共喰い 評価と感想/女たちの、強さからしたたかさへ

共喰い 評価と感想
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性と暴力、そして映画はさらに…  ☆3.5点

予告編

映画データ

http://cinema.pia.co.jp/title/161196/

あらすじ

昭和63年の夏、山口県下関市。川辺と呼ばれる地域に篠垣遠馬(菅田将暉)は住んでいた。産みの母、仁子(田中裕子)は川一本隔てた魚屋で一人暮らしをしている。戦争中、空襲に遭い、左腕の手首から先を失った仁子は、戦争が終わってから数年後、父の円(光石研)と出会い結婚した。その時、彼女は知らなかった、円がセックスの時、女を殴りつける癖があることを。遠馬が生まれてから、仁子は籍を抜かぬまま、遠馬を家に残して魚屋に移り住んだ。

17歳の誕生日を迎えたその日、遠馬は千種(木下美咲)と社の神輿蔵の中でセックスした。父と同じように性に溺れる自分を嘆く遠馬。 「馬あ君は殴ったりせんやん」「殴ってから気がついても遅いやろうがっちゃ」

いま円と遠馬と一緒に住んでいるのは琴子(篠原友希子)だ。飲み屋街の店に勤める琴子は、円に殴られ、よく頬や目の周りに痣を作っていた。 ある日、琴子は遠馬に赤ちゃんができたことを報告する。 「馬あ君は承知してくれるかいねえ」「なんでそんなこと俺に訊かんといけんの?」 遠馬は家を飛び出すと千種を神輿蔵へ呼びつけ、千種を押し倒す。

祭の前日、大雨の中を琴子は出ていった。家へ戻って来た父に、遠馬は琴子がもう家へ戻らないことを教える。「わしの子、持ち逃げしやがってから!」下駄を履き、琴子を探しに飛び出した円は、遠馬を待つ千種がいる神輿蔵へと向かっていく――。

公式サイトより引用)

ネタバレ感想

2013年8月26日新宿ピカデリー、プレミア上映にて鑑賞。

芥川賞受賞時の「もらっといてやる」発言で話題になった田中慎弥氏の同名小説の映画化で原作は既読です。

映画を観るにあたり、原作では下水道も整備されてなく生活排水が流れ込み、その文面から本当に悪臭が漂ってくるように感じられた川が、どう撮られているのか興味を惹かれました。

しかしイメージしたより、川は綺麗で悪臭が漂ってくる感じでもなかったのですが、遠馬がお風呂でアレを流してからの川のシーンでは、ふっと臭いが漂ってくる気がして不思議でした。

それからは原作の持つ土俗的な雰囲気がよくでていました。

映画は原作にほぼ忠実な気がしましたが大きく違うのはラストで、原作の後日談があるような感じでした。
仁子(田中裕子)のエピソードなどは、よく分からなかった点もあるのですが、なんとなくタブーに踏み込んでいるような気がしました。

原作の暴力的な性もタブーですが、映画はさらにその先のタブー(琴子(篠原友希子)のエピソード)にも触れているような感じで、原作で感じた女性達の強さは、強さからしたたかさに変化した感じがしました。

そして原作では自分の内なる暴力性、父親からの呪縛を乗り越えたように感じた遠馬ですが、映画では蛙の子は蛙なのかな、という印象を持ちました。

鑑賞データ

新宿ピカデリー プレミア上映会 2000円+発券手数料315円

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