恋のペンタゴン ☆4.5点
月刊フラワーズで2007年から2012年まで連載され、2011年第57回小学館漫画賞一般向け部門を受賞した小玉ユキの同名漫画の実写映画化。
監督は三木孝浩、主演に知念侑李、中川大志、小松奈々、共演にディーン・フジオカ
予告編
映画データ
本作は2018年3月10日(土)公開で、全国289館での公開です。
東宝とアスミック・エースの配給ですけど、普段と見るジャンルが違うからかTOHOシネマズでもそんなに予告編は目にしなかった気がします。
評判がよさそうだったので上映3週目になって観てきました。
漫画原作もアニメ版も未見です。
監督は三木孝浩さん
スイーツ映画御用達監督なんで、作品は『ホットロード』しか見てないです。
主演に知念侑李さん
近作は『超高速!参勤交代 リターンズ』『忍びの国』『未成年だけどコドモじゃない』を観てます。
主演に中川大志さん
映画では初めましてです。
2018年1月クールのドラマ「賭ケグルイ」は見てました。
主演に小松菜奈さん
近作は『渇き。』『予告犯』『バクマン。』『ヒーローマニア -生活-』『ディストラクション・ベイビーズ』『溺れるナイフ』『沈黙 -サイレンス-』『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』を観てます。
共演にディーン・フジオカさん
近作は『結婚』『鋼の錬金術師』を観てます。
共演に真野恵里菜さん
近作は『新宿スワン』『リアル鬼ごっこ』『不能犯』を観てます。
他に共演と配役は以下の通りです。
西見薫: 知念侑李
川渕千太郎: 中川大志
迎律子: 小松菜奈
深堀百合香: 真野恵里菜
伯母: 山下容莉枝
松岡星児: 松村北斗
千太郎の父: 野間口徹
迎勉: 中村梅雀
桂木淳一: ディーン・フジオカ
あらすじ
医師として病院に勤める西見薫。
忙しい毎日を送る薫のデスクには1枚の写真が飾られてた。
笑顔で写る三人の高校生。
二度と戻らない、“特別なあの頃”……。10年前、父を亡くし親戚に預けられた菫は、家の中で居場所を見つけられないでいた。唯一、ピアノを弾いているときだけが孤独を忘れられる時間だった。
そんな薫が転校先の高校で出会ったのは、誰もが恐れる不良・千太郎と、その幼馴染の律子。
律子に導かれ訪れた地下室で、荒々しく、けれども自由で楽しそうにドラムを叩く千太郎とジャズに、薫は心を奪われる。その日を境に、憂鬱だった毎日は楽しいものへと変わり、ピアノとドラムでセッションし、三人で過ごす楽しい毎日が始まる。やがて薫は律子に恋心を抱くようになる。だが、律子の想い人は千太郎だと気づいてしまう。
律子の想いに全く気づかない千太郎。だが、薫が羨む千太郎にも誰にも言えない孤独があった。千太郎は薫に、自分は教会に捨てられた孤児であり、今の家族が里親であることを告白する。お互いの心の欠けたピースを埋め合うように、二人は絆を一生ものの友情へと変えていく。
しかしそんな幸せな青春は長くは続かなかった。ある事件を境に、千太郎は二人の前から姿を消してしまう。
そして、10年が立ち……。(公式サイトhttp://www.apollon-movie.com/#storyより引用)
ネタバレ感想
記事のタイトルが『ハルチカ』と同じとなってしまいました(笑)
『ハルチカ』は吹奏楽で、本作はジャズなんで『セッション』に近いです。
車に轢かれるどんがらがっしゃーんもありますし。
面白かったですね。
『ハルチカ』みたいにちょっとクセになりそうなヘンなところは無かったんですけど、綺麗に上手くまとまってたと思います。
千太郎が初めて登場した時の「1966年の設定だけどなんで茶髪なの?」っていうツッコミも、ちゃんと伏線になってました。
医者だった父を亡くした薫は伯母に預けられ横須賀から長崎に引っ越してきます。
西見家は医者の家系のため、伯母からプレッシャーをかけられ、好きなピアノを満足に弾くことも出来ません。
学校に行っても金持ちのボンボンと見られ友達が出来ず、休み時間に気分転換に校舎の屋上に行こうとすると千太郎と出会います。
学級委員で当面の間、薫の案内をしてくれることになった律子に、街のレコード店を聞くと、律子の実家がムカエレコード店でした。
