巨匠のカメラワークが酷いw ☆1.5点
2004年に発行された夢枕獏の小説「沙門空海唐の国にて鬼と宴す」を日中合作で実写映画化。
監督はチェン・カイコー、主演に染谷将太、ホアン・シュアン、共演に阿部寛、チャン・ロンロン
予告編
映画データ
本作は2018年2月24日(土)公開で、全国307館での公開です。
日本と中国の合作映画で、日本での配給は東宝とKADOKAWAでちょっと珍しい気がします。
製作総指揮が角川歴彦氏なんで、ほぼ角川映画でしょうか?
予告編はTOHOシネマズでは、ほぼどの作品の前でもかかっていたんで、非常によく目にしましたね。
製作費150億円のビッグプロジェクトとのことで、旧・角川映画の『天と地と』(製作費50億円)を思い出すんですが、出来の方は如何に?
監督はチェン・カイコー
『さらば、わが愛/覇王別姫』で1993年の第46回カンヌ国際映画祭パルム・ドールを受賞していて、チャン・イーモウ監督らと共に中国映画界の「第五世代」と呼ばれる巨匠ですが、見てないんでよね。
ハリウッドへ渡って作った『キリング・ミー・ソフトリー』を見てます。
主演に染谷将太
近作は『さよなら歌舞伎町』『バクマン。」』『ディアーディアー』『聖の青春』『PARKS パークス』『3月のライオン 前編・後編』を観てます。
主演にホアン・シュアン
初めましての俳優さんです。
昨年、見に行こうとと思って見そびれた『ブラインド・マッサージ』に出演されてます。
DVDになってなくて(2018年12月5日より発売)オンライン上映してるみたいです。
共演にチャン・ロンロン
こちらも初めましての女優さんです。
ユーロスペースで1月に公開された『恋する都市 5つの物語』というオムニバス映画の第3話でホアン・シュアンと共演しているみたいです。
共演に阿部寛
近作は『カラスの親指』『エヴェレスト 神々の山嶺』『海よりもまだ深く』『恋妻家宮本』『海辺のリア』『祈りの幕が下りる時』を観てます。
他に共演と配役は以下の通りです。
空海: 染谷将太
白楽天: ホアン・シュアン
楊貴妃: チャン・ロンロン
大師: 火野正平
白玲: 松坂慶子
春琴: キティ・チャン
陳雲樵: チン・ハオ
白龍: リウ・ハオラン
玉蓮: チャン・ティエンアイ
丹龍: オウ・ハオ
玄宗皇帝: チャン・ルーイー
李白: シン・バイチン
黄鶴: リウ・ペイチー
阿倍仲麻呂: 阿部寛
(日本語吹き替え版)
白楽天: 高橋一生
楊貴妃: 吉田羊
白龍: 東出昌大
玄宗皇帝: イッセー尾形
丹龍: 寛一郎
李白: 六角精児
黄鶴: 不破万作
高力士: 金田明夫
妖猫: 六平直政
春琴: 沢城みゆき
玉蓮: 花澤香菜
牡丹: 早見沙織
瓜翁: 山寺宏一
あらすじ
1200年以上前、日本から遣唐使として中国・唐へ渡った若き天才僧侶・空海。
あるきっかけで知り合った白楽天という詩人(のちの白居易)との交流を深めていく中、世界最大の都・長安の街は、権力者が次々と奇妙な死を遂げるという、王朝を震撼させる怪事件に見舞われる。
空海は、白楽天とともに一連の事件を探るのだが、約50年前に同じく唐に渡った、鍵を握るもう一人の日本人・阿倍仲麻呂の存在を知る。
仲麻呂が仕えた玄宗皇帝の時代、そこには国中を狂わせた絶世の美女、楊貴妃がいた。
極楽の宴、妖猫の呪い、楊貴妃の真実、歴史を揺るがす巨大な「謎」――。
楊貴妃の命を案じた阿倍仲麻呂は何を知っていたのか…?
