南瓜とマヨネーズ 評価と感想/私には自分がない

南瓜とマヨネーズ 評価と感想
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あなたのためは、自分のため ☆5点

1998年から99年にかけて月刊漫画雑誌「CUTiE Comic」に連載されていた魚喃キリコの同名漫画の実写映画化。
監督は冨永昌敬、主演は臼田あさ美、共演に太賀とオダギリジョー

予告編

映画データ

南瓜とマヨネーズ (2017):作品情報|シネマトゥデイ
映画『南瓜とマヨネーズ』のあらすじ・キャスト・評価・動画など作品情報:「strawberry shortcakes」などで知られる魚喃キリコのコミックを、『ローリング』などの冨永昌敬監督が実写映画化。
南瓜とマヨネーズ : 作品情報 - 映画.com
南瓜とマヨネーズの作品情報。上映スケジュール、映画レビュー、予告動画。漫画家・魚喃キリコの代表作を「ローリング」の冨永昌敬監督、臼田あさ美主演で実写映画化。ミュージシャンを目指す恋人せ...

本作は2017年11月11日公開で全国18館での公開です。
来年1月まで順次公開され、最終的には71館ほどでの公開となるようです。

公開時、東京では新宿武蔵野館とMOVIX昭島の2館のみで、ヤフー映画の評価点では3.42点(2017年12月8日現在)とそんなに高くないんですが、水曜サービスデーに観ようと思って新宿武蔵野館のオンラインチケットを予約しようとすると完売してることが多くて気になってた作品です。

武蔵野館で予告も見たことがなく、原作も監督も知らずでの鑑賞です。

監督は冨永昌敬さん
名前の字面は見た感じもするんですが、これまで作品を見たことがありません。

2013年のテレビ東京の深夜ドラマ「ノーコン・キッド 〜ぼくらのゲーム史〜」は見てて、7話と9話を演出してるようなので、映像作品に触れたのはこれくらいだと思います。
監督作を見るとだいたい脚本も手掛けていて、作品の上映時間も90分~100分で収めているので凄いなと思います。
本作も93分の作品です。

主演は臼田あさ美さん
近作は『愚行録』を観てます。

共演に太賀さん
近作は『淵に立つ』『追憶』を観てます。

共演にオダギリジョーさん
近作は『リアル~完全なる首長竜の日~』『渇き。』『オーバー・フェンス』『湯を沸かすほどの熱い愛』『エルネスト』を観てます。

他に共演と配役は以下の通りです。

ツチダ: 臼田あさ美
せいいち: 太賀
田中: 浅香航大
寺尾: 若葉竜也
川内: 大友律
可奈子: 清水くるみ
尚美: 岡田サリオ
安原: 光石研
ハギオ: オダギリジョー

あらすじ

ライブハウスで働くツチダは同棲中の恋人せいいちがミュージシャンになる夢を叶えるため、内緒でキャバクラで働きながら生活を支えていた。一方で、自分が抜けたバンドがレコード会社と契約し、代わりにグラビアアイドルをボーカルに迎えたことに複雑な思いを抱え、スランプに陥っていたせいいちは、仕事もせず毎日ダラダラとした日々を過ごす。そんなとき、ツチダはお店に来た客、安原からもっと稼げる仕事があると愛人契約をもちかけられる。

ある晩、隠していた愛人からのお金が見つかってしまい、ツチダがその男と体の関係をもっていることを知ったせいいちは働きに出るようになる。そして、ツチダが以前のようにライブハウスだけで働きはじめた矢先、今でも忘れられない過去の恋人ハギオ(オダギリジョー)が目の前に現れる。蓋をしていた当時の思いが蘇り、過去にしがみつくようにハギオとの関係にのめり込んでいく。

(公式サイトhttp://kabomayo.comより引用)

ネタバレ感想

東京では11月25日からシネマカリテでも上映するようになって、公開から4週経った水曜サービスデーで観ることができましたが、この回も完売してました。
そして女性の観客が多かったです。
7:3か8:2で女性客といった感じでした。

漫画原作のこととかは全く知らなくて、魚喃キリコさんの名前は見たことありましたが、調べたらネットフリックスで『ストロベリーショートケイクス』を見たことがありました。

