小百合様のキョトン顔を堪能 ☆3点
『北の零年』『北のカナリアたち』に続く、主演・吉永小百合、脚本・那須真知子による北海道を舞台にした「北の3部作」の最終章で監督は滝田洋二郎、共演に堺雅人、篠原涼子、岸部一徳、阿部寛、佐藤浩市
予告編
映画データ
本作は2018年3月10日(土)公開で、全国351館での公開です。
配給は東映です。
普段、東映系列の映画館であまり見ないので、予告編は殆ど目にしませんでした。
「北の三部作」は見たことないんですが、北海道が舞台というだけで繋がりは無いみたいなので、TOHOシネマズデイに日本橋でやってたので観てまいりました。
アマゾンプライム会員だと両作とも無料で見れるみたいですね。
監督は滝田洋二郎さん
近作は『ラストレシピ ~麒麟の舌の記憶~』を観てます。
主演は吉永小百合さん
映画館で作品を見るのは初めてです。
共演に堺雅人さん
近作は『DESTINY 鎌倉ものがたり』を観てます。
共演に阿部寛さん
近作は『カラスの親指』『エヴェレスト 神々の山嶺』『海よりもまだ深く』『恋妻家宮本』『海辺のリア』『祈りの幕が下りる時』を観てます。
共演に岸部一徳さん
近作は『共喰い』『まほろ駅前狂騒曲』『団地』『アウトレイジ 最終章』を観てます。
他に共演と配役は以下の通りです。
江蓮てつ: 吉永小百合
江蓮修二郎: 堺雅人
江蓮修二郎(子供時代): 土屋慶太
江蓮清太郎(子供時代): 阪本颯希
江蓮真理: 篠原涼子
山岡和夫: 岸部一徳
島田光江: 高島礼子
三田医師: 永島敏行
居酒屋たぬきの主人: 笑福亭鶴瓶
岡部大吉: 中村雅俊
杉本久: 安田顕
木村学: 野間口徹
岩木: 毎熊克哉
江蓮徳次郎: 阿部寛
菅原信治: 佐藤浩市
あらすじ
1945年5月、南樺太に住む江蓮(えづれ)家の庭に待望の桜が花開いた。夫と息子たちと暮らす江蓮てつが大切に育てたその花は、やがて家族の約束となる。
しかし8月、本土が終戦に向かう中、樺太にはソ連軍が迫っていた。樺太に残る夫との再会を約束し、てつは二人の息子を連れて網走へと逃げ延びる。
時は流れ1971年、次男の修二郎はアメリカに渡って成功し、米国企業の日本社長として帰国する。15年ぶりに網走へ母を訪ねると、そこには年老いたてつの姿があった。一人暮らしが心もとなく思えるその様子に、再び母と共に暮らす決意を固める修二郎。しかし想いあうがゆえに母子はすれ違いを重ね、立派になった修二郎に迷惑をかけたくないと、てつは一人網走に戻ろうとする。
母に寄り添いたいと願う修二郎は、二人で北海道の各地を巡り、共に過ごした記憶を拾い集めるように旅を始める。再会を誓った家族への想い。寒さと貧しさに耐え、懸命に生き抜いた親子の記憶。戦後の苦難を共にした懐かしく温かい人々との再会。幸せとは、記憶とは、そして親子とは。
そして満開の桜の下で明かされる、衝撃の結末――
(公式サイトより引用)
ネタバレ感想
吉永さんの役は、舞台が札幌に移った1971年で64歳の設定なんで、最初の1945年は38歳の設定になるんですね。
阿部寛さんと夫婦の役なんですけど、阿部さんは1971年には登場しないので、若作りしないで実年齢の53歳の見た目です。
岸部一徳さんの役は樺太の同郷の役で、1945年も1971年も登場するんで、1945年のシーンでは吉永さんと共に若作りしてるんですけど、お2人ともさすがに30代は厳しいじゃないですか?
