響-HIBIKI- 評価と感想/直木・芥川同時受賞のマクガフィンが効いている

響-HIBIKI- 評価と感想
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響役にピタリはまった平手友梨奈も素晴らしい ☆4.5点

2014年からビッグコミックスペリオールで連載中で、2017年のマンガ大賞を受賞した柳本光晴の漫画「響 〜小説家になる方法〜」の実写映画化。
文学界に突如現れた15歳の天才少女作家・鮎喰響(あくいひびき)が出版界に巻き起こす騒動と活躍を描く。
監督は月川翔、主演は欅坂46の平手友梨奈、共演に北川景子、アヤカ・ウィルソン、吉田栄作、小栗旬

予告編

映画データ

http://cinema.pia.co.jp/title/174932/

本作は2018年9月14日(金)公開で、全国296館での公開です。
制作・配給は東宝です。

劇場での予告編は『センセイ君主』が公開されるちょっと前、7月下旬くらいから目にした気がするんですが、「月川監督の作品またやるのか!」と思いました。
漫画原作の存在は知らず、平手友梨奈さんも知りませんでしたが、予告編の時点ですでに平手さんが魅力的で面白そうと思いました。

毎度のごとく、漫画原作未読での鑑賞です。

監督は月川翔さん
今年3本目です。
近作は『君の膵臓をたべたい』『となりの怪物くん』『センセイ君主』を観てます。

主演は欅坂46の平手友梨奈さん
おニャン子時代から秋元さんプロデュースグループに興味なくて、あまり詳しくは知らないんですが、AKB系に比べると坂道グループは可愛い人多いなぁという印象です。

《前編》欅坂・平手友梨奈を1位に選んだ理由のすべて……「坂道グループ勝手に総選挙」アンケート全回答公開 | 文春オンライン
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共演に北川景子さん
近作は『の・ようなもの のようなもの』『破門 ふたりのヤクビョーガミ』『君の膵臓をたべたい』『探偵はBARにいる3』『パンク侍、斬られて候』『センセイ君主』を観てます。

共演にアヤカ・ウィルソンさん
『パコと魔法の絵本』以来で久しぶりにお名前聞きました。

2010年には『矢島美容室 THE MOVIE〜夢をつかまネバダ〜』に出演されてます。

矢島美容室を映画に出来たっていい時代ですね。

共演に高嶋政伸さん
近作は『ラプラスの魔女』を観てます。

共演に柳楽優弥さん
近作は『闇金ウシジマくん Part2』『ピンクとグレー』『HK/変態仮面 アブノーマル・クライシス』『ディストラクション・ベイビーズ』『銀魂』『銀魂2 掟は破るためにこそある』を観てます。

共演に吉田栄作さん
最近はちょくちょく映画出演されてるんですね。
スクリーンでは初めて見ました。
吉田栄作さんといったら『代打教師 秋葉、真剣です!』かな。

共演に小栗旬さん
近作は『信長協奏曲(ノブナガコンツェルト)』『テラフォーマーズ』『ミュージアム』『追憶』『銀魂』『君の膵臓をたべたい』『銀魂2 掟は破るためにこそある』を観てます。

他に共演と配役は以下の通りです。

鮎喰響: 平手友梨奈
花井ふみ: 北川景子
祖父江凛夏: アヤカ・ウィルソン
神田正則: 高嶋政伸
田中康平: 柳楽優弥
鬼島仁: 北村有起哉
矢野浩明: 野間口徹
藤野弘: 小松和重
大坪正人: 黒田大輔
椿涼太郎: 板垣瑞生
塩崎隆也: 笠松将
祖父江秋人: 吉田栄作
山本春平: 小栗旬

あらすじ

スマートフォン・SNSの普及により、活字離れは急速に進み、出版不況の文学界。そこに現れた一人の天才少女、彼女の名は『響』(平手友梨奈)。

15歳の彼女の小説は、圧倒的かつ絶対的な才能を感じさせるもので、文学の世界に革命を起こす力を持っていた。文芸誌「木蓮」編集者の花井ふみ(北川景子)との出会いを経て、響は一躍世の脚光を浴びることとなる。

しかし、響は、普通じゃない。彼女は自分の信じる生き方を絶対曲げない。
世間の常識に囚われ、建前をかざして生きる人々の誤魔化しを許すことができない。
響がとる行動は、過去の栄光にすがる有名作家、スクープの欲だけで動く記者、生きることに挫折した売れない小説家など、様々な人に計り知れない影響を与え、彼らの価値観をも変え始める。

一方、響の執筆した処女作は、日本を代表する文学賞、直木賞・芥川賞のダブルノミネートという歴史的快挙にまで発展していく。

(公式サイトhttp://www.hibiki-the-movie.jp/about.htmlより引用)

