ピンカートンに会いにいく 評価と感想/こじらせアラフォーを救えるのか?

ピンカートンに会いにいく 映画感想
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ピンカートンの魅力が伝わってこなかった ☆3点

2013年から始まった松竹ブロードキャスティングのオリジナル映画プロジェクト第5弾で、第3弾『東京ウィンドオーケストラ』に続く坂下雄一郎監督作品。
20年前にブレイク寸前で突然解散したアイドルグループのリーダーが再結成に奔走するコメディで主演は内田慈、共演に松本若菜、山田真歩

予告編

映画データ

(シネマトゥデイ)

ピンカートンに会いにいく
映画『ピンカートンに会いにいく』の作品情報:アイドルグループの元リーダーの女優が、グループを再結成しようと奔走するコメディー。事務所をクビになり後がない状況で、再起を懸け元メンバーを訪ねるさまが描かれる。

(ぴあ映画生活)

ピンカートンに会いにいく|映画情報のぴあ映画生活
『ピンカートンに会いにいく』は2017年の映画。『ピンカートンに会いにいく』に対するみんなの評価やクチコミ情報、映画館の上映スケジュール、フォトギャラリーや動画クリップなどを紹介しています。

本作は2018年1月20日(土)公開で、現在は新宿武蔵野館のみでの公開です。
今後、順次公開され12館での公開となるようです。

劇場で予告編を見たことはなかったんですけど、内田慈さん、松本若菜さん、山田真歩さんと面白そうなメンツが揃っていたので観に行ってきました。

監督は坂下雄一郎さん
初めましての監督さんです。
大阪芸大卒業後、同校で2年間副手の後、東京芸大大学院ですから芸術のエリートですね。
経歴はこちらをどうぞ。

デビュー前からオファー殺到!? 映画業界が『東京ウィンドオーケストラ』坂下雄一郎監督に注目する理由 | dmenu映画
商業映画デビュー作公開前にもかかわらず、次作の映画製作が続々と決まっている監督がいる。彼の名は坂下雄一郎。1月21日に公開される『東京ウィンドオーケストラ』を皮切りに、『エキストランド』(2017年公開予定)、松竹ブロードキャスティング製作の新作など、複数の監督作が控えている。しかも、そのすべてが監督自身が脚本を手掛け...

主演は内田慈さん
近作は『ジ、エクストリーム、スキヤキ』『恋人たち』『下衆の愛』『葛城事件』を観てます。

共演に松本若菜さん
近作は『GONIN サーガ』『ディアーディアー』『無伴奏』『愚行録』『結婚』を観てます。

共演に山田真歩さん
近作は『ばしゃ馬さんとビッグマウス』『ヒメアノ~ル』『愛の病』を観てます。

他に共演と配役は以下の通りです。

神崎優子: 内田慈
中川葵: 松本若菜
藤塚美紀: 山田真歩
五十嵐かおり: 水野小論
渡辺葉月: 岩野未知
松本浩一: 田村健太郎
神崎優子(アイドル時代): 小川あん
中川葵(アイドル時代): 岡本夏美
藤塚美紀(アイドル時代): 柴田杏花
五十嵐かおり(アイドル時代): 芋生悠
渡辺葉月(アイドル時代): 鈴木まはな

あらすじ

かつて、ブレイク寸前で突然解散してしまった伝説の5人組アイドル「ピンカートン」。20年が過ぎ、リーダーだった優子は今も売れない女優を続けていた。ある日、優子の元にレコード会社の松本と名乗る男からかかってきた電話。それは「ピンカートン再結成」の誘いだったのだ。所属事務所もクビになり、気づけば人生も半ば。崖っぷちに追い込まれた優子は、再起をかけ松本と一緒に元メンバーに会いに行くが、メンバーのうち3人はすでに芸能界を去り、返事はつれない。さらに一番人気だった葵の行方がわからず、彼女を知る人たちを訪ねて回るのだが…。プライドだけが肥大した“こじらせ女子”まっしぐらの優子は、過去と向き合い、20年分のわだかまりを乗り越え、「ピンカートン」を再結成させることができるのか!?

公式サイトより引用)

ネタバレ感想

本作は松竹ブロードキャスティングのオリジナル映画プロジェクトの第5弾で、第1弾は沖田修一監督の『滝を見にいく』だったんですね。

これ、見に行こうと思って見れなかったんですけど、東京国際映画祭で審査員特別賞を受賞してます。

第2弾は『恋人たち』で2015年のキネマ旬報ベストテンの邦画第1位、自分も2015年の邦画第1位にしてます。

第3弾は本作の坂下雄一郎監督の商業映画デビュー作で『東京ウィンドオーケストラ』、第4弾は「冬のソナタ」を演出したユン・ソクホ監督の初劇場映画『心に吹く風』となっています。

