長瀬vsディーンの構図がよい ☆4点
2005年に池井戸潤が発表し、2009年にWOWOWでドラマ化もされた、三菱自動車リコール隠し事件をモデルとした経済小説を、池井戸小説としては初映画化した作品。
監督は木本克英、主演は長瀬智也、共演にディーン・フジオカ、高橋一生
予告編
映画データ
本作は2018年6月15日(金)公開で、全国329館での公開です。
制作・配給は松竹。
オールスターキャストの大作で、劇場での予告編は昨年から流れていたので松竹も気合が入ってると思います。
監督は本木克英さん
最近の監督では少なくなってきた制作・配給会社の社員監督で、大学卒業後に松竹に入社すると木下惠介監督、森崎東監督、勅使河原宏監督などに師事し作品制作に携わってきたようです。
2017年2月に松竹を退社しフリーとなり、本作がフリー後、初めての作品となります。
近作は『超高速!参勤交代 リターンズ』を観てます。
主演は長瀬智也さん
映画出演は6作目になるんでしょうか、劇場で観るのは初めてです。
ドラマは「池袋ウエストゲートパーク」が一番面白かったと思います。
共演にディーン・フジオカさん
近作は『結婚』『鋼の錬金術師』『坂道のアポロン』『海を駆ける』を観てます。
共演に高橋一生さん
近作は『シン・ゴジラ』『3月のライオン 前編/後編』『THE LIMIT OF SLEEPING BEAUTY ―リミット・オブ・スリーピング ビューティ―』『嘘を愛する女』『空海―KU-KAI― 美しき王妃の謎(日本語吹き替え)』『blank13』を観てます。
他に共演と配役は以下の通りです。
赤松徳郎: 長瀬智也
沢田悠太: ディーン・フジオカ
井崎一亮: 高橋一生
赤松史絵: 深田恭子
高幡真治: 寺脇康文
榎本優子: 小池栄子
門田駿一: 阿部顕嵐(Love-tune/ジャニーズJr.)
小牧重道: ムロツヨシ
杉本元: 中村蒼
室井秀夫: 和田聰宏
柏原博章: 木下ほうか
柚木雅史: 浅利陽介
柚木妙子: 谷村美月
長岡隆光: 近藤公園
野坂康樹: 村杉蝉之介
小茂田鎮: 渡辺大
北村信彦: 矢野聖人
平本克幸: 田口浩正
浜崎紀之: 斎藤歩
加藤宏芳: 岡山天音
真鍋敏彰: 矢島健一
ホープ銀行頭取: 津嘉山正種
安友研介: 毎熊克哉
高森将仁: 加藤満
進藤治男: 筒井巧
岡田俊樹: 中林大樹
三浦成夫: 井上肇
紀本孝道: 小久保丈二
多鹿路雄: 高川裕也
門田の恋人: 池上紗理依
益田順吉: 木下隆行(TKO)
嶋本義裕: 木本武宏(TKO)
野村征治: 柄本明
相沢寛久: 佐々木蔵之介
谷山耕次: 六角精児
高嶋靖志: 大倉孝二
濱中譲二: 津田寛治
巻田三郎: 升毅
宮代直吉: 笹野高史
狩野威: 岸部一徳
あらすじ
よく晴れた日の午後に、1台のトレーラーが起こした脱輪事故。整備不良を疑われた運送会社社長・赤松徳郎(長瀬智也)は、警察で信じられないことを聞く。突然タイヤが外れた、と。港北中央署刑事の高幡(寺脇康文)らに整備不良を疑われ、世間やマスコミ、銀行からもからバッシングをされる毎日。自暴自棄になりながらも、赤松運送の専務・宮代直吉(笹野高史)、整備士・門田駿一(阿部顕嵐)や妻・史絵(深田恭子)の支えもあり、独自の調査を開始した赤松は、車両の構造そのものに欠陥があるのではないかと気づき、製造元の大手自動車会社・ホープ自動車へ再調査を要求する。
一方、ホープ自動車カスタマー戦略課課長・沢田悠太(ディーン・フジオカ)は、再三にわたる赤松の要求を疎ましく想いながらも、同僚の小牧重道(ムロツヨシ)や杉本元(中村蒼)と調査を進めていく内に、社内でひた隠しにされる真実の存在を知る。同じ頃、ホープ銀行の本店営業本部・井崎一亮(高橋一生)は、週刊潮流の記者・榎本優子(小池栄子)より、グループ会社であるホープ自動車について探りを入れられ、その杜撰な経営計画と、ある噂について疑問を抱く。それぞれが辿りついた先にあった真実は、大企業の“リコール隠し”──。過去にも行われていたそれは、二度とあってはならないことだった。
その真実の前に立ちはだかる、ホープ自動車常務取締役・狩野威(岸部一徳)。果たしてそれは事故なのか事件なのか。男たちは大企業にどう立ち向かっていくのか。正義とはなにか、守るべきものはなにか。日本を代表するオールスターキャストによる世紀の大逆転エンタテインメント!