ネタバレ感想

主人公の鮎喰響は「曲がったことが大嫌い、はーーらーーだ、泰造です!」とか、ドラマ「斉藤さん」の斉藤さんみたいな感じでしたね。

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そこに「その女、凶暴につき」と「僕は死にましぇん」がプラスされてる感じです。

(↓はあまり関係ないけど)

なので「斉藤さん」と「101回目のプロポーズ」が合わさってる感じなんで面白いんです。

また、響は一般の人には正体を知られてないので、バンクシー的であるともいえます。

バンクシー「全部細断のはずだった」 作製過程を公開:朝日新聞デジタル
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響に批判的だった田中康平も鬼島仁も、響に暴力をふるわれますが、デビュー作の「お伽の庭」を読むとその内容にひれ伏し絶賛し、響を認めます。

この「お伽の庭」は、いわば「水戸黄門」でいうところの印籠になると思うんですが、この勧善懲悪劇が物語にカタルシスを生むんで観てて面白いんです。

そして結果的に「お伽の庭」は芥川賞と直木賞を同時受賞することになるんですが、そんな小説あったら読みたいと思うじゃないですか。
でも劇中で「お伽の庭」の内容が詳しく語られることはありません。

しかしそれも当然で、実際にはそんな小説出来ないからなんですが、内容を見せる必要は全く無くて、その設定だけでマクガフィンとして効いてくるので、これは原作のアイデアが上手かったなぁと思います。

桐島を登場させなかった『桐島、部活やめるってよ』みたいな感じです。

ちなみに現実では過去に4人ほど同時ノミネートはあったようですが、いずれも受賞には至っていないようです。

  • 1949年上半期 第21回 中村八朗「桑門の街」
  • 1951年上半期 第25回 柴田錬三郎「デス・マスク」
  • 1957年上半期 第37回 相見とし子「魔法瓶」
  • 1958年上半期 第59回 北川荘平「水の壁」

あと「お伽の庭」と聞くと、「不思議(おとぎ)の国のアリス」を思い浮かべて、『パコと魔法の絵本』と近いかな?と思って、だからアヤカ・ウィルソンさんがキャスティングされたのかな?と思ったんですけど、原作の祖父江凛夏がフィンランド人とのハーフの設定なんですね。

祖父江秋人は完全に村上春樹さんのイメージですけど、そこは露骨にノルウェーではなくフィンランドにしたんですね。

(といってもノルウェーが出てくるわけじゃないですけど)

響を演じた平手友梨奈さんは、これがドラマと映画通して初主演とは思えないほど堂々した役のハマり具合で、とても魅力的でした。
普段は顔色一つ変えずにいるものの、好きな作家に会えた時に見せる笑顔とのギャップがよかったです。

キャラクター的にもまっすぐな役だったので、対立する役どころの鬼島を演じる北村有起哉さんや矢野を演じる野間口徹さんといった演技派の役者さんも食ってたと思いますし、響をサポートする編集者の花井ふみ役で月川組常連の北川景子さんなんかよりも魅力的でした。

ただ北川景子さんなんかも、ドラマ「家売るオンナ」で演じた機械的で無表情なキャラクターの三軒家万智はハマってたので、もしかしたらこういうキャラクターは案外演じやすいのかもしれません。


「ドクターX」の大門未知子しかりです。

ストーリー的には、毎度芥川賞にノミネートされるも、今回も響の同時受賞で阻まれた山本春平が、絶望して踏切自殺しようとしてるところに響が通りかかり、逆に響が踏切に飛び込んだところ電車がギリギリで止まるという「101回目のプロポーズ」状態となり、山本は響の言葉で救われたところで映画は終わります。

響は文芸部の先輩・塩崎の指を折った時も、責任をとって塩崎に屋上から突き落とすよう言ったところ、自らが誤って落ちるんですが、校庭に植えられてた樹にひっかかって助かるという『ダイ・ハード』ぶりなんですが、映画の終わり方としてはまだ途中の雰囲気がありました。

というのも漫画原作はまだ連載中で、現在10巻まで出てるようですが、映画では6巻までのストーリーだったようです。

ヒメアノ~ル』にしても『愛しのアイリーン』にしても漫画原作が全6巻の映画だったんですが、漫画原作を映画にするには6巻くらいがちょうどいい感じなのかもしれません。

強烈な響のキャラクターとストーリーは面白く、平手さんの当たり役となるポテンシャルは秘めてると思うんですが、いかんせん初週週末動員ランキング6位でいまいちヒットしてないんですよね。

https://www.excite.co.jp/News/entertainment_g/20180921/Asagei_112548.html
初登場6位『響 -HIBIKI-』 注目すべきなのは、主演の平手友梨奈だけじゃない
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個人的にはこの監督・主演で続編もやってくれないかなぁと思いました。

鑑賞データ

TOHOシネマズ六本木ヒルズ シネマイレージデイ 1400円
2018年 148作品目 累計128600円 1作品単価869円

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