本作はタイトルが第1弾の『滝を見にいく』と近いですね、『ピンカートンに会いにいく』
「いく」が「行く」じゃないところも。

それから第2弾の『恋人たち』に出演していた、内田慈さん、水野小論さん、岩野未知さんが出演されています。

 

映画は元リーダーの優子が、メンバーに会いに行くうちに、過去の解散の理由が明らかになっていくという構成になっています。

レコード会社の社員の松本は、吸収合併したレコード会社にかつて自分が好きだったアイドルグループ「ピンカートン」が所属してたのを知ります。
荷物を整理してたら、当時の販促物が出てきて、突然解散してしまって見れなかったラストライブに思いを馳せると、今の時代だったら逆にイケるんじゃないかと考え、元リーダーである優子に連絡を取ります。

優子はピンカートン解散後も、コールセンターの派遣のバイトをしながら、細々と売れない女優を続けていました。
学生映画には事務所を通さず取っ払いで出演し、事務所が取ってきたパチンコの営業の司会は嫌々こなすなど、プライドが高くわがままな女優です。
5年間在籍し給料に見合った働きがないとのことで、契約更新が無くなると、実質的にはクビということで焦ります。
そんなときに持ち掛けられたのがピンカートン再結成の話で、この企画にすがるしかなくなります。

しかし優子はプライドが高いので、「松本がそこまで言うんだったら」という態度をとります。
しかも松本には売れない女優であることも隠すのでした。

優子は松本と2人でメンバーの家を訪ねます。
美紀はまだ手のかかる3人の子持ちで再結成どころじゃなさそうでしたが、心の奥では面白そうと思ってる節があります。
かおりは日和見的な性格で優子の説得で押し切られそうです。
葉月は思春期の中学生くらいの女の子がいて、家族にも昔アイドルをしてたことは話してなかったので、猛烈に反対されるのでした。

メンバーの中で一番人気だった葵だけは誰も連絡先を知りませんでしたが、昔のマネージャーなら連絡先を知ってるんじゃないかとのことで、マネージャーの連絡先を知っているかおりに連絡してもらって、優子と松本は会いに行きます。

優子と葵はアイドル時代ウマが合い仲が良かったのですが、他のアイドルグループをバカにしたり、自分たちが前座的な扱いをされることにキレていてプライドが高い似た者同士でした。
グループが解散することになったのは、ライブ直前に葵が出ていったきり戻らなかったからで、葵とはそれきりでした。

元マネージャーを訪ねるとバーの店員になっていました。
元マネージャーは当時の事はいい思い出が無いようで言葉を濁しますが、葵は出ていった2年後に事務所に所属させて欲しいと土下座してきたと言います。
「あのプライドが高かった葵がだぞ」と言い、そのまま女優を続けてるはずだと言い、実家の連絡先を教えてもらいます。

葵の実家に連絡した2人が訪ねると、葵の弟が応対してくれます。
弟によると、両親は葵の芸能活動に反対していたそうで、姉の話はタブーだと言います。
高校卒業後に進路で揉めると、そのまま実家を出ていったきり音信不通とのことでした。

2人は葵が所属している事務所を調べて連絡を取るとマネージャーと会います。
マネージャーによると葵は最近、事務所を辞めたそうで、先日、加湿器の実演販売をしてたのを見たと言います。
話を聞く限り優子とそっくりな状況で、それをバカにした口ぶりで話すマネージャーでしたが、優子が怒って「あんたが葵の何を知ってるのよ」と言うと、マネージャーは「だって付き合ってたし、枕的な部分もあって」と言うのでした。
怒った2人はマネージャーをボコボコにします。

2人は実演販売中の葵に会いに行きますが、優子が声を掛けられずにいると、クビになった事務所のマネージャーと出くわします。
そこで優子が女優だったことがバレ気まずくなると、再結成などしないと言って松本から逃げ出す優子でした。

アイドル時代ライブ直前に葵が出て行ったのは優子が原因でした。
葵は人気が出てファンがつくようになると徐々にプロ意識が芽生え、ひねくれた優子と合わなくなります。
そんなときにピンカートンを休止し葵のソロプロジェクトの話が優子の耳に入ります。
優子は葵を前にして遠回しにそのことをこき下ろすと「そんな裏切り者はいないよね」と言ったのが、葵が出ていった原因でした。

元々は似た者同士だった優子と葵。
葵はそのこじらせに早くに気づき、売れないながらもひたむきに女優の道を進んでいましたが、未だにこじらせたままの優子。
アイドル時代の自分と向き合い自問自答した優子は、ようやく素直になれ、謝罪しに葵の元に向かいます。

