佐野勇斗のオタクっぷりが上手い ☆4点
2011年から2016年まで女性向け漫画雑誌「デザート」に連載された全12巻からなる那波マオの「3D彼女」の実写映画化。
超絶オタクで非モテの主人公に学校一の美少女ながら評判の悪いヒロインが半年間限定で交際を申し込んだことによる恋模様を描いたラブコメ。
監督は英勉、主演に中条あやみと佐野勇斗、共演に清水尋也、恒松祐里、上白石萌歌
予告編
映画データ
本作は2018年9月14日(金)公開で、全国288館での公開です。
配給はワーナー・ブラザース
ワーナーの邦画って劇場でよく予告編流すんで、本作の予告もよく目にしました。
予告からは「これぞスイーツ映画」という印象しか受けなくて、そんなに見る気もなかったんですが、予告の中条さん可愛いなと思いまして何となく観に行った次第です。
漫画原作の存在は知らず、今年の4月クールで深夜アニメ化されてたのも知らずでの鑑賞です。
監督は英勉(はなぶさ つとむ)さん
最近やっとこの字見て「えいべん」と読まなくなってきました。
昨年は『トリガール!』(興収1.66億円)『あさひなぐ』(興収5億円)『未成年だけどコドモじゃない』(興収6.7億円)と3本も公開されたんですけど、未成年~しか観てないです。
トリガール2億いかなかったのか、ヤバいな。
主演に中条あやみさん
近作は『セトウツミ』『チア☆ダン〜女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話〜』を観てます。
主演に佐野勇斗さん
近作は『ミックス。』『羊と鋼の森』を観てます。
共演に清水尋也さん
近作は『渇き。』『ハルチカ』『ミスミソウ』を観てます。
共演に恒松祐里さん
近作は『俺物語!!』『ハルチカ』『サクラダリセット 前篇/後篇』『散歩する侵略者』『虹色デイズ』を観てます。
共演に上白石萌歌さん
近作は『ハルチカ』『羊と鋼の森』を観てます。
他に共演と配役は以下の通りです。
五十嵐色葉: 中条あやみ
筒井光: 佐野勇斗
高梨ミツヤ: 清水尋也
石野ありさ: 恒松祐里
綾戸純恵: 上白石萌歌
伊東悠人: ゆうたろう
間淵慎吾: 三浦貴大
えぞみち(声): 神田沙也加
筒井充: 竹内力
筒井紀江: 濱田マリ
筒井薫: 荒木飛羽
書店員: 梅舟惟永
あらすじ
筒井光は2次元を愛する超絶オタクの高校3年生。両親と弟にも心配され、学校ではまったく存在感がないが、大好きなアニメ『魔法少女えぞみち』のヒロイン・えぞみちと、オタク仲間でネコ耳をつけた親友・伊東悠人のおかげで何とか生きのびていた。この日も伊東と「リアルに触れあわず2次元の中に生きよう」と話していたが、教師に呼び出された俺様系イケメンの高梨ミツヤに命令され、身代わりに職員室に向かうことになる。同じくそこに呼び出されていたのは、不良、ビッチ、男グセが悪い、女ウケが悪い、いいのは顔だけで性格は最悪……と噂される超絶美少女・五十嵐色葉。一緒にプール掃除をすることになった筒井は挙動不審になり、色葉とふたりでプールに落ちてしまう。ブレザーを脱ごうとする色葉に、筒井がさらに挙動不審になっていると、色葉は「筒井は呼びづらいから、つっつんでいい?恋とかした方がいいよ。何ならあたしがつきあってあげようか?」と、自分のペースで切り込んでくる。思わず激高するつっつんに、色葉は冗談のつもりだったと答えて去って行く。
後日、色葉に謝るために彼女のあとをつけて書店を訪れていたつっつんは、色葉が万引きの濡れ衣を着せられているところに遭遇する。勇気をふりしぼって色葉のアリバイを詳細に説明するが、逆にストーカーに間違われる始末。次こそはヘマをせずちゃんと謝ろうと練習するつっつんの前にあらわれた色葉は、「あたしとつきあって」と意外な言葉を口にする。しかも半年間の期限付きで彼氏になってほしいという突然の告白を受けたつっつんは、新手のイジメだと疑いながらも、交際をスタート。色葉から言われた「送り迎え」「守る」「一緒にごはん」「デートする」「プレゼント」「ちゅー」という彼氏の条件に応えようと、努力をする日々が始まった。けれども色葉に想いを寄せるミツヤからは身分が違い過ぎると、手痛い仕打ちにあってしまう。
