舞台で十分なんじゃないでしょうか ☆1.5点
2012年に解散した劇団「東京セレソンデラックス」の主宰である宅間孝行の作・演出・主演で2007年に上演した同名舞台を自身で監督して映画化。
25年前に生き別れた娘と父の再会を描いた物語。
主演は倉科カナ、共演に市原隼人、立川談春、原田知世、入山杏奈、高橋メアリージュン、やべきょうすけ
予告編
映画データ
本作は2018年10月26日(金)公開で、全国107館での公開です。
2019年2月に公開される所もあるみたいで、最終的には119館での公開となるようです。
配給はS・D・P(スターダストピクチャーズ)
劇場での予告編は1,2回見ました。
そんなにソソられなかったんですけど、シネマイレージウィークで1100円で見れるので観に行ってみました。
監督は宅間孝行さん
2012年に解散した劇団「東京セレソンデラックス」の主宰で、現在は演劇プロジェクト「TAKUMA FESTIVAL JAPAN(タクフェス)」の主宰です。
映画監督は本作で3作目のようですが未見です。
俳優としての出演作は『予告犯』『団地』を観てます。
主演は倉科カナさん
近作は『夢売るふたり』『みなさん、さようなら』『キッズ・リターン 再会の時』『ジ、エクストリーム、スキヤキ』『3月のライオン 前編/後編』を観てます。
共演に市原隼人さん
近作は『闇金ウシジマくん』『RANMARU 神の舌を持つ男』『無限の住人』を観てます。
共演に立川談春さん
近作は『忍びの国』を観てます。
共演に高橋メアリージュンさん
近作は『闇金ウシジマくん Part2』『るろうに剣心 京都大火編/伝説の最期編』『リアル鬼ごっこ』『PとJK』『新宿スワンⅡ』を観てます。
共演にやべきょうすけさん
近作は『闇金ウシジマくん Part2』『夢売るふたり』『モンスター』『天空の蜂』『HK/変態仮面 アブノーマル・クライシス』『銀魂』を観てます。
他に共演と配役は以下の通りです。
高島さつき: 倉科カナ
雨宮清太郎: 市原隼人
東雲六郎: 立川談春
松岡玉枝: 原田知世
松岡麻衣子: 入山杏奈
福田日出子: 高橋メアリージュン
竹内力也: やべきょうすけ
車海老貫一: トミーズ雅
雨宮虎蔵: 永井大
代議士: 金田明夫
製薬会社のドン: 大和田獏
船田知之: 布川隼汰
滑川秀樹: 越村友一
エレーナ: サブリナ・サイン
あらすじ
愛する妻と娘との日々を思い返しながら、六郎は電車に乗り、小さな田舎町に降り立つ。夕立が来そうな雲行きのなか、さまよい歩き、恋園神社にたどり着く。神社の一角にあるお茶屋「恋園庵」の女将・玉枝は、六郎の思い詰めたような姿が気になり跡を追い、悲しそうにたたずむ彼にそっと傘を差し出した。そんな六郎の姿を少し離れたところからずっと見つめる視線があった—。
それから25年後。六郎(立川談春)は、あの夏の日の出会いをきっかけに、玉枝(原田知世)と彼女の一人娘の麻衣子(入山杏奈)と生活をともにしていたが、麻衣子との関係は上手くいかず悩んでいた。そして年に一度の夏祭りの日が近づいていたある日、運命が動き出した。
父・虎蔵(永井大)の跡を継いでテキ屋になった清太郎(市原隼人)は、仲間の日出子(高橋メアリージュン)と力也(やべきょうすけ)を引き連れて、今年もまた恋園神社を訪れる。同じ頃、さつき(倉科カナ)もその田舎町にやって来た。彼女の旅の目的は、25年前に姿を消した父の六郎を探すためだった。死んだと聞かされていた父親が生きていることを知り、どうして会いに来ないのか、一体どんな暮らしをしているのかを確かめに来たのだ。
宿に向かう途中、偶然にも六郎を知る清太郎と出会ったさつきは、夏祭りの取材をしたいと嘘をついて彼に町を案内してもらうことにする。しかし、人の良い清太郎を利用して父親を探そうとしているのが心苦しくなり、町にやってきた本当の理由を告げる。
昔から知っている六郎や玉枝を傷つけたくないけれど、さつきの願いも叶えてあげたい─清太郎は、六郎が経営する東雲学習塾、玉枝が営む恋園庵、麻衣子が働く恋園神社を案内する。六郎に新しい家族がいる、その事実にさつきはショックを受け、それまで押さえてきた怒りと悲しみの感情を清太郎たちにぶつけてしまうのだった。そんななか、さつきのことを探している車海老(トミーズ雅)という謎の男も町へやって来て、夏祭りを目前に田舎町は次第に慌ただしくなっていく。
さつきと六郎はどんな再会を果たすのか、さつきと清太郎の出会いは運命だったのか。それぞれの想いが、愛する人に届けられようとしていた。
(公式サイトhttps://aiai-gasa.com/より引用)
ネタバレ感想
うーん、全体的な印象としては『泥棒役者』と同じ感じでしょうか(なので記事タイトルもサブタイトルも同じにしてみました)