だから、コスプレ感漂うと言いますか、コントみたいに見えちゃって、吉永さんも岸部さんも「こんなに演技下手だっけ?」と思っちゃいました。
先日観た『聖なる鹿殺し』のニコール・キッドマンがインタビューで「役者の良し悪しは監督の腕次第」と言っていたので、『コミック雑誌なんかいらない!』や『おくりびと』の滝田監督はどこへ?と思ってしまいました。
(YouTube 『聖なる鹿殺し』ニコール・キッドマンインタビュー)
樺太は第二次世界大戦中はわりと平穏だったみたいなんですけど、8月に日ソ中立条約を破棄してソ連軍が南下してくると戦火に包まれます。
江蓮家では徳次郎はひとまず樺太に残り、てつは清太郎と修二郎の2人の息子を連れて、70km南の大泊から船で北海道に渡り、親戚を頼って網走を目指すことになり、徳次郎とは網走での再会を約束し、江蓮の表札を託されます。
この大泊まで行くシーンでは、戦闘機による爆撃で人が死んだり、力尽きて死んだ人から荷物を盗んだりするシーンがあるんですが、それと並行して何故か舞台形式でそれらが描かれるんです。
最初は、舞台シーンが唐突に挿し込まれるんで、回想シーンとしてそれをやってるのかな?と思ったんですが、そうではなくて滝田監督のアバンギャルドな演出としてそうなってるみたいなんです。
戦闘シーンはお金がかかるからかな?とも思ったんですが、CGやVFXも使ってるので、信念でそれをやってるのでしょうが、はっきり言って謎でした(笑)
ちなみに舞台演出は有頂天のケラさんがつけてます。
大泊に着いて船に乗り込んで出航すると、「この後、まさか、こんな悲劇が訪れるとは思わなかった」みたいなナレーションが入って、一気に1971年の札幌のシーンに変わります。
ここまでで2~30分でしょうか。
札幌になると、これまで出ずっぱりだった吉永さんが出なくなり、堺さんと篠原さんの夫婦の話になります。
篠原さん演じる真理は、日本からアメリカへ渡って成功した社長(中村雅俊)令嬢の役で、堺さんはその夫です。
真理の父である岡部大吉(中村雅俊)はアメリカでミネソタ24というコンビニチェーンで成功していて、その日本初進出を娘婿に任せたという形です。
堺さん演じる社長は、ポケットに手を突っ込みながら「寝るまも惜しんで働け」と、従業員に訓辞を垂れていて、今だったら問題になりそうなんですけど、高度経済成長時代だったので許されたのでしょう。
翌年には札幌オリンピックが控えていて、イケイケドンドンな時代です。
ミネソタ24は本場仕込みのホットドッグが売りの店でオープン時には大変な行列が出来ます。
しかし、24時間営業の店なんて馴染みがないので夜になると一気に客足が引いてしまうのでした。
そんな感じで営業してたある日、堺さん演じる社長の元へ網走市役所から電話が入り、網走に向かいます。
ぽつんと一軒建つ掘っ立て小屋には「おにぎり 江蓮食堂」の暖簾が掛かっていて、中に入ると64歳になったてつが出てくるので、堺さん演じる社長はてつの息子なんだと分かる次第です。
堺さん演じる修二郎は、15年前に「私に構わなくていいから、一旗揚げて来い」とてつに送り出されて以来、帰っていませんでした。
そこに岸部さんが演じる樺太から移住してきた同郷の隣人・山岡が現れると、網走市役所から電話があった理由が分かります。
移住者の仮設住宅(江蓮食堂)の撤去が迫っているのと、鏡に映った自分自身に話しかけるなど痴呆気味であることから連絡がいったのでした。
修二郎は15年間戻らなかったとはいえ、仕送りはずっとしてましたが、倹約家のてつは積み立てをして手をつけていませんでした。
札幌の家で楽な暮らしをさせてあげたいと考えた修二郎は、真理に相談しないで母親を引き取ります。
姑と暮らすなんて考えてなかった真理は渋々承知をしますが、修二郎は痴呆気味であることを伝えませんでした。
とりあえず修二郎は網走では、つぎはぎだらけの着物を着てたてつに洋服を買ってあげようと百貨店に連れて行きます。
修二郎はミネソタ24をオープンするとき、「百貨店の時代は終わった」と言ってたのでズッコケるんですが、洋服選びは真理に任せて仕事に戻ります。
真理とてつは買い物を終えて帰る途中で公園を歩いてると、てつが病気になった桜の木を見つけ話しかけます。
木に話しかけるてつを見て真理は驚くんですが、「木の傷を手当するための墨とのりを頂戴」と言うので更に真理は驚きます。
しかも、てつは百貨店の試着室で他人の靴を履いてきてしまっていました。