つっつんはデートのプランを練るためにクラスのヒエラルキーの上位に属している石野ありさに助けを求めるが、交換条件はミツヤとのパイプ役になること。アドバイスを受けてデートに備えるが、色葉はつっつんの家に行きたいという。緊急事態に焦りまくるつっつんだが、家族は泣いて喜び、色葉は部屋に並べられたフィギュアに引くこともなく、『魔法少女えぞみち』を一緒に楽しんでくれるのだった。「この女の子、魔法が使えるんだね。いいなぁ……」筒井が初めてえぞみちを観た時と同じ感想をつぶやく色葉。初めて意見が合ってふたりの間に不思議な空気が流れる。こんな自分でも恋をしてもいいのかもしれない。そう思った直後、色葉へのプレゼントのために着ぐるみのバイトをしていると、色葉が主治医の男性と楽しそうに話しているところを見かけてしまう。
翌日「かぶれがひどくて触るとうつるから」という謎のメールを送って色葉を避けたつっつんは、校舎裏の菜園で自分と同じような雰囲気を持つ1年生の綾戸純恵に出会う。愛するアニメの話を早口でまくし立てて盛り上がるふたり。それを見てジェラシーを感じる色葉。そんな中、リアルのややこしさに疲れたつっつんはミツヤに「彼女とは別れます」と告げに行くが、思いっきり殴られて気を失ってしまう。脳の診察をしてくれた医師は、いつか色葉が一緒にいた男性・間淵慎吾だった。このケンカをきっかけに、色葉、つっつん、伊東、綾戸、ミツヤ、石野は距離を縮めるが、みんなで出かけたキャンプではそれぞれの気持ちが交錯していく。
そして、色葉とつっつんが交際を初めて半年がたったハロウィンで、突然「私のことは忘れて」と言い残し、色葉はつっつんの元から去ってしまう。それから5年。失意のつっつんは、ふたりの思い出の場所で、偶然色葉と再会するが―。
(公式サイトより引用)
ネタバレ感想
少女漫画原作で主題歌が西野カナっていうスイーツ映画の王道中の王道のような作品だと思ったんですけど、意外や意外面白かったです。
まず、佐野勇斗さん演じるつっつんのオタク描写がいいんですな。
眼鏡っ子で一人でぶつぶつ喋るって、ちょっと『桐島、部活やめるってよ』の前田役の神木隆之介さんを彷彿させる感じなんですけど、ルックス的にも似てる感じです。
オタクなんで独り言を言ってても違和感ないですし、それによって状況説明出来たり、セルフツッコミ出来たり、普通の映画ならマイナスになりそうなところがプラスにできるんですよね。
つっつんが書店で万引きと勘違いされた色葉を庇うところなんかも面白くて、学校から色葉をずっと尾行してた経緯から、「何時何分の急行新宿行きに乗って~」と行動履歴を全て把握していてボソボソと一気に喋ります。
店員からはストーカーと勘違いされますが、色葉にはそのオタクっぷりが功を奏します。
それで、つっつんは自宅に帰ると大好きなアニメ「魔法少女えぞみち」で満たされてるんですが、自分の部屋で独り言を言ってると、葛藤するつっつんの心の声としてアニメ合成でえぞみちが出てきます。
えぞみちの「~~べさ」という語尾とアナ雪の吹替版で評判がよかった神田沙也加さんの声で、色々ツッコんでくれるのがまた楽しいんです。
ワーナー作品で実写とアニメの合成といえば『スペース・ジャム』や『ルーニー・テューンズ:バック・イン・アクション』を思い浮かべますが、そういう楽しさがあります。
色葉とデートすることになったつっつんは、ありさのアドバイスを受けて色々デートプランを練りますが、結局つっつんの家に行くことになります。
つっつんの両親は息子が可愛い娘を連れてきたことに喜び、豪華な料理を振る舞いますが、色葉がつっつんの部屋を見たいと言うと、つっつんのえぞみちオタクがバレるのを全力で阻止しようとします。
