ミュージックビデオ的なセンスが光る良作 ☆4.5点
2012年から2017年まで「別冊マーガレット」に連載された水野美波の同名漫画の実写映画化で主人公である男子高校生4人の恋と友情を描いた作品。
監督は飯塚健、主演に佐野玲於、中川大志、高杉真宙、横浜流星
予告編
映画データ
本作は2018年7月6日(金)公開で、全国316館での公開です。
制作・配給は共に松竹です。
本作はかなり前、昨年の9月~10月頃から劇場で特報的な予告編が流れていて、随分、力入ってるなぁと思っていたので観に行きました。
製作は、製作委員会方式で(松竹、LDH JAPAN、木下グループ、ローソン、GYAO、集英社)となっています。
もちろん漫画原作の存在も知らず、テレビアニメ化されてたのも知らずでの鑑賞です。
監督は飯塚健さん
初めましての監督さんです。
井上和香さんの旦那さんなんですね。
「笑う招き猫」のドラマは数話見たんですけど、あまり好きになれなかったんですよねぇ。
「荒川アンダー ザ ブリッジ」が一番有名だと思いますけど、見たことありません。
主演に佐野玲於さん
GENERATIONS from EXILE TRIBEのメンバーだそうですが、初めましてです。
主演に中川大志さん
近作は『坂道のアポロン』を観てます。
主演に高杉真宙さん
近作は『渇き。』『PとJK』『散歩する侵略者』を観てます。
主演に横浜流星さん
トッキュウジャーの方だそうですが初めましてです。
最近ドラマでよく目にする志尊淳さんもトッキュウジャー出身なんですね。
共演に滝藤賢一さん
近作は『愛の渦』『るろうに剣心 京都大火編』『るろうに剣心 伝説の最期編』『予告犯』『テラフォーマーズ』『SCOOP!』『関ヶ原』『孤狼の血』を観てます。
他に共演と配役は以下の通りです。
なっちゃん(羽柴夏樹): 佐野玲於
まっつん(松永智也): 中川大志
つよぽん(直江剛): 高杉真宙
恵ちゃん(片倉恵一): 横浜流星
杏奈(小早川杏奈): 吉川愛
まり(筒井まり): 恒松祐里
ゆきりん(浅井幸子): 堀田真由
千葉ちゃん(千葉黎子): 坂東希
筒井昌臣: 山田裕貴
田渕先生: 滝藤賢一
あらすじ
なっちゃん(佐野玲於)&まっつん(中川大志)&つよぽん(高杉真宙)&恵ちゃん(横浜流星)は、性格も趣味もちがうけど、いつも一緒な仲良し高校2年生。学校でも放課後でも、みんなで楽しい毎日を過ごしていた。ある日、恋に奥手のなっちゃんが同級生の杏奈(吉川愛)に片想い!連絡先も交換できないなっちゃんを冷やかしながらも応援する仲間たち。そんな彼らにも変化があらわれ…。
まっつんは杏奈の親友で男嫌いのまり(恒松祐里)に惹かれ始め、つよぽんは恋人のゆきりん(堀田真由)と離れての進学に思い悩む。そして、みんなに刺激された恵ちゃんのハートにも火がついて…?!悩みながらもお互いを励まし、本当に大切なものを見つけようと奮闘する4人。春夏秋冬が過ぎ、3年になった彼らにも、卒業という終わりの時間が近づいてくる。そして迎える最後の文化祭…
それぞれの想いを胸に、彼らが選ぶ未来とは──?(公式サイトより引用)
ネタバレ感想
本作は、日本映画史上初となる「4人共に主演」のカルテット主演映画だそうですけれど、製作にLDH JAPANが入っているので、ストーリー的にもそうなんですが、佐野玲於さんが主役って感じでなっちゃんを中心にして話が回る感じです。
主人公4人は特に部活とかに入ってなくて、全国大会を目指すとか、そういう大それた青春は描かれません。
田舎の高校生の帰宅部のユルい青春が等身大で描かれるので、見る人にとって最大公約数的に共感ポイントがあるんじゃないかと思います。
自分は高校時代、帰宅部だったので、ただ「ダべるだけの青春」に共感ポイントありまくりでした(笑)