クラシックのレコードを探していると薫がピアノが弾けることが分かり、律子が店の地下の秘密の音楽室を案内します。
そこにはピアノとドラムとベースがあり、律子の幼馴染でもある千太郎がドラムを叩いてました。
ジャズドラムに熱中してる千太郎がアート・ブレイキーの「モーニン」を叩いてると、薫は律子からピアノを弾くように促されます。
薫が躊躇してるとクラシックの上品なピアノじゃジャズは弾けないと言って千太郎がピアノの鍵盤を叩くと薫も負けじと叩きますがスイングしてないと言われます。
薫は千太郎を見返すため「モーニン」のレコードを買って練習するとジャズに目覚めます。
薫は律子への恋心もあって地下室へ通うようになると、千太郎とも仲良くなっていくのでした。
そんなある日、薫が地下室に行くと千太郎が淳兄と慕う桂木淳一と出会います。
淳兄はトランぺッターで、今は東京の大学に行っていて夏休みを利用して一時帰省しているとのことでした。
律子の父の勉が地下室に降りてきてベースを手に取ると、淳兄、千太郎とセッションが始まります。
千太郎に促されて薫も加わると味わったことのない高揚感に包まれるのでした。
薫は律子との仲も打ち解けてきたことから、夏休みのある日、意を決してデート代わりに、律子を図書館での勉強に誘います。
律子はあっさりOKし、薫が待ち合わせ場所に行くと、なぜか千太郎も居て、しかも2人とも水着を用意しており、海水浴をすることになるのでした。
薫たちが海水浴を終えて帰ろうとすると1人の美女が不良に絡まれていて、それを千太郎が助けると秒で恋に落ちます。
その女性は深堀百合香という東京の美大生で、こちらも一時帰省してることが分かると、千太郎の恋煩いが始まります。
女性に恋をしたことがない千太郎から相談された薫が恋のアドバイスをしますが2人では埒が明かず、淳兄が居るジャズバーに相談に行きます。
千太郎がジャズバーに着くと、アメリカの水兵と小競り合いなりますが、淳兄が歌う「バット・ノット・フォー・ミー」のドラムセッションで魅了すると拍手喝采を浴び、水兵とも仲良くなります。
するとそこに百合香がやってきて淳兄と話してるのに薫が気付きます。
2人の様子から付き合ってることを直感した薫ですが、千太郎は気づかず淳兄から百合香を紹介されると、絵のモデルを頼まれ舞い上がるのでした。
千太郎が百合香の絵のモデルをしてる日に、薫が地下室に行くと律子から「千太郎は?」と尋ねられ返事に窮します。
薫は海水浴の一件から、律子が千太郎に思いを寄せているのに気づき始めていました。
薫は話題を変えるため、千太郎がいつまでも古いドラムスティックを使ってることを話すと、律子と一緒にプレゼントすることになるのでした。
翌日、薫が学校に行くと千太郎は百合香が描いた絵を無邪気に見せてきます。
千太郎は律子にも見せようとするので薫が慌てて止めようとしますが、律子の気持に全く気付かない千太郎は自慢げに絵を見せます。
律子は冷静を装って、百合香が美人で絵も上手いことを褒めますが、複雑な表情を浮かべるのでした。
別の日、いつものように練習しようと地下室に淳兄、薫、律子、勉が集まってると、千太郎が百合香を連れて現れます。
一瞬で変わった地下室の空気に、淳兄が「関係者以外立ち入り禁止じゃないのか?」と言うとショックを受けた律子が出ていってしまいます。
淳兄も今日は弾く気がしないと言って帰ってしまいます。
実は、淳兄は学生運動に身を投じるため、百合香と東京で別れてきましたが、諦めきれない百合香が追って来てたのでした。
そんなことは知らない一同でしたが、薫は出ていった律子を追います。
律子がこの日ドラムスティックを渡そうと用意していたのを知っていた薫は、律子を慰めていると思わずキスしてしまいます。
2人の間に気まずい空気が流れると律子はスティックを薫に託しその場を後にします。
薫は千太郎の家にスティックを渡しに行くと、(律子に思われていることや)温かい家族に囲まれていることなど、自分が欲しいものを全て持っていて羨ましいと言います。
すると千太郎に教会に連れて行かれます。
教会に着くと古いアルバムの写真を見せられ、外人の血が入った孤児だったことが告げられ、現在の親は養親で妹弟とも血が繋がっていないと告げられます。
この世の不幸を1人で背負い込んでる気がしてた薫は目が覚め、家に帰った薫は伯母に自分の進路をはっきり告げます。
