奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール 評価と感想/編集三兄弟

奥田民生になりたいボーイ 評価と感想
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独占欲が無ければこの世はうまくいく ☆4点

まんが家でコラムニストである渋谷直角の同名コミックスの映画化で雑誌編集者と女性ファッションブランド美人広報との恋の駆け引きを描く。監督は大根仁、主演は妻夫木聡と水原希子

予告編

映画データ

奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール (2017):作品情報|シネマトゥデイ
映画『奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール』のあらすじ・キャスト・評価・動画など作品情報:コラムニストとしても活躍する人気漫画家・渋谷直角のコミックを、『モテキ』シリーズなどの大根仁監督が実写映画化。
奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール : 作品情報 - 映画.com
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TOHOシネマズはわりと利用するのですが、本作の予告編はあまり目にしなかったかな?
まぁ、あんまり予告編をちゃんと見てないときがあるのでアテにならないんですけどね。

本作は2017年9月16日(土)公開で全国250館くらいでの上映規模ですが、初週の動員ランキングが6位とやや苦しいスタートです。

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渋谷直角さんは名前を聞いたことあるようなないような?
『おれは直角』に聞き覚えがあるから知ってる気がするだけかもしれません。

原作は未読です。

ユニコーンとか奥田民生さんにも特に思い入れがあるわけではなく、普通に知ってるくらいです。
その頃はどちらかというと洋楽をよく聴いていたので。

ただ当時、大塚に住んでて寺門ジモンさんをよく見かけたのと、奥田さんも一度見かけたことあってその頃は住んでなかったみたいですけど大塚に住んでたんですよね。

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なのでそういう親近感は勝手に持ってます。

監督は大根仁さん
『モテキ』以外は劇場で観てます。
恋の渦』『バクマン。』『SCOOP!

主演に妻夫木聡さん
近作は『渇き。』『殿、利息でござる!』『怒り』『ミュージアム』『愚行録』を観てます。

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他に共演と配役は以下の通りです。

コーロキ・ユウジ: 妻夫木聡
天海あかり: 水原希子
吉住: 新井浩文
美上ゆう: 安藤サクラ
編集者: 江口のりこ
江藤美希子: 天海祐希
倖田シュウ: リリー・フランキー
編集長・木下: 松尾スズキ

あらすじ

奥田民生を崇拝する33歳、コーロキ。
おしゃれライフスタイル雑誌編集部に異動になったコーロキは、慣れない高度な会話に四苦八苦しながらも次第におしゃれピープルに馴染み奥田民生みたいな編集者になると決意する!
そんな時、仕事で出会ったファッションプレスの美女天海あかりにひとめぼれ。
その出会いがコーロキにとって地獄の始まりとなるのだった…。
あかりに釣り合う男になろうと仕事に力を入れ、嫌われないようにデートにも
必死になるが常に空回り。
あかりの自由奔放な言動にいつも振り回され、いつしか身も心もズタボロに…。
コーロキはいつになったら奥田民生みたいな「力まないカッコいい大人」になれるのか!?
そしてもがく先にあかりとの未来はあるのか!?

(公式サイトhttp://tamioboy-kuruwasegirl.jp/#storyより引用)

ネタバレ感想

出演者の名前見ると、手堅いな大根監督という感じですよね。
役柄的にフリーライター役のリリー・フランキーさんと編集長役の松尾スズキさんが逆でもいいのかな?と思うのですが、ある意味そこがミソになってるかもしれません。

コーロキはマレ編集部に異動になるんですけど、編集長が自宅でシャンパンでホームパーティー開いて歓迎会してくれるような人で、編集部員も意識高い系でビビるんですけど、編集部員の人は皆いい人で、編集長も自宅に奥田民生のレコード持ってたりして、すっかり打ち解けられるんですね。

でもホームパーティーで出てくる料理はどれもオシャレで緊張で食べられなかったこともあって、やっぱり自分は立ち食いそばが落ち着くって言って帰りに「吉そば」で食べて帰ります。

でも東京で立ち食いそばのチェーンといえば「富士そば」か「小諸そば」か「ゆで太郎」じゃないですか。
最近は「嵯峨谷」とかも出てきてますけど。

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で、なんで「吉そば」かと言うと、吉そばってノアっていう音楽貸しスタジオ(https://www.studionoah.jp/)が入ってるビルにだいたいあってバンドマン御用達みたいになってて、業界人とかサブカル界隈の人はよく利用してるらしいんですね。


でなんでノアがあるビルに吉そばがあるかというと経営がノアなんです。

なのでそういうの知ってるとニヤリと出来るシーンであります。

コーロキは先輩編集者の吉住が2週間のドイツ出張ということで、アパレル会社のGOFFIN&KINGSとのタイアップページを任されます。
で、そこで出会った美人広報のあかりに一目惚れするわけです。
吉住にも一目惚れしたのを見抜かれて「彼女可愛いよな、芸能人とかの彼女に収まるレベルだよな」なんて言われます。