この作品では原作者の魚喃キリコさんも岩瀬塔子という芸名で出演されていました。
そして物語も好きな作風でした。

本作のストーリーは公式サイトにあるまんまで、何か取り立てて大きなことが起きるわけではありません。
台詞もそれほど多くなく、間がある静かな映画でしたが、映画のルックが非常によかったです。
劇伴なんかも全く付いてなかったんじゃないかな。

「南瓜とマヨネーズ」冨永昌敬監督×太賀が紡いだ原作者・魚喃キリコへのアンサー : 映画ニュース - 映画.com
ありふれた日常が続くこと、それは奇跡だ――漫画家・魚喃キリコ氏の代表作「南瓜とマヨネーズ」で描かれる女1人と男2人の恋模様は“穏やかな波乱”を巻き起こしながら“爽快な敗北”へと続いていく。原作漫画への情熱を実写化という形で昇華させた鬼才・冨

男性目線からすると序盤から映像はキャッチ―です。
ツチダが勤めるキャバクラがタンクトップにホットパンツのフーターズっぽかったり、愛人契約する安原に体操服着せられたり競泳水着着せられたりして、演じる臼田あさ美さんを堪能できます。

ツチダはせいいちに「私が稼ぐから、せいちゃんは曲作りに専念して」と事あるごとに言いますが、半ば脅迫めいたものも感じましたね。
映画『ミザリー』みたいな。

スランプもあってすることが無いせいいちは一日中家にいてトイレのドアに棚作っちゃったりするんですが、ここが最初に笑えました。
曲作りするにしても外に出てインプットすることが無いので、アウトプット出来ないんじゃないかと思ったんですよね。

ツチダは自分が無いですよね。
キャバクラ勤めた初日に常連客に胸を触られますが、あしらう訳でも怒る訳でもありません。
金持ち客の安原にいいバイトがあると言われると、のこのこホテルについていってしまう始末、流されるまま。
ハギオにも事あるごとに「お前、俺のこと好きだからな」って言われてて、見透かされてます。
ハギオの子を妊娠・中絶してたことも再会してから言います。
おまけに1万円貸してくれと言うハギオに2万円を渡してしまう、ああ。

ライブハウスで働いてることから、バンギャっていうかサブカル界隈でウロチョロしたいタイプなんだと思います。
共感は出来ないけどいますよね、こういう人、わりと多い。
先日観た『火花』なんかでも、結果的に木村文乃さん演じる真樹が風俗に勤めてて神谷を支えてました。

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でもヌルい環境にいた神谷は、結局何も生み出せなかった。せいいちも同じです。

ていうか、せいいちも神谷も同じタイプですね。
大衆に迎合する音楽や漫才はクソって思ってて、独自のスタイルを貫くタイプ。

ツチダとせいいちは共依存の関係ですよね。
お互いが寄りかかってるので前に進めない。
結果的に愛人稼業がバレてせいいちが昼夜問わず働くようになると、せいいちは回り始めます。
ツチダはせいいちに寄りかかれなくると、ハギオに寄りかかろうとします。
でもハギオはしっかりした壁みたいのじゃなくて、ふにゃふにゃなんですよね、くるまるのは気持ちいいだろな、と。

あと、そういえばツチダは家に帰ってくると「せいちゃん、今日、何してた?」って聞くじゃないですか。
1日家にいるせいいちにそれ聞くの酷だろうと思ったんですが、今クールの日本テレビのドラマ「奥様は、取り扱い注意」でも、西島秀俊さん演じる旦那さんが帰ってくると、奥さんにそれ聞いてて怖いなと思ったんですよね。

本作の持つ、空虚感というかヒリヒリした感じもいいですよね。
愛人とのベッドシーンとかを描かないことによってドライに徹してます。
後半、せいいちが出ていってツチダ一人になったときの空虚感と無音はなんかホラー映画観てる感じもしました。

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せいいちと別れ、ハギオとはもう会わないと自分から決め、黙々とライブハウスで働いてたら、曲が出来たせいいちにも会えて、ツチダもようよく自分の2本の足で前に進みだせた、そんな感じの映画でした。

鑑賞データ

シネマカリテ 水曜サービスデー 1000円
2017年 200作品目 累計215200円 1作品単価1076円

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