怒り 評価と感想/ハリウッド俳優渡辺謙さんの落差が凄い

怒り 評価と感想
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素晴らしいと思います  ☆5点

予告編

映画データ

怒り (2016):作品情報|シネマトゥデイ
映画『怒り』のあらすじ・キャスト・評価・動画など作品情報:『横道世之介』『さよなら渓谷』などの原作者・吉田修一のミステリー小説を、『悪人』でタッグを組んだ李相日監督が映画化。
http://cinema.pia.co.jp/title/166839/

あらすじ

八王子の閑静な住宅地で、惨たらしく殺された夫婦の遺体が見つかる。
室内には、被害者の血で書かれたと思われる『怒』の文字が残されていた。
犯人逮捕に結びつく有力な情報が得られないまま、事件から1年が経ってしまう。

千葉の漁港で働く洋平(渡辺謙)は、家出していた娘・愛子(宮崎あおい)を連れて帰ってくる。
愛子は漁港で働き始めた田代という男(松山ケンイチ)と親密になっていき、洋平に彼と一緒に住みたいと告げる。
しかしその直前に愛子のために田代に正社員登用を勧めて断られていた洋平の胸の内は複雑だった。
二人のアパートの下見の際、田代が前住所を偽っていることが判明。
さらに田代という名すら偽名だった。
疑念を強める洋平が愛子を問いただすと、彼は借金で追われていると告げられる。
そんな中、テレビで整形して逃亡を続ける八王子殺人事件の犯人の似顔絵が公開された。
手配書を見つめ、警察に電話をかける愛子。
時を同じくして田代は行方をくらます。

東京にある大手広告代理店に勤める優馬(妻夫木聡)は、たまたま知り合った直人(綾野剛)と親密になり、住所不定の彼を家に招き入れる。
直人は末期ガンを患う優馬の母・貴子(原日出子)や友人とも親しくなっていく。
しかし日中の彼の行動がわからない上に、仲間内で空き巣事件が連続していること、見知らぬ女性と一緒にいたことが重なり、ニュースで報じられた事件の犯人の特徴を知った優馬の脳裏に直人の姿が浮かぶ。
ふと、冗談めかして殺人犯かと口に出してしまう優馬。
後日、直人は優馬の前から姿を消す。

母と沖縄に引っ越してきた泉(広瀬すず)は、離島を散策中、一人でサバイバル生活をしている田中(森山未來)と出会う。
泉は気兼ねなく話せる田中に心を開いていく。
ある日、同い年の辰哉(佐久本宝)と訪れた那覇で事件に遭遇。
彼女がショックを受け立ち直れないのも自分のせいだと自責の念にかられる辰哉は、田中に悩みを打ち明ける。
自分は味方だとの田中の言葉に救われる辰哉だったが、彼の隠された事実を知り、やりきれない思いが胸中に広がっていく。

MovieWalkerより引用)

映画データ

怒り (2016):作品情報|シネマトゥデイ
映画『怒り』のあらすじ・キャスト・評価・動画など作品情報:『横道世之介』『さよなら渓谷』などの原作者・吉田修一のミステリー小説を、『悪人』でタッグを組んだ李相日監督が映画化。
http://cinema.pia.co.jp/title/166839/

ネタバレ感想

テーマといい、役者といい、映像・音楽といい、素晴らしい作品だと思います。

吉田修一さんの原作は未読です。

吉田さんの映画化作品はホント多いですよね。
原作は読んでないけど見たことある映画が『横道世之介』と『さよなら渓谷』
原作も読んで映画も見たのが『パレード』になります。

今年の邦画は実録ベースなのが多くて
葛城事件』は附属池田小事件
後妻業の女』は関西青酸連続殺人事件
をベースにしていて、それ以外でも
クリーピー 偽りの隣人』は北九州監禁殺人事件や尼崎事件をモデルにしていると思いますし、
ヒメアノ~ル』はパッとモデルは思い浮かばないですが優れたサイコスリラーでした。

それで、本作は言わずと知れたリンゼイ・アン・ホーカーさん殺害事件で逃亡した市橋達也受刑者をモデルにした物語で、テレビで公開捜査されてるような容疑者が、自分の身の回りに現れたら?という話になっています。

逃亡961日。殺人犯市橋の真実|ザ!世界仰天ニュース
今から11年前の2007年3月26日夜9時すぎ、 警察はある男のマンションへ。 警察が家の中で事情聴取をしようとしたその時! 男は突然逃げ出した。 6人もの刑事を振り切ったこの男の名は市橋達也。この時28歳。 そしてここから、日本中を騒がせ

この映画、まずキャスティングが上手かったと思います。
容疑者と思われる人物をそれぞれ、松山ケンイチさん、綾野剛さん、森山未來さんが演じられているのですが、最大公約数的な感じで似ているなぁと思いましたし、モンタージュ写真の作り方も上手かったんですね。
あれ3人の顔混ぜてますね、きっと。

それから、上映時間142分と長めでしたが、東京・千葉・沖縄のそれぞれのストーリーが面白く、かつ場面転換のつなぎ方も上手かったので、長いと感じることなく見れました。

特に東京編の歌舞伎町・新宿二丁目という刺激的な場所やゲイカルチャーの描写と、沖縄の雄大な自然・美しい海との映像の対比とか、映像的な振り幅も大きくて素晴らしいと思いました。

プロフェッサー坂本龍一氏の音楽は今年『レヴェナント:蘇えりし者』も担当されてましたが、レヴェナントも美しい大自然の映像にマッチした音楽でしたが、本作の沖縄編も勝るとも劣らない素晴らしい出来だったと思います。

テーマ的には、誰もが持ってる、声を上げたくても上げられない心の叫びや理不尽な思い、それこそ映画タイトルどおりで、それらに対する怒りなんですが、奇しくも昨年のキネ旬1位の橋口亮輔監督の『恋人たち』と非常に近いテーマで、恋人たちも3人のオムニバスの話で共通しています。

きっと李監督も橋口監督も今の日本の閉塞感とか、共通する思いがあるのだと思います。
それから恋人たちの映画パンフレットには吉田修一さんが原稿を寄せているみたいなので、やっぱり結構共通する思いがあるんじゃないかなーと思いますので、本作を好きな方で恋人たちを見てない方は是非見ていただきたいと思います。

映画は人間ドラマがメインですが、ちゃんと犯人も明らかにしてくれるので、ミステリーとしても完結しています。

身近な人を信じられなかった後悔による慟哭(自分自身に対する怒り)。
信じていたのに裏切られたことによる怒り。
怒りのベクトルはどちらに向かっても何かを傷つけずにはいられなくて、この映画を見た人の胸にも必ず何かが刺さると思います。

鑑賞データ

TOHOシネマズ日劇 シネマイレージ6P無料鑑賞 0円
2016年 106作品目 累計119600円 1作品単価1128円

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