つまらなくは無いが面白くも無く ☆3点
テレビドラマ化もされた三上延によるライトノベルミステリーをドラマ版とは異なるスタッフ・キャストで映画化。
極度の人見知りだが古書に関して並外れた知識と洞察力を持つビブリア古書堂店主の栞子が客が持ち込む古書にまつわる秘密を解き明かしていく人情系ミステリー。
監督は三島有紀子、主演に黒木華と野村周平、共演に成田凌、夏帆、東出昌大
予告編
映画データ
本作は2018年11月1日(木)公開で、全国252館での公開です。
配給がKADOKAWAと20世紀フォックスです。
20世紀フォックスの邦画って初めてな気がしたんですが、2009~2010年頃にもあったんですね。
本作に関しては、劇場でたまに予告編は目にしてましたが、ドラマが炎上したのは知ってましたが未見で原作も未読でした。
参考 ビブリア古書堂ドラマ化に対する反応 – Togetter
なのでそんなに興味は惹かれなかったんですけど、公開日のファーストデーでしたが割と席が空いてたので観に行ってみました。
監督は三島有紀子さん
2016年10月に公開された東映配給の『少女』は観に行こうと思ったんですけど、都内だと東映作品を割引で見るのはなかなかハードルが高くて、2~3週経ったら上映回数もかなり少なくなってしまい結局見れずじまいに終わってしまいました。
そして2017年8月に公開された『幼な子われらに生まれ』は評判がいいのは知ってたんですが、その年のWOWOWドラマの違法撮影問題で、監督がコメントしなかったのが何となくモヤモヤしたので観に行きませんでした。
でも結局はWOWOWで放送したのを見たんですが、様々な賞を受賞しただけあって面白かったです。
主演に黒木華さん
近作は『銀の匙 Silver Spoon』『リップヴァンウィンクルの花嫁』『海辺のリア』『未来のミライ(声の出演)』『散り椿』『億男』を観てます。
主演に野村周平さん
近作は『あやしい彼女』『ミュージアム』『帝一の國』『サクラダリセット 前篇/後篇』『22年目の告白-私が殺人犯です-』『茅ヶ崎物語 ~MY LITTLE HOMETOWN~』『純平、考え直せ』を観てます。
共演に成田凌さん
近作は『君の名は。(声の出演)』『THE LIMIT OF SLEEPING BEAUTY ―リミット・オブ・スリーピング ビューティ―』『ニワトリ★スター』『ここは退屈迎えに来て』を観てます。
共演に夏帆さん
近作は『ピンクとグレー』『22年目の告白-私が殺人犯です-』『伊藤くん A to E』『友罪』を観てます。
共演に東出昌大さん
近作は『GONIN サーガ』『ヒーローマニア -生活-』『クリーピー 偽りの隣人』『聖の青春』『関ヶ原』『散歩する侵略者』『OVER DRIVE』『パンク侍、斬られて候』『菊とギロチン』『寝ても覚めても』を観てます。
他に共演と配役は以下の通りです。
篠川栞子: 黒木華
五浦大輔: 野村周平
稲垣: 成田凌
五浦絹子: 夏帆
田中嘉雄: 東出昌大
五浦理恵: 神野三鈴
五浦政光: 高橋洋
畑中: 酒向芳
篠川文香: 桃果
五浦絹子: 渡辺美佐子
あらすじ
鎌倉の片隅にひそやかに佇む古書店「ビブリア古書堂」。店主の篠川栞子(黒木華)は極度の人見知りだが、ひとたび本を手にすると、その可憐な唇からとめどなく知識が溢れだす。さらに彼女は優れた洞察力と推理力で、五浦大輔(野村周平)が持ちこんだ夏目漱石の「それから」に記されたサインの真偽を解き明かし、彼の祖母・絹子(渡辺美佐子)が50年前に〝秘密の恋〟をしていたと指摘する。
これが縁となり古書堂で働き始めた大輔は、日に日に栞子に惹かれていく。だが、過去の出来事から本が読めなくなった大輔は、同業者の稲垣(成田凌)が本を介して栞子と心を通わせるのを複雑な想いで見守るしかなかった。
そんな中、謎の人物が栞子が大切に保管する太宰治の「晩年」を奪おうとしていた。その正体を探り始めた二人は、「それから」に秘められた絹子(夏帆)の恋の行方と、「晩年」に隠された秘密がつながっていることに気付く。しかもその先には、大輔の人生を変える〝ある真実〟が待ち受けていた──。(公式サイトより引用)
