嘘を愛する女 評価と感想/実話ベースだがプロットはゼロの焦点に近い

嘘を愛する女
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予告編などを含めPRが上手かったかなと ☆3点

第1回(2015年)TSUTAYA CREATORS’ PROGRAMでグランプリを受賞した企画の映画化でCMディレクター中江和仁の商業映画初監督作品。
1991年朝日新聞に掲載された「夫はだれだった」という記事から着想を得たオリジナル作品で主演に長澤まさみと高橋一生

予告編

「嘘を愛する女」予告

映画データ

嘘を愛する女 (2018) - シネマトゥデイ
第1回「TSUTAYA CREATORS' PROGRAM」でグランプリに輝いた企画を映画化したラブストーリー。
嘘を愛する女|映画情報のぴあ映画生活
『嘘を愛する女』は2018年の映画。『嘘を愛する女』に対するみんなの評価やクチコミ情報、映画館の上映スケジュール、フォトギャラリーや動画クリップなどを紹介しています。

本作は2018年1月20日(土)公開で、全国285館での公開です。
東宝配給ということでTOHOシネマズで観た作品ではどの作品の前でも、もれなく上映前予告編が流れていて、最近の映画では一番予告編を見た作品です。

監督は中江和仁さん
武蔵野美大から東北新社を経てサントリーグループの広告制作プロダクション、サン・アドに所属するCMディレクターで劇場商業長編映画初監督作になります。

主演に長澤まさみさん
近作は『アイアムアヒーロー』『グッドモーニングショー』『追憶』『銀魂』『散歩する侵略者』を観てます。

主演に高橋一生さん
近作は『シン・ゴジラ』『3月のライオン 前編後編』『THE LIMIT OF SLEEPING BEAUTY ―リミット・オブ・スリーピング ビューティ―』を観てます。

共演に吉田鋼太郎さん
近作は『新宿スワン』『帝一の國』『三度目の殺人』『ミックス。』を観てます。

他に共演と配役は以下の通りです。

川原由加利: 長澤まさみ
小出桔平: 高橋一生
木村: DAIGO
心葉: 川栄李奈
綾子: 野波麻帆
刑事: 嶋田久作
海原の元妻: 奥貫薫
公平の妻: 初音映莉子
公平の隣人: 津嘉山正種
マサコ: 黒木瞳
海原匠: 吉田鋼太郎

あらすじ

その姿は世の女性が憧れる理想像。食品メーカーに勤め、業界の第一線を走るキャリアウーマン・川原由加利は、研究医で面倒見の良い恋人・小出桔平と同棲5年目を迎えていた。ある日、由加利が自宅で桔平の遅い帰りを待っていると、突然警察官が訪ねてくる。
「一体、彼は誰ですか?」
くも膜下出血で倒れ意識を失ったところを発見された桔平。なんと、彼の所持していた運転免許証、医師免許証はすべて偽造されたもので、職業はおろか名前すらも“嘘”という事実が判明したのだった。
騙され続けていたことへのショックと、彼が何者なのかという疑問をぬぐえない由加利は、意を決して私立探偵・海原匠と助手のキムを頼ることに。調査中、桔平のことを“先生”と呼ぶ謎の女子大生・心葉が現れ、桔平と過ごした時間、自身の生活にさえ疑心暗鬼になる由加利―。
やがて、桔平が書き留めていた700ページにも及ぶ書きかけの小説が見つかる。そこにはいくつかのヒントと、幸せな家族の姿が書かれていたのだった。海原の力を借りて、それが瀬戸内海のどこかであることを知った由加利は、桔平の秘密を追う事に……。
なぜ桔平は全てを偽り、由加利を騙さなければならなかったのか?
そして、彼女はいまだに病院で眠り続ける「名もなき男」の正体に、辿り着くことができるのか―。

公式サイトより引用)

ネタバレ感想

本作の予告編というか特報は『ユリゴコロ』を観た頃からやってたと思うんですが、最初の印象はサイコサスペンスだと思ったんですよね。
予告編で流れる吉田鋼太郎さんの「なんじゃこりゃ」も最初の頃はもっとオーバーリアクションだったと思うのですが、途中から落ち着いたトーンのものに変わった気がします。

