結果的にパチンコブームを作った人でもあるんだなぁ ☆4点
白夜書房で「写真時代」や「パチンコ必勝ガイド」の編集長だった末井昭の自伝「素敵なダイナマイトスキャンダル」の映画化。
監督は冨永昌敬、主演は柄本佑、共演に前田敦子、三浦透子、尾野真千子
予告編
映画データ
本作は2018年3月17日(土)公開で、全国27館での公開です。
今後順次公開されて、最終的には50館での公開となるようです。
昨年末くらいからテアトル新宿に行く度に予告編は目にしていて面白そうだなと思ってました。
監督は冨永昌敬さん
近作は『南瓜とマヨネーズ』を観てます。
『南瓜とマヨネーズ』で、すごい上手い監督さんだと思って、アマゾンプライムで『ローリング』が無料だったので見てみましたが、こちらも面白かったですね。
主演は柄本佑さん
近作は『GONIN サーガ』『追憶』を観てます。
共演に前田敦子さん
近作は『さよなら歌舞伎町』『イニシエーション・ラブ』『モヒカン故郷に帰る』『シン・ゴジラ』『武曲 MUKOKU』『散歩する侵略者』『探偵はBARにいる3』を観てます。
共演に尾野真千子さん
近作は『探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点』『ニシノユキヒコの恋と冒険』『エヴェレスト 神々の山嶺』『後妻業の女』『ミュージアム』『ナミヤ雑貨店の奇蹟』を観てます。
他に共演と配役は以下の通りです。
末井昭(ゴンゾーロ): 柄本佑
牧子(妻): 前田敦子
笛子(愛人): 三浦透子
近松(友人): 峯田和伸
諸橋(警察): 松重豊
重吉(父): 村上淳
富子(母): 尾野真千子
中崎(同業編集者): 中島歩
青島(同業編集者): 落合モトキ
ユーコ(ピンサロ嬢): 木嶋のりこ
かすみ(モデル): 瑞乃サリー
長野(ピンサロ店長): 政岡泰志
荒木さん(アラーキー): 菊地成孔
真鍋のオッちゃん(女衒): 島本慶
礼司(母の心中相手): 若葉竜也
佐々岡(ラブドール職人): 嶋田久作
あらすじ
1955年 母・富子、隣家の息子とダイナマイト心中
1966年 工場に憧れ、田舎を飛び出すも、工場に絶望し、3か月で退社
父の出稼ぎ先の工場に就職
父に嫌気がさしアパートを出る。下宿先で牧子に出会う
1967年 デザインの仕事に興味を抱き、雑誌「デザイン批評」を読みふける毎日
学生運動の煽りでデザイン学校が閉鎖
「作画会」に就職。デザインの話ができる友達・近松と出会う
キャバレー「クインビー」入社、看板やチラシ、オブジェなどを作るが不評
情念が爆発し、ストリーキング
池袋ピンサロ「クラウン」で看板描き
1971年 エロ雑誌の仕事を始め、仕事仲間と喫茶「マジソン」にたむろする
1975年 「NEW self」創刊、キャッチフレーズは「立て!男のエキサイト・マガジン」
猥褻文書販売容疑。オ〇ンコが36箇所!「NEW self」発禁
1977年 「ウィークエンドスーパー」創刊、写真家・荒木さんと出会う
新入社員の笛子に恋する
「ウィークエンドスーパー」廃刊
1981年 「写真時代」創刊
ダッチワイフの紹介記事で、メーカーからクレーム
「写真時代」大ヒット!30万部に
警視庁より呼び出し、出頭し始末書提出
「写真時代」発禁
1988年 そして「パチンコ必勝ガイド」創刊へ…
波乱(!?)の人生は続く(公式サイトより引用)
ネタバレ感想
自分の中では末井昭さんはゴンゾーロ末井で「パチンコ必勝ガイド」の人だったので、エロサブカル雑誌の編集長だったなんて全く知りませんでした。
よく考えるとパチンコ攻略雑誌と共にパチンコブームがきたので、サブカルからパチンコブームを牽引した人で凄い人なんですね。
今、ちょっと調べたらWeb小説で連載してたんで、これ見たら詳しく書いてありますね。
途中で終わってますけど。
映画はストーリー的にはそんなに面白くなかったです。
基本、末井さんの自伝なので。
お母さんがダイナマイト心中したのはインパクトありますけど、最初に出てくるんで出オチ感が否めません。
それよりか映画館に末井さんのインタビュー記事の切り抜きが貼ってあったんですけど、ダイナマイトで魚を獲ってたって、そっちの方が面白そうですね。