慌てて百貨店に戻ったら泥棒騒ぎになってて恥ずかしかったと真理は修二郎に言います。
また別の日には、朝、修二郎と真理が起きると、てつが庭で薪を使って釜でご飯を炊いていて、火事と勘違いした隣家から注意されていました。
修二郎たちに釜で炊いたご飯でおにぎりを食べさせたかったというのがその理由です。
また別の日には、八百屋でツケでネギを買おうとして、泥棒と間違われていました。
修二郎は網走基準で物事を進めるてつに困り始めます。
一方、ミネソタ24もオープン特需が落ち着くと苦戦を強いられていました。
特に本場の味のホットドッグが受け入れられずリピーターを獲得できずにいました。
日本人の味覚に合う味を考えたときに、修二郎はひらめきます。
「てつのおにぎり」
失敗続きと札幌での生活に慣れなかったてつは、初めて役に立てると喜びます。
従業員に試食させ、てつから釜でのご飯の炊き方から習うと、商品化し1個55円で販売します。
(1971年の物価:かけそば100円、銭湯40円、映画館700円)
1971年当時に、おにぎりみたいな当たり前のものをラップ包装して売るって発想は無かったと思うので、コンビニ的発想だなと思ったのですが、北海道のコンビニと言えばセイコーマートで、セブンイレブンより早い1971年にオープンしてるのでモデルにしてるのかな?と思いました。
セイコーマートの母体が丸ヨ西尾商店というところで、その創業者の名前が西尾長次郎で、修二郎とか徳次郎に似てるので余計にそう思いました。
でも結局、初日のおにぎりは2個しか売れません。
賞味時間ギリギリのを1個買った修二郎は、時間が来たら全て廃棄を指示し、従業員が食べるのも禁止します。
とこんな感じでまぁコンビニ経営は苦戦するんですが、タイトルが『北の桜守』なのでコンビニの話ではありません。
でも、桜の話は、冒頭、樺太で桜の木が初めて花を付けるところと、公園での桜の木の病気ぐらいしか描かれないので、桜守のタイトルは謎です(最後に分かりますが)。
そんなある日、修二郎たちが目覚めると、部屋が整理されてて、てつの姿がありませんでした。
札幌の暮らしに慣れなくて、網走に帰ろうとしてるのを直感した修二郎は駅に向かいます。
駅に着くと、網走行きの電車がちょうど発車するところでしたが、てつは乗っておらず駅のベンチに座っていました。
修二郎が声を掛けると、自分がなぜここにいるのかも分からず、どこへ行こうとしてるのかも分からないてつでした。
そんな母を見た修二郎は急に思い立って、空白の15年を埋めるべくお礼参りの旅に出ます。
修二郎は真理に電話して、しばらく戻らない旨を伝えましたが、その日はアメリカから真理の父が視察に来る日でした。
仕事を急に放り出して母の世話をする修二郎に呆れる真理でした。
修二郎とてつは網走を目指しますが、昔、世話になった菅原信治が旭川で建設会社を営んで成功しており、まずそこに立ち寄ろうと思いつくと、1945年の菅原との出会いが描かれます。
樺太から北海道に渡ったてつと修二郎が、腹を空かしながら網走を目指して歩いてたときに、トラックで通りかかったのが菅原と子分の岩木でした。
菅原が食べる握り飯を修二郎が欲しそうに見つめていたところ、菅原が握り飯を分けてくれますが、それに飛びつく修二郎を見て「みっともないことするんじゃない」と制すてつでした。
岩木はてつを見て「いい女ですぜ、やっちゃいましょう」と言いますが、菅原はそんなてつの気丈さを買って、ヤミ米販売の仲間に引き入れてくれたのが、網走での生活の始まりでした。
ヤミ米取引では警察に捕まりそうになるてつと修二郎でしたが、見逃してくれた警官はシベリア抑留から帰ってきた山岡で、偶然の再会を果たすてつと山岡です。
それでもてつの家は貧しく、子供の頃の修二郎はいじめられます。
特に医者の息子の杉本久にはよくいじめられましたが、ミネソタ24が評判になると事業資金を借りに現れ、修二郎は罵倒するのでした。
やがて、菅原の援助でてつは食堂を始めることになります。
修二郎は子供心に、菅原と結婚すればいいのにと思ってました。
修二郎とてつは、旭川の菅原の会社の前に着きますが、てつは菅原に顔向けが出来ないと言って会わずに帰るのでした。
2人はそのまま網走に向かうと、父・徳次郎が亡くなったことを知らされた日が描かれます。
徳次郎は抑留されたシベリアで亡くなっていて遺体は無く、使者によって徳次郎が持ってた石をもたらされただけでした。
網走での再会を信じていたてつはショックで死を受け入れられませんでした。