翌日、薫が律子の家に謝罪に行くと店は休みでした。
千太郎の妹が1人で糸電話遊びをしていたため一緒に遊ぶと、妹は店の中に入って糸電話をします。
しばらく妹とのやり取りが続くと、突然、その声は律子に変わり、前日のキスを謝罪すると改めて気持ちを伝える薫でした。
別の日、バイト中の千太郎が勉の店の前を通りかかると、淳兄が忘れていったマウスピースを届けるように頼まれます。
千太郎が淳兄の家に向かうと、東京でやり直すことを決意した淳兄と百合香が旅立つところでした。
2人が付き合っていることに気づいた千太郎は自暴自棄になり喧嘩に明け暮れます。
薫は喧嘩してる千太郎を見かけると止めに入りますが、千太郎に淳兄と百合香が付き合っていたのを知っていたかと聞かれ、薫が知っていたと答えると、どうして教えてくれなかったと言い、陰であざ笑ってたんだろうと言い、2人は仲違いしてしまいます。
薫と健太郎の溝が埋まらないまま、学校では文化祭が近づくと、千太郎は別のクラスのロックバンドのドラマーとして誘われ快諾し、ジャズからも離れてしまうのでした。
文化祭の日、流行りのグループ・サウンズ風の衣装で千太郎たちが演奏してると、体育館の電気トラブルで音が出なくなってしまいます。
文化祭実行委員の薫や律子は原因を探りますが、すぐに復旧せず場がシラケ始めます。
律子はすぐに復旧させると千太郎に詫びますが、千太郎はこのまま終わってもいいと言い、薫への後悔を口にします。
それを陰で聞いていた薫は、自分が場を繋ぐと言ってピアノの前に座ると「モーニン」を弾き始めます。
合図は俺が出す、ファッキンテンポだ!
スイングする薫のピアノにジャズ魂を取り戻した千太郎がドラムを叩くと、体育館にいる生徒たちは盛り上がります。
「モーニン」からそのまま律子が好きな「マイ・フェイヴァリット・シングス」に移行すると2人の仲直りに涙する律子でした。
ドリカム状態に戻った3人は教会でのクリスマスの催し物でセッションすることにします。
いつもは聞いているだけだった律子も歌で参加することになります。
クリスマスの日、落ち着かない千太郎が予定時刻よりも早く律子の店に着くと、ソワソワする2人は薫の家まで迎えに行きます。
千太郎のバイクで2人乗りしてると交差点で車と衝突し、クリスマスのセッションは中止になります。
薫が病院に駆け付けると、千太郎は軽傷でしたが律子は意識不明の重体でした。
翌日になって目を覚ました律子に安心した一同でしたが、責任を感じた千太郎はそのまま姿を消してしまうのでした。
10年後、東京で勤務医をしてる薫の元に淳兄と百合香が訪ねて来ます。
2人は結婚してお腹には子供がいました。
百合香は地元の友達から送られてきた結婚式の写真を見せると、神父姿の千太郎が写っていました。
薫は10年ぶりに母校を訪ねると律子は先生になっていました。
10年間行方が分からなかった千太郎の写真を見せると、教会に向かいます。
2人が教会に近づくとドラムの音が聞こえてきます。
中に入ると千太郎が子供たちに聞かせていました。
千太郎が2人に気付くと、一瞬で10年前に戻る3人。
薫がピアノを奏で、千太郎がドラムを叩き、律子が歌い出そうと大きくブレスしたところで映画は終わります。
原作との差異がどれくらいあるのか分かりませんが、物語を詰め込み過ぎず、登場人物の五角関係を利用して上手く収まっていましたね。
薫→律子→千太郎→百合香→淳兄と恋の一方通行になってた訳ですが、「東京ラブストーリー」なんかのトレンディードラマっぽさもあり面白く観れました。
基本的にはあまり劇伴が付かないのも好印象で、要所要所で繰り出されるセッションシーンが見事でした。
やっぱり音楽が魅力的な映画はいいですね。
ただ欲を言えばエンドロールの音楽もジャズで閉めて頂きたかったと思います。
小田和正さんの歌もいい歌だと思いますが、ラストでニューミュージックってなんで?って思いますもの。
ああ、でもだから「東京ラブストーリー」感あるのか
鑑賞データ
新宿ピカデリー SMTメンバーズ60P無料鑑賞 0円
2018年 51作品目 累計40800円 1作品単価800円
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