センセイ君主 評価と感想/恐るべし17歳、天才・浜辺美波

センセイ君主 評価と感想
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全方位的に面白い ☆5点

2013年から2017年まで「別冊マーガレット」で連載された幸田もも子原作のラブコメ漫画の実写映画化。
とにかく彼氏が欲しい女子高生と全くつれない教師との恋をコミカルに描く。
監督は月川翔、主演に浜辺美波、竹内涼真、共演に佐藤大樹、川栄李奈

予告編

映画データ

センセイ君主 (2018):作品情報|シネマトゥデイ
映画『センセイ君主』のあらすじ・キャスト・評価・動画など作品情報:「別冊マーガレット」で連載された幸田もも子のコミックを実写映画化した学園ラブコメディー。
センセイ君主 : 作品情報 - 映画.com
センセイ君主の作品情報。上映スケジュール、映画レビュー、予告動画。幸田もも子による人気少女漫画を、竹内涼真と浜辺美波という注目若手俳優共演で実写映画化した学園ラブコメディ。浜辺主演...

本作は2018年8月1日(水)公開で、全国297館での公開です。
製作委員会方式の東宝配給作品です。

予告編はTOHOシネマズでちょこちょこ見ました。
予告編のこのシーンの演技を見て面白そうだなと思いました。

最初、見たときは桜井日奈子さんかな?と思ったんですけど、浜辺美波さんでした。

当然のように漫画原作の存在は知らず、未読での鑑賞です。

監督は月川翔さん
今年は4月に『となりの怪物くん』が公開されたと思ったら、すぐに本作が公開されて、9月にも『響 -HIBIKI-』が公開されるようで立て続けに凄いんですが、全て漫画原作の製作委員会方式の東宝配給映画で、『君の膵臓をたべたい』をヒットさせた実績から、ヒット請負人として期待されてるんだろうなと思います。
近作は『君の膵臓をたべたい』『となりの怪物くん』を観てます。

主演に浜辺美波さん
近作は『君の膵臓をたべたい』『亜人』『となりの怪物くんを観てます。

主演に竹内涼真さん
近作は『帝一の國』『ラストコップ THE MOVIE』を観てます

共演に佐藤大樹さん
近作は『ママレード・ボーイ』を観てます。

共演に川栄李奈さん
近作は『亜人』『嘘を愛する女』を観てます。

共演に新川優愛さん
近作は『めがみさま』を観てます。

他に共演と配役は以下の通りです。

弘光由貴:竹内涼真
佐丸あゆは:浜辺美波
澤田虎竹:佐藤大樹
中村葵:川栄李奈
アオちんの彼氏:矢本悠馬
詩乃:佐生雪
夏穂:福本莉子
柴門秋香:新川優愛
校長先生:神保悟志
ミット打ちの女性:北川景子
雑誌の表紙:山田裕貴

あらすじ

告白7連敗中の佐丸あゆは(浜辺美波)は、恋に恋するパワフル女子高生。ある日、クラス担任の代理でやってきた、イケメンだけど冷徹でヒネクレ者の数学教師・弘光由貴(竹内涼真)に恋をしてしまう。どんなにバカにされても「絶対に先生をおとしてみせます」と大胆発言!「そこまで言うならおとしてみなよ」―ここからあゆはの全方向に間違った恋の猛アタックが始まる。そんな二人の恋愛バトルにあゆはの幼馴染・虎竹(佐藤大樹)、あゆはの親友・アオちん(川栄李奈)、更に音楽教師で弘光の幼馴染・秋香(新川優愛)も参戦!?果たしてあゆはと弘光の“恋”の行方は!?

(公式サイトhttp://sensei-kunshu.com/story/より引用)

ネタバレ感想

いやー、面白かったですねー。
5月に『となりの怪物くん』を観たときは、浜辺さんの役不足ぶりが勿体無いなと思ったんですが、全ては本作に全力投球させるための布石だったんですね。

自分は予てから男優・女優に限らずコメディを演じるのが一番難しいと思っているんですが、ハリウッドなんかではトム・ハンクスを筆頭にサタデー・ナイト・ライブ出身のコメディアンに演技派が多いですよね。

日本ではお笑い芸人から男優になる人はちょこちょこいますが、女芸人から女優になる人は少なくて、女性がコメディを演じる場合、元から女優さんが演じることが多いと思います。

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自分のイメージではコメディで開花したのって「トリック」の仲間由紀恵さんなんですが、本作の浜辺さんは「トリック」の第1シリーズをリアルタイムで見ていたときくらいインパクトありました。

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浜辺さんの演技は『君の膵臓をたべたい』のときも素晴らしいと思ったんですが、優等生的というか仙人的な役回りというのもあって演じやすいかな?とも思ったんですよね。

