タリーと私の秘密の時間 評価と感想/頑張るお母さん応援映画です

タリーと私の秘密の時間 評価と感想
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真実を知ったら泣けてくる ☆4.5点

2007年に公開された『JUNO/ジュノ』でアカデミー脚本賞を受賞した監督ジェイソン・ライトマン×脚本ディアブロ・コーディのコンビによる『ヤング≒アダルト』に続く第3弾。
3人目の子が生まれた母親と不思議なナイトシッターとの交流をコミカルにハートウォーミングに描いたドラマ。
製作と主演に『