J・K・シモンズか小出恵介か? ☆5点
予告編
映画データ
ハルチカです。
近田春夫さんじゃありません。
本作は映画館でも予告編とか観たことなくて、公開されるのすら知らなかったんですが、評判良さそうだったのでハルチカがナニモノかも知らず観に行きました。
元はアニメだったようですが、元々は初野晴さんの青春小説を元にしたようで、ウィキペディアを見ると推理小説であり、青春小説であり恋愛小説であると。
なるほど、ハルタが時々、金田一少年の事件簿や名探偵コナンばりに推理を働かせるのはそういうことでしたか。
監督は市井昌秀さん
初めましての方かと思ったら、今年1月に観た『僕らのごはんは明日で待ってる』の監督さんでした。
ドSな感じの女子と気の弱い男子の組み合わせが得意なのかな?
主演はハルタ役にSexy Zone の佐藤勝利さん
初めてお顔を見ましたがイケメンです。
ジャニーズの映画は時々、確変するときがあるので侮れないと常日頃感じている次第です。
クレジット的には2番手でしたが
W主演でチカ役に橋本環奈さん
本作も角川40周年記念作品ということで、昨年の『セーラー服と機関銃 -卒業-』を思い出しました。
本作は一見するとスイーツ映画の趣ですが、映画は始まりから、いわゆるスイーツ系の映画とは少し違う雰囲気です。
なんかじっくり長回しで撮る雰囲気があるのと、角川映画に2作続けて橋本環奈さんが主演されているので、往年の角川映画、薬師丸ひろ子、原田知世、渡辺典子の頃を取り戻そうかという気概の見える作品でした。
あらすじ
中学生まではバレーボール部だったチカが怪我で最後の大会に出れなくて、バレーを諦めなくちゃならないときに聞いた吹奏楽の演奏に感動して、高校に入学したら吹奏楽部に入ろうと決めてたところ廃部になってたので、校長先生(志賀廣太郎)に直訴したら3週間で9人部員を集めたら復活してもいいと言われ部員集めに奔走するって話が最初の1時間くらいで、部員が集まったら県大会を目指すってのが後半1時間くらいのお話です。
ネタバレ感想
チカは小学3年生の時に転校してしまったハルタと高校入学初日のバスで一緒になるんですけど気づかなくて、翌日のバスでハルタからチカちゃんと言われて気づきます。
ハルタはホルン経験者なので強引に入部させて2人で部員勧誘を始めます。
最初は去年までいた吹奏楽部員に声をかけますが、何かあって廃部になったようでウザがられます。
新入生には中学時代に吹奏楽経験のある人に声をかけますが高校ではやらないと断られてしまいます。
それでもめげずに熱心に勧誘を続けていると、元吹奏楽部の副部長(前田航基)カップル他が入部してくれ7人まで集まります。
先月『マグニフィセント・セブン』を観たので7という数字を意識しましたが、特に何でもないです。
7人集まったところで、残り2日で2人集めなければならなかったのですが、クラリネットが上手い芹澤さん(恒松祐里)と去年廃部の原因となった元部長のカイユ(清水尋也)のエピソードが描かれます。
芹澤さんのエピソードでは、ハルタが推理を働かせて難聴まで辿り着くところは金田一やコナンぽいと思いました。
難聴と補聴器のシーンは『聲の形』を思い出しました。
カイユのエピソードは、吹奏楽に夢中になってじいちゃんの死に目に会えなかったカイユが自責の念に駆られて、じいちゃんがやってた民宿兼無許可の老人ホームを切り盛りするために不登校になったのを救うという話で、ミニFMと老人とかを絡めて面白かったです。
それで9人揃って部として認められると、その後はだだーっと部員が集まり20人くらいになって、部としての活動が始まるんですが、メンバー集めのここまではわりと普通だったのですが、なぜか突然、軽い『ラ・ラ・ランド』のミュージカル風といいましょうか、大江戸捜査網みたいな音楽が流れてGメン75になるんです(何言ってるか分からないと思いますが、とにかくヘンなのです)。
なんか担当楽器と役名が縦にクレジットされるのも似てる。
校舎の渡り廊下並んでずんずん歩いてくるのはGメン75。
