パッセンジャー 評価と感想/キューブリックからゼロ・グラビティ

パッセンジャー 評価と感想
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星新一のボッコちゃん的なのもある ☆4.5点

予告編

映画データ

パッセンジャー (2016):作品情報|シネマトゥデイ
映画『パッセンジャー』のあらすじ・キャスト・評価・動画など作品情報:航行中の宇宙船を舞台に、目的地到着前に目覚めてしまった男女の壮絶な運命を描くSFロマンス。
パッセンジャー : 作品情報 - 映画.com
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観よう観ようと思っていたものの、サービスデーを利用してと思ってたら後回しになり、公開から3週目にしてようやく観て参りましたよ。

TOHOシネマズデイ、日劇の大スクリーンで観れて面白かったです。

あらすじ

20XX年-
新たなる居住地を目指し、5000人を乗せた豪華宇宙船、アヴァロン号が地球を後にした。
目的地の惑星到着まで120年間、冬眠装置で眠る乗客の中でなぜか2人の男女だけが、目覚めてしまった。 90年も早く-。

エンジニアのジムと、作家のオーロラは絶望的状況の中でお互いを求め合い、愛し合い、なんとか生きる術を見つけようとするが、予期せぬ出来事が2人の運命を狂わせていくー。

公式サイトより引用)

あらすじは予告編見れば分かるんですが、いい意味で騙されました。
クリス・プラットとジェニファー・ローレンスだけが、一緒に目覚めちゃうのかと思ったらそうではありませんでした。

ネタバレ感想

いつの時代か分からないんですけど、地球の人口が増え過ぎた&物価が高いってことで人類移住計画が始まります。
今回、登場人物たちが乗っている豪華宇宙船アヴァロン号はホームステッド社ってところがやっていて、120年かかるホームステッドⅡというコロニーを目指してます。乗員258人乗客5000人全長1kmという大型宇宙船です。
なんでもホームステッド社というところは宇宙ビジネスで儲けていて8千兆ドルも売り上げがあるらしいです。

豪華客船なので船室にもランクがあって高いお金を払えばスイートルームやいい食事がとれますが、目覚めるのは到着の4カ月前なので利用できるのはその間ですね。それまではみんな冬眠ポッドに入って眠っていることになります。

お金がない人でも移住できるプランがあって、旅費は格安だけど移住後からずっと収入の20%を取られるプランというのもあります。
クリス・プラット演じるエンジニアのジムはそのプランを利用してます。

宇宙船の客船部はガンダムのスペースコロニーみたいに回転していて重力を発生させているので宇宙船でも地球と同じように生活できます。
あとガンダムで大気圏突入するときみたいに船の先端にバリアシールドが付いてて細かい流星群なんかに突入するときは防御してくれます。

地球を出発してから30年経ったある日、流星群に突入するんですが、その中にわりと大きい隕石があってぶつかり、その衝撃でジムだけが目覚めてしまいます。
冬眠ポッドを管理してるコンピューターはコロニー到着4カ月前のアナウンスをし、到着までの船内での生活を案内してくれますが、他に誰も起きてきません。
不審に思ってデッキにある運航を管理するコンピューターで調べると目的地まで、まだあと90年あることが分かります。
乗員を起こそうと乗員が眠ってるポッドに向かいますが、リストバンドに付いているIDで入れる部屋は乗客には限定されていて、乗員を起こすことも出来ません。
通信で地球のホームステッド社に問い合わせますが、届くのは19年後で返信は早くて55年後。なのに通信料は6千ドルかかります。
もう一回冬眠できないかと思ってポッドを調べたりするんですが、冬眠を維持するだけで入眠は地球の施設でないと無理なのが分かります。

食事などは食堂に行ってリストバンドに付いてるIDをかざせば、プランに応じた食事が出ます。
また実費はかかりますがレストランで豪華な食事をとることもできます。全部コンピューターやロボットが給仕してくれます。
娯楽施設もあって、3Dホログラムのダンスダンスレボリューションや映画館、3on3のコートやプールがあります。

