ニヤニヤが止まらない ☆5点
1976年に佐藤純彌監督、高倉健主演で映画化された1974年発行の西村寿行の小説「君よ憤怒の河を渉れ」のリメイク。
監督はジョン・ウー、主演にチャン・ハンユーと福山雅治、共演にチー・ウェイ、桜庭ななみ、國村隼
予告編
映画データ
本作は2018年2月9日(金)公開で、全国252館での公開です。
ギャガの配給なんで予告編はあんまり目にしなかった気がします。
オリジナルの『君よ憤怒の河を渉れ』は見たことなくて、昨年BSで放送してたのを最後チョロっと見た感じです。
日本より中国で有名なのは知ってて、年配の中国人は殆ど見てるっていうのは凄いですよね。
監督はジョン・ウー
ちょうど映画をよく見始めた1990年前後でしょうか、『男たちの挽歌』が香港ノワールとしてチョウ・ユンファと共に話題になっていてレンタル店で大人気でした。
その後、監督はハリウッドに渡り大作をバンバン手掛けてましたが、映画館で見るのは2009年の『レッドクリフ Part II -未来への最終決戦-』以来で久しぶりです。
作品は『男たちの挽歌』シリーズ、『ブロークン・アロー』『フェイス/オフ』『ミッション:インポッシブル2』『レッドクリフ1.2』辺りを見てます。
主演にチャン・ハンユー
『戦場のレクイエム』で有名だそうですが、未見ですので初めましてです。
昨年公開された『グレートウォール』にも出てたみたいですが未見です。
主演に福山雅治
近作は『るろうに剣心 京都大火編 / 伝説の最期編』『SCOOP!』『三度目の殺人』を観てます。
共演に國村隼
近作は『渇き。』『天空の蜂』『シン・ゴジラ』『破門 ふたりのヤクビョーガミ』『哭声/コクソン』『忍びの国』『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』『鋼の錬金術師』『DESTINY 鎌倉ものがたり』を観てます。
他に共演と配役は以下の通りです。
ドゥ・チウ: チャン・ハンユー
矢村聡: 福山雅治
遠波真由美: チー・ウェイ
レイン: ハ・ジウォン
ドーン: アンジェルス・ウー
酒井義廣: 國村隼
酒井宏: 池内博之
堂塔: 矢島健一
百田里香: 桜庭ななみ
伊藤: 竹中直人
浅野雄二: トクナガクニハル
坂口秀夫: 倉田保昭
北川正樹: 田中圭
田中希子: TAO
青木: ジョーナカムラ
犯人A: 斎藤工
犯人B: 吉沢悠
あらすじ
酒井社長(國村隼)率いる天神製薬の顧問弁護士であるドゥ・チウ(チャン・ハンユー)がパーティの翌朝、ベッドで目を覚ますと、社長秘書・希子(TAO)の死体が横たわっていた。現場には自身の指紋が付いたナイフが置かれるなど、突如として殺人事件の被疑者となった彼は、何者かにハメられたことに気づき、その場から逃走。そんなドゥ・チウを大阪府警の敏腕刑事・矢村(福山雅治)は、新人の部下・里香(桜庭ななみ)とともに独自の捜査で追っていく。
カギとなるのは、天神製薬研究員だった婚約者を3年前に失った謎の美女・真由美(チー・ウェイ)。次々と警察の包囲網を潜り抜けていく被疑者に近づくほどに、この事件に違和感を覚え始め、次第に見解を変えていく矢村だったが、ついに真由美の実家である牧場にいるドゥ・チウを捕らえることに成功。だが、手錠をかけた彼とともに、女殺し屋・レイン(ハ・ジウォン)たちからの襲撃に立ち向かった矢村は、彼の無実を確信する。何者かによって捜査が妨害されるなか、身分や国籍を超えた“強く熱い絆”が芽生えた2人はともに手を組み、事件の真相に立ち向かうことを決意する。だが、そこには恐ろしくも、巨大な陰謀が待ち受けていた――。(公式サイトより引用)
ネタバレ感想
