『忍びの国』アフターの趣も ☆3.5点
1966年発行の司馬遼太郎の同名小説で1981年にTBSで正月特番の大型時代劇としてドラマ化された作品の初映画化で監督は原田眞人
主演の石田三成役にV6の岡田准一、共演に徳川家康役の役所広司、島左近役に平岳大
予告編
映画データ
本作は2017年8月26日(土)公開で、『3月のライオン 前編・後編』に続き東宝・アスミックエースでの配給となる夏の歴史大作で全国で340館弱の公開規模となります。
今年の3月と4月に公開された『3月のライオン』は良作だったんですけどあまりヒットせず初週のランキングもまさかの7位スタートでしたが、本作は無事1位スタートみたいでよかったです。
監督は原田眞人さん
『金融腐蝕列島〔呪縛〕』『突入せよ!あさま山荘事件』『クライマーズ・ハイ』などをテレビで見てます。
前作の『日本のいちばん長い日』は劇場で観ました。
主演はV6の岡田准一さん
近作は『エヴェレスト 神々の山嶺』と『追憶』を観てます。
共演に有村架純さん
近作は『アイアムアヒーロー』『何者』『3月のライオン 前編・後編』を観てます。
共演に役所広司さん
近作は『渇き。』『日本のいちばん長い日』を観てます。
共演に東出昌大さん
近作は『桐島、部活やめるってよ』『GONIN サーガ』『ヒーローマニア -生活-』『クリーピー 偽りの隣人』『聖の青春』を観てます。
他に共演と配役は以下の通りです。
石田三成: 岡田准一
初芽: 有村架純
徳川家康: 役所広司
島左近: 平岳大
小早川秀秋: 東出昌大
花野: 中越典子
井伊直政: 北村有起哉
蛇白: 伊藤歩
福島正則: 音尾琢真
黒田長政: 和田正人
豊臣秀吉: 滝藤賢一
北政所: キムラ緑子
前田利家: 西岡徳馬
大谷刑部: 大場泰正
島信勝: 山村憲之介
八十島助左衛門: 堀部圭亮
宇喜多秀家: 生島翔
増田長盛: 中村育二
安国寺恵瓊: 春海四方
島津維新入道: 麿赤児
島津豊久: 三浦誠己
上杉景勝: 辻本晃良
赤耳: 中嶋しゅう
本多正信: 久保酎吉
本多忠勝: 天乃大介
松平忠吉: 吉村界人
加藤清正: 松角洋平
細川忠興: 関口晴雄
直江兼続: 松山ケンイチ
尼僧妙善: 壇蜜
あらすじ
関ヶ原の戦い――それは、戦乱の世に終止符を打ち、後の日本の在りようを決定づけた。
幼くして豊臣秀吉(滝藤賢一)に才を認められ、秀吉の小姓となった石田三成(岡田准一)。成長し大名にとりたてられた三成は自分の石高の半分をもって、猛将として名を馳せた牢人・島左近(平岳大)を家来に乞う。秀吉に忠誠を誓いながらも、利害によって天下を治めることに疑問を感じ正義で世の中を変えようとする三成の姿に、左近は「天下悉く利に走るとき、ひとり逆しまに走るのは男として面白い」と配下に入る。伊賀の忍び・初芽(有村架純)も、“犬”として三成に仕えることになる。
秀吉の体調が思わしくない。天下取りの野望を抱く徳川家康(役所広司)は、秀吉の不興を買う小早川秀秋(東出昌大)や他の秀吉恩顧の武将たちに、言葉巧みに取り入っていく。三成は、そんな家康が気にくわない。
1598年8月、秀吉逝去。翌1599年閏3月、大老・前田利家(西岡德馬)も亡くなると、先の朝鮮出兵時から三成に恨みを持つ福島正則、加藤清正ら秀吉子飼いの七人党が、三成の屋敷を襲撃する。三成は家康の屋敷に逃げ込み難を逃れるが、このことで佐和山城に蟄居。家康の影響力が増していく。
1600年6月、家康が上杉討伐に向かう。上杉家家臣・直江兼続(松山ケンイチ)と家康の挟み撃ちを図っていた三成は、盟友・大谷刑部らを引き込み、毛利輝元を総大将に立て挙兵。三成の西軍、家康の東軍が、覇権をかけて動き出す。1600年9月15日。決戦の地は関ヶ原。三成は、いかにして家康と世紀の合戦を戦うのか? そして、命を懸けて三成を守る初芽との、密やかな“愛”の行方は……。
権謀渦巻く中、「愛」と「正義」を貫き通す“純粋すぎる武将”三成と野望に燃える家康の戦いが今、幕を開ける!!(公式サイトhttp://wwwsp.sekigahara-movie.com/about/story.htmlより引用)
ネタバレ感想
例によって例のごとく、司馬遼太郎先生の原作小説は未読です。
ていうか、司馬先生の本を読んだことがありませんので、男として人として終わってると思います自分、はい。
近年の大河ドラマでは評価の高かった「真田丸」
第36話「勝負」で、くるぞくるぞ関ヶ原の戦い!と思いきや、佐助(藤井隆)によって語られること1分で終了。
そんな関ヶ原ロス、関ヶ原難民と化した視聴者にはタイムリーな公開なんじゃないかと思います。
本作の映像化は1981年にTBSのお正月特番として3夜連続で放送されて以来で、映画化としては初になります。
ちなみにドラマ版の石田三成役は加藤剛さんで徳川家康役は森繫久彌さん、島左近役は三船敏郎さんとか、もう名前聞くだけで窒息しそうな面々でございます。
真田丸のときは、「今年の関ヶ原は西軍が勝つ!」と思わまれしたが、本作の勝敗はいかに…。
本作は文庫版3冊で1500ページ超の原作を149分にするのですから、全部は描き切れないわけで色々端折られてるのでしょう。
原作を読んでなく、とくに歴史に明るいわけでもない自分には、ついてくのに必死だったというのが映画を観た正直な感想です。
というのもナレーションや台詞のスピードが速く、聞き取れないところもあったりして、情報量が物凄いんです。
監督の前作『日本のいちばん長い日』や昨年大ヒットした『シン・ゴジラ』みたいに、台詞に台詞を被せてくる感じなんですが、何せ戦国時代の話で各地の武将がそれぞれの国の訛りで話すので、薩摩の島津勢なんかは何言ってるか分からないのです(笑)
登場人物も多く、誰が誰だか分からないまま話が進んでいきますので、関ヶ原の戦いじゃなく、監督との戦いになります。
ただこれはあえてやってると思うので文句はありません。
エンタメ性を排して、徹底的なリアリズム(といってもそこまでのリアリズムじゃないでしょうが、所詮はフィクションなので)で描く感じは、観客に媚びない気がしてわりと好きです。
冒頭のナレーションで”筆者は”と語られるので、この映画はナレーション=司馬の声となります。
秀吉が信長の草履を懐で温めて取り立てられたのは有名な話ですが、三成にも「三杯の茶(三献茶)」というエピソードがあったのは知りませんでした。
本作は伊賀忍者が結構、活躍するんですが、これは原作通りなんですかね?