この辺の大根監督の描写は『モテキ』でもお馴染みですけど上手いですよね。
以前、ハニカムというウェブマガジンでグラビアブログやってましたけど、その後登場するあかり役の水原希子さんの撮り方のエロいことエロいこと(笑)

そのときの打ち合わせでGOFFIN&KINGSの言いだしたら聞かない社長・江藤美希子が村上春樹とか又吉直樹のコラムが欲しいと言ってるんですけど、とあかりに言われ、コーロキはいいトコ見せようととりあえず当たってみますと調子いいこと言ってしまいます。
吉住にも大丈夫?って聞かれるんですけど、村上春樹は厳しいけど又吉だったら吉本のツテをたどればいけるかもなんて言ってます。

結局このコラムは上役同士で話がついてて、倖田シュウっていうフリーのファッションライターが担当することになるんですけど、知らされてなかったあかりはコーロキに激怒します。

悪いことは重なるもので、この倖田シュウってライターは志村けんのファンでタイアップページと関係ない「今、志村けんが熱い」みたいなコラムをあげてきてコーロキに注意されます。
逆ギレした倖田は編集者の横暴だといってツイッターにぶちまけると、自らTogetterにまとめて炎上させます。
それを見たあかりから電話でどうなってるの!とまた激怒されるコーロキなのでした。

編集長に相談すると「まあ、あの人も問題あるから気にしなくていいよ」みたいなこと言われて「3日もすれば炎上も落ち着くよ」と言われます。
とりあえず江藤社長に謝りに行くことなって手土産に何を持っていくかで盛り上がります。
編集長は定番の虎屋の羊羹推し。
編集部の皆は色々言いますが、結局ヨックモックに決まって江藤社長に持っていくとゲロウマと喜ばれて事なきを得ます。
「倖田の奴は調子いいんだ」という悪口で盛り上がるとあかりからの信頼もすっかり取り戻すのでした。
ちなみにこのコラムは山内マリコさんが担当することになり、「あ、妥当だね」みたいなやりとりがあるのが笑えます。

コーロキはその謝罪の流れからあかりと一緒に軽く飲んでると、あかりのスマホから頻繁にLINEの着信音が鳴ります。
あかりがLINEにシカトしてると今度は電話がなり、あかりは電源を切ってしまいます。
コーロキが心配すると、あかりは彼氏だと言い、束縛が激しくてDVを受けてると言います。
コーロキは「僕は絶対そんなことしない、僕が君を守る」みたいなことを言うと、その勢いのまま告白し付き合うことになるのでした。

そこから数日に亘り、濃密なデートを繰り返していたところ、吉住がドイツ出張から帰ってきたので、コーロキはご機嫌なままにあかりと付き合うことになったことを報告すると、吉住が慌てて席を外してどこかへ電話をかけます。
そう、吉住はあかりと付き合っていたのでした。

ご機嫌なコーロキはそんなこと気にもしなく、夕方になるとご飯どこで食べる?とあかりにLINEしますが、返信はおろか既読にすらなりません。
仕方なく家に帰ってLINEを入れるも既読にならず、連絡がつかなくなったコーロキは焦ってLINEを入れ続けます。
留守電にもメッセージを入れますが折り返しはなく、結局一晩中眠れずにそんなことをやっていました。

翌朝、出社するや否やあかりの会社に電話を入れるとあかりがでます。
コーロキは何で連絡くれないんだとスネますが、会社の電話を使ってプライベートな話をしてくるコーロキに呆れると電話を切ってしまいます。
仕事も手につかないコーロキはあかりの退社時間を待って、会社の前で待ち伏せるっていう、元カレと同じ束縛・DVのような行動をとります。
あかりが出てくると話をするために居酒屋に行きますが、あかりはただ単に前日会社にスマホを忘れただけでした。
「怒る人嫌い」「私の彼氏は誰?」とあかりにたしなめられると、すっかり骨抜きにされたコーロキは再びラブラブモードに入ります。

翌日会社に行くと、吉住が暫く休むということを編集長から聞かされます。
吉住が担当していた人気コラムニスト・美上ゆうの連載もコーロキが担当することになりますが、美上は締切が遅れることで有名でした。

あかりとの恋愛も順調、仕事も人気コラムニストの担当や新しく猫特集を任せられるなど順調でコーロキは調子づいています。
あかりが週末出張で京都に行くことになると、美上の原稿が金曜日には校了になることから、土曜日の朝、新幹線で一緒に京都に行こうとなります。

しかしながら金曜日になると美上から連絡があり、飼い猫が失踪して原稿が遅れるとのことでした。
同僚の編集者が言うにはそれはかなりマズい兆候で原稿が3~4日遅れる可能性があるとのことでした。
焦るコーロキですが時間ばかりが過ぎていきます。
あかりと一緒に行くのは諦め、土曜の夜の便で行くことを連絡するとあかりにガッカリされるのでした。

