30年後の同窓会 評価と感想/ロードムービーだが舞台向きな作品な気も

30年後の同窓会 評価と感想 映画感想

名優揃い踏みだがあまり面白くなく ☆3点

アメリカの作家ダリル・ポニクサンが2005年に発表した小説「Last Flag Flying」を元にした映画で、ベトナム戦争に従軍した3人の戦友の30年ぶりの再会を描いた作品。
監督はリチャード・リンクレイター、主演にスティーヴ・カレル、ブライアン・クランストン、ローレンス・フィッシュバーン

予告編

映画データ

30年後の同窓会|映画情報のぴあ映画生活
『30年後の同窓会』は2017年の映画。『30年後の同窓会』に対するみんなの評価やクチコミ情報、映画館の上映スケジュール、フォトギャラリーや動画クリップなどを紹介しています。

本作は2018年6月8日(金)公開で、全国36館での公開です。
今後順次公開されて、最終的には60館での公開となるようです。

東京でもTOHOシネマズシャンテとイオンシネマ板橋の2館でしか公開されてなくかなり少ないのですが、6月8日(金)公開で6月28日(木)の3週で上映終了してしまうようなので上映期間も短いです。
製作・配給がアマゾンスタジオなのでアマゾンビデオで公開の前提で製作された感じでしょうか?

劇場では予告編を目にしたことがなく、シャンテのポスターで知りました。

監督はリチャード・リンクレイター
名前は知ってるんですが作品は見たことありません。
話題になった『6才のボクが、大人になるまで。』は見ようと思ったんですが、166分の上映時間に物怖じしたのとタイミングが合わずに見そびれてしまいました。

この作品と1995年の『恋人までの距離』でベルリン国際映画祭監督賞を受賞してます。

主演にスティーヴ・カレル
近作は『フォックスキャッチャー』『マネー・ショート 華麗なる大逆転』『カフェ・ソサエティ』を観てます。

主演にブライアン・クランストン
近作は『ロック・オブ・エイジズ』『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』『潜入者』『犬ヶ島(声の出演)』を観てます。

主演にローレンス・フィッシュバーン
近作は『パッセンジャー』『ジョン・ウィック:チャプター2』を観てます。

他に共演と配役は以下の通りです。

ラリー・“ドク”・シェパード: スティーヴ・カレル
サル・ニーロン: ブライアン・クランストン
リチャード・ミューラー牧師: ローレンス・フィッシュバーン
チャーリー・ワシントン: J・クイントン・ジョンソン
アノラック: リチャード・ロビショー
ジェイミー: リー・ハリントン
ミセス・ハイタワー: シシリー・タイソン
ジャッキー: ケイト・イーストン
ルース・ミューラー: ディアーナ・リード=フォスター
ウィリッツ大佐: ユル・ヴァスケス
ジョン・レッドマン: グラハム・ウルフ
リーランド: テッド・ワッツ・Jr

あらすじ

男一人、酒浸りになりながらバーを営むサル(ブライアン・クランストン)と、破天荒だったミューラー(ローレンス・フィッシュバーン)の元に、30年間音信不通だった旧友のドク(スティーヴ・カレル)が突然現れる。
2人にドクは、1年前に妻に先立たれたこと、そして2日前に遠い地で息子が戦死したことを2人に打ち明け、亡くなった息子を故郷に連れ帰る旅への同行を依頼する。
バージニア州ノーフォークから出発した彼らの旅は、時にテロリストに間違われるなどのトラブルに見舞われながら、故郷のポーツマスへと向かう――。
30年前に起きた悲しい出来事をきっかけに出た再会の旅。語り合い、笑い合って悩みを打ち明ける旅路で、3人の人生が再び輝き出す。

公式サイトより引用)

ネタバレ感想

予告編を全く見てなく予備知識も無い中で、ブライアン・クランストンが何となく好きというだけで観た本作ですが、同窓会といっても30年ぶりに会うベトナムでの戦友で、ほぼ3人の名優を中心とした会話劇のロードムービーでした。

時代設定は3人がベトナムから帰還した30年後の2003年12月の数日間です。

バージニア州ノーフォークでバーを営むサルの元に30年ぶりにドクが現れます。
サルはドクが名前を言うまで気づきませんでしたが、気づくとすぐ昔の関係に戻ります。
閉店後のバーでピザを取り、朝まで近況を話します。

ドクはニューハンプシャー州ポーツマス(ノーフォークまで1000kmくらい)で妻と息子と暮らしてましたが、妻は一年前に他界したとのことでした。
サルは「よく居場所が分かったな?」と尋ねると、ドクは「今はインターネットで何でも分かる」と言い、そういうことに疎いサルは感心します。
因みに2003年なんでフェイスブック(2004年)が登場する前ですね。