ジムは他に誰かいないか船内を探索すると、バーにいるバーテンダーを見つけますが、それはアーサー(マイケル・シーン)というアンドロイドでした。
この前に描かれる船内の廊下がスタンリー・キューブリック監督の『2001年宇宙の旅』っぽいなと思ったんですが、このバーとバーテンダーは『シャイニング』っぽいなと思いました。(斧で乗員室の扉をぶっ壊そうとするシーンもあります)

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アンドロイドといえども話し相手になってくれるのでジムは気が紛れるのですが、船内には宇宙遊泳できるスペースがあってそれを体験すると、宇宙で独りぼっちというのを強く実感して、死にたくなります。宇宙服を付けずに外に出れば死ねるので自殺しようとしますが思い留まります。

船内を散策してるとオーロラ(ジェニファー・ローレンス)という女性の冬眠ポッドを見つけます。
それはジムが好きな本を書いた、美人女性作家でした。
乗客が見れる乗員名簿を見ると、移住生活にあたっての抱負を述べたビデオが見れて、彼女への思いを強くします。
彼女が出てる映像を見たり、彼女のポッドのそばで食事したりしてストーカーっぽくなります。
アーサーにも彼女を起こそうか相談したりします。

船内で一人ぼっちの生活を1年耐えたジムでしたが、とうとうオーロラを起こしてしまいます。
アーサーには、自分が起こしたことは秘密にするよう伝えました。
ジムは起こしたポッドから離れて、偶然を装ってデッキでオーロラと出会い、1年先輩なことや色々やったことを話します。
オーロラはお金持ちなので朝食とかも豪華でお裾分けとかしてもらいます。
2人で映画みたりダンスダンスやったり1on1したりバーで飲んだり、色々話して仲良くなります。
オーロラは移住生活は1年で切り上げて地球に戻るらしく、その体験生活を本にしようと思ってます。
往復240年冬眠して未来の地球で生きる訳です。
一方のジムは地球での生活に息苦しさを感じ、逃避からこの移住に参加してて動機としては対照的でした。

バンジージャンプやスカイダイビングするみたいに勇気のいる宇宙遊泳をやったら、オーロラは感動して人生観が変わったのかジムに好意を抱くようになり2人は結ばれます。
こうなると、たいして娯楽も無く、時間がたっぷりあるとすれば、することは一つで、所構わず食堂でヤったりします。

いい雰囲気になったのでジムはプロポーズしようと正装してオーロラをディナーに誘います。
食事後、指輪を渡そうとバーに向かうと、スーツとドレスという普段とは見違えるほどの雰囲気の2人に、アーサーがお似合いですね、素敵なカップルですねと声をかけます。喜ぶ2人は何でも話す間柄だと言うので、アーサーが「秘密はない?」と聞くと、ジムは「秘密はない」と答えます。

ジムが指輪を渡す準備をするためトイレに行くと、アーサーがオーロラに1年前のことを話して、ジムがオーロラを起こそうか悩んでいたことを話してしまいます。

うん、アンドロイドだから、行間が読めないんですね(笑)

ジムがオーロラの前で嘘ついて、秘密はないって言っちゃったから、ジムがオーロラを起こした話はしてるとアーサーは解釈したんですね。
この辺は、星新一のボッコちゃんっぽくて面白いなと思いました。

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ジムに起こされたと知ったオーロラは激怒します。
「あんたのやったことは殺人だ!」って。
そりゃそうなりますわな。
その後はもう家庭内別居の夫婦みたいにお互い顔を合わせないようにしてツラいです。
バーもかち合わないように利用する日決めたりしてました。

この頃になると船内の調子が悪くて、食堂の配膳マシンが壊れたり、アーサーが暴走したり、重力装置が壊れたりします。
オーロラがプールで泳いでるときに重力装置が壊れたときは、浮いた水に閉じ込められて死にそうになるっていう、あんなの初めて観ました。

