ナミヤとなやみのアナグラム ☆4点
2012年に発行され第7回中央公論文芸賞を受賞した東野圭吾の同名小説の映画化で監督は廣木隆一。
主演に山田涼介と西田敏行、共演に村上虹郎と尾野真千子
予告編
映画データ
本作は2017年9月23日(土)公開で全国で350館弱での公開で大作ですね。
けものフレンズで絶賛炎上中のKADOKAWAと松竹の配給で予告編は頻繁に見ました。
原作は例によって未読です。
東野圭吾さん原作の映像化作品でみたことがあるのはガリレオシリーズとか新参者シリーズ、あと『天空の蜂』を観たことがあります。
作品数はめちゃめちゃ多くて映像化作品もたくさんあって、よくいろんな話思いつくよなぁと思います。
今回はいったいどんなお話なのでしょう。
監督は廣木隆一さん
今年は『PとJK』『彼女の人生は間違いじゃない』に続いて3作目です。
あと近作は『さよなら歌舞伎町』を観てます。
主演に山田涼介さん
近作は『グラスホッパー』を観てます。
主演に西田敏行さん
近作は最終章がもうじき公開される『アウトレイジ ビヨンド』『人生の約束』を観てます。
共演に村上虹郎さん
近作は『ディストラクション・ベイビーズ』『武曲 MUKOKU』を観てます。
共演に尾野真千子さん
近作は『探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点』『ニシノユキヒコの恋と冒険』『エヴェレスト 神々の山嶺』『後妻業の女』『ミュージアム』を観てます。
他に共演と配役は以下の通りです。
矢口敦也: 山田涼介
小林翔太: 村上虹郎
麻生幸平: 寛一郎
皆月暁子: 成海璃子
松岡克郎: 林遣都
松岡健夫: 小林薫
セリ(35): 門脇麦
セリ(10): 鈴木梨央
川辺映子: 山下リオ
刈谷: 手塚とおる
皆月良和: PANTA
田村秀代: 吉行和子
田村晴美: 尾野真千子
浪矢貴之: 萩原聖人
浪矢雄治: 西田敏行
あらすじ
2012年のある夜、今は空き家でだれも寄り付かないはずのナミヤ雑貨店のシャッターに突如1通の手紙が落とされた。それは1980年からの悩み相談。そう、この雑貨店の店主・浪矢は、かつて商売をしながら、客の悩み相談に回答していたのだった。シャッターの郵便受けに入れられた手紙への回答は、翌日店の掲示板に貼り出され、そして深刻な悩みについては店の牛乳箱にひっそり入れられていた。
偶然にもその夜、店には敦也・翔太・幸平の3人組が忍び込んでいた。ある理由で女性起業家を襲った3人は、店で一夜を明かそうとしていたのだ。
店に落ちていた雑誌で店主の悩み相談のことを知った3人。幸平の発案で、その過去からきた手紙に返事を書くことに。手紙の差出人は“魚屋ミュージシャン”という青年。大学を中退し音楽でやっていこうと決めて3年が経った1980年、夢を諦め家業を継ぐべきか悩んでいた。青年はナミヤからの辛辣な返事に落ち込むが、音楽への真剣な思いを伝えるため、返事の手紙をシャッターに差しはさんだまま、ハーミニカで自身のオリジナル楽曲を吹き始める。
シャッターを通し、2012年の3人は魚屋ミュージシャンの演奏に聴き入る。そのメロディーは自分たちの知り合いでもある人気アーティスト・セリの代表曲「REBORN」だった!届く手紙と自分たちとの不思議なリンクに気付き始めた3人。そして次に届いた“迷える子犬”という女性から届いた手紙に、3人はある重要なアドバイスを送ることを決意する・・・
しかし彼らはまだ知らない。
自分たちとナミヤ雑貨店のつながりを、そして、32年前の今日、何が起こっていたのかを。時を超えて届く手紙が、敦也たちと浪矢をつなげた瞬間、すべてのパズルのピースが埋まり、やさしい奇蹟が包み込む―――(公式サイトhttp://namiya-movie.jp/about/story.htmlより引用)
ネタバレ感想
観る前に上映時間調べたら129分とあったので、ちょっと長ない?と思って観始めました。
時間軸が1968年、1980年、1988年、2012年、あと1995年頃に飛ぶんですが、基本1980年と2012年を押さえとけば問題ない感じかな。
最初は1968(昭和43)年のナミヤ雑貨店。
浪矢のおっちゃん(西田敏行)が1980年で75歳なので63歳のときですね。