「流れる雲のように」の第3話にも書いてありますけど、子供の頃の話の方が面白そうです。
「たけしくん、ハイ!」とか「菊次郎とさき」みたいに連ドラにした方が面白そうですが、地上波だと「オメコした」は憚られるか(笑)
劇中でも「母親のダイナマイト心中が売りなんだね」と言われるんですけど、人によっては封印したい過去かもしれないわけで、それをサラッと言えるのはすごいなと思うんですけど、きっとデザインや編集の仕事をするにあたり、人脈作りには役に立ったのではないかと思います。
仮に名前を憶えてもらえなくても、「母親がダイナマイト心中した彼だよ」とか、枕言葉のようになって周囲の人々の間で語られたと思うので、きっと印象に残りやすいと思います。
当初、末井青年が憧れたグラフィックデザインの世界は、横尾忠則とかだったと思うんですよね。
劇中は「情念のようなアート」とか「情念」という言葉がしばしば登場するんですが、映画内では出身地が分かりませんでしたが、調べたら岡山だそうでなるほど!と思いましたよ。
まず母親のダイナマイト心中からして、「津山30人殺し」的な土着的な事件ですよね。
「結核」や「夜這い」というキーワードで繋がりますし、横溝正史の金田一耕助シリーズも岡山を舞台にした作品が多いです。
1955年(昭和30年)の岡山が舞台だと『悪魔の手毬唄』なんかがそうです。
鑑賞中は、末井青年はなんで情念と言ってるのだろう?と思いましけど、末井さんのバックボーンにあるんですね。
なので横尾忠則のような前衛アートに憧れた青年が、エロ・サブカル・アングラ方面に進んだのも必然な気がして、特に土着的なこととエロは結びつきが強いと思います。
お母さんの爆発が70年代80年代のエロ・サブカルを牽引した側面もあるわけで、結果的に爆発心中という派手な死は母親から末井青年への贈り物になってる気がしました。
ニュースで「わいせつ図画頒布等で逮捕」と見ると、随分と悪いことした気がしますが、わいせつを巡る警察との丁々発止はコメディタッチで描かれます。
松重豊さん演じる警察の担当係長が「オマ〇コの文字が36箇所、ダメだよ~」とか「毛が写ったらまずいからって、剃ったってダメだよ~、毛があったトコ写ってちゃ」とかのやり取りが描かれるんですが、わいせつの基準が曖昧なんで編集者ものらりくらりしてます。
「写真時代」は発禁になりましたけど、結果、1991年には樋口可南子さんがヘアヌード写真集出しちゃうんだから、警察の基準もよく分かんないです(笑)
ストーリー的にはあまり面白くないと書きましたが、それはダイジェスト的な側面があるからで、一つ一つのエピソードはもっと掘り下げれば面白くなると思います。
長くなると思いますけど。
そういう意味で映画よりドラマの方がいいと思うのですが、映像的なことや演出面はとてもよかったと思います。
ロケハンは大変だっただろうなと思うんですが、70年代80年代の雰囲気がよく出てたと思います。
音楽も当時の感じがしてよかったですね。
昭和にどっぷり浸かれた気がします。
それにしても久しぶりに邦画でち〇こ、ま〇こ連呼する作品を観たなと思いました(笑)
洋画では昨年『お嬢さん』がありましたけど。
と思いましたら、邦画でも昨年『アンチポルノ』がありましたね。
それにしても末井さんのツイッター見てたら、ダイナマイト心中したときの担任の先生が映画見たって凄いですね。
母親がダイナマイト心中したときの小学校の担任だった小林定子先生から電話があった。今年95歳、お元気な様子で、昨日岡山のシネマクレールで「素敵なダイナマイトスキャンダル」を観てくれたそうだ。佑くんが僕に似ていて、末井くんと会っているようでそれだけでも嬉しかったとおっしゃっていた。涙
— 末井昭 (@sueiakira) 2018年3月21日
先生32歳のときかぁ。
あ、あと隣家の息子と行方不明って、現在話題になってる電波子17号みたいでタイムリーだなと思いました。
これテレビでもやり始めちゃったから、どうなるんだろう?
鑑賞データ
テアトル新宿 TCGメンバーズ ハッピーチューズデー 1000円
2018年 47作品目 累計37600円 1作品単価800円
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