有村架純さん演じる初芽は、豊臣秀次の一族が三条河原で公開処刑されるときに大立ち回りを演じたことから、三成の目に留まり取り立てられるのですが、これは処刑された最上家の駒姫に仕えてた伊賀忍者という設定でした。
家康には蛇白(伊藤歩)という伊賀忍者がついていて、のちに阿茶と名前をつけられます。
先月ちょうど天正伊賀の乱を題材にした『忍びの国』を観ていて、伊賀忍者が虎狼の族(ころうのやから)と呼ばれるのを知っていたので、本作での伊賀忍者の立ち回りを理解するのに役立ちましたね。
家康が天下人になれたのを端的に示すシーンがあって、それは同じく伊賀忍者である赤耳が家康を暗殺しようとしたときに、それを庇った阿茶もろとも一瞬の躊躇もなく刺し殺したところで、初芽のことをいつまでも気にかけている三成とは対照的でした。
関ヶ原の戦いは本作を2回観るくらいの間で勝敗が決した短い戦で、言い換えれば戦が始まる前にほぼ勝敗が決していたことになります。
そこに至るまでの権謀術数により勝敗が決したわけで、本作もそのような描き方をしてます。
監督の前作『日本のいちばん長い日』と同じように、前日までを上映時間の半分くらいの尺を使って描き、残りを前日からに充てる感じですので、必然的に関ヶ原の合戦シーンは短くなります。
関ヶ原の戦いと言えば家康が鉄砲や大砲を撃ち込んで小早川を寝返らせたシーンが有名ですが、本作での小早川は、命を懸けて西軍に味方するよう伝えにきた島左近の息子の島信勝に「三成に味方する」と言います。
「やったぜパパ!今年の関ヶ原は西軍の勝ちたぜ!」と思ったのも束の間、小早川の側近たちが「成りませぬ殿~、小早川は徳川につくのです~」と言って、信勝の首をズブズブ斬ってしまうので結局今年も東軍が勝つことになるのでした(ちょぴっとグロいよ)。
関ヶ原といえば「原」がつくので、広い原っぱみたいなところで合戦してるイメージがあるのですが、本作ではそういうシーンは無くて山みたいな狭苦しいところで戦ってるんですが、それも史実に合ってるらしいです。
だから映画的、画面的には地味なので、正直あまり面白くないのですが、リアルに寄せてるので仕方ないと思います。
敗走した三成は山の中の民家に助けられますが、迷惑がかかってはいけないと、落ち武者狩りをしている徳川軍に引き渡すように言います。
大津城で一度だけ家康と接見する三成でしたがお互い言葉はありません。
その後、城門前で生き晒しにされると、福島正則に唾を吐かれ小突き回されるのでした。
その後は小早川が通り、「許してたもれ」と泣きながら言うと、許してあげる優しい三成なのでした。
この小早川秀秋の役は東出昌大さんに合ってていい感じでしたね。
許してたもれ
オープニングで5番目か6番目くらいにクレジットされてた松山ケンイチさんですが、直江兼続、1シーンしか出てこなかったですね。
あれなら北政所キムラ緑子さんを5番目、6番目にクレジットしてもいい気がしました。
北政所いい味出してます。
全体的に武将よりも忍者の活躍が目立ってて、赤耳役の中嶋しゅうさんも結構出番多いです。
『日本のいちばん長い日』の東条英機役もよかったなぁ。
ご冥福をお祈りいたします。
初見には、結構、厳しい映画ですが、感想書くために色々調べてると楽しい映画で、公式サイトとかで事前知識蓄えて観に行きますと、より面白く見れるかもです。
2回目、3回目とより楽しめるんじゃないかな。
それからですが、こんなの見つけちゃったんですけど。
時々ここの短評あれ?って思うのが載ってるんですが、ライターさんならもう少し調べて書いて欲しいと思いました。
鑑賞データ
新宿バルト9 夕方割 1300円
2017年 141作品目 累計149300円 1作品単価1059円
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