雑貨店は駄菓子屋みたいになってて近所の子供がよく集まってて『ALWAYS 三丁目の夕日』みたいに賑わってます。
浪矢のおっちゃんは子供から大人まで幅広く悩み相談にのっていて、相談者は夜、お店が閉まってる間にシャッターの郵便穴から悩みの手紙を投函する決まりになってます。
翌日、簡単な悩み相談への回答は店の外の掲示板にまとめて貼り出し、深刻な悩みにはお店の牛乳箱に入れとくっていうスタイルです。
時代は2012年に飛びます。
敦也(山田涼介)、翔太(村上虹郎)、幸平(寛 一 郎)の3人は空き巣に入ったお屋敷から逃げてきます。
近所の公園の駐車場に停めておいた車で逃げようとするんですが、ポンコツなのでエンジンがかかりません。
翔太が下見のとき空き家を見つけたと言うので、とりあえずそこに逃げることにするんですが、そこが廃屋となったナミヤ雑貨店でした。
ここ敦也も言うんですが駐車場からナミヤ雑貨店まで遠いんですよね。
若者3人が懐中電灯持って走ってるんで目立つんですが、もし警察が追ってくればすぐ捕まっちゃうと思うんですけど、そこでこの話に乗れないと、この映画はもうダメかもしれません。
商店街とか走ってるとことか、無駄に長ない?と思ってしまうと、もう話にノレません。
廃屋に入るともちろん電気とか止まってるんで懐中電灯の明かりを点けてるんですが、雑貨店だからろうそくがあってそれをつけます。
とりあえず朝になって通勤・通学の人が動き出したら、それに混じって逃げることにするんですが、ここもツッコミたくなります。
でも我慢して下さい、このお話はこの夜から明け方までの話ですから、ここを乗り切れれば面白くみれます。
廃屋の中にあった古い雑誌を読んで時間を潰してるとナミヤ雑貨店の記事があって、そこがかつて悩み相談ができる雑貨店として有名だったことを知ります。
それから雑誌の中から暁子(成海璃子)と書かれた昭和2年の古い写真が出てくるんですが、この時点では何のことかは分かりません。
するとシャッターの郵便受から手紙が落ちてくるんですね。
廃屋なのに郵便ておかしいだろ、ってことで外に出てみますが誰もいません。
警戒した3人は廃屋を出ることにします。
でまた商店街をダーっと走って逃げるんですが、同じところに出てしまいます。
しまいには、まぼろしのような路面電車にぶつかるんですが、気づくとナミヤ雑貨店の前でした。
3人は諦めて廃屋で朝まで過ごすことにします。
暇なんで投函された手紙を読むと、魚屋ミュージシャンていう人からのお悩み相談でした。
その手紙は「昨日、ジョン・レノンが死んだ」の書き出しで始まり、大学を中退して音楽で食っていこうとして3年、芽が出ず諦めて実家の魚屋を継ごうか迷ってるというものでした。
3人はジョン・レノンが死んだ?いつだ?ってことになり、スマホで検索すると1980年12月8日。その手紙は1980年12月9日に投函されたことになり、頭が混乱します。
それでも幸平が返事を書きたいと言い出し、返事を書くことにします。
1980年という夢のある時代の若者に対し、2012年という夢の無い時代の若者の出した答えは「音楽なんかで食ってけるのは一握りなんだから、現実を見て魚屋を継げ」というものでした。
そうすると1980年パートになります。
魚屋ミュージシャンこと松岡克郎(林遣都)は祖父の葬式で帰ってきてました。
実家の魚屋はナミヤ雑貨店近くの商店街の中にあります。
葬式の席で叔父(父の弟)さんに、大学辞めてミュージシャンやってることを話すと怒られて兄貴の魚屋を継げと言われます。
兄さんの体調も悪いんだと言われ悩むことになります。
いや、この叔父さん役は川瀬陽太さんだったんですけど、今年の邦画に何作出てるのだろう?十作以上出てる気がします。
それから克郎のお父さんとお母さん役ですね。小林薫さんと根岸季衣さんが夫婦で「ふぞろいの林檎たち」ですね。
それで手紙を書いて出したんですけど、帰ってきた答えが頭ごなしの返事で納得いかない克郎は自分の曲を聴いて判断してくれと書きます。
それからこの時、克郎は妹にナミヤ雑貨店はまだやってるのかと聞いてます。
妹によると半年くらい前に店を閉めて、息子さん夫婦のところに行ったらしいことを言われます。相談はやってるか分からないとのことでした。