観る前は本作が舞台作品の映画化だと知らなかったんですが、元の舞台は2007年に上演されたきり再演が無かったことから「幻の名作」と呼ばれたそうですが、幻のままの方がよかったんじゃないかな?と思いました。
『泥棒役者』と同じで舞台作品の映画化って難しくて、舞台なら笑えるトコでも映画だと全然面白くなくて不快になるだけなんですよね。
下の2つのレビューがまさに自分の気持ちを代弁してくれているのですが、テキ屋カップルのウンコのくだりは何が面白いのかさっぱり分からなくて、不快になるだけだったので自分も途中で帰ろうかと思ったくらいです。
上のあらすじにあるように、冒頭で25年前に六郎が出ていった様子が描かれるのですが、過去シーンは分かりやすいモノクロ映像の親切設計はいいんですが、後から分かる六郎が出て行った真相は、代議士の汚職を秘書である六郎が被って自殺してくれというもので、死に場所を求めていたら玉枝と出会ったというものなんですが、叙情的でシリアスなんですね。
しかしそれに対してカラーで描かれる現在パートの冒頭は、上記ギャグだったりコメディテイストで、如何せんバランスが悪すぎるんです。
市原隼人さん演じる清太郎がテキ屋という設定からして「寅さん」の線を狙ってるんだと思うんですが、寅さんだったらマドンナと出会って勝手に勘違いして恋の炎が燃え上がって、マドンナと行動してるうちに悩みを知り、それを解決してあげて、最後いい人で終わるってパターンだと思います。
なので観客にもマドンナの事情が段々と明かされるので、寅さんの勘違いぶりもそれほど空回りには感じられません。
しかし、本作は25年前に家族を捨てて出て行った父親に会いに来た娘の話というのは分かってるいるので、その場の思い付きの取って付けたような夏祭りの取材とか、それに勘違いする清太郎の空回りっぷりとか、それを信じないテキ屋カップルと清太郎とのやり取りとかがコメディタッチで延々描かれるのですが、殆ど本筋に関わってこない無駄なシーンで、これを省いてしまえば60分のドラマで収まる内容で、どう考えても116分の上映時間は長過ぎました。
色々やっても90分で収まる内容で、前半のあまりの酷さに「ちょっと映画撮るレベルにないかも?」とまで思ってしまいました。
ただ上のレビューにある通り、恋園庵の2階で車海老がさつきに真相を明かすところからはよくなってきて、ここからラストまで20分くらいでしょうか。
やっとさつきと六郎が会う展開となりますが、六郎を演じる立川談春さんの泣きの演技は流石で、「下町ロケット」で実証済みではありますが、ここで涙した人も多かったんじゃないかと思います(一時期の武田鉄矢さんみたいな感じでしょうか)
ただ、この泣きの演技でスルーしそうになりますが、最初に書いたようにここで六郎が出て行った真相が明らかになるんですが、汚職の罪を被って自殺しようした人が実は生きてて、しかも偽名を使って学習塾まで開いていたというのはちょっとリアリティが無いかな?と思いました。
警察だって犯人を逮捕しようと指名手配くらいしてたでしょうし、マスコミも飛びつきそうな事件ですし、時効はとっくに過ぎてるとは思いますが、住民登録だって出来ないでしょうし、ひっそり隠れて生きてたというのなら分かるんですが…。
まぁ本来、そんな細かいところにケチ付けるべきじゃ無いと思うんですが、舞台と違って映画だとやっぱりそういう細かいところも気になるんですよね。
それから、父と娘が出会って、めでたしめでたしで終わればいいのに、エピローグでさつきと清太郎が実は小さい子供の頃に恋園神社の下で出会ってたエピソードが描かれるんですが、これも何でさつきがその地を訪れていたかよく分からないですし、清太郎の父役の永井大さんを登場させたいだけにも見えましたし、特に伏線らしい伏線も無かった気がするので、これも付け足し感が拭えませんでした。
岩井俊二監督は「小津安二郎は引き算で黒澤明は足し算の監督」と言ってたようなのですが、ヒャッハーなエンタメ作品(『銀魂』とか)ならこれでもかという特盛足し算でもいいと思いますが、本作のような作品は引き算であるべきだったんじゃないかなぁと思いました。
演劇人なら憧れるであろう笑って笑って泣ける『蒲田行進曲』みたいのを目指したのかもしれませんが、自分には少なくとも前半のコメディテイストは無意味で不快で、作品の評価を下げるだけのものになってしまい、ラスト20分だけの映画といった印象でした。
鑑賞データ
TOHOシネマズ日比谷 シネマイレージウィーク 1100円
2018年 173作品目 累計155500円 1作品単価899円
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