いやー、もう出だしから最高でしょ(笑)
ヘンな演歌がかかってて、たどたどしい日本語を喋るドゥ・チウが小料理屋に入ると、着物を着た女将もたどたどしい日本語を喋ってて、「お互い中国人か?」ってなったら英語で喋り出し、中国人と確認できたら中国語で喋り出すんですけど、ことごとくアフレコも合ってない感じで(笑)
でも映像はクリアで綺麗で、京の花街なんかで打ち水をした後の凛とした雰囲気があって。
そうかと思ったらヤクザが団体で入ってきて女将にいちゃもんをつけると、ドゥ・チウが「弁護士だから困ったことがあったら力になる」と言って出ていくと、実はその小料理屋の店主たちは縛り上げられてて、どういうことだ?と思って観てると、女将が着物の中から拳銃を取り出して、もう1人の女将とヤクザたちをバンバン撃ち殺してって、のっけから『男たちの挽歌』ならぬ「女たちの挽歌」っていう(笑)
もうね、初っ端から全然訳分かんない展開なんですけど、テンションぶち上がる感じは『マッドマックス 怒りのデス・ロード』でしょうか。
それで何で演歌なんだよと思ったんですけど『キル・ビル』ですよね。
で『キル・ビル』って言ったら『女囚さそり』の梶芽衣子さんなんですけど、タランティーノ監督はジョン・ウー監督好きじゃないですか。
で、この2人は深作欣二監督を敬愛してるわけで、本作はジョン・ウー監督にとっての『キル・ビル』みたいな作品で日本映画愛に溢れた作品になってるんですよね。
舞台は変わって天神製薬65周年記念のパーティー会場。
ロケ地はあべのハルカスの展望台です。
『ダイ・ハード』のナカトミビルか『ブラック・レイン』のクラブみやこか、って感じでバブリーなんですけど、いいじゃないですか(笑)
インド映画みたいに踊っちゃったりね、バブリーダンスも流行ってますし。
遠波真由美役のチー・ウェイがカワイイんだなまたこれが、倉科カナちゃんみたいな感じで。
ドゥ・チウが天神製薬の顧問弁護士辞めるって言ったのが悲劇の始まりでした。
しかし、ここまで福山雅治さん全然出てこないんだよな(笑)
顧問弁護士を辞めてもらいたくない酒井社長は田中希子をドゥ・チウの自宅に送って、色仕掛けで説得させようとするんですけど、ドゥ・チウは真由美と寄り道して家に帰ったら何者かに襲われ、朝ベッドで目覚めたら隣で希子が死んでいます。
ドゥ・チウはちゃんと警察に電話するんですが、見るからに怪しい大阪府警捜査一課の浅野係長に、ちゃちゃっと調べられると「証拠は揃ってる」と言われ逮捕されるんですが、ここで名言が飛び出します。
「弁護士を呼んでくれ」
お前、弁護士だろっていう(笑)
いやね、分かりますよ企業弁護士だから刑事弁護苦手な人もいますし、そういうの分かるんですけど、それでも面白いっていう。
浅野係長はわざと公務執行妨害を装ってドゥ・チウを射殺しようとしますが、ヤバいと悟ったドゥ・チウが逃げると往年のテレビドラマやハリソン・フォードで映画化された『逃亡者』みたくなります。
すると、ここでやっと福山雅治さん登場です。
ビデオカメラ持って報道の腕章付けてるんで『SCOOP!』のカメラマンの既視感あるんですが、本筋とは全く関係無いテロリスト(斎藤工、吉沢悠)が暴れる事件を解決すると、「三菱地所を見に行こう」の格好のままの百田里香(桜庭ななみ)が配属され、一緒にドゥ・チウを追うことになります。
ドゥ・チウはわざわざ地下の工事現場を逃げるんですけど、ここも工場とか登場した『ブラック・レイン』な感じですよね~。
そのあとはカーチェイスになって、お約束の白い鳩が出てくるんですけど拍手喝采でしょ(笑)
応援上映やらないかな、マジで。
ハッキリ言ってストーリーとかどうでもいいです(笑)
