テッドとパディントンの三番煎じになってしまった ☆3点
A・A・ミルンが1926年に発表した児童小説『クマのプーさん』とディズニーアニメ『くまのプーさん』をベースとした初の実写映画でクリストファー・ロビンが大人になった時代を描いた作品。
監督はマーク・フォースター、主演はユアン・マクレガー、共演にヘイリー・アトウェル
予告編
映画データ
本作は2018年9月14日(金)公開で、全国366館での公開です。
安定のディズニー映画です。
劇場での予告編はよく目にしましたね。
プーさんの「クリストファー・ロビン!」の声が印象的で、よく真似したくなりました(笑)
ただ予告編からはそんなに面白そうとは感じませんでした。
吹替版はクリストファー・ロビンの声が堺雅人さんだそうですが、それだとソフトバンクのCMになってしまう気がしたので字幕版での鑑賞です。
監督はマーク・フォースター
2001年公開の『チョコレート』で主演のハル・ベリーに非白人として初めてアカデミー主演女優賞をもたらした監督ですが作品は見たことありません。
メジャーどころでは『007 慰めの報酬』や『ワールド・ウォーZ』を監督してます。
主演はユアン・マクレガー
近作は『MILES AHEAD/マイルス・デイヴィス 空白の5年間』『T2 トレインスポッティング』を観てます。
共演にヘイリー・アトウェル
『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』でヒロインのペギー・カーターを演じていて、そのスピンオフのドラマ『エージェント・カーター』に主演してます。
他に共演と配役は以下の通りです。
クリストファー・ロビン: ユアン・マクレガー
クリストファー・ロビン(子供時代): オートン・オブライエン
イヴリン・ロビン: ヘイリー・アトウェル
マデリーン・ロビン: ブロンテ・カーマイケル
ジャイルズ・ウィンズロウ: マーク・ゲイティス
(声の出演)
プー: ジム・カミングス
ティガー: ジム・カミングス
イーヨー: ブラッド・ギャレット
ピグレット: ニック・モハメッド
オウル: トビー・ジョーンズ
ラビット: ピーター・カパルディ
カンガ: ソフィー・オコネドー
ルー: ワイアット・ディーン・ホール
あらすじ
少年クリストファー・ロビンが、“100エーカーの森”に住む親友のくまのプーや仲間たちと別れてから長い年月が経った──
大人になったクリストファー・ロビンは、妻のイヴリンと娘のマデリンと共にロンドンで暮らし、 仕事中心の忙しい毎日を送っていた。ある日クリストファー・ロビンは、家族と実家で過ごす予定にしていた週末に、仕事を任されてしまう。会社から託された難題と家族の問題に悩むクリストファー・ロビン。そんな折、彼の前にかつての親友プーが現れる。
プーに「森の仲間たちが見つからない、一緒に探してほしいんだ」と頼まれたクリストファー・ロビンは、子供の頃プーたちと過ごした“100エーカーの森”へ。何一つ変わらないプーやピグレット、ティガー、イーヨー、カンガとルーの親子。仲間たちとの再会に喜びと懐かしい日々を感じながらも、仕事に戻らなければならないことを思い出す。「仕事って、ぼくの赤い風船より大事なの?」と、悲しむプーたち。急いでロンドンに戻ったクリストファー・ロビンは、森に会議の重要な書類を忘れてしまう……。
一方、クリストファー・ロビンの忘れものに気づいたプーと仲間たちは、マデリンの助けを借り、親友のため、初めて“100エーカーの森”を飛び出し、ロンドンへと向かう。クリストファー・ロビンが忘れてしまった、本当に「大切なモノ」を届けるために──(公式サイトより引用)
ネタバレ感想
くまのプーさんに関しては、赤ちゃんの頃に親か誰かからプレゼントされた自分の体より大きいぬいぐるみを、小学校高学年頃まで持ってた気がします。
引っ越しの時にいつの間にか無くなっちゃったんですが、もしかしたらただのクマのぬいぐるみだったかもしれません。
アニメのくまのプーさんも、何となく見た記憶はありますが、プーさんがハチミツ舐め回してる印象しかなく、ティガーやピグレットの名前も聞き覚えはあるものの、内容は殆ど忘れてしまって詳しいことは知らない中での鑑賞です。
くまのプーさんはたぶん世界で一番有名なクマ(テディベアもあるか…)だと思うんですが、実写映画としては『テッド』や『パディントン』なんかより後になりました。