朝方になるとドクは「一緒に来て欲しい所がある」と言って、サルに車を出してもらいます。
着いたところはバージニア州リッチモンドの教会でノーフォークからは150kmくらいでしょうか。

どこに連れて来られたか分からないサルはその教会で行われている朝のミサに出席すると爆笑します。
牧師をしていたのは2人の戦友のミューラーで、当時破天荒だった姿からは考えられなかったからでした。
2人はミサが終わるとミューラーの家にお邪魔します。

ミューラーは結婚していて奥さんと住んでますが、サルがいちいち昔のことを掘り出してくるので、気が気でありません。
3人の中ではサルだけが昔と変わってないようでした。
3人は一通り近況を話すと、ドクが今回2人の前に現れた理由を語ります。

ドクの息子は軍に入っていましたがイラクに派兵されていて2日前に死んだとのことでした。
イラクから息子の遺体が帰ってくるので、2人に付き添って欲しいとドクは言います。

サルはもちろん付き添うと言いますが、足が悪いミューラーは躊躇します。
しかしミューラーはすぐに妻に説得されると、同行することにします。

3人はサルの運転で夜道を走ります。
途中トラックに煽られると煽り返すサルにミューラーは窘めますが、次第にトラックの運転手に悪態を付きます。
サルは昔のミューラーが戻ってきたと喜びます。
またカーラジオからエミネムの「Without Me」が流れると、サルはミューラーに(ラップを否定するために)「黒人で恥ずかしくないのか?」と聞きます。

ミューラーは白人が歌ってることを教えると、サルが逆に恥ずかしいと言うのでした。

そんな珍道中を重ねながら、3人は深夜にアーリントン国立墓地に到着します。
リッチモンドからは170kmくらいですかね。

しかしドクが警備に聞くと遺体はここには無いとのことでした。
イラクから飛行機で帰ってくるのでドーバー空軍基地にあると言われます。
翌朝には会える手筈にしておくので、ドーバー空軍基地に向かって下さいと言われます。

ドクは事前に貰った案内を見ると、そこにはドーバー空軍基地と書いてありました。
それを聞いたサルとミューラーはずっこけ、なぜアーリントンだと思ったのかと不思議がるのでした。

とりあえず3人はモーテルに泊まり、翌朝、ドーバー空軍基地に向かいます。
アーリントン墓地からドーバー空軍基地までも160kmくらいでしょか。
ドーバー空軍基地に到着すると上司のウィリッツ大佐の説明を受けます。

ウィリッツ大佐の説明によるとドクの息子のいた隊は、イラク軍の待ち伏せに遭い襲撃され、ドクの息子は名誉の戦士を遂げたと言われます。
事情が分かったドクは棺に入った息子の顔を見たいと言いますが、大佐は止めておいた方がいいと言います。
それでも見たいというドクに対し大佐は「遺体は綺麗じゃない場合もあるので」とやんわりと言いますが、ドクはそれでも見たいと言うと棺のそばまで案内されます。

その間、サルとミューラーはイラクでドクの息子の親友だったチャーリー・ワシントンという兵士に付き添われ離れたところから見守ります。

しかしドクは息子の遺体を見るとショックを受けます。
離れて見守ってる2人に顔が無いと言って落ち込みます。

するとサルが疑問に思います。
ドクの息子は待ち伏せされて銃撃されたのに、顔が吹き飛ぶほどの至近距離から撃たれたとは考え辛いのでした。
サルはワシントンに知ってることがあるなら話して欲しいと言うと、ワシントンは真相を話し始めます。

ワシントンによるとその日は隊としては休みで、街に買い出しに出かけたと言います。
本来ならば買い出しは自分の当番だったがドクの息子が代わってくれ店先に向かったと言います。
ワシントンは店から離れた所にいましたが、ドクの息子は買い物中店先で偶発的に暴漢に至近距離から発砲されたと言い、戦闘によるものではありませんでした。

ドクが棺のそばから戻ってくるとサルは真相を話すように改めてワシントンに促します。
ドクは息子の死が戦闘によるものでは無いと知って愕然とするのでした。

しかしウィリッツ大佐はそんなドクに構わずに、「このあと息子さんの遺体はアーリントン墓地に埋葬される」と言います。
アーリントン墓地に埋葬されるのは軍人にとって名誉なことでしたが、事実を隠蔽して息子を名誉の戦死に仕立てるウィリッツ大佐に不信感を抱くと、ドクは遺体を連れて帰ると言います。

ここでもウィリッツ大佐に説得されますがドクの決意は固く、「母親の隣に埋葬し、軍服ではなく卒業式のスーツを着せて埋葬する」と言うと、サルとミューラーも協力するのでした。

3人は遺体を引き取ると乗ってきた車に乗せようとしますが棺が大きく当然のように入りません。
見かねたウィリッツ大佐は軍の車で運ぶと申し出ますが、ドクはそれも拒否するとレンタカーで運ぶことにします。

