
と思って書こうとしたんですが、調べたら原作でも人気の高い紅桜篇というエピソードみたいで、こちらそのままですな。
アニメ版で映画にもなってるみたいです。
『劇場版 銀魂 新訳紅桜篇』
紅桜篇の前にカブト狩りというこれまた人気の高いエピソードを入れて真選組の面々を紹介するっていう展開で、原作を読んでない人にもキャラクター関係や世界観がすぐ分かるようになってます。
何よりベースが新選組などの幕末なので、日本人にはとっつきやすいですよね。
主人公の坂田銀時こそ金太郎(坂田金時)で幕末は関係ないですが、桂小太郎は木戸孝允(桂小五郎)、高杉晋助は高杉晋作など容易に想像つきますし、キャラクターの名前を憶えやすいので名前が出てきたときに誰の話をしてるのかがすぐ分かります。
本作はもう冒頭からヤバいでしょ(笑)って感じで反町隆史さんの「POISON 〜言いたい事も言えないこんな世の中は〜」をパロって、小栗旬さんが絶妙の下手さ加減で声色を似せて歌う「パッション」という曲を、小栗旬をハングル文字にしたり、アラビア文字にしたオープニングクレジットにのせて歌って、まずフジテレビをやっつけます。
すると今度はカウントダウンTVのパロディになって、新八役の菅田さんと神楽役の橋本さんがその歌にツッコむという展開です。
小栗さんも「花より男子」の花沢類、おばたのお兄さんをやる、というセルフパロディで、開始5分にしてフジテレビとTBSをやっつけます。
ちなみに本作は製作委員会方式で作られててテレビ東京が入ってます。
製作 – 映画「銀魂」製作委員会(ワーナー・ブラザース映画、集英社、テレビ東京、トライストーン・エンタテイメント、バンダイナムコピクチャーズ、電通、アニプレックス、バンダイ、丸井グループ、GYAO、トップコート、プラスディー)
カブト狩りでは中村勘九郎さんにこんなことやらせたりとかもうバカです。
カブト狩りのエピソードは、もうだいたいにして小学生ですね、はい。
そのあとも、鼻くそほじったり、鼻くそほじったり、鼻くそほじったりと、小学生かよっ!とツッコミたくなること請け合いです。
ガンダムネタも多いですね。
製作委員会にサンライズが入っていないんで、ケロロ軍曹を放送してたテレビ東京だから出来たのかな?と思いましたが劇場版アニメのときは製作委員会にサンライズ入ってました。
ただ、ジブリには1ミリも許可取ってねぇだろなぁ(笑)
中国のテーマパークみたいな感じの微妙なナウシカが出てくるんで、これも間接的に日テレをやっつけることになりますね。
相棒の元・鑑識の人も出てくるんでテレ朝もやっつけて民放制覇です。
長澤まさみさんがドラゴンボール朗読するところや、ムロツヨシさんがワンピースの悪魔の実を出してくるところは、製作幹事がワーナーと集英社だから出来たんだろうなぁと感心すると同時にその手があったか!と思いました。
海外ではマーベル・シネマティック・ユニバースですとかDCエクステンデッド・ユニバースとか花盛りですが、日本では少年ジャンプユニバースがあるなぁと(ドラゴンボールとワンピースはアニメではコラボありますけどね。)
佐藤二朗さん、ムロツヨシさんの次にふざけそうな新井浩文さんが全然ふざけてなかったり、安田顕さんは常にでかい声で喋っていてツインピークスのデヴィッド・リンチみたいだったりとか色々あるんで観て頂いた方が早いですね。
さて、こういうパロディモノの考察です。
こういうパロディでどれだけ笑えるかって、元ネタがどれだけ浸透してるかだと思うのですが、本作の場合、元ネタがメジャーなものが多いです。
反町隆史さんのGTOは平均視聴率28.5%
花より男子は平均視聴率20%くらいですが、映画版は77億の興収と大ヒット。
ガンダムネタ、ドラゴンボールネタ、ワンピースネタは、勇者ヨシヒコにおけるドラゴンクエストと同義でしょう。
今年の実写映画で同じようなメタ構造のギャグ・コメディ映画『ラストコップ THE MOVIE』は酷評したんですが、こちらもドラマは見てなくて行ったのですが、パロディの元ネタになるものが全く無いんですよね。
窪田さんの直毛とか身体的特徴だったりするモノは、その役者さんのファンとかでないと楽しめないですから。
唐沢さんならば「愛という名のもとに」のセルフパロディさせるとか、「倉田さん、心配ない」を誰かに言わせるとか。
CGなんかは両作ともチープですが、銀魂はそこにツッコミを入れます。
「エリザベスはアニメだと成立するけど、実写だと途端に着ぐるみ感でるよね」とか。
こういう記事を目にしたんですけど、全くピントがずれてると思うんですよね。
原作を知らなくても福田雄一作品を知らなくても、パロディの元ネタがメジャーなものだから、より多くの人にウケると思うんですよね。
『シン・ゴジラ』がヒットしたのだってエヴァンゲリオンっていうベースがあったからでしょう。
小栗旬さんに関しても全くズレてます。
小栗旬さんは変態仮面実写化のときに自分が演じるのを熱望した人です。
なので少年ジャンプ原作モノを福田雄一監督と組んで撮ることには並々ならぬ思い入れがあったと思います。
そもそも本作での坂田銀時の役は、メンド臭い感を醸し出し、熱くならずに冷静にツッコミを入れる役回りではないでしょうか。
その特別番組は見てないですが、小栗さんとムロさんはしょっちゅう飲みに行くくらい仲いいですしね。
ただ一方で、私がラストコップを酷評したように、こういう意見もあります。
これは奥先生に元々パロディを理解する下地(ガンダムを知らないとかは、まずないか。1967年生まれなので)が無いか、或いは、物作りをする人として安易なパロディに危機感を覚えるかですが、1個のツイートしかないので何ともいえないのですが、本作にもしGANTZのネタがあったらとか考えると、自分が必死こいて生み出した物が安易に使われたら、とか考えちゃいますね。
役者さんがモノマネされたときの対応に似てると思うんですが、自分は何かを生み出す(クリエイティブな)人間ではないので、パロディとかモノマネとか寛容的ですね。
音楽とかでもリミックス作れなくなっちゃいますし。
ただオリジナルへの敬意、これは絶対ですね。
あ、あと気づいたこと。
ラスボスは堂本剛さんですが、続編があるなら、また登場する感じなので、バトルの山としては新井浩文さんの方にあります。
ただ堂本さんが後ろに控えてることで非常に重みが増してますね。
堂本さん出てるんで製作にジェイ・ストーム入ってるのかと思ったんですけど、エンドロールでは確認できなかったですね。
なんとなくいいことなんじゃなかなぁと思いました。
あと、それから橋本環奈さん。
角川2作主演映画がいまいちヒットせず話題にもならなかったんですが、本作で、『トリック』で堤幸彦監督に引き出された仲間由紀恵さんみたいになったんじゃないでしょうか。
あの可愛らしいお顔のわりにハスキーな声も本作の役に合ってたと思います。
福田雄一監督グッジョブではないでしょうか。
なんか色々とだいぶ話それましたが、原作知らなくても福田雄一監督知らなくても楽しめる映画になってると思いますよ『銀魂』
自分は丸の内ピカデリーで観たんですけど、女性客の方が多かったので口コミでヒットするんじゃないかなぁと思います。
鑑賞データ
丸の内ピカデリー SMTデイ 1100円
2017年 120作品目 累計127300円 1作品単価1061円
コメント