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しかし、本作では180度変わって、何ですか?このクソバカぶりはwww

貧乳の山田奈緒子に対抗するかのようなこの爆乳www

いや、最初の駅でフラれるくだりからすき家のシーンまでを観たときに、「このハイテンションぶりで最後まで持つのかな?」と思ったのですが、その心配は杞憂に終わり、何なら最後は感動させるところまで持ってきた浜辺美波と月川翔のキミスイコンビ恐るべしと思いましたよ。

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浜辺さんに関しては、デフォルメされたキャラクターを演じる布石はあって、ドラマ版の「賭ケグルイ」で蛇喰夢子を演じることが決まったときは、「あの強烈なキャラクターを実写で出来るのかな?」と思ったのですが、第1話での「賭け狂いましょう」のシーンこそひきつった感じがしたものの尻上がりによくなって、蛇喰夢子を完全に自分のものにしてたと思います。

なので「蛇喰夢子」に比べると「佐丸あゆは」の方は朝飯前な気もしますが、それにしたって凄いんですが、その辺のことは公式サイトのプロダクションノートhttp://sensei-kunshu.com/production_note/にも書かれてました。

本作では、ドラゴンボールのスカウターが突然出てきたり、ピンクのハートのCG「ピンクあゆは」が喋ったり、完全な『ロッキー』のパロディもあったりして、『銀魂』ばりのギャグ映画になってたんですが、現在(8月16日まで)映画公開記念ということで、どの漫画サイトでも1巻が無料で読めるんで、試しに読んでみたんですが、ラブコメではありますがそこまでギャグ漫画では無いんですよね。

だから映画の方が、もっと振り切ってギャグの方に寄ってると思うのですが、この選択は正しい気がします。

というのも漫画原作の方を読むと、若干、先生のドSぶりとかツンデレぶりとかが『ナラタージュ』臭がするんですよね。

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少女漫画の題材って、女子生徒と先生の恋愛モノが多い気がするんですが、昨今は淫行描写を回避するのが不可避だと思うんですよね。
『ナラタージュ』では葉山先生(松本潤)が卒業式の日に泉(有村架純)にキスするんですが、これってアウトじゃないですか。

その点、今年5月に公開された『恋は雨上がりのように』はうまく回避してたんですけど、本作もギャグっぽくすることで教師と生徒の恋模様を重くすることなく描け、ラストも伏線をうまく利用して回避してて、この辺は脚本が上手かったな、と思います。

本作の脚本の吉田恵里香さんは同じ幸田もも子さんの漫画原作で2015年のスイーツ映画No.1ヒット(興収24.3億円)となった『ヒロイン失格』の脚本も手掛けてるんですが、予告編を見た感じはギャグテイストが似てるなと思いました。

主人公によるナレーションや変顔・変声するところとか本作と共通点が多いのですが、予告編を見た限りでは桐谷美玲さんのコメディエンヌぶりよりも浜辺さんの方が上な気がしました。

気になったので調べたらHuluで配信してたので、比較するために見たんですが、『ヒロイン失格』は『デッドプール』のように第四の壁を突破してくる作品で、本作より自由度の高い作品でした。

また本人オチのギャグシーンのためだけに中尾彬さん、柳沢慎吾さん、六角精児さんを特別出演させるなど、本作より作りが豪華になっていました。

対して、本作でのギャグ部分はほぼ浜辺さん1人が担ってます。
川栄李奈さんもボンババぼんなどがありますが、あゆはの親友役ですのでギャグを受けることの方が多いです。

また、特別出演的なのも『ロッキー』のパロディのときにミット打ちの相手としてカメオ的に北川景子さんが出てくるのと、山田裕貴さんに至っては雑誌の表紙で登場するだけです。

なので作品を相対的に見ても『ヒロイン失格』より本作の方が上だと思います。

各レビューサイトの評価を見ても

『ヒロイン失格』ヤフー映画3.58 映画.com3.6 フィルマークス3.3

なのに対し

『センセイ君主』ヤフー映画3.23 映画.com3.9 フィルマークス3.7

となってます(2018年8月14日現在)

ただ、残念なことにスイーツ映画も量産され過ぎて飽きられているのでしょう。
『ヒロイン失格』の初週興収が2億6千万円弱で2位スタートだったのに対し、本作は8月1日(水)からの変則公開だったので5日間興収で2億8千万円弱で、9位スタートとなっています。

まあ今年の夏は『劇場版コード・ブルー ドクターヘリ緊急救命』『ジュラシック・ワールド/炎の王国』『ミッション:インポッシブル フォールアウト』『インクレディブル・ファミリー』と強豪揃いですから致し方ないかもしれません。