とりあえずドクには基地に残ってもらってサルとミューラーでレンタカー屋に向かいます。
またミューラーはさすがにポーツマスまで(700kmくらい)は付き合えず帰ることになり、ドクとお別れをします。

サルとミューラーはレンタカー屋に着くと、申込の手続きをしますが、お調子者のサルの態度やトラックを借りる目的などがはっきりせず、店員から怪しまれます。
それでも何とか引っ越し業者のトラックを借りるとミューラーをバスターミナルまで送って行きます。
サルはミューラーとお別れをすると基地に戻ります。

基地に戻ったサルは棺を積み込みドクと一緒にポーツマスに向かいます。
しかし少しトラックを走らせると警察の追撃に遭い逮捕されます。
またバスを待っていたミューラーも警察に逮捕されます。

サルとミューラーはレンタカー屋の店員にテロリストと勘違いされ通報されたのでした。
ウィリッツ大佐が迎えに来て誤解が解けると3人は釈放されますが、棺は再び軍に回収されていました。

とりあえず3人はその日ワシントンD.C.のホテルに泊まります。
ホテルの部屋に入ると30年前のベトナムでの話になります。
3人には、他の誰とも共有出来ないベトナムでの悲しい出来事がありました。

ベトナム戦争では兵士の間にドラッグが蔓延してましたが、3人もご多分に漏れずドラッグで気を紛らわせてました。
特にドクが衛生兵であったことからモルヒネの入手が容易でサルが頻繁に遊びで使用していました。
ある日、サルたちの隊は戦闘に巻き込まれハイタワーという仲間の兵士が致命傷を負ってしまいます。
本来なら衛生兵であるドクがモルヒネを投与し苦しまずに逝かせるはずが、モルヒネを使いきっていたため苦しみながら死ぬのを見守ることしか出来ず、3人にはそのことがトラウマになっていました。
またそれが原因でドクは軍法会議にかけられ2年間収監されていました。
ハイタワーの死にも、ドクの息子の死にもやり切れないものを感じながら、3人は翌朝再び基地に遺体を引き取りに向かいます。

3人と対面したウィリッツ大佐は再びアーリントン墓地に埋葬するように説得しますが、ドクの決意は固くポーツマスで埋葬すると言います。
根負けしたウィリッツ大佐は列車で運ぶことを提案し、ワシントンを帯同させることを提案すると3人も了承するのでした。
ウィリッツ大佐はワシントンに「何が何でも軍隊式で葬送させろ」と耳打ちします。

棺と一緒に列車に乗り込んだ3人とワシントン。
暫く棺のある貨物車両にいましたが、3人はワシントンに客車に移らないか?と言います。
ワシントンは棺のそばに残ると言うので3人は客車に移り暫く談笑しますが、ワシントンが気になり貨物車両に戻ります。
ワシントンを交えて4人で談笑し、サルのバカ話でドクも大笑いすると、列車はニューヨークに到着します。

ニューヨークでは次の発車まで時間があったので3人はニューヨークの街を散策します。
途中、携帯電話のショップに入ると、セールスの女性が「同じ機種なら通話料が無料になります」と言ってくるので、携帯電話を持ってなかったサルは「3人が同じなら、いくら話してもタダか」と感動すると、3人は携帯電話を購入するのでした。

携帯電話を手に入れてはしゃいでいたサルですが、気付くと列車の出発の時間を過ぎてました。
早速買ったばかりの携帯でワシントンに電話すると次の駅で合流することになります。
時間も夜だったので3人はバーに入ると、テレビのニュースではサダム・フセインが捕まったことが報じられていました。

翌日になり合流まで時間があった3人は、長年心につかえていたことを解決しようと、謝罪するためにハイタワーの遺族の元に向かいます。
3人がハイタワーの実家を訪ねると母親が出てきて、ベトナムでの戦友だったことを告げると突然の訪問にも快く迎え入れてくれます。
母親は息子のことを話せるのが嬉しいようで3人に色々な話をします。
息子の死のことも、最後まで勇敢だったことを疑っていないようで、結局3人は本当のことを話せませんでしが、それは母親を思ってのことでもありました。

3人は再びワシントンと合流するとポーツマスに到着します。
ドクの自宅に着くと翌日の葬儀にむけて準備をします。

翌日、ドクの息子の葬式が始まると喪主であるドクは礼服、サルとミューラーは軍服を着ていました。
ドクの息子にも軍服を着せていて、ワシントンと列車で移動する中で心変わりして、軍隊式で葬送するのでした。
棺は母親の隣に収められると葬儀は無事終了します。