優子は意を決したものの20年ぶりのことで声を掛けられずにいると、葵は「加湿器のご購入をお考えですか?」と声を掛けてくるのでした。

実は優子が来る前に松本が葵の元を訪れていました。
ピンカートン再結成のために優子と動いていたことや、結果的に優子が抜けそうで再結成がダメになりそうなことを話していました。
そんな話であればわざわざ伝えに来ることはないと怒る葵でしたが、優子も葵と同じような状況で苦しんでいて、根は悪い人では無いと庇う松本でした。

優子と葵は、加湿器購入のやりとりをピンカートンに例えて話すと、過去のわだかまりが取れて、ようやく仲直りするのでした。

その頃、美紀、かおり、葉月にも変化が訪れていました。
中途半端で終わってしまったピンカートンをママドルとしてもう一度輝いてみたいと思った美紀はかおりの説得に動きます。
一方、葉月は、美紀がかおりの説得に動くと見抜いてかおりに釘を刺してました。
しかし、反抗期で不登校になってしまった葉月の娘が、再結成したら登校してもいいと条件を出すと、流れが一気に再結成へと傾くのでした。

松本のレコード会社に集結した5人は、再結成ライブをアイドル時代に出来なかった最後のライブ会場で行うことを聞かされます。
人が集まるかと心配する5人ですが、そのライブは松本の夢でもありました。
小6で出会ったピンカートンですが、中学に入っていじめられるようになった松本には唯一の救いでした。
最後のライブの日も会場を訪れていて、会場を出ていく葵にサインをせがんでスルーされていたのでした。

ライブの日、本番前にステージから客席を見渡すと、案の定ガラガラです。
告知に失敗したと苦笑いする松本でしたが、5人がステージに立ち歌い踊り出すと目を輝かせるのでした。

ライブが終わって会場を出る5人は、グダグダだったよねと言って笑い、「松本はまた連絡しますって言ってたけど、次は無い感じだよね」と言って笑うと、近所の居酒屋に飲みに行きます。

頼んだピザにタバスコをかけ過ぎた葵が、トイレに行ってる優子のピザと入れ替えて、優子がトイレから戻ってきてピザを口にしたところで映画は終わります。

 

本作は86分の映画なんで短いんですが、おそらく低予算でしかもコメディなので映画的なルックが無くて、テレビドラマでも十分かなぁという気はしました。
松本がピンカートン再結成を同僚に熱く語る廊下のシーンとか、ベタなギャグでしたが86分の尺を考えると微妙に長くていらない気がしますし、一人で喋ってるギャグの方に注意がいって、ピンカートンの魅力も伝わってこなかったと思います。

元々のピンカートンが、ブレイク寸前だったというのも全体として伝わってこなくて、ただ性格の悪いアイドルの裏を見せられただけな気がしました。

特に優子のキャラはひねくれすぎていて、よくあの年まで端っことはいえ芸能界にいられたなぁと思います。
電車移動するときに「何でタクシーじゃないのよ」はタカビーな感じを出すのに分かりますが、走行中の電車の中で車両移動する人のカバンがぶつかるトコや、ドア付近を死守する人に悪態をつくトコまで描写する必要はあったのかな?と思います。
別に映画のテーマとしてマナー啓発をしたい訳じゃないでしょうし、優子のキャラクターを描くのにそこまで必要?と思いました。

たしかに『スウィート17モンスター』や『勝手にふるえてろ』のように、こじらせを強調してラストで落差を出したいのは分かりますが、スウィート17も勝手にふるえてろも17歳とか24歳なので、さすがにアラサー?アラフォー?であれはどうかと思いますし、そもそも優子は葵がソロプロジェクトを断ったことに気づいて無いですよね?
そのことを知って優子が変わる描写が無いと片手落ちな気がしますし、優子と葵のわだかまりが解けるカタルシスも生まれないんじゃないかと思いました。

全体的に90分くらいに収めることにこだわり過ぎて、描かなければいけないところを描かずに、端折っていいところを丁寧に描いてる気がしましたね。

再結成が決まって、ラストのライブに向かうくだりもそうです。
100円の恋』なんかも、ぐうたらな主人公がボクシングに目覚めてラストで試合に臨むわけですが、ロッキーみたいなトレーニングシーンが描かれ、体つきも変わって試合に挑むところにカタルシスを感じるわけですが、本作ではそういった練習シーンは描かれません。

普通の主婦になってた3人がアイドルの衣装を着て踊っただけで、外見的に少し美しくなったとか無いですし、主婦がそのまま、それこそ忘年会の余興で踊ったような感じで終わってしまい、主婦3人の描かれ方が弱かったと思います。

ライブが終わってメンバー自身が、グダグダだったよねと言ってしまっては、やり切った感はないですし、松本も必死こいて客席を満席にしないと本気度が伝わってこないですし、再結成させるだけで満足した松本を描いた話、という映画になってしまったと思います。

鑑賞データ

新宿武蔵野館 水曜サービスデー 1000円
2018年 22作品目 累計10700円 1作品単価486円

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