空海と白楽天、二人が辿り着いた真実とは…?海を渡った若き天才僧侶・空海と、中国が生んだ稀代の詩人・白楽天。
二人はやがて、歴史に隠された哀しき運命と対峙することとなるー。(公式サイトより引用)
ネタバレ感想
日本語吹替え版の公開しか無いみたいで仕方なくそれを観たんですけど、染谷将太さんは中国語で演じられてるので、それをご本人が吹替えされてるんですが、中国語と日本語なので口の動きが合わないじゃないですか。
でも声は本人の声なので違和感ありまくりと言いますか。
ずっと、いっこく堂が喋ってるみたいな。
本作は空海と白楽天がほぼ出ずっぱりなので、余計にそう感じるんですよね。
せっかくの染谷さんの頑張りが分からないので、字幕版と半々くらいの公開にすればよかったのになぁ、と思います。
オダギリジョーさんの『エルネスト』は全編スペイン語でしたよ。
日本にいる中国人も原語の方が分かりやすいと思うんですけど、製作と配給は何考えてるんですかね?
在日中国人65万人もいるのに…。
だから2位スタートになっちゃうんじゃないかなと。
オープニングからナレーションで色々説明しちゃう感じは、同じ夢枕獏原作の『陰陽師』かな?と思いましたけど、話が進んでいくと「空海少年の事件簿」(でも空海が唐に渡った時、もう31歳なのか)というか、ホームズとワトソンならぬ空海と白楽天の「シャーロック・ホームズ」って感じで、完全なエンタメ映画でした。
なので歴史モノとかアート系の映画では無いので致し方ない部分もあるのでしょうが、カメラワークが酷かったですねぇ。
だいたいどのシーンでもズームイン、ズームアウト、パンが横行していて、3D映画ならばその意図も分かるんですが、見辛いだけで意味不明でした。
本当に、毎シーン毎シーン、ちょっと手前から撮って、カメラがヒョイって近づくのが多くて目障りでしたね。
あとカメラアングルも漫画的といいますか、なんか最近もそんなような映画観たなと思ったんですが、『鋼の錬金術師』でした(笑)
ただハガレンは対コーネロ教主戦くらいまでだったのに対し、本作は30年前のパートに行くまで(1時間ちょっとくらい?)ずっとそんな感じでしたので、勘弁してくれでしたね。
編集もおかしいんですよね。
ここは余韻が欲しいなと思うようなシーンでも、ぶった切って次のシーンが入ってくる。
喋ってるとこちらが話し終わらないのに会話を被せてくる人みたいで苦手でした。
史実に基づいてる訳じゃないからお話もつまらないんですよねぇ。
1時間半くらいはつまらなくて苦痛でしたが、猫が主人公になってからは切なくて面白くて猫可愛かったですけど、終わってみると前半無駄なシーン多過ぎない?と思いました。
132分の映画ですけど110分くらいに収まると思います。
おっぱい出てこないんなら遊郭のシーンもいらないんじゃないかな(笑)
映像は確かに綺麗でファンタジックですけど、幻術が何でもアリ過ぎて、黒猫を含めてあそこまでCGで表現するなら、『ジャングル・ブック』みたいにフルCGでいいかなと思います。
おそらく製作費の大半がセットに費やされてると思うのですが、景色が綺麗だなぁというようなシーンは無かったので、街並みもCGでよかったんじゃないかと思います。
ファンタジック過ぎて、街並みのリアル感が感じられなかったですもの。
上の記事の写真の方がいいですね(笑)
お話は上のあらすじにあるように、権力者が次々と奇妙な死を遂げ、空海と白楽天が調べていくと、妖猫に行き当たります。
その妖猫はどっからきてるんだ?と、死人を調べてるとそれぞれ先祖が楊貴妃の死に関わっていたのが分かります。
楊貴妃の時代のことならば、阿倍仲麻呂が何か知ってるだろうとのことで、まだ生きている奥さんの白玲を訪ねると、仲麻呂は楊貴妃のことが好きで日記を残していたことが分かります。