ドクは家に帰ると基地に戻るワシントンから手紙を渡されます。
それは息子の遺書で、戦地に赴いた兵士が万一のために書き、仲間に託すものでした。
ワシントンも中身を読んでないと言うと、ドクは手紙を読みます。
そこには父への感謝の言葉が綴られ、自分が死んだら軍服で母親の隣に埋葬して欲しいと綴られていました。
手紙を読んで涙するドクを、サルとミューラーが見守って映画は終わります。

 

本作の原作であるダリル・ポニクサンの「Last Flag Flying」は、1970年に刊行された「The Last Detail」という小説の続編らしく、1973年にジャック・ニコルソン主演で『さらば冬のかもめ』のタイトルで映画化(日本では1976年に公開)されてて、アメリカン・ニューシネマの佳作と言われてるらしいんですが、この作品は知らなかったです。

『さらば冬のかもめ』 - 竹原ピストルのブログ 流れ弾通信
朝っぱら目が覚めると、すっからかんの快晴。我が家の花壇のあさがおが5、6輪ほどぱっかり咲いていて、まずは本日好調だなと思いました。で、今までに十数回観ているのだけれど、時々、ふと発作的に観たくなるのが、映画、『菊次郎の夏』。大好きで。で、本日もそんな発作に襲われて、昼過ぎ、チャリンコをこぎこぎ鴨川市街のレンタルビデオ屋...

監督のリチャード・リンクレイターは原作が発表された2005年当初は、この『さらば冬のかもめ』の続編を作ろうとしたらしいんですね。
ただこの時には映画化には至らず、10年くらい経って企画が動き出したようなんですけど、『さらば冬のかもめ』の主演3人のうち、オーティス・ヤングという俳優は既に亡くなっていて、ジャック・ニコルソンも引退宣言してることから、純然たる続編というのは諦めたようなんです。

そこで『さらば冬のかもめ(The Last Detail)』と本作の精神的な支柱は同じにして、原作者のポニクサン協力の下(本作では共同脚本)、設定やキャラクターは変更して脚本を仕上げていったようです。

『さらば冬のかもめ』を見てないので、精神的な支柱というのは何とも言えないんですが、両作ともコメディタッチで描かれ、軍のことは描くけど直接的には戦争(ベトナム・イラク)は描かず、声高に叫ぶというよりは、皮肉を通して静かに反戦を訴えかける映画なのかな?と思いました。

「Last Flag Flying」の原作小説では「The Last Detail」の35年後(1970-2005)を描いていて、軍を退役した後で酒場を経営するビリー・バダスキーがイラク戦争で息子を失ったラリー・メドウズ と再会するという内容になってるみたいで、『さらば冬のかもめ』ではビリー・バダスキー(ジャック・ニコルソン)、ラリー・メドウズ(ランディ・クエイド)、ミュール・マルホール(オーティス・ヤング)という配役になってるので、本作ではサル役のブライアン・クランストンがビリー役のジャック・ニコルソンに相当し、ドク役のスティーヴ・カレルがラリー役のランディ・クエイド、ミューラー役のローレンス・フィッシュバーンがミュール役のオーティス・ヤングに相当するんだと思います。

なので両小説を読んで、『さらば冬のかもめ』も見ていれば思い入れも深くなり、本作も味わい深いものとなるんでしょうが、そういうバックボーンを持ってないと、「50歳のスタンド・バイ・ミー」 とキャッチコピーを付けるのはやや辛い気がします。

まず確かに移動距離からするとロードムービーなんですが、上映時間124分もある割にはロードムービーの雰囲気がしないんですよね。
たぶん移動中の景色を見せないからだと思うんですが、移動中の描写の中心も基本的には会話劇なんで画が止まってるんですよね。

だから台詞が多い割には眠くなりますし、つまらなく感じるんだと思います。
ただ同じことを舞台でやれば名優3人の演技力もあって、かなり見応えのあるものになると思います。
ロードムービーといっても舞台では場面転換で済みそうな感じですし、過去の回想シーンとかも描かずに会話で成り立たせているので、実はすごく舞台劇向きの作品じゃないかな?と思いました。

なので映画のみどころとしても3人の演技ですね。
ただ列車で移動中、3人で爆笑するシーンがありましたが、いいシーンだとは思いましたが、笑えるような面白さは無くて演じてる方の熱量と観客との乖離がある気がして、ああいうシーンも舞台の方が映えるような気がしました。

テーマは反戦、ただそこに従事して亡くなった人や何かしら犠牲を払った人には敬意を払うというテーマはいいと思います。
日本でも戦争反対、だから自衛隊も反対と声高に叫んでギャーギャーやる人がいますが、もう少し個々の悲しみに寄り添って静かな反戦を訴えていけばいいのになぁと思いました。

鑑賞データ

TOHOシネマズシャンテ シネマイレージウィーク 1100円
2018年 103作品目 累計96500円 1作品単価937円

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