それでこのシーンは完全な『マトリックス』のパクリなんですが、その前にアニメ合成が出てきてるので、もう何でも許せちゃう気になります。
中盤になってオタク女子の純恵が出てくると、それぞれの恋が交錯する展開になりますが、ここはあんまり要らなかった気がします。
具体的には
色葉と純恵と悠人(なんと!)⇒つっつん
高梨⇒色葉
ありさ⇒高梨
という感じで交錯しますが、最終的には
つっつん=色葉
高梨=ありさ
悠人=純恵
となります。
そしてハロウィンの時期が訪れると、色葉が告白するときにさらっと言ってた「半年間だけ付き合って」が現実になります。
何で色葉が半年間と言ってたかというと、色葉は脳に病気があり海外で手術を受ける予定で、手術によって高確率で記憶が失われる可能性があるからなんですが、この辺の展開は今年公開された『50回目のファーストキス』(記憶障害)と同じですな。
昨年末には『8年越しの花嫁 奇跡の実話』(抗NMDA受容体脳炎)とか。
古くは『私の頭の中の消しゴム』(若年性アルツハイマー)
というか消しゴムは元々、日テレドラマ「Pure Soul〜君が僕を忘れても〜」のリメイクだったんですね。
というか今クールでやってるTBSドラマ「大恋愛〜僕を忘れる君と」(若年性アルツハイマー)も同じなのか。
とにかくそういう感じです。
5年ぶりに色葉に偶然会ったつっつんは、そこに現れた間淵慎吾から病気のことを聞かされ、色葉が突然姿を消した理由を知ります。
また、2人が結婚することも聞かされますが、これ『2重螺旋の恋人』と同じ転移性恋愛じゃないかしら?
担当医師という立場を利用して結婚しようとするブラック三浦貴大が顔を出すんですが、これに納得できない高梨、ありさ、悠人、純恵は2人の結婚式に乗り込むと色葉との思い出を語り、御祝儀代わりに箱を渡します。
箱の中にはえぞみちのフィギュアに付いていた魔法の杖が入っています。
これはかつてキャンプに行ったときにつっつんが色葉にえぞみちのフィギュアをプレゼントしたものの、杖だけ折れてしまっていて、後で直して渡すと約束したまま渡せなかったものです。
記憶を失った色葉は何か分からないもののフィギュアだけは大切に持っていて、魔法の杖を見た途端に式を飛び出してつっつんの元に向かうんですが、これは初めてつっつんの家に行ってえぞみちのフィギュアを見ながら「この女の子、魔法が使えるんだね。いいなぁ……」と呟いた伏線の回収で、魔法の杖で魔法がかかってつっつんのことを思い出したんだと思います。
というわけで晴れてつっつんと色葉は結ばれてハッピーエンドで映画は終わります。
本作の原作漫画は全12巻だそうですが、『愛しのアイリーン』や『響-HIBIKI-』のときにも書いてますが、漫画原作を2時間の映画にするには全6巻くらいが個人的にはちょうどいい感じがするんですが、その分本作はラストがやや忙しい感じです。
原作漫画も12巻目で一気に7年後に飛ぶようですが、きっとそれまでに丁寧にエピソードを重ねて描いてるため、最終巻での一気の展開が感動を生むんだと思うんですが、映画ではそこまでには至らない感じです。
ただ漫画では、色葉がつっつんのことを思い出すのは大仏のキーホルダーのようなので、それをえぞみちの魔法の杖にしたのは上手い改変だと思います。
漫画の絵の雰囲気なんかを見ても、映画の方がえぞみちを前面に押し出し、オタク色強めにコミカルに仕上げてるようなので、その辺も上手かったと思います。
しかし、本作も288館スタートなのに初週ランキングで10位以内に入れず、コンテンツ受難の時代ですね。
まぁ、明らかにコンテンツ過多な時代なんですが、個人的には今年からネット配信コンテンツが劇場コンテンツをハッキリと脅かし始めた気がします。
鑑賞データ
ヒューマントラストシネマ渋谷 TCGメンバーズ ハッピーフライデー 1000円
2018年 150作品目 累計129600円 1作品単価864円
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