予告編自体の印象も長目の物が流れるようになると変わってきて、最後のクレジットで「実話に基づく物語」と付記されたので、ミステリー要素のあるヒューマンドラマかな?と思ったのですが、結論としては恋愛ミステリーでした。

実話とあったので、どんな事件をモデルにしてるのかな?と思ったんですが、結局、映画を見る前までには思い浮かばなくて、感想を書くにあたり調べたら、中江監督が高校時代に読んだ辻仁成さんのエッセイの中の記事が元だそうです。

長澤まさみに作品への熱い想いを手紙で伝えた!俊英・中江和仁監督が語る映画「嘘を愛する女」撮影秘話とは。 | 【es】エンタメステーション
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元記事は1991年11月4日の朝日新聞の記事で「夫はだれだった」という見出しのものでした。


普通の人だとなかなか気づかない事件というか記事ですが、2002年にネット上にエッセイとして上げてる方がいらっしゃいました。

出生の秘密とその物語

映画を観た印象は、わざわざ「実話に基づく」と明記しなくてもいいんじゃないかな?と思いました。

そしてなんか既視感があると思ったのですが、映画のプロットとしては松本清張の『ゼロの焦点』に近いなと思いました。

ゼロの焦点
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映画は、由加利と桔平の出会い時から始まりますが、その時は東日本大震災当日です。

人でごった返す駅の通路で由加利が具合が悪くなって休んでいると、大丈夫ですか?と言って声をかけてくれたのが桔平になります。
桔平は深呼吸を深くするようにアドバイスするなど、医師っぽい感じがします。

時間は飛んで現在。
由加利と桔平は同棲しています。
大手食品メーカーの企画開発担当でウーマンオブザイヤーにも輝くキャリアウーマンの由加利は付き合いも多く、帰ってくるのは午前様で桔平が主夫のように世話をしてます。
桔平も研究医として勤めていましたが、由加利曰く給料はバイト並みとのことでした。

ある日、由加利の母が上京することになり、表参道でパンケーキを食べたいということで桔平も誘います。
桔平は女性2人の方がいいんじゃないかと言いますが、由加利は母が会いたがってると言い約束を取り付けます。

母が上京した日、約束の19時になっても桔平はお店に現れません。
待ちきれなくなった母はパンケーキを注文すると、今どき携帯も持ってないって珍しいんじゃないの?と言うのでした。

由加利が家に帰っても桔平はいません。
深夜、由加利が寝てると刑事が訪ねてきて、小出桔平さんをご存知ですか?と聞いてきます。
由加利が知っていると答えると、免許は住所以外は全て出鱈目で偽造されてると言います。
どういうことかと尋ねると、近所の公園でクモ膜下出血で倒れているところを発見され病院に収容されたと言われます。
病院に向かう中で刑事からは借金などで名前を変える人はよくいると言われます。
由加利が病院を訪れると桔平は意識が無く呼吸器が取り付けられていました。

桔平が偽名だとは信じられない由加利は研究医の社員証を持って職場に尋ねに行くと、小出という人物はいないと言われ、回想に入ります。
東日本大震災の日、看病してくれた桔平と地上に出ると、ハイヒールを履いたまま歩いて会社に戻ると言う由加利に、自分は近いからと言って履いてるスニーカーを脱いで渡してくれます。
遠慮してる由加利に、じゃあと言って立ち去る桔平に名前を尋ねると、少し間を置いて小出と答えました。
桔平を見送って振り返ると、目の前にあるビルの上には小出ビルと書かれていました。

連絡先を聞かずに別れた2人が同棲するようになったのは、由加利が駅で桔平を見かけて声を掛けたからでしたが、このときも人混みに中に消えそうな桔平に「小出さん、小出さん」と声を掛けても振り向いてもらえなかったのを思い出すのでした。

由加利は会社の同僚の綾子の叔父が探偵だと聞かされていたため、海原に身元調査を依頼します。
海原は情報が少なく日数も費用もかかることを伝えますが了承されます。
海原の調査は写真を持った聞き込みでしたが、これといった情報は掴めませんでした。