それには楊貴妃の死の真相について書かれていて、空海と白楽天が楊貴妃の棺を調べると、棺に入れられた後の悲しい出来事を知るっていう話です。
安禄山の反乱(安史の乱)で、楊貴妃を殺さねばならなくなった玄宗皇帝はブレーンの幻術使い黄鶴に相談すると死人に見せる術を使いましょうと提案されます。
首に針を刺すと冬眠みたく仮死状態になり、敵勢力に死亡確認させて、乱が落ち着いたら生き返らせる作戦で、実際に黄鶴の弟子で実子の丹龍で試すと成功し、楊貴妃にもそのように説明します。
楊貴妃は死んで棺に納められますが、実はその術が効くのは48時間で自然と目が覚めてしまいます。
棺の中で目覚めた楊貴妃は棺から出ようと石板の蓋をかきむしりますが、重い石板の蓋は動かず絶命してしまいます。
玄宗皇帝の失脚に伴い、黄鶴と共に都を離れていた白龍と丹龍は、楊貴妃の棺を様子を見に来ると楊貴妃が死んでいます。
楊貴妃のことが好きだった白龍は大変なショックを受け、術にかかっていれば死なないはずではないのか?と丹龍に聞きますが、丹龍は玄宗皇帝と黄鶴の話を聞いていて、その術が48時間しか効かないのを知っていました。
そのことで仲違いをすると丹龍は行方をくらまします。
白龍は、楊貴妃のペットで一緒に棺に納められながらも生き残っていた黒猫に乗り移ると、妖猫として楊貴妃を騙した人物の子孫に復讐していたのが事件の真相でした。
そして行方をくらましていた丹龍は、空海に幻術についてのヒントをくれていた瓜翁で、瓜翁は真言密教を空海に授けた恵果っていうオチでした。
空海が恵果に会ってすぐに真言密教を授けられたという史実の謎を絡めたんだと思います。
瓜翁が遠山の金さんみたいに西瓜売りになって、空海の度量を見ていたということでしょう。
詳しいあらすじはこちらのブログが詳細に記述されてます。
(すごい詳しい!読むと「ああ、そうだったな」と思いますが、前半はさっぱり話が入ってきませんでしたもの(笑))
自分も弥勒菩薩半跏思惟像のアルカイックスマイルなのか何なのか分かりませんが、染谷将太さんのうすら笑い(ニヤニヤ)が気になりましたね。
以前から染谷さんにはそういう傾向がありましたが、本作は殊更に強調されていて監督は何でそんな演出をつけたのかは謎です。
日本人キャストでいえば、火野正平さんはワンシーンだけの出演で、あれだけ大きくクレジットされるのはどうかと思いますが、回想で描かれる空海が日本にいるときのシーンなので、染谷さんも日本語で喋ってて、あそこが一番違和感が無かったのが何とも皮肉です。
阿部さんはそこそこ出番ありましたけど回想ナレーションが多かったので、あんまり存在感無かったかなぁ。
松坂さんも長めのワンシーンだけの出演でしたけど、阿倍仲麻呂は72歳で死んでその34年後も生きてる奥さんの白玲って何歳なんだろ?
そうそう、楊貴妃も含めて死人の何人かは蠱毒をかけられていましたよ。
中国での公開は2017年12月22日(金)からで、ボックスオフィスを見ると中国での興収は2月11日現在で8400万ドル(90億円)くらいで製作費回収できたの記事もあるんですが、製作費150億円じゃないのかな?
レートが変わってるんですかね?
『マンハント』よりは中国ではヒットしてるみたいですけど、2作とも日本では厳しそうですね。
作品としては圧倒的にマンハントの方が好きですけど(笑)
本作は全然ダメダメな映画でしたね。
鑑賞データ
TOHOシネマズ六本木ヒルズ シネマイレージ6P無料鑑賞 0円
2018年 36作品目 累計26000円 1作品単価722円
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