ちなみに『セトウツミ』は「喋るだけの青春」(ドラマ版は高杉さん主演)でした。
仲良し4人組のうち、彼女がいるのはつよぽんのみでオタク気質でコスプレの趣味などが合うゆきりんとラブラブです。
まっつんと恵ちゃんは女子たちに大人気ですが、これといった意中の相手はいません。
ただつよぽんのラブラブ具合を見てて、そろそろ彼女か欲しくなってきた2人です。
なっちゃんには杏奈という意中の相手がいて、自転車通学のなっちゃんは電車通学の杏奈と偶然を装って、学校の最寄り駅からの登校時間を合わせます。
杏奈もまんざらではなさそうでなっちゃんと駅で会うのを楽しみにしてます。
奥手のなっちゃんは3人に相談すると、思い切って告白するよう後押しされて、休み時間に杏奈の教室に向かいますが、呼び出してもらおうとすると、杏奈の親友まりに阻まれて…というお話です。
中盤くらいまでは、なっちゃんと杏奈の間を執拗に裂こうとするまりの様子が描かれて、今どきの恋愛モノらしく、まりがレズビアンの設定なのかな?と思いましたが、そうではなくて、ただ単純にまりは孤独で杏奈しか親友がいなく、なっちゃんに取られちゃうのが嫌なだけでした。
この辺の孤独はまりの兄の昌臣も登場させて描かれてましたが、正直、まりのそこまでする頑なさは伝わり辛かったと思います。
一方まっつんは、なっちゃんと杏奈の仲を引き裂こうとするまりを窘めるうちに、まりのツンギレなところや孤独を知り、惹かれていくという展開で、なっちゃんと杏奈、まっつんとまりの恋模様が同時に描かれていきます。
学校が夏休みに入ると、なっちゃん、まっつん、恵ちゃんの落第問題が勃発します。
この3人は頭が悪く、追試をクリアしないと落第すると田渕先生に言われ焦ります。
つよぽんはオタクながらも秀才なので、まっつんたちはつよぽんの家でゆきりんも交えて勉強を教えてもらいます。
また、なっちゃんは杏奈がよく本を読んでいるのを思い出して、一緒に教えてくれるよう頼むと快諾してくれます。
こうして最初は、なっちゃん、まっつん、恵ちゃん、つよぽん、ゆきりん、杏奈のグループ交際みたくなります。
3人は追試をクリアして落第を免れると、2学期になります。
なっちゃんは2学期になると杏奈を誘うときに、気を使ってまりも一緒に誘うようになります。
まりは相変わらず杏奈以外には心を開きませんでしたが、杏奈のお目付け役としてグループに関わっていくようになります。
しかしまりも、ゆきりんのおおらかさや何かと絡んでくるまっつんに触れるうちに、心の奥底では徐々に変化を見せ始めます。
こうしてグループ交際がいい雰囲気になった2学期も終わるクリスマスの日に、ちょっとした事件が起こります。
その日グループは、つよぽんの家でクリスマスパーティーを企画しますが、まりにだけ若干集合時間を遅らせて伝えます。
実はなっちゃんの提案で、誕生日が年末で冬休みになるため、いつも祝ってもらえないであろうまりのために、サプライズ誕生日パーティーを企画していました。
まりが遅れて現れると、皆でハッピーバースデーと書かれたケーキを用意して祝福します。
杏奈はまりになっちゃんの提案であることを明かし、なっちゃんに買い物に付きそってもらって用意した誕生日プレゼントを渡します。
しかし、まりはそれを素直に受け取ることが出来ず、家を飛び出してしまいます。
まりは自分の誕生日プレゼントを買ってるとは知らずに、杏奈となっちゃんが仲良さげに買い物してるのを見てて嫉妬してました。
ただでさえこじらせてるのに、サプライズにうまく対処できるはずも無く、恥ずかしいやら嬉しいやらで色々テンパって飛び出してしまったという訳です。
サプライズされてうまく返せるのはリア充だけですな。