また2012年に戻ります。
郵便受けに半分だけ手紙が差し込まれるとシャッターの前から歌が聞こえます。
3人にはその歌に聞き覚えがあり、3人の知り合いのセリって人の歌でした。
敦也は外に出てシャッターの前に行きますが人もいなく歌も聞こえません。
中に戻るとまた歌が聞こえます。
事情はよく分からないながらもシャッターを隔てて1980年と繋がってることを理解すると「あなたの歌を必要としてる人がいる」と書いて音楽を続けるように返事を出します。
また1980年の松岡克郎。
音楽を続けるよう返事をもらった克郎は音楽を続けることにします。
8年後に飛びます(1988年)
克郎はクリスマスに丸光園という児童養護施設に慰問に来ています。
2曲目に自作曲の「REBORN」を歌ったところ、セリ(子役:鈴木梨央)という女の子が興味を示します。
その曲はハミングで歌い歌詞がなかったのですが、セリは一回聞いただけでハミングで歌えるようになるくらいお気に入りになっていました。
嵐のため帰れなくなった克郎がその日は丸光園に泊まることになると施設で火事が起こります。
全員が避難しますが、セリの弟が取り残されてることが分かると、克郎が救出に向かいます。
克郎はセリの弟を無事救いますが、自身は命を落としてしまいます。
2012年
セリ(門脇麦)という女性アーティストがライブをしています。
次の曲は「REBORN」という曲で、弟の命を救ってくれた松岡克郎さんが作った曲に自分が歌詞を付けた曲だと言って歌います。
すると画面がズームアウトして、これは3人が動画配信サイトで見てる映像でした。
再び1980年に飛びます。
でもさっきより少し前で1980年の2月で、ナミヤ雑貨店には浪矢のおっちゃんがいます。
息子の貴之(萩原聖人)が訪ねてきていて、父親の体を心配して、店を閉めて同居しないかと提案しています。
するとそこに悩み相談の手紙が投函されます。
グリーンリバーという女性からで、不倫してる人との子を身籠って産むべきか悩んでいるというものでした。
貴之は堕ろすべきだろうと言いますが、浪矢のおっちゃんは少し考えて返事を書きます。
後日、病院。
息子の貴之夫婦は父親の病状説明を受けてます。
末期の膵臓癌で余命宣告を受けます。
父親にはとりあえず内緒にしておこうとなります。
後日、入院中のベッド。
浪矢のおっちゃんが新聞記事を読んでると交通事故の記事を見かけます。
その事故はカーブを曲がりきれず海に突っ込んだもので運転していた女性は死亡、投げ出された赤ちゃんは奇跡的に助かったというものでした。
現場にはブレーキ痕が無いことからシングルマザーの無理心中かもしれないことが書いてあり、死亡した女性の名前は川辺緑(菜葉菜)でした。
グリーンリバーさんのことだと直感したおっちゃんは、自分のアドバイスで人生を狂わせた人がいるのではないかと思い、不安になります。
1995年頃
女子高生(山下リオ)が社会の授業で自分の生まれ年のことを調べてると、自分の母親が載っている新聞記事を見つけます。
それは浪矢のおっちゃんが読んでたものと同じもので無理心中と思われる交通事故でした。
母親は川辺緑でその女子高生は事故で助かった赤ちゃんでした。
無理心中で母親が自分を殺そうとしてたことを知り、ショックを受けた女子高生は飛び降り自殺をしてしまいます。
幸い女子高生は一命を取りとめ入院しています。
そこに見舞いに来たのは女子高生のセリで2人は丸光園で育っていました。
セリは川辺緑の遺品にあった浪矢のおっちゃんからの返事を見せ、無理心中ではないと言います。
シングルマザーだった川辺緑は昼も夜も働いて懸命に育てようとしていました。
その日は働いてる途中、娘が熱を出したので職場の友人の車を借りて、病院に行くところでした。
疲れていた緑が居眠り運転してしまったのが原因でした。
セリは松岡克郎が亡くなった火事を覚えてるかと聞き、もう私のそばで大事な人に死んで欲しくないと言います。
1980年の病院のベッド
浪矢のおっちゃんは自分の余命を感じ取ったようで、貴之に雑貨店に帰りたいと言います。
貴之に雑貨店まで送ってもらうと、自分の遺言を託します。
それは自分の33回忌(2012年)に一夜限りでナミヤ雑貨店の相談を復活してほしいというものでした。
