ニクソンが怖くてブン屋ができるか ☆3.5点
ニューヨーク・タイムズがスクープしたアメリカ国防総省のベトナム戦争を分析した記録、通称「ペンタゴン・ペーパーズ」を続けて報道したワシントン・ポストの2人を描いた作品。
監督はスティーヴン・スピルバーグ、主演にメリル・ストリープ、トム・ハンクス
予告編
映画データ
本作は2018年3月30日(金)公開で、全国281館での公開です。
予告編はまぁまぁ目にしましたかね。
トム・ハンクスの「Not yet」の台詞が印象的で、2016年のアカデミー作品賞を受賞した『スポットライト 世紀のスクープ』をイメージして観に行きました。
監督は巨匠スティーヴン・スピルバーグ
『シンドラーのリスト』と『プライベート・ライアン』でアカデミー監督賞を2度受賞してます。
監督作を映画館で見るのはトム・ハンクス主演の『ターミナル』以来でしょうか。
主演に名優メリル・ストリープ
『ソフィーの選択』と『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』でアカデミー主演女優賞を2度受賞してます。
近作は『未来を花束にして』『マダム・フローレンス! 夢見るふたり』を観てます。
主演に名優トム・ハンクス
『フィラデルフィア』と『フォレスト・ガンプ/一期一会』でアカデミー主演男優賞を2度受賞してます。
近作は『王様のためのホログラム』『インフェルノ』『ザ・サークル』を観てます。
共演にマイケル・スタールバーグ
近作は『ヒッチコック』『完全なるチェックメイト』『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』『MILES AHEAD/マイルス・デイヴィス 空白の5年間』『ドクター・ストレンジ』『メッセージ』『女神の見えざる手』『シェイプ・オブ・ウォーター』を観てます。
共演にジェシー・プレモンス
近作は『ザ・マスター』『ブラック・スキャンダル』『疑惑のチャンピオン』『バリー・シール/アメリカをはめた男』を観てます。
他に共演と配役は以下の通りです。
キャサリン(ケイ)・グラハム: メリル・ストリープ
ベン・ブラッドリー: トム・ハンクス
トニー・ブラッドリー: サラ・ポールソン
ベン・バグディキアン: ボブ・オデンカーク
フリッツ・ビーブ: トレイシー・レッツ
アーサー・パーソンズ: ブラッドリー・ウィットフォード
ロバート・マクナマラ: ブルース・グリーンウッド
ダニエル・エルズバーグ: マシュー・リス
ラリー・グラハム・ウェイマウス: アリソン・ブリー
ロジャー・クラーク: ジェシー・プレモンス
エイブ・ローゼンタール: マイケル・スタールバーグ
あらすじ
1971年、ベトナム戦争が泥沼化し、アメリカ国内には反戦の気運が高まっていた。国防総省はベトナム戦争について客観的に調査・分析する文書を作成していたが、戦争の長期化により、それは7000枚に及ぶ膨大な量に膨れあがっていた。
ある日、その文書が流出し、ニューヨーク・タイムズが内容の一部をスクープした。
ライバル紙のニューヨーク・タイムズに先を越され、ワシントン・ポストのトップでアメリカ主要新聞社史上初の女性発行人キャサリン・グラハム(メリル・ストリープ)と編集主幹ベン・ブラッドリー(トム・ハンクス)は、残りの文書を独自に入手し、全貌を公表しようと奔走する。真実を伝えたいという気持ちが彼らを駆り立てていた。しかし、ニクソン大統領があらゆる手段で記事を差し止めようとするのは明らかだった。政府を敵に回してまで、本当に記事にするのか…報道の自由、信念を懸けた“決断”の時は近づいていた。
(公式サイトhttp://pentagonpapers-movie.jp/about/より引用)
ネタバレ感想
公式サイトにストーリーが載ってないと思ったら、プロダクションノートが4記事で2万字オーバーと詳しくて読み応えがあり、これを見れば映画のことは全て分かると思います。
http://pentagonpapers-movie.jp/production_note/(2019年2月9日リンク切れ確認)
冒頭に『スポットライト 世紀のスクープ』をイメージして観に行ったと書きましたが、どちらかというとスクープを手に入れるまでではなくて、記事を掲載するかしないかで揺れる、株式上場を控えた女性社主の心情を描いた作品、といった感じでしょうか。
原題が「THE POST」ですからね。
メリル・ストリープ演じるキャサリン・グラハムのキャラクターが面白いですよね。
まずキャサリンはいつものメリル・ストリープが演じる強い女性という感じではありません。
お嬢様でセレブで交友関係は広いですが、父が買収したワシントン・ポスト社が、婿養子的な夫で優秀だったフィリップ・グラハムに引き継がれて経営されていたところ、夫の自殺によって自分が経営しなければならなくなります。
主に経営面では社主としてフリッツやアーサーといった取締役の声を聞きながら経営する一方、ジャーナリズムの面では発行人として編集主幹であるベンの意見を聞きながら決断を下さなければなりませんが、そのどちらにも精通しているとはいえないキャサリンの揺れる心情を、メリル・ストリープがものの見事に演じていたと思います。
そしてキャサリンを取り巻く環境で興味深いと思ったのが、ペンタゴン・ペーパーズの作成を指揮した張本人の国防長官ロバート・マクナマラが親友だったことです。
ニューヨーク・タイムズのスクープで世論が揺れるようなことを、数年も前から知っていたなんてと驚くキャサリンでしたが、掲載についての助言を求めに行きます。
http://pentagonpapers-movie.jp/news/2018/03/27/pentagonpapers0327/(リンク切れ確認)
劇中のキャサリンはかなり助言を聞くタイプで、『ニュースの真相』で突っ走ってしまったCBSのプロデューサー、メアリー・メイプスとは対照的だなと思いました。
ただ、助言は聞くけど、最後の決断は自らが下し、責任は取ると言うので、これは信頼されるリーダーだなと思いました。
実は鑑賞直後の満足感はあまり高くなかったんですよね。
『スポットライト 世紀のスクープ』や『大統領の陰謀』のように社会派ジャーナリズムの映画だと思っていたので頭が切り替わらなかったのですが、この作品は同じくメリル・ストリープが出演した『未来を花束にして』なんかと同じでフェミニズム的な要素が高い作品でした。
トランプ政権が誕生して、報道の自由が脅かされそうとのことで、スピルバーグが完成を急いだ作品とのことですが、#MeTooにも掛かってきますよね。
その目線で見ると、また評価が変わってきそうな作品なので、もう一度観たいと思いますが、3月は1日(パリ行き、ブラックパンサー、シェイプオブウォーター)と30日(ヴァレリアン、チャーチル、レッドスパロー、トレインミッション、ペンタゴン)とラッシュが続いているのでDVDが出てからかなぁ~。
それにしても2月に観たウォーターゲート事件のディープスロートを題材にした『ザ・シークレットマン』といい本作といい、現在の安倍政権はニクソン政権下に似てるなぁと思います。
劇中、マクナマラが「取り巻きが卑劣だ」と言いますが、「忖度」という概念は取り巻きから生まれるわけで、その取り巻きが忖度したことを隠そうとして、嘘ついたり改竄しちゃったりと卑劣なことをするので、そっくりだなぁと思います。
くすぶり続けてる経過も似てるなぁと思います。
朝日新聞はこの時のワシントン・ポストのようになれるのでしょうかね。
鑑賞データ
新宿ピカデリー SMTメンバーズ割引クーポン 1200円
2018年 59作品目 累計49400円 1作品単価837円
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