(公式サイトhttp://soratobu-movie.jp/about/story.htmlより引用)
ネタバレ感想
原作は未読で、WOWOWのドラマ版はリアルタイムでは未見でしたが、Huluとアマゾンプライムビデオで見れるので1か月ほど前に鑑賞しました。
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ドラマ版は5話311分からなる作品で
・平成21年日本民間放送連盟賞 番組部門 テレビドラマ番組最優秀
・東京ドラマアウォード2009優秀賞(連続ドラマ部門)
・第26回ATP賞テレビグランプリ2009最優秀賞(ドラマ部門)
・第26回ATP賞テレビグランプリ2009グランプリ
と数々の賞を受賞してて評価の高かった作品なんですが、ドラマ版の感想としては、その評価通り重厚で見応えのある作品でとても面白かったです。
それに対して本作・映画版では上映時間120分の内容となっていて、当然、原作やドラマ版のように全部は詰め込めないでしょうから、エピソードの取捨選択が大事なんだと思います。
ドラマ版と映画版の主要キャストは以下の通りです。
(登場人物)(ドラマ版)(映画版)
赤松運送社長: 仲村トオル 長瀬智也
赤松の妻: 戸田菜穂 深田恭子
赤松運送専務: 大杉漣 笹野高史
赤松運送整備士の門田: 柄本佑 阿部顕嵐
ホープ自動車の沢田: 田辺誠一 ディーン・フジオカ
沢田の妻: 本上まなみ (映画版では無し)
ホープ自動車製造部課長: 袴田吉彦 ムロツヨシ
ホープ自動車品証部の杉本: 尾野真千子 中村蒼
ホープ自動車常務の狩野: 國村隼 岸部一徳
ホープ銀行の井崎: 萩原聖人 高橋一生
井崎の婚約者で狩野の姪: ミムラ (映画版では無し)
ホープ銀行専務: 西岡徳馬 升毅
週刊潮流記者: 水野美紀 小池栄子
港北署刑事: 遠藤憲一 寺脇康文
被害者: 山口もえ 谷村美月
被害者の夫: 甲本雅裕 浅利陽介
相沢寛久: おかやまはじめ 佐々木蔵之介
(ドラマ版)
(映画版)
ところで、TBSドラマ「半沢直樹」の大ヒットによって一般にも広く認知された池井戸作品ですが、「半沢直樹」より前に本作と「下町ロケット」がWOWOWでドラマ化されてます。
私も「半沢直樹」をリアルタイムで見て池井戸潤の名前を知った口ですが、第一部の大阪西支店編はとても面白く夢中になりましたが、第二部の東京本店編になって過剰な演出が目に付いてくるようになると、視聴率の急上昇ぶりとは反対に気持ちは冷めていきました。
TBSではその後も日曜劇場枠で「ルーズヴェルト・ゲーム」「下町ロケット」「陸王」と池井戸作品をドラマ化していてリアルタイムで見ていましたが、「半沢直樹」と制作スタッフが同じなので演出的には似たようなものになっていたと思います。
上記の作品は途中脱落することなく最終回まで見れたので面白いことは面白かったのですが、過剰な演出はあまり好きになれなかったです。
それに対してWOWOWでは「半沢直樹」以降、「株価暴落」と「アキラとあきら」がドラマ化されています。
「株価暴落」は未見ですが、「アキラとあきら」はリアルタイムで見てて、こちらも大変面白かったのですが、TBSと違って抑制された演出で見応えのあるものでした。
そこで池井戸作品をイメージするときに、自分の中ではTBS版になるのかWOWOW版になるのか(フジテレビ「ようこそ、わが家へ」も日本テレビ「花咲舞」も見てますが)どちらかなんですが、本作はWOWOW版のような抑制された演出で自分の好みに合う方でした。
映画版の本作は結論からいうと、小説やドラマ版のエピソードを取捨選択して上手くまとめていて、抑制された演出が光る佳作だったと思います。
話の内容は事前に知ってるだけにハラハラドキドキは出来ないんですが、ドラマ版より赤松(赤松運送)と沢田(ホープ自動車)の対立が立っていたと思います。
ただその分、井崎(ホープ銀行)の印象は薄くなっていた気がします。
ドラマ版と映画版で大きく違うのは、映画版ではホープ自動車が過去にもリコール隠しをしてる点で、ドラマ版に比べるとホープ自動車の優位性は最初から低くなってます。
ホープ銀行もドラマ版ではホープ自動車寄りでしたが、映画版の方が中立性(津田寛治さんの役とか)がありました。
なので赤松運送がピンチに次ぐピンチの連続だったドラマ版よりは胃がキリキリすることなく見れました。
映画版でばっさりカットされてるエピソードは、沢田の妻と井崎の婚約者のエピソードですかね。
ドラマ版での沢田の行動には妻の影響が大きかったので、映画版では妻の存在が無い分、沢田が男らしく描かれていました。
ドラマ版より中小企業の社長然とした長瀬さんの風貌もあって、男対男の映画になっていたと思います。
あと、赤松の息子がいじめられてるエピソードもドラマではしっかり描かれていたのに対し、映画版では妻だけで解決してました。
これらのエピソードは物語により深みを与えますが、本筋からは外せる部分でもあるので、映画の尺を考えるとばっさりカットしたのは致し方無いと思います。
本作を観て面白く感じた方は、ドラマ版を見ると更に楽しめると思いますし、小説に手を伸ばされるのもいいと思います。
小説(原作)ではありますが、ほぼノンフィクションみたいな作品で、見応え読み応えがある作品だと思います。
鑑賞データ
丸の内ピカデリー SMTメンバーズ60P無料鑑賞クーポン 0円
2018年 101作品目 累計94200円 1作品単価933円
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