ネタバレ感想
観終わった後は気付かなかったんですが、感想を書く今になって思い返すと2018年4月に公開された『ワンダーストラック』に似てましたね。
ワンダーストラックは、父親を知らず母親と2人で育った12歳の少年が、母親を交通事故で亡くし遺品の本を見てたら、献呈辞が書かれたニューヨークの書店のしおりが挟まれてるのを見つけて、それを手掛かりにニューヨークへ父親を捜しに行ったら、自身の誕生のルーツを知るっていう話で、過去パートと現在パートが行ったり来たりしながら話が進むんですが、本作もそんな感じでした。
本作での主人公は12歳の少年ではなくて、何をしてるか分からない無職の五浦大輔ですが、祖母が亡くなり遺品の漱石全集を片付けていたら、「それから」の中に「田中嘉雄様 夏目漱石」という署名を見つけて、古いビブリア古書堂の値札が入っていたことから、本物かどうかビブリア古書堂に確かめに行きます。
すると、現在の店主の栞子が大輔の祖母に関する話や署名の体裁から、鋭い洞察力で大輔の祖母の秘められた恋を解き明かしていくと、それが最近の栞子の身に降りかかっている事件ともリンクしていき、大輔のルーツにも繋がってくるという話で、「古書から紐解くファミリーヒストリー」みたいな感じになってました。
栞子に降りかかってる事件は、ビブリア古書堂で代々所蔵している太宰治の「晩年」の貴重な初版本を、大庭葉蔵を名乗る人物からメール(メールソフトはBecky!でした)でしきりに譲って欲しいと迫られていることで、栞子が階段から落ちて怪我をしたのも大庭葉蔵の仕業でしたが、その正体は図書交換会で知り合ったネットで漫画専門の古書店を営む稲垣で、その理由は祖父が所持していた「晩年」の初版本を手に入れることに取り憑かれていたからでした。
稲垣の祖父は、稲垣が幼少の頃に自宅の火事で亡くなっていて、その際に所蔵していた初版本を稲垣に託しましたが、その本も火事で失っていて、それ以来初版本を手に入れることに取り憑かれていて、栞子の初版本も自分の物と思い込んでいました。
栞子は稲垣の狂気を加速させている初版本を海に捨てることで稲垣の目を覚まさせますが、稲垣の正体を調べると大輔が持ち込んだ「それから」に名前のあった、太宰治に憧れ小説家を目指していた田中嘉雄の孫であったことが判明します。
そして大輔も「それから」の署名の秘密や母親の理恵からの話を総合すると、自分も田中嘉雄の孫であると確信し、稲垣とは祖母が異なる孫同士と認識して映画は終わるので、ファミリーヒストリーとしては黒歴史な感じだと思うんですが、サザンオールスターズの主題歌「北鎌倉の思い出」で何となくいい感じに終わるという映画でした。
まず観終わって直後に思ったのは、「ごうら食堂のじいちゃん(五浦政光)かわいそう」でした。
自分の子じゃ無かったなんて…。
次にエンドロールなんですが、本の表紙をデザインにしてるそうでエンボス加工がかかったみたいな感じだったんですが、「最後、監督名のクレジットどうなるかなぁ?」と思って見てたら、しっかりデザインされたクレジットが真ん中で止まるタイプのやつで、「ああ、止まるやつか…」と思いました。
あと本作は『検察側の罪人』に引き続いて酒向芳さんが出演されてました。
『検察側の罪人』ほどのインパクトは無かったですけど、よかったと思います。
まぁ物語は出だしから下のサインを見て「夏目漱石のサインかも⁉」と思っちゃうくらいバカですし、子供の頃に「それから」を手に取ろうとしたところ、祖母から叱責されたことがトラウマになって小説が読めないっていうバカ設定なんで、あんまりリアリティないんですけど、大輔を演じるのが野村周平さんなんで、不思議とハマってる部分もあって観れちゃう感じで、取り立てて面白くも無いですがつまらない訳でも無く、眠くなるわけでも無いですし、可もなく不可もなくというどこまでも平均点な感じの映画でした。
鑑賞データ
TOHOシネマズ日比谷 ファーストデイ 1100円
2018年 174作品目 累計156600円 1作品単価900円
コメント