リメイクはイーライ・ロス監督にお任せ ☆4.5点
1974年にチャールズ・ブロンソン主演で製作されシリーズ5作まで続いた『狼よさらば』(原題:Death Wish)のリメイク作品。
監督はイーライ・ロス、主演はブルース・ウィリス、共演にエリザベス・シュー、ヴィンセント・ドノフリオ、ディーン・ノリス
予告編
映画データ
本作は2018年10月19日(金)公開で、全国129館での公開です。
アメリカでの配給はメトロ・ゴールドウィン・メイヤー(MGM)で日本での配給はショウゲート
劇場では予告編を目にしなかったんですが、いつものように公開カレンダーを眺めてたら、その前の週に『ルイスと不思議の時計』が公開されたばかりのイーライ・ロス監督作品ということで興味を惹かれ、調べたら『狼よさらば』のリメイクとのことで観に行ってみました。
『狼よさらば』はテレ東の午後のロードショー(2時のロードショー)で見たと思うんですが、内容はもう忘れました。
しかしさすがテレ東、2015年に『狼よさらば』祝・20年目突入と題して放送して、今年(2018年)に入ってもBSジャパン(現在はBSテレ東)で6月と9月に放送してました(笑)
チャールズ・ブロンソン大好きなテレ東はブロンソンズともしっかりタッグを組んでいるようです(笑)
監督はイーライ・ロス
近作は『グリーン・インフェルノ』『ノック・ノック』『ルイスと不思議の時計』を観てます。
主演はブルース・ウィリス
近作は『ムーンライズ・キングダム』『スプリット』を観てます。
共演にエリザベス・シュー
近作は『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』を観てます。
共演にヴィンセント・ドノフリオ
近作は『ラン・オールナイト』『ジュラシック・ワールド』『マグニフィセント・セブン』を観てます。
共演にディーン・ノリス
近作は『シークレット・アイズ』『手紙は憶えている』を観てます。
他に共演と配役は以下の通りです。
ポール・カージー: ブルース・ウィリス
ルーシー・カージー(妻): エリザベス・シュー
ジョーダン・カージー(娘): カミラ・モローネ
フランク・カージー(弟): ヴィンセント・ドノフリオ
ジャクソン刑事: キンバリー・エリス
レインズ刑事: ディーン・ノリス
クリス・サルガド医師(友人): マイク・エップス
ベサニー(銃砲店): カービー・ブリス・ブラントン
ベン(義父): レン・キャリオー
ノックス(強盗): ボー・ナップ
ジョー(強盗): ロニー・ジーン・ブレヴィンス
フィッシュ(強盗): ジャック・ケシー
あらすじ
犯罪が多発し、警察の手に負えない無法地帯と化した街、シカゴ。
救急救命の患者を診る外科医ポール・カージー(ブルース・ウィリス)は、毎日犯罪に巻き込まれた患者の生死に立ち会っていた。
裕福で幸せな家庭だけが彼の平穏の地だった。
しかし、ポールが留守のうちに家族は何者かに襲われ、妻は死に、娘は昏睡状態になってしまう。
ポールの願いも空しく警察の捜査は一向に進展をみせなかった。
怒りの頂点に達したポールは、犯人を抹殺するべく自ら銃を手に取り、危険な街へと繰り出し始める―。(公式サイトhttp://deathwish.jp/about.htmlより引用)
ネタバレ感想
リメイクされるの知ってたらテレ東でやってたの見とけばよかったと思いますが、オリジナルはもう忘れちゃってるので比較は出来ないんですが、面白かったです。
チャールズ・ブロンソン版のポール・カージーは建築家だったようで、本作では外科医に変更されてるのですが、この改変が上手く効いてたと思います。
本作でのブルース・ウィリス演じるポール・カージーは、犯罪都市シカゴで外科医として救急医療の現場にも立ち会うんですが、犯罪被害者の多くは病院に運び込まれたときには亡くなってるか虫の息で、手の施しようがなく無力感を抱いてるんですが、逆に警官の発砲などによって運ばれてくる怪我した犯罪者たちは、手術によって一命を取り留めるという矛盾を日々感じているので、ポールが「正義の処刑人」となるのがすんなり入ってきます。
またポールが自身の復讐に至るのも、三段論法的な描かれ方をしてるので説得力があるんですね。
まず、一つ目はポールが捜査の進捗状況を聞きにレインズ刑事の元を訪れるんですが、妻と娘の事件の犯人の目星が付いてないどころか、壁に貼られた未解決・捜査中の事件の数を見て、凶悪事件が増え過ぎて警察の捜査が追い付いてない事実を知ります。
犯罪だらけの街にプッツン! イーライ・ロス監督作『デス・ウィッシュ』外科医が復讐に目覚める本編映像[ホラー通信] https://t.co/fM2OVRTWL8 #getnews #ガジェット通信 pic.twitter.com/oeu63Gd9O5
— ガジェット通信(公式) (@getnewsfeed) 2018年9月15日
そして二つ目は、亡くなった妻ルーシーのテキサスの実家に行き農場を営む義父と会った際に、農場に侵入した密猟者をライフルで威嚇して撃退する現場に遭遇し、義父から「警察が来るのは事件の後だ。自分の身は自分で守るしかない」と言われ、銃による自衛を意識するようになります。
