自分の道は自分で切り開く強さ ☆4.5点
『フランシス・ハ』の主演女優でノア・バームバック監督のパートナーでもあるグレタ・ガーウィグが、自身の出身地であるカリフォルニア州サクラメントを舞台に、自伝的要素を取り入れ、脚本と監督を務めた青春映画で、2018年のアカデミー賞5部門にノミネートされた作品。
主演はシアーシャ・ローナン、共演にローリー・メトカーフ
予告編
映画データ
本作は2018年6月1日(金)公開で、全国24館での公開です。
7月以降順次公開されるところも多いようで、最終的には62館での公開となるようです。
劇場では予告編は目にしませんでした。
アカデミー賞の監督賞や主演女優賞のノミネートで作品を知った感じです。
監督はグレタ・ガーウィグ
昨年観た『20センチュリー・ウーマン』で初めて知った女優さんなんですけど、2000年代のインディーズ映画の中でマンブルコアと呼ばれるムーブメントがあってその中心にいた人のようです。
グレタ・ガーウィグ、マンブルコア界の女王の全て【愛すべき映画人】
主演はシアーシャ・ローナン
近作は『グランド・ブダペスト・ホテル』『ロスト・リバー』『ブルックリン』を観てます。
共演にルーカス・ヘッジズ
近作は『ムーンライズ・キングダム』『グランド・ブダペスト・ホテル』『マンチェスター・バイ・ザ・シー』『スリー・ビルボード』を観てます。
共演にティモシー・シャラメ
近作は『インターステラー』『クーパー家の晩餐会』『君の名前で僕を呼んで』を観てます。
他に共演と配役は以下の通りです。
クリスティン・マクファーソン(レディ・バード): シアーシャ・ローナン
マリオン・マクファーソン(母): ローリー・メトカーフ
ラリー・マクファーソン(父): トレイシー・レッツ
ダニー・オニール(最初の彼氏): ルーカス・ヘッジズ
カイル・シャイブル(二番目の彼氏): ティモシー・シャラメ
ジュリー・ステファンス(親友): ビーニー・フェルドスタイン
リバイアッチ神父(演劇の先生): スティーヴン・マッキンリー・ヘンダーソン
シスター・サラ・ジョアン(担任の先生): ロイス・スミス
ミゲル・マクファーソン(兄):ジョーダン・ロドリゲス
シェリー・ユアン(兄の彼女): マリエル・スコット
ジェンナ・ウォルトン(美人の方の友達): オデイア・ラッシュ
ミズ・ステファンス(ジュリーの母): クリステン・クローク
ダイアナ・グリーンウェイ: ローラ・マラノ
グレッグ・アンルー: ジョン・カルナ
Mr.ブルーノ: ジェイク・マクドーマン
ダーリン: キャスリン・ニュートン
マシュー: アンディ・バックリー
若い女性: ダニエル・マクドナルド
あらすじ
2002年、カリフォルニア州サクラメント。
閉塞感溢れる片田舎のカトリック系高校から、
大都会ニューヨークへの大学進学を夢見るクリスティン(自称“レディ・バード”)。
高校生活最後の1年、友達や彼氏や家族について、
そして自分の将来について、悩める17歳の少女の揺れ動く心情を
瑞々しくユーモアたっぷりに描いた超話題作!(公式サイトより引用)
ネタバレ感想
公式サイトのストーリーがかなり短いんで(笑)、詳しくはMovie Walkerかウィキペディアのストーリーをご覧ください。
本作を観た印象は、ちょうど1年前、昨年の4月末頃の公開で『スウィート17モンスター』という映画があったんですけど、女性監督によるオリジナル脚本という点で似てるなぁと思いました。
同じ17歳という設定で、主人公の性格はだいぶ違う(でも自意識過剰のトコとか似てるかも)んですけど、母親と兄との関係とか設定もかなり似てる気がしました。
『スウィート17モンスター』でもそうでしたけど、あの年になって親の車で送り迎えしてもらうことはダサいんですね。
https://movie.smt.docomo.ne.jp/article/1144247/(リンク切れ確認)
上の記事を読むと両作とも、アメリカのミドルクラス崩壊の側面を描いてる面もあるんだなぁと思いました。
主人公のレディ・バードはニューヨークの大学に行きたいっていう目的ははっきりしてますけど、そのための努力(勉強)をしてるか?っていうと疑問で、先生がカバンに保管してた成績表を捨てちゃったりします。
先生は後から生徒たちに自己申告させるんですけど、親友のジュリーなんかは正直に言うのに対し、レディバードはBマイナスかCプラスくらいの成績なのをBプラスとか言っちゃったりします。
冒頭のニューヨーク行きを母親に反対されると車から飛び降りちゃうシーンと併せて、映画なので笑いに転化させてますが、実際には目的のためには手段を選ばないタイプで危険だなとも思いましたが、若い頃から目的がはっきりしてる方がよいということと、自分の道は自分で切り開いていく力強さは感じました。
ラストの方、ニューヨークの大学に補欠合格して母親に言えなかったくだりから空港まで送ってもらうくだりは感動的なシーンでしたが、「北の国から ’87初恋」の泥のついた一万円札のシーンと共通するものがあるなぁ、なんて思いながら観てました。
爆笑したシーンは演劇クラスの先生が病気のために代わり、後任にアメフトコーチの先生が受け持つのですが、舞台上での段取りを全てアメフトの戦術で説明していて、あのシーンは今年観た映画の中でも一番バカで最高に笑えましたね。
監督のコメディエンヌとしての手腕が発揮されてると思います。
主役を演じたシアーシャ・ローナンは『ブルックリン』の頃に比べると少し痩せてて、『ブルックリン』のときはその役柄から黒木華さんっぽいと感想に書いたんですが、本作で受けたイメージは松岡茉優さんとか吉岡里帆さんですね。
アメリカでの女優としての立ち位置も松岡茉優さんと近いのではないかな?と思いました。
グレタ・ガーウィグ監督の脚本は当初350ページ以上あったらしく、そのまま撮ると6時間以上の作品になるおそれがあったようですが、本作は94分の上映時間に収められているのでテンポよく進み、途中でダレることも無かったので面白かったです。
物語がスピーディーに進むので、兄のミゲルが明らかに養子なのに劇中では全くそのことに言及されてなかったり、演劇の先生が看護師である母・マリオンに病気のことを口止めしたり、シーンとしては観客に投げっ放しのところもあるんですが、基本的には本筋とは関わってこない話でしたし、逆にあれこれ想像出来て、余白のある良い脚本だったのではないかと思いました。
出演者も若手注目株のルーカス・ヘッジズとティモシー・シャラメが揃っていて、現在(いま)必見の映画になってると思います。
鑑賞データ
TOHOシネマズシャンテ シネマイレージデイ 1400円
2018年 94作品目 累計87200円 1作品単価928円
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