ここで3人目が目覚めます。
ガス(ローレンス・フィッシュバーン)という甲板長で乗員側の人間です。
ガスは乗員権限のIDを持ってるので、ジムたちが入れなかった部屋とかも入れます。
ジムとオーロラの話を聞いて、事態を理解するのも早いですし、壊れたポッドからジムがオーロラのポッドを開けたのも悟ります。
オーロラはガスに酷いでしょって同情を求めますが、確かに酷いけど、起きちゃったことは仕方ないというスタンスです。
ジムにも1年を一人で過ごしたことは理解したうえで、それでもお前のやったことは許されるものではないというスタンスです。
なんかバランスとれてて神様みたいな人です。

3人は故障原因を調べますが、ガスは冬眠装置からの目覚めが悪かったのか、全身の臓器不全を抱えていて、あとは2人に任せたってリストバンドのIDを渡して死んでしまいます。
いがみ合ってた2人も協力して原因を探すと、どうもジムが目覚めたきっかけになった隕石の衝突にあるようでした。

動力室の奥の方に行くと、動力炉が隕石で破損してて、熱が放出できずに高温になってシステムを不安定にしていました。
放出レバーを操作するも放出口が開かず、内側からは無理ってことで外側から開けようとジムが宇宙服を着て外に出ます。
放出口外側のレバーを回せば開くんですが、ジムが手を放すと扉は閉まってしまいます。
ジムは罪滅ぼしの意味もあり覚悟を決めて、自分が抑えてるから放出レバーを倒すようオーロラに言います。
そんなことは出来ないと泣くオーロラでしたが、5000人の乗客の命がかかってると説得され、放出レバーを倒します。
勢いよく外に出る炎。耐熱シールドを持ってきたおかげで何とか熱には耐えたジムでしたが、宇宙空間に放り出されてしまいます。
宇宙服も損傷を受けて、雪山のように体温を奪われていくジムでした。
オーロラも宇宙服に着替えてジムの救出に向かいますが、この辺はゼロ・グラビティです。

何とかジムを回収しますが、時すでに遅く息絶えてました。

医療用ポッドに運び、蘇生プログラムを試みようとしますがここにも権限が。
ガスのIDを利用して実行すると、めでたくジムは生き返りましたとさ。
めでたしめでたし。

で終わってもいいんですけど、続きがあります。
生き返ったジムが医療用ポッドを調べると、ガスのIDの権限なら冬眠用の入眠プログラムが実行出来ることに気が付きます。
ただポッドは1人用でした。
オーロラに冬眠するよう勧めますが、オーロラの判断は如何に?

89年後、乗員乗客が目覚めます。
目覚めた人々にアナウンスする音声はオーロラの声。
ここに至るまでは大変ことがあったと言って映画は終わります。
オーロラはジムと一緒に生きたのでした。

というお話です。

 

本作は宇宙モノですが、ほぼ船内での密室劇で登場人物も4人なので、舞台劇でもやれそうと思いました。
『エクス・マキナ』みたく設定と脚本と演技で魅せる、上手い映画だなと。

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まぁ、製作費は1.1億ドルかかってるみたいなので、単純にエクス・マキナ(1500万ドル)とは比べられないんですけどね。

ただ、さすがにお金かけてるだけあって、宇宙船のデザインとか内装、ポッドとか小物に至るまで凝っててリアリティあって、そういうの観てるのも楽しかったです。

本作の感想を読むと日本ではわりと評価が高いと思うんですけど、ロッテントマトだと評価31%だったりして、アメリカだとこういう哲学的なテーマは受けないんですかね?面白いと思うんですけどね。

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本作の監督はモルテン・ティルドゥムという方で『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』を監督してます。

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そつなく上手い監督さんだと思います。

ジェニファー・ローレンスは自分が観た中では『世界にひとつのプレイブック』と『アメリカン・ハッスル』以来だったのでお久しぶりでした。本作では水着のサービスがあります。

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去年はこういうリアル宇宙モノで『オデッセイ』が大ヒットしたんですが、個人的には本作の方が面白くて、自分だったらどうする?を突き付けられる映画でもありました。

鑑賞データ

TOHOシネマズ日劇 TOHOシネマズデイ 1100円
2017年 58作品目 累計58400円 1作品単価1007円

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