日本では2013年1月18日(金)公開の『テッド』はR15+ながら興収42.3億円の大ヒット。
2015年8月28日(金)公開の続編『テッド2』もR15+で興収25.1億円
2016年1月15日(金)公開の『パディントン』は興収7.5億円と日本ではそれほどヒットしませんでしたが、世界興収では2.7億ドル弱ヒットして内容もよく良作でした。
そして今年、2018年1月19日(金)公開の『パディントン2』も興収5.9億円でしたが、内容的には前作をも凌ぐ良作でした。
そんな感じで5年で4本作られたクマのぬいぐるみの実写映画ですが、「くまのプーさん」自体は短編・長編を含めて何度もアニメ映画化されてて、本作は満を持しての実写化となった訳ですが、上記4作品と比べると一番面白くなかったです。
まず話の内容が今年公開された『ピーターラビット』(興収10.6億円)に近かったかなぁ、と。
主人公がロンドンで仕事に疲弊していて、田舎に行く展開は同じです。
そして、田舎に行っても問題は解決しないでロンドンに戻ってくるのも同じ。
結局、田舎からロンドンにやってきたピーターラビットやくまのプーさんに主人公が救われるという展開です。
ただ、時代設定は違っていました。
「ピーターラビット」の原作が書かれたのは1902年でしたが、映画では現代の設定にして描いてました。
一方、「クマのプーさん」の原作が書かれたのは1926年でしたが、映画ではそこに登場するクリストファー少年の大人になった時代を描いてるので、1950年代の設定だったんですが、これがあんまり上手くない気がしました。
というのも主人公のクリストファーが仕事に追われて家族を顧みない設定で、任されてる仕事もリストラしなければならないというものでしたが、何となくこの設定は資本主義の限界が見え始めた1980年代後半以降のドラマや映画に見られた設定で、どうも1950年代だとピンときません。
くまのプーさんのほんわかしたイメージと世知辛い世の中という組み合わせが、なんかしっくりこなくてコレジャナイ感がありました。
それから、人間社会に入り込んだクマがやらかしちゃうのは、テッドとパディントンと同じで既視感があります。
テッドの場合は人間社会に慣れきったおっさんクマで、色々やらかすのは確信犯でしたが、それが面白さに繋がっていました。
子供の頃から大人までを描いてるのも一緒です。
パディントンの場合は紳士過ぎるクマで、人間社会に慣れていなかったため色々やらかしますが、プーがクリストファーの家をハチミツでべちゃべちゃにしちゃったのもそんな感じでした。
だからパディントンの既視感やテッドの設定、ピーターラビットの展開にも似てたので、目新しさが無かったんですよね。
実際、ピーターラビット、クマのプーさん、パディントンは全てイギリス原作ですが、イギリスでは本作が一番ヒットしてません。
『パディントン』の興収が約6500万ドル、『パディントン2』が約6000万ドル、『ピーターラビット』が5400万ドルなのに対し、本作はイギリスでもまだ上映中ではありますが、10週目になっても2000万ドルに届いてません。
というか本作はアメリカでも1億ドルに届かなそうですし、アメリカ、イギリスを除くとヒットしてるのは日本だけでイギリスを超えて2000万ドルに届きそうな感じです。
これもひとえに日本人のディズニー好きによるもの(パディントンはキノフィルムズ配給、ピーターラビットはソニー・ピクチャーズ配給)だと思いますが、アメリカを除く海外の興収を見てみると、大人が鑑賞するには物足りない気がしますし、かといって完全に子供向けという感じでも無い気がするので、そのどっちつかずの中途半端な感じが海外興収に現れてるんじゃないかと思います。
うーん、ハッキリ言ってこれくらいのありきたりな話だったら、日本ではビデオスルーになってしまった『グッバイ・クリストファー・ロビン』の方を公開して頂きたかったです。
(しかも良作が多いFOXサーチライトじゃないですか)
うーむ、本作に関してはあまり書くこと無いですね。
鑑賞データ
TOHOシネマズ上野 シネマイレージ6P無料鑑賞 0円
2018年 149作品目 累計128600円 1作品単価863円
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