チカが校長に部復活を直訴したときに1楽器1人で9人集めれば吹奏楽できるよってアドバイスしてくれたのが、小出恵介さん演じる草壁先生なんですが、このときに、チカが9人集まったら顧問お願いしますと言ったら、割と軽い感じでいいよと言ってくれた草壁先生でしたが、いざ部が始まると、お前たちの演奏は聞くに堪えない、とか言って厳しくなるのですが、その辺が最初優しかったのに急に厳しくなる『セッション』のフレッチャー先生(J・K・シモンズ)みたいで、いつチカにメトロノームを投げつけるかハラハラして観ていました。
チカは部員を熱心に勧誘してましたが、フルートなんか吹いたことなくて、全くの初心者でしたが、草壁先生のオリジナル楽曲にフルートのソロで難しい部分があって、そこがいつまでも出来ないでいたのです。
県大会の日まで残りわずか、部活練習中いつまでも出来ないチカに練習を30分中断して自主練してくるように言う草壁先生。
ここで空気悪くなって部員同士が揉め始めるのですが、このシーンが圧巻でした。
カメラを固定しての長回しで舞台のようなスタイル。
部員それぞれが怒りを爆発させます。
キリキリとした緊張感。
スクリーンに釘付けになります。
喧喧囂囂となりますが、情熱を持って部員勧誘したのはチカで、今の自分たちに出来ることはチカを信じて待つことだ、と言うハルタの言葉に落ち着きを取り戻します。
練習が再開されるとハルタが過労で倒れてしまいます。
というのもハルタは親の期待に応えるため、高校では学業1本に絞ろうと考えてましたが、有無を言わさないチカに巻き込まれながらも部活にやりがいを感じ、学業も部活もしっかりやるという無理をしていて成績は学年トップでした。
そのことを知らなかったチカはハルタが倒れて初めて知ります。
小学校の頃はいじめられっ子だったハルタをチカが守っていましたが、いつしかハルタがチカを守ってくれていました。
翌朝の練習で何とかソロパートを吹けるようになったチカ。部員たちは県大会に臨みます。
で、普通だったら県大会がクライマックスになると思うんですが、いざ演奏しだすとそんなに良くなくて、草壁先生の指揮も気概が感じられない。
チカもソロパートをミスすることなく演奏を終えますが、演奏が終了すると審査結果を発表するシーンなどが無いまま時間軸が飛びます。
県大会が終わったあとの授業中の教室。
チカは気が抜けたようになっていますが県大会がどうなったかは分かりません。
すると授業中にも関わらずホルンの音が聞こえます。
窓の外を見ると向かいの校舎の屋上でハルタがホルンを吹いてます。
ハルタのホルンを皮切りに部長のトランペット、部員たちが次々に演奏し始めます。
このシーンは、部員集めのときに伏線があって、チカが授業中に演奏するか?とハルタに言うんですが、ハルタは内申書に響くからそんなこと出来ないって言うんですが、そのアンサーになってます。
ただ最後、みんなで演奏しだして、先生も生徒も外に出て踊り出して訳わからないんですが、もうサイコーなんです。
県大会のときは冴えなかった演奏も、ここでは凄く良くて、最後訳分からなくなる『セッション』みたいでした。
で、思ったのは、最初はグイグイ引っ張ていたチカが県大会後は気が抜けたみたいになったのに対し、最初は気が弱かったハルタがグングンと強くなるところは、『キッズ・リターン』のマサル(金子賢)とシンジ(安藤政信)の関係みたいで、
「俺たちもう終わっちゃったのかなぁ?」
「バカヤロー、まだ始まっちゃいねぇよ」
青春映画の傑作でした『ハルチカ』
追記:あー、他の方の感想を読んだら県大会でチカは失敗してるんですね。
それで、教室で落ち込んでいたと。
ラストの演奏でチカが加わり、何度も失敗するところは『オール・ユー・ニード・イズ・キル』を思い出しました。
フルートソロ!失敗する!繰り返す!
鑑賞データ
シネ・リーブル池袋 TCGメンバーズ料金 1300円
2017年 38作品目 累計36600円 1作品単価963円
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