そしてその手紙は相談ではなく、過去に浪矢から返事をもらった人がその後どうなったかを書いて欲しいとのことでした。
2012年の3人組
また1980年の時代から新しい相談の手紙が投函されます。
迷える子犬という相談者で高校を卒業して一般の会社で働き始めたばかりの19歳の女性でした。
その女性は夜はホステスのバイトをしていて、ある金持ちから愛人になって店を出さないかと言われてるとのことでした。
その女性には大変お世話になってる人たちがいて、その人たちのためにもお金がいるとのことでした。
その女性の手紙を読んでいて、その甘い考えに腹が立った敦也が、手厳しい返事を書きます。
敦也の手厳しい返事にも反論してくる女性と何度かやりとりするうちに、敦也は現実的な方法を教えます。
それは日本のバブル景気を見越した資産運用でした。
地道に働いたお金を元手にマンションを買い資産運用させるもので、90年代になったらすっぱり手を引けと書きます。
この辺はバック・トゥ・ザ・フューチャーのビフがお金増やした方法と同じですね。
すでに分かってる未来を利用してお金を稼ぐっていう。
迷える子犬こと田村晴美(尾野真千子)も丸光園の出身者で、その後は大叔母夫婦(吉行和子)に引き取られて暮らしてました。
大叔母夫婦は大変よくしてくれましたが、晴美が高校を卒業する頃になると経済的に苦境に立たされます。
それでお金を稼ごうとしてました。
敦也の手紙通りにした晴美は1988年の時点で社長になっていました。
晴美は丸光園の火事をニュースで知ると、それからは度々、丸光園を援助するようになります。
晴美が火事のあと丸光園に行き園長の皆月(PANTA)と話をすると、元々は姉の暁子が始めたと言って写真を見せてくれます。
その写真は3人組が見つけた暁子と書かれた写真と同じでした。
1980年の退院後のナミヤ雑貨店
浪矢のおっちゃんを車から降ろした貴之はとりあえず車で待機してます。
浪矢のおっちゃんが家に入ると、暁子のまぼろしが現れます。
暁子と浪矢のおっちゃんは昔付き合ってましたが、暁子がお嬢様であるという身分の差から別れたのでした。
2人で団らんしてると郵便受からどんどん手紙が投げ込まれます。
それは浪矢のおっちゃんが遺言で書いた32年後(33回忌)の2012年からの手紙で、浪矢のおっちゃんへの感謝の手紙でした。
その手紙の中には川辺緑の娘、川辺映子からの手紙もあり、亡くなった母に変わり感謝するものでした。
グリーンリバーさんのことが気がかりだった浪矢のおっちゃんは胸のつかえがとれます。
すると1通の白紙の便せんが投函されます。
浪矢のおっちゃんと暁子は顔を見合わせますが、浪矢のおっちゃんはこの白紙の手紙を最後の相談として返事を書きます。
朝になってナミヤ雑貨店から出てくるおっちゃんは手にたくさんの手紙を抱えています。
それを見た貴之はずっと外から見てたけど誰も手紙を投函してないことを言います。
浪矢のおっちゃんは当然と言って、32年後からの手紙だと嬉しそうに言います。
そしてその日がおっちゃんの命日となります。
2012年の3人組
敦也が翔太に、そもそもなんでこの場所を見つけたんだと聞きます。
すると空き巣に入るに至ったいきさつが回想で描かれます。
3人組も丸光園の出身者で事件の前に施設に顔を出していました。
そのとき丸光園が取り壊されてラブホテルになるという噂を聞きます。
義憤にかられた3人が調べると東京で手広く事業を展開している田村晴子という女社長が噛んでいることが分かります。
そしてこの田村という女性はこの街の出身者で普段は東京に住んでるが、週末などたまに利用するお屋敷があるとのことでした。
翔太は下調べの際、この田村を尾行したらナミヤ雑貨店の前で止まり建物を眺めていたことから、気になって調べたら廃屋だったので、逃走の際利用できると思ったとのことでした。
3人組は田村を軽く懲らしめるつもりで不在時を狙い空き巣に入りますが、予想に反して田村が帰ってきてしまったため、椅子にガムテープで縛りつけて逃げてきたのでした。
敦也は田村がナミヤ雑貨店を見上げてたのが気になって、盗んだバッグをあさるとナミヤ雑貨店宛ての手紙が出てきます。
その手紙には「ナミヤ雑貨店の相談が1日限りで復活するのを知って手紙を書いてる」という書き出しで始まり、浪矢さんの言う通りにしたら大金持ちになったと感謝するものでした。