その頃、ミネソタ24の店舗視察に訪れた岡部大吉は修二郎が居ないことに腹を立てていましたが、木村学以下従業員の働きぶりを見て安心します。
木村たちはホットドッグを日本人の舌に合うように改良させて欲しいと直談判していました。
おにぎりのアイデアにホットドッグの改良、店舗にかける情熱を感じ取った岡部は満足してアメリカに帰るのでした。
修二郎は網走で山岡に会うと、山岡はシベリア生活を懺悔します。
山岡は仲間を売って自分だけ助かったことを告白すると、徳次郎が死んだのは自分のせいだと謝るのでした。
時々、現実が分からなくなるてつは、樺太に戻りたいと言い出します。
修二郎は稚内のフェリー乗り場まで連れて行き、パスポートが無いと渡れない現実を見せると、樺太が見渡せる海岸に連れて行きます。
するとてつの記憶が蘇り、大泊から乗り込んだ船の様子が描かれます。
てつたちが乗った船は魚雷で沈没し、海に放り出されたてつと修二郎のために、浮き輪を取りに離れた清太郎は波にさらわれて亡くなったのでした。
清太郎のことを思い出したてつは、清太郎の名を呼びながら海に入っていくと倒れてしまい、入院することになります。
うん、そうですね、もうずっと修二郎しか出てこなかったので、船で清太郎は死んだと思ってました。
徳次郎も出てこなくて、江蓮家で生き残ったのはてつと修二郎と分かってたので、さしたる驚きはありません。
病院には山岡が付き添ってくれると、ひとまず修二郎は札幌に戻ります。
札幌に戻った修二郎には新たな問題が待ち受けてました。
保健所から、おにぎりの販売は許可していないと言われ、断念しようとしていた真理と木村たちでしたが、冷蔵庫を導入することで保健所と話をつけた修二郎でした。
すると病院の山岡から電話が入り、てつが病院を抜け出してしまったと連絡が入ります。
修二郎に協力して、山岡や菅原も似顔絵を配布しててつを探しますが、てつは見つかりませんでした。
2年後、菅原から、てつらしい人を見た人がいるとの情報がもたらされ、修二郎は旭川の建設会社に向かいます。
菅原に会った修二郎は、長年疑問に思ってた、てつと結婚しなかったことを聞くと、菅原が真相を話し始めます。
菅原は建設会社が軌道に乗るとてつにプロポーズしに行きましたが、菅原のプロポーズを察したてつは白い喪服姿(再婚はしませんの意)で待っていたのでした。
貸し付けた食堂の開業資金も、とっくに返し終わっているのに、その後も返され続けたと、てつの律儀さを語ります。
一同はてつが働いてるらしい桜守の現場に向かいます。
修二郎と真理の間には子供も生まれていました。
桜の木を診ていたてつは修二郎に気づくと降りてきます。
山岡や菅原にも見守られると、てつの前に清太郎が現れます。
てつは樺太で初めて咲かせた桜の木の下での思い出に浸ると、徳次郎も目の前に現れます。
託された江蓮の表札を差し出すと、また舞台シーンになり、皆で歌を歌って大団円で終わります。
なんか観てる途中は、吉永小百合版『東京物語』かな?と思ったり、観終わった直後の印象は、高倉健さんの遺作となった『あなたへ』みたいだなと思ったのですが、一番印象に残ったのは桜よりコンビニ描写でしたね。
なので、もしかしてセイコーマート創業史?かと思ったんですけど、創業者の方が樺太出身といった事実は無かったので、完全な創作なんだと思います。
印象に残ったのは吉永小百合さんのキョトン顔ですね。
ここでもキョトン、そこでもキョトン、またまたキョトン、と常にキョトン顔。
120本目の映画出演作とのことですが、かなり残念な仕上がりになってたと思います。
1945年のパートは若い役者さんにやらせた方がよかったと思いますね。
もう最初からコントみたいで物語に入っていけないですもの(笑)
だからラストでも全然泣けませんでした。
うーむ、観ても特に何も残らない映画で、吉永小百合さんとお友達的な豪華俳優陣(笑福亭鶴瓶さん、高島礼子さん、永島敏行さん、中村雅俊さん)がチョイ役で出演していて、ただ「スゲーな!」と思っただけの映画でしたね。
鑑賞データ
TOHOシネマズ日本橋 TOHOシネマズデイ 1100円
2018年 45作品目 累計35400円 1作品単価787円
コメント
昨日見たんですが小百合さんが認知なんてピンときません。
配役もストーリーも良かったんですが小百合さんにそれをさせるのかなと気になりました。
北の三部作全て観ましたがこれだけは小百合さんでないほうが良かった。