ある日、由加利がマンションに帰ると、集合ポストに耳を当て由加利の部屋のポストのダイヤルを回す、ゴスロリファッションの女がいます。
海原にそのことを話すとポストの張り込みをします。
するとゴスロリの女は再び現れ、覚えた番号でポストを開けると郵便物を確認して元に戻します。
海原が声をかけると、その女は後ろ回し蹴りを食らわし逃げますが、尾行の末アルバイト先の喫茶店を突き止めます。

ゴスロリ女は心葉といい、由加利と海原で喫茶店を訪れ、住居不法侵入で警察に届けてもいいんだぞと言うと、喫茶店の常連である桔平が姿を見せないのでやったと言います。
心葉によると桔平はノートPCで何かを執筆していて、風貌が芥川龍之介に似てたことから先生と呼び、元々は出会い系サイトで会ったと言い、半分ストーカー化してました。
由加利は桔平はノートPCなど持って無かったと言うと、心葉はどこかに隠してたと言います。
由加利は桔平に騙されてたことに怒って、持ち物を部屋にぶちまけたとき、コインロッカーのキーのような物を見つけたことを思い出すと、海原と心葉と共にコインロッカーに向かい鍵を開けると、ノートPCが入っていました。

ノートPCにはパスワードがかかっていたので、海原の助手の木村に解析させると「20100920」という日付を連想させるパスワードだと判明します。
パソコンを開くと700ページに及ぶ執筆中の小説が見つかりますが、内容はまだ途中で私小説のようでもありました。

小説は瀬戸内を舞台として灯台についても詳細な記述があることから、由加利は海原に一緒に行って欲しいと言いますが、該当する灯台だけでもかなりの数に上ると言い、まだ詳細な検討が必要であることから海原が拒否すると、由加利は1人で四国に向かいます。

由加利は当てもなく写真を持って訪ね回ると、疲れて一軒の小料理屋に辿り着きます。
酔っぱらった由加利は桔平の愚痴を言い、常連客の男性と仲良くなると、宿の予約もしてなかったためにお持ち帰りされそうになりますが、店のママのマサコの機転で店で寝かせてもらいます。
翌朝、由加利は酔っぱらって迷惑をかけた非礼をマサコに詫びると、常連客の男性が出勤前に寄ってくれ、写真の男性を見た覚えがあると言われます。

海原に目撃者が見つかったと電話して、来てほしいと頼むと由加利の執念に脱帽した海原が車で駆け付けます。
桔平の目撃情報を頼りにして聞き込みを続けますが、有力な情報には辿り着けません。
移動の合間に灯台も調べますが、小説の記述と合致しません。
聞き込みするための漁協がもうすぐ閉まってしまうため、調べるのを飛ばそうと思った灯台に立ち寄ると、由加利は小説の記述通り、灯台の下の岩場の穴から海苔缶に入ったおもちゃを見つけます。
おもちゃには桔平が欲しがっていたマジンガーZの超合金が入っていたことから、桔平の正体に近づいてるのを確信します。

その後、海原が港の漁師に聞き込みをすると、以前、漁協で働いていたトシという人物だと言われ、飲み会で撮った写メを見せられるとそこには桔平が写っていました。
海原は由加利に写真を見るよう促しますが、真実に近づくのが怖くなってきた由加利は気が乗りません。
由加利の態度に怒った海原は由加利を置いてどこかに行ってしまうのでした。

由加利は桔平との思い出を振り返り、真実を受け入れる覚悟を決めると、桔平が働いていたと思われる漁協を訪ねます。
するとそこには海原も待っていました。
桔平が漁協を辞めたあとの職場を教えてもらうと2人で向かいます。

漁協を辞めたあとの職場を訪ねていき、トシという名前を尋ねると応対してくれた人は怪訝な顔をします。
由加利と海原が顔を見合わせると、その人は「トシー」と呼んで「聞きたいことがあるらしいぞ」と言うのでした。
呼ばれた人が振り返ってこちらを見ると、桔平に似た別人でした。
他人の空似に振り回されていた由加利は激しく笑います。

由加利と海原が諦めて帰ろうとすると、そのトシという男性は「言おうか迷ったが」と言って、以前にも自分を訪ねてきた人がいて、それは広島県警だったと言います。
事件性を感じた海原は東京の木村に電話し、広島で起きた事件を調べるように言います。
特にパソコンのパスワードになっていた2010年9月20日の事件を調べるように言うと、1件の心中事件がヒットします。