そして三つ目は、また銃撃戦で撃たれた犯罪者が病院に運び込まれてくるのですが、その際にその犯罪者が隠し持っていた拳銃が服から落ちてきて、それまで銃に縁の無かったポールは初めて銃を手にし、誰にも気づかれなかったことから、そのまま銃を持ち帰ります。
そしてユーチューブの動画で銃の取り扱いを覚え、自衛のための射撃訓練をしていたところ、カップルが乗った車を襲う暴漢に出くわし、勢いのまま暴漢を射殺したことから、「復讐のために犯人を殺す」ということへの心理的ハードルが下がるという風になっています。
外科医の設定が効いてるのも、冒頭に述べた被害者が死んで加害者が生きるという矛盾を日々感じているのと、登録されていない銃を手に入れられるのと、捜査権を持たない主人公に犯人の目星が付くという点で役立っています。
ポールが自分の家を襲った犯人だと気付くのは、病院に運び込まれてきた患者が家から盗まれた腕時計をしていたからで、医者という立場上、その患者が持っていたスマートフォンもすんなりと手に入れられます。
またポールはその運び込まれてきた患者のタトゥーに見覚えがあって、レストランのバレーパーキングを利用した際のドライバーでした。
なので犯人はその車種からポールが裕福であることを見抜き、カーナビから自宅の位置も分かったという訳です。
ポールは犯人のスマホを手に入れてるので、その履歴からサクサクと仲間が割れ、話がモタモタしないのも本作のいい所です。
本作は上映時間107分とオリジナル版の『狼よさらば』の93分に対し14分ほど長いですが、その分、銃をぶっ放して終わりではなく、イーライ・ロス監督の変態性を生かして復讐劇が適度にグロいのも個人的にはポイントが高いところです。
自動車工場での拷問シーンとかは『ホステル』でお手の物ですからね。
オリジナル版でのポールは妻と娘の復讐を果たせなく犯人たちは野放しだったようで、よりビジランテ(自警団)色が強かったようですが、個人的には犯人たちにきっちり復讐を果たせた本作の方が勧善懲悪劇のカタルシスがあって好みですし、自身と直接関係無い悪を倒すよりも時流に合ってたと思います。
またラストも机の引き出しがスライドしてライフルが出てくるギミックとか、背中に拳銃をテープで貼って隠してた『ダイ・ハード』へのオマージュが感じられて面白かったですね。
それから、イーライ・ロス監督の女優の使い方はいつも魅力的ですね。
『ホステル』にしても『ノック・ノック』にしても美女2人でしたが、本作では妻役に『ベスト・キッド』や『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2・3』で主人公の彼女役で人気を博したエリザベス・シューで、年齢を重ねても相変わらず美しかったです。
また娘役にはモデル出身で大きな役での映画出演は初となるカミラ・モローネで、レオナルド・ディカプリオの新恋人か?と言われてる人です。
ポールはこの魅力的な女性2人の良き夫であり良き父であるので、復讐にも感情移入しやすくなってます。
あと銃砲店の受付の女性ベサニーもいい味出してました。
それと、個人的な胸熱ポイントとしてはディーン・ノリスとブルース・ウィリスの共演です。
ディーン・ノリスは『ブレイキング・バッド』のハンク役で大好きになりましたが、その頃からスキンヘッドは勿論ですが、声もブルース・ウィリスに似てるなと思っていたので、この2人が一緒に収まる画は単純に嬉しかったです。
欲を言えば弟役をディーン・ノリスにして、刑事役をヴィンセント・ドノフリオにしてくれれば更に胸アツでした。
ブルース・ウィリス1955年生まれ、ディーン・ノリス1963年生まれなので年齢的にも合ってたと思います。
本作はロッテントマトの評価ですとトマトメーター(批評家)17%と低いんですけど、オーディエンススコアは74%とそれなりになってます。
批評家の評価が低いのは全米での公開時期(2018年3月2日)が関係してるようで、その約2週間前の2月14日にフロリダ州の高校で銃乱射事件があったからのようです。
そのため公開中は「人々の記憶に事件が焼き付いている中で、拳銃を使用した自警行為が正当化されるような作品を公開したのは適切ではない」と言った批判があったようです。
ただ先ほども述べましたが、本作はオリジナル版の自警より、よりパーソナルな復讐に終始しているので、その批判はあまり当てはまらなく監督自身も「もし自分の家族がカージー家のような目に遭ったら、貴方はどうしますか?』という主題にこだわりたかったと言っていて、本作全体の印象としては今年4月に公開された『女は二度決断する』に近いと思いました。
それにしてもイーライ・ロス監督は1980年公開の『食人族』とその周辺のモンド映画を含めてリメイクした『グリーン・インフェルノ』然り、1977年公開の『メイク・アップ 狂気の3P』をリメイクした『ノック・ノック』然り、現代的にアップデートするのがなかなか上手くて、「リメイクならイーライ・ロス監督にお任せ」という気がしましたよ。
鑑賞データ
TOHOシネマズ日比谷 シネマイレージウィーク 1100円
2018年 168作品目 累計150000円 1作品単価893円
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