皆が慌ててまりを探しに行く中で、ケーキに刺されたロウソクの火を冷静に消していくつよぽん好き(笑)
結局、まりは横断歩道橋で黄昏れているところをまっつんに発見されます。
まっつんはまりの兄の昌臣から話を聞いてたので、まりの孤独を知ってます。
まりは自分を必要としてくれるのは杏奈しかいないのに、なっちゃんたちと出会って変わってしまったと嘆きます。
まっつんはまりにキスをすると、まりを必要としてるのは杏奈だけではないと言い、スマホに登録されていた女子たちの連絡先を消去して自分の決意を示します。
なっちゃんはまっつんからまりが見つかったとメールがきて安堵します。
実はなっちゃんは体調不良で寒空の中、まりを探しててフラフラでした。
ちょうどそこへまりを探していた杏奈も合流すると、まりが見つかったと伝えます。
2人は安心して帰ろうとしますが、高熱でフラフラになったなっちゃんはよろけた際に杏奈にキスしてしまうのでした。
冬休みが明けて、三学期。
クリスマスを境にして、なっちゃんと杏奈、まっつんとまりの関係が微妙に変化していきます。
まっつんはまりに決意表明してるので、まりを孤独にしないように「まりっぺ」と言って、ズケズケとまりの領域に踏み込んでいきます。
まりは相変わらず抵抗しますが、喧嘩するほど仲がいいみたいな状態になっていきます。
一方、なっちゃんと杏奈は、なっちゃんがクリスマスにキスしたことを覚えていないことでギクシャクしていきます。
杏奈はクリスマスのことを覚えてるかと聞くと、覚えて無いと言われます。
杏奈は大事なファーストキスなのに覚えてないなんてと心の中で憤慨しますが、「オレ、何かした?」と聞くなっちゃんに、何も無かったと答えますが怒ってるのは明らかでした。
その様子を見たなっちゃんは「オレ、何かしたんだ」と思い、消極的になって杏奈を避けてしまうという訳です。
本作は男4人に女3人なので、男1人余る訳ですがここで恵ちゃんの出番になります。
なっちゃんと杏奈の仲が進展しないことに業を煮やした恵ちゃんが、杏奈を狙いに行く宣言をすると、まっつんと喧嘩になります。
ここでは、はっきり言って恵ちゃんの真意は分かりませんでしたが、後からキャラクターの人気投票第2位なのも頷けました。
高3の春、文化祭。
高校3年生は夏休み以降、受験モードになりますから、甘い高校生活はここまででしょう。
いつまでもうじうじしているなっちゃんに、まっつんとつよぽんが後押しすると、なっちゃんは「文化祭は杏奈と2人で回らせて欲しい」とまりに言います。
この頃になるとまりも頑なさが解け、「友情とは相手を思いやるもの」と理解して、杏奈に文化祭はなっちゃんと回るようにアドバイスします。
杏奈もそう言われて、なっちゃんとのギクシャクした関係が解消できると考え、文化祭の誘いに行きますが、そこでなっちゃんのクラスメイトである千葉ちゃんから愛の告白を受けてるのを目撃してしまいます。
なっちゃんは文化祭に杏奈を誘おうとしますが、動転してる杏奈に避けられてしまうのでした。
文化祭の日。
体育館で演劇の出し物を1人で観る杏奈は、千葉ちゃんの愛の告白が、台詞の練習だったと気づきます。
しかし、そのタイミングで恵ちゃんが現れると、杏奈をプラネタリウムの出し物に連れて行ってしまいます。
杏奈と文化祭を回ることを諦めていたなっちゃんですが、つよぽんに再び後押しされると杏奈を探し始めます。
なっちゃんが体育館に行くと、千葉ちゃんからアイコンタクトされて、杏奈がさっきまでいたことが示されます。
なっちゃんは杏奈を探してプラネタリウムに辿り着きます。
なっちゃんがプラネタリウムに入ると杏奈が目を閉じて立っていました。
恵ちゃんの杏奈狙う宣言は、なっちゃんを焦らすための作戦で「敵を欺くには先ず味方から」でした。