さてストーリーの方ですが、原作の1巻を見る限り、結構使われてるシーンが多い気がするんですが、原作の麦ちゃん先生にあたる人物は出てこなく、中盤頃から柴門秋香なる人物が出てきます。
映画オリジナルキャラクターかと思ったのですが、原作にも出てくるようで幼馴染でピアニストという設定も同じようです。

登場時から先生としての熱意が感じられない弘光先生は、背景に何があるのかな?と思ったんですが、話が進んでいくと、常に自分の一歩先を行き夢を実現させていく幼馴染の秋香に挫折を感じ、数学者の夢を諦めフランスの大学から逃避してきたことが分かります。

この辺の設定は真田広之さんが演じた「高校教師」に近いものを感じました。

弘光先生を振り向かせることに一辺倒だったあゆはは、完璧だと思われた先生の挫折を知り、夢を諦めずフランスへ行くように送り出すんですが、この辺があゆはが求める愛から与える愛に変わったときですね。
その時には先生の気持ちもあゆはに傾いていたのですが、それでも送り出すあゆは冒頭のシーンからかなり成長したと思います。

あゆはが付けてた恋愛の妄想を綴ったLOVEノートを、先生を忘れるためにあゆはが焼却炉で燃やそうとしてると、幼馴染の虎竹が「燃やしといてやるよ」と預かったのがラストへの伏線でした。

虎竹も、秋香と同じで幼馴染に思いを寄せてたのですが、『ヒロイン失格』では幼馴染との恋が成就しますが、本作では叶わぬ恋となります。

弘光先生がフランスへ旅立って1年半後、あゆはも卒業を迎えます。
虎竹は結局、あゆはには思いを伝えず幼馴染としての道を選びます。
弘光先生はその間にフィールズ賞を受賞し夢を叶えます。

卒業式を終えたあゆはがロッカーを整理して帰ろうとすると、焼却されたはずのLOVEノートが何故かあります。
あゆはが誰もいない教室でそれを開くと、あゆはの妄想に赤字で弘光先生からコメントが書かれてあり、泣かせにかかります。
虎竹が弘光先生に送ったか渡したんですな。
そして、ページの最後には数学準備室で待つと書かれていました。

あゆはが数学準備室に行くと、弘光先生がいます。
驚いて「何でいるの?」と尋ねるあゆはに、弘光は「自分の幸せはさまるんといることだと言いに来た」と言います。
目を潤ませて喜ぶあゆはとキスする流れになりますが、ここはきちんと淫行描写を回避します。

弘光先生が赴任して間もない頃、そのつっけんどんな態度に嫌気が差し、関わるのを止めようとしたあゆはでしたが、日直の日に数学の答案用紙の点数付けを手伝わなくてはならなくなります。
最初は、嫌々、手伝っていたあゆはでしたが、逆にお互いのことをよく知る機会でもありました。
答案用紙に「よくできました」と「がんばりましょう」のスタンプを押す先生。
高校生の答案用紙にスタンプ?と思いましたが、なるほど上手いラストでした。

勉強の出来ないあゆはの答案用紙は当然のごとく「がんばりましょう」のスタンプ。
私も「よくできました」が欲しいと漏らしてました。

ラスト、弘光はあゆはのほっぺに「よくできました」のスタンプを押して、見事、淫行を回避して伏線も回収して映画は終わります。

本作は昨年の『帝一の國』に匹敵するコメディ映画で、恐るべし17歳のコメディエンヌ、天才・浜辺美波の誕生の瞬間でもありました。

2018年9月2日追記

興行収入が10億円を超えてるとのコメントをいただきまして調べましたら、8月26日(日)現在、公開26日間で観客動員89万3954人で興収10億4430万600円となっているようです。

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初週の週末観客動員ランキングが9位で、2週目が10位で、3週目以降は圏外なんですが、この形での興収10億円超えは珍しいんじゃないかと思います。

学生さんが夏休み中ということもあって平日も粘り強い動員があったんだと思いますが、今年の実写邦画では10位前後(2018年8月末現在)の興行収入ですので、健闘しているのではないかと思います。

鑑賞データ

TOHOシネマズ上野 1か月フリーパスポート 0円
2018年 127作品目 累計123100円 1作品単価969円

コメント

  1. 匿名 より:

    センセイ君主の映画の興行収入は10億超えましたよね。
    近年の少女漫画原作では普通にヒットだと思うので、加筆していただきたいです。

    • eigamanzai より:

      コメントありがとうございます。
      10億円超えてたんですね。
      これはヒットだと思います。
      加筆させていただきました。