愛の渦 評価と感想/本能のままには生きられない

愛の渦 評価と感想
スポンサーリンク

愛の渦からの恋の渦 ☆4点

劇団ポツドールを主宰する三浦大輔による舞台で、2006年の第50回岸田國士戯曲賞を受賞した同名舞台を自身の監督により映画化した作品。
主演に池松壮亮と門脇麦、共演に窪塚洋介、滝藤賢一、新井浩文、田中哲司

予告編

映画データ

愛の渦 (2014):作品情報|シネマトゥデイ
映画『愛の渦』のあらすじ・キャスト・評価など作品情報:演劇ユニット「ポツドール」を率いる演出・脚本家にして、『ボーイズ・オン・ザ・ラン』などの監督も務めた三浦大輔が同ユニットの舞台劇を映画化したドラマ。
http://cinema.pia.co.jp/title/163790/

あらすじ

閑静な住宅街にあるマンションの一室。バスタオル1枚で気まずそうに思い思いの場所に座っている男女8人。終始俯いている暗いニートの男(池松壮亮)、茶髪のフリーター(新井浩文)、真面目そうなサラリーマン(滝藤賢一)、工場勤務の太った男(駒木根隆介)、メガネの女子大生(門脇麦)、気の強そうな保育士(中村映里子)、可愛らしい今どきのOL(三津谷葉子)、大量のピアスを付け、痩せぎすの女(赤澤セリ)。社会では友達関係にはなり得ない、バラバラな風貌だ。ここは「セックスがしたくてたまらない人たちが集まる」店。行為に及ぶまで、ぎこちないやり取りがあるが、一度してしまえば、欲望は気持ちいいほど剥き出しになっていく。しかし同時に、「やりたい相手」と「やりたくない相手」、それにともなう駆け引きや嫉妬など、それぞれの本音も露わになっていく。そんな中、ニートは女子大生に特別な感情を持ち始める。ぶつかり合う心と体、真夜中に途中参加してくるおかしなカップル(柄本時生信江勇)、欲望渦巻く一晩は一体どこへ向かうのか―

(公式サイトより引用)

ネタバレ感想

ちょうど1年くらい前に、ポツドールの舞台としては「愛の渦」よりあとになる『恋の渦』が『モテキ』の大根仁監督により映画化されましたが、あちらはワークショップから派生したインディーズ映画で1年経った今もどこかの映画館で上映されているのに対し、こちらは製作に東映、配給にクロックワークスが入っていてメジャー映画としての公開となりました。

舞台版の「愛の渦」も「恋の渦」も未見でしたが、映画版『恋の渦』は2回観ました。

2作ともタイトルこそ似ていますが、直接的な繋がりはなくお話も全く違いますが、人間の本質を描き出す(とうより炙り出す)という点では一致していたと思います。

『恋の渦』では友人を中心とした合コンから始まる男5女4人の恋の駆け引きを描いた作品でしたが、『愛の渦』では所謂、裏風俗。
夜な夜なマンションの一室で行われる乱交パーティでのある一夜の出来事です。

「セックスがしたくてしたくてたまらない」といった欲望だけで集まった、顔も名前も知らない男女8人ですが、そこで繰り広げられる密室劇は私達の日常生活となんら変わりないと思いました。

共通の目的で集まりお膳立てが整っているのにも関わらず、流れる沈黙。
漲る緊張感。

お互いがお互いを意識して誰も動けずにいて、動物のように本能の赴くまま、という訳にはいかずやはり理性が働きます。
均衡を破るのは誰なのか。
そして乱交の先には何があるのか。

序盤は、自分もここに参加しているかのような緊張感でハラハラして観ました。

性への欲望をダイレクトに描いている作品ではありますが、決してエロ目的だけではなく、そこに流れる感情は私達を取り巻く社会そのもので、深いテーマの作品だと思いました。

鑑賞データ

テアトル新宿 TCGメンバーズ ハッピーフライデー 1000円

コメント