恵ちゃんのお膳立てで告白に最適な場を提供されたなっちゃんは杏奈に告白します。
元々、両想いだった2人はキスをしてハッピーエンドです。
エピローグは文化祭終わりでベランダから7人が空を見上げると虹がかかっていて、校庭では千葉ちゃんが男子からの告白を受けてて終わります。
このラストは思わずニヤッとしてしまうところで、男目線だと千葉ちゃんが一番いいんですよね。
劇中は観てて、まっつんも恵ちゃんも「何でバレー部の千葉ちゃんにいかない?」と思いますもの。
だからラストで千葉ちゃんが告白される展開は納得で、監督分かってるなぁ(笑)と思いましたよ。
☀ この夏、
男子だって本気で恋をする!🎬映画『#虹色デイズ』
🌈キャラ別映像🎥~チャラくて女好きなモテ男
💜😏まっつん編~ pic.twitter.com/wlG1KxN6US— 映画『虹色デイズ』 (@nijiiro_movie) 2018年6月27日
本作は、「この夏、男子だって本気で恋をする」がキャッチコピーですが、本気で恋するくらい女優陣が魅力的じゃないと成り立たないと思ったんですが、女優陣もとても魅力的でした。
杏奈を演じた吉川愛さんは広瀬すずさんや橋本愛さんの雰囲気があって可愛かったです。
実際ロケ地での目撃情報では広瀬すずさんと間違われてたようです。
まり役の恒松祐里さんは柴咲コウさんや忽那汐里さんのイメージ。
『サクラダリセット 前篇/後篇』の岡絵里(おかえり)という役名は印象に残ってますが、サクラダのときは金髪にしてたので、同一人物とは気づきませんでした。
堀田真由さんが演じたゆきりんは、原作者が「こんな子いたらいいな」という思いを集めたキャラクターなので、すごく魅力的でそれに引っ張られるように堀田さんも魅力的でした。
そして男子的には一番人気だと思うんですがバレー部の千葉ちゃんのキャラクター最高じゃないですか。
役割としては4人グループの次の男子、5番目の男子としての側面もあり、母親や姉のような雰囲気もある。
もちろん女子なんで女子の友達も多い。
演じた坂東希さんはFlowerとE-girlsのメンバーだそうで、E-girlsでは石井杏奈さんも最近ドラマや映画でよく目にするので注目したいと思いました。
下の記事を読むと、原作者が「男目線の方が女の子を可愛く描ける」と言ってるんですが、それがズバリはまってたと思いますね。
なので少女漫画ですが男性にもハマるんじゃないかと思います。
演出面では、飯塚監督はミュージックビデオもよく手掛けてるようで、MV的なセンスが光ってたと思いました。
飯塚監督のウィキペディアを見ると、音楽との関係性が強いようで、なるほどなと思いました。
個人的には最近の楽曲に疎いので、曲自体は知りませんでしたが、映像と音楽が合っていたと思います。
・フジファブリック/「虹」「バウムクーヘン」
・阿部真央/「17歳の唄」
・SUPER BEAVER/「your song」
・Leola/「群青」
降谷建志さんによる書き下ろしのエンディングテーマ「ワンダーラスト」も昨年の特報の頃から掛かっていたので、だいぶ前に出来てると思うんですが、映画のイメージと合ってたと思いますし、いい曲でしたね。
正直、観る前は、またダメな部類のスイーツ映画じゃないかと思いましたけど、今年5月に東宝配給で公開された永井聡監督の『恋は雨上がりのように』同様、スイーツ映画と侮るなかれという作品でおススメだと思います。
鑑賞データ
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2018年 115作品目 累計109700円 1作品単価954円
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