オリジナルも見たことないですけど、ストーリーはグダグダらしいですし。
ジョン・ウー監督のアクション、邦画では見たことないスケールの大阪ロケ。
日本語・英語・中国語のちゃんぽんで微妙にズレてるアフレコなどが渾然一体となった得も言われぬ雰囲気は、ヘンな成分の薬でも入ってるんじゃないか?と思うくらい中毒になります(笑)
真由美とドゥ・チウが逃げる時に、ちょろっと新幹線出てくるんですけど、ここも高倉健さんの『新幹線大爆破』へのオマージュなんですかね。
(同じ佐藤純弥監督作品なのできっとそうだよな)
舞台が真由美の経営する牧場(ロケ地・岡山)になると、『ブラック・レイン』で内田裕也さんや國村隼さんが演じてたような黒塗りのバイカーが登場するんですが、国立公園蒜山ですか、日本にもこういうところあるんですね。
『ブラック・レイン』で登場する農場はリドリー・スコット監督が北海道とかもロケハンしたらしいんですけど、イメージや撮影条件が合わなくてサンフランシスコ郊外になったらしいんですが、ジョン・ウー監督、全部日本でやったから凄いなと(笑)
ドゥ・チウは逃亡中に助けてくれたホームレスのリーダー坂口秀夫(倉田保昭)と天神製薬の研究所に向かいますが、ジョン・ウー監督は貧困ビジネスを取り入れるなど、さりげなく社会問題にも斬り込んでいます。
ホームレスのリーダーが倉田保昭さんだったのは、新薬を打たれると『超人ハルク』みたくなるからですが、このあとに続く一連のアクションシーンはアクション振付の園村健介さんの元、三元雅芸さんや屋敷紘子さんが登場して、現在の邦画アクション界のトップの方たちが集結してます。
ラストシーンもいいでよね。
『ブラック・レイン』のNY市警のニック(マイケル・ダグラス)と大阪府警の松本(高倉健)の空港のシーンみたいで。
本作では『駅 STATION』や『鉄道員』を意識してか、駅になっていました。
いやもう最高でしたね!
4DXやMX4D見た訳じゃないのに、なんでしょ、この血湧き肉躍る感じは!
完全に語彙力崩壊する感じでβエンドルフィン溢れまくりなんですけど、日本での初週の週末興収は4位スタートなんですよね。
「悪いことは言わない劇場へ急げ!」
って感じなんですが、どうやら中国でも当たってないみたいなんですよね。
ボックスオフィスを見ると昨年の12月末で1600万ドルくらいなんですが、製作費が4000万~6000万ドルくらいかかってるみたいなので、これは非常にヤバいんではないかと。
こだわりすぎて製作費が1.5倍!?『マンハント』ジョン・ウー監督が撮影中に取った驚きの行動 | dmenu映画
2017年6月のクランクイン当初、約44億円と発表された製作費は最終的には1.5倍とも。
アクションの巨匠は膨れ上がった製作費にどう対処したのか?自ら金策。巨匠の対処法はいかに?関係者がこんなことを話してくれた。
「撮影中、ジョン・ウー監督がケータイでどこかに電話しているんですよ。
いくらか融通してくれないか、という内容だったらしいです。
どうもお金が足りなくなったみたいで自ら金策に奔走していたようです」。製作費は、当初約44億円だったが、最終的には約66億円まで膨らんだとも言われる。
https://movie.smt.docomo.ne.jp/article/1104000/より引用
おそらく中国での興収は確定しちゃってると思うので、日本映画愛に溢れたこの作品をみんなで見に行って、何とか盛り上げて頂けたらと思います。
鑑賞データ
TOHOシネマズ六本木ヒルズ TOHOシネマズデイ 1100円
2018年 30作品目 累計20300円 1作品単価667円
コメント