新聞記事には母親が育児ノイローゼにより赤ちゃんを殺害し、直後に母親が事故死した事件が載っていて、そこに写っていた夫の写真は安田公平という名前の桔平でした。
由加利と海原は事件現場の公平の家を訪ねると、隣人から話を聞くことが出来ます。

隣人の話だと、傍目からは夫婦は幸せそうに見えたと言います。
ただ旦那さんは優秀な医師で、月の半分は家を空けることが多かったと言います。
奥さんは赤ちゃんを風呂に沈めて殺害したあと、道路に飛び出しトラックに轢かれて亡くなったとのことで、旦那さんはその後行方不明とのことでした。

話を聞いた2人は小説どおりに隠してあった玄関の鍵を見つけると部屋の中に入っていきます。
部屋に入ると奥さんと女の子の赤ちゃんと写る桔平の写真がありました。
小説では男の子になっていたので疑問に思う由加利ですが、桔平とのデートで夢を語ったときに、男の子の赤ちゃんが欲しいと言ったのを思い出します。
桔平は懺悔の小説を綴りながらも、由加利との未来も描いていたのでした。
桔平の思いを知った由加利は東京に戻ると、眠る桔平に瀬戸内に行ったことを報告し号泣するのでした。

時間は流れ、桜が咲く頃。
いつものように由加利が看病してると、桔平の指が微かに動きます。
由加利が桔平の名前を呼びかけると、ゆっくりと目を開き、涙を流して映画は終わります。

 

本作は上映時間118分のお話なんですけど、圧縮すれば60分くらいで収まっちゃうお話を映画的に情感たっぷりと撮ってる感じでしょうか。
それと合間に探偵・海原の元妻と娘のエピソードを挟んで話を伸ばしてるんですが、本編にはあんまり掛かってこない感じです。
映画としてのルックは悪くないと思いますが、新聞の社会面の一記事を広げたお話なのでストーリーとしては弱いです。
桔平の正体は何者なんだろう?という一点のみで最後まで見れますが、きっかけの事件が分かってしまうと「ああ、そういうことか」で終わってしまいます。

元の新聞の記事は1991年ですが、2人の出会いを東日本大震災の当日にしたり、ゴスロリ少女に後ろ回し蹴りさせたりして、映画のフックにはなってると思いますが、それだけで終わっていて奥行きが感じられず、この辺は広告的手法だなと思います。

前述したように作品のスケールとしてはコンパクトな印象なのですが、かなり前から予告編を流すなどPRに力を入れてる感じでどうしてなのだろう?と思ったんですけど、この作品がTSUTAYAが2015年に肝入りで始めた「TSUTAYA CREATORS’ PROGRAM」(通称TCP)の第一回のグランプリ企画だからなんですね。

芸術とエンタメを両方持ちあわせるようなものにしたい―「TSUTAYA CREATORS’ PROGRAM」グランプリ中江和仁氏インタビュー

TSUTAYAがこういうのを始めたのは知らなかったのですが、「TCPは映像作品の企画を募集するコンペ」ということで、脚本コンテストよりハードルが下がると思うので応募は増えて、変わった企画のタネは増えると思いますが、映画が成功するかはそれを脚本にどう仕上げるかでしょう。

ただ最終審査はプレゼンによるものなので、プレゼン力のある人が選ばれやすいのかな?と思いましたが、その辺は考慮されてるみたいです。

「TSUTAYA CREATORS' PROGRAM FILM 2016」カルチュア・エンタテインメント取締役 崔相基インタビュー - 映画ナタリー 特集・インタビュー
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本作の総評としては、予告編の「なんじゃこりゃ」と長澤まさみさんの震えるような「えっ」が上手かったのと、違ったバージョンの予告編で興味を引かせるPR的なものが上手かった感じがしました。

あ、あと海原探偵の助手の木村役のDAIGOさん
最初、栗原類さんの偽者かと思ったけど、これじゃ気づかない(笑)

声でDAIGOさんかな?と思いましたけど、顔見る限りDAIGOさん要素無かった(笑)

というか、人は髪型で作られるのだな、と。

鑑賞データ

TOHOシネマズシャンテ 1か月フリーパスポート 0円
2018年 16作品目 累計6700円 1作品単価419円

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