夜になっても上がってこない原稿にイラついてると、編集長から編集者は原稿を待っているのが仕事なのかと怒られます。
ハッとしたコーロキは美上のツイッターをチェックすると駒沢公園で猫を探してることを知り、一緒に探します。
土曜の朝方に猫を見つけると夕方には原稿をあげられそうとのことで美上に付き添います。

最終の新幹線にギリギリ間に合う時間で原稿があがるとコーロキは急いで会社に戻ります。
するとなぜか休職中の吉住が会社にいます。
美上の原稿を見せてと言われ見せるとイラストの間違いを指摘され、用は済んだから帰ると言う吉住は、なぜかコーロキが京都に行くのを知ってました。
美上にイラストの修正を送ってもらって品川駅に向かうも最終の新幹線を逃してしまいます。

コーロキは美上に付き添ってる際、会社にスマホを忘れてあかりに何時に着くとか連絡してませんでした。
最終を逃したタイミングであかりに電話すると、あかりは夕食も食べずに待っていたとのことで泣いてました。
翌朝の始発で行くことを告げますが、もういいと言われ、別れを告げられます。
すっかり落ち込むコーロキですが、吉住が京都に行くのを知ってたのが気になりました。
LINEの設定をチェックすると他の端末から見れるようになっていて吉住を疑うコーロキでした。

週が明けてもあかりとは連絡がとれないコーロキは、あかりのインスタで行動をチェックする毎日です。
するとあかりの会社がレセプションを開くことを知り、会いに行くことを決めます。
あかりに「別れは受け入れるけど、最後は会って話がしたい」とLINEを入れますが、これはLINEのやりとりを見ているであろう吉住をおびき出すためでもありました。

レセプションの日、コーロキが会場に向かうと案の定、吉住がいます。
コーロキ、あかり、吉住と3者状態になるともう1人現れます。
もう1人は編集長でした。

ここからは昨年の『何者』や、大根監督が所属しているオフィスクレッシェンドの堤幸彦監督の『イニシエーション・ラブ』みたいな感じで種明かしされます。

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まず、前の彼は吉住でドイツ出張中ということもあってあかりはコーロキと急接近したのでした。
コーロキが行けなかった京都には吉住が駆け付けていて、「吉住さんだけが頼り」とあかりに言われていました。

次にあかりは編集長とも付き合っていました。
雑誌のコンセプトや自身のプライドがあって渋っていた猫の企画もあかりが後押ししていて、担当はコーロキさんがいいんじゃないかと提案もしていました。

結局、男3人はあかりの手のひらの上で転がされていたのですが、他に誰と付き合っているという嫉妬さえなければ、仕事は上手く回りあかりともいい関係が築けたのだと思います。

編集長だけはあかりが吉住とコーロキと付き合っているのを知っていましたが、自分が優位に立っていると思ってました。
あかりに当然のように求婚しますが、もちろん断られます。
逆上した編集長は持っていたカッターで吉住の顔を切りつけると、警察沙汰になり雑誌は廃刊となります。

3年後、以前はパーカー姿だったコーロキはジャケットを着こなして洗練された編集者になっていました。
売れっ子敏腕出版プロデューサーで案野丈と名乗っていて業界でも有名でした。
そして人気コラムニスト美上と付き合っていたのでした。

事件以降、あかりは姿を消しSNSのアカウントも消え、存在そのものが無かったようでしたが、コーロキはある日、街で外人の男と腕を組んで歩いているあかりを見かけます。
声をかけることもなく、そのまま通りかかった吉そばに入ります。
そばを食べてると3年前の自分を思い出します。
まだ何者でも無かった自分が当時抱いていた民生みたいな編集者になれたのだろうかと自問自答していると、何故だか涙がこみ上げてくるのでした。

 

物語は猫大好きフリスキー美上が出てくるくらいまでは、出版あるあるネタを小気味よく入れてくる感じで分かる人にはハマるのではないでしょうか。
ラストも美上と付き合ってて、上手いところに落ち着いた感があります。

33歳のコーロキのはっちゃけ方は正直、妻夫木さんには合わなかった気がしますが、3年後の落ち着いた感じはめちゃめちゃ合っててラストの涙はグッときます。
叶わなかった恋を回顧する感じで『ラ・ラ・ランド』的でもあります。

大根監督はもう『モテキ』でこういうのを撮ってるんでテーマ的にはダブるんですが、やっぱり上手いですよね。
モテキの松本莉緒さん思い出しました。
本作はモテキみたいに複数の女性を出せない分、あかりに凝縮させるんですが、水原希子さん、エロくて面白かったなぁ。

脇役も個性的な人を配してるんで面白いです。
安藤サクラさんの美上とかめちゃめちゃ面白かったですよ。

まあ観ても心に深く何かを残すとかそういう映画ではないですが、100分の上映時間で笑えて笑えて、ちょっと身につまされて、最後ホロっとできる映画で観て損はないと思います。

鑑賞データ

新宿ピカデリー SMTメンバーズ割引料金 1200円
2017年 155作品目 累計164900円 1作品単価1064円

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