敦也は迷える子犬が田村と知ってビックリします。
そして翔太がナミヤ雑貨店限定1日復活についてスマホで検索するとまさに今日でした。
ただそのわりにはお礼の手紙が投函されません。
敦也は白紙の便せんを持ってシャッターの表に回って投函しますが、中で待つ2人には何も落ちてきません。
敦也が戻ってきて便せんが無いのを確認すると、お礼の手紙は1980年に届いてると確信します。
そして、この白紙の便せんに浪矢のおっちゃんは返事を書いてたのでした。
3人は田村を解放すべくお屋敷に向かいます。
敦也が外に出て牛乳箱を確認すると、返事が届いてました。
手紙には白紙の名無しさんの相談に答えるのは難しかったことが書いてあります。
そして自分の最後の相談にこんな難しい相談を出してくれたことへの感謝が綴られていました。
そして白紙の便せんは相談者そのもので、まだ何色にも染まってなくあらゆる可能性が広がってることが書かれてあります。
それを読んで涙する敦也は先に行った2人を追いかけて田村の元へ向かいます。
田村は丸光園のよくない噂を耳にしていました。
それは現在の理事長の刈谷(手塚とおる)が運営資金を私的に流用してるというものでした。
園を作った皆月姉弟が亡くなると経営方針が変わってきて、そのたびに目を光らせていた田村は刈谷から疎まれていました。
ラブホテルにするという噂も刈谷が流したのでしょう。
翔太と幸平が先に田村の家に着くと、警察がすでに到着していて救出されていました。
田村を遠くから見つめる2人に敦也が追いつくと、田村に近づいていきます。
ここで山下達郎さんの「REBORN」がかかり、田村は丸光園の理事長に就任、敦也は介護士or看護士or理学療法士の仕事、翔太は飛行機の整備士、幸平は料理人見習いになってるのが描かれて映画は終わります。
物語はいわゆるタイムスリップもので人間の行き来は無いですが、手紙だけ行き来できるって展開です。
タイムスリップものは基本的に面白く作れると思いますが、これは原作がいいんだと思うんですが、なかなかの佳作だと思います。
ここ十年くらいの邦画だと『サマータイムマシン・ブルース』みたいな感じかな。
「東野圭吾史上、最も泣ける感動作」のコピーがありますが、そんなに感動はしないですけど、話がゆるやかに繋がるミステリー感は面白いと思いました。
魚屋ミュージシャンのエピソードが出てきたときに、30分ずつ4編くらいのオムニバスで話が進んでいくのかな?と思ったんですが、それらがゆるやかに繋がり(例えば、田村が手紙を出しに行くときに松岡に声をかけられるとか)1つの物語を作っていく感じです。
物語は終わってみれば、浪矢のおっちゃんの元恋人の暁子が作った児童養護施設を、早くに亡くなった暁子が見守っていて、施設で育った子たちは手紙で救われていて、ずっと施設を補佐していた刈谷が私物化しようとしたことから3人が事件を起こした、っていうナミヤ雑貨店と丸光園でお話が完結しちゃう、こじんまりとしたストーリーです。
未来からの手紙というアイデアは、よくインターネットの掲示板で「未来からのカキコミか?」って騒がれるときありますが、ああいう感じに近いです。
ネットのお悩み相談といえば発言小町が有名ですが、小町にも未来からの返事があったら面白いなぁとか思って観てました。
携帯に未来の日付のメールがありました : 生活・身近な話題 : 発言小町
それほど感動できなかったのは3人組の背景が描かれてないからで、3人が登場したときは空き巣とかばっかりやってる悪い奴らなのかな?と思って観てましたが、そうではありませんでした。
なので施設を出て社会で挫折していく描写等があれば、ラストの描写でもう少し感動出来たかもしれません。
そう考えると、こういう人情系ミステリーは、それぞれのエピソードをもう少し掘り下げて連続ドラマでやった方がいい気もしますが、本作は本作で無難にまとまってた気もしました。
鑑賞データ
新宿ピカデリー SMTメンバーズ割引料金 1200円
2017年 159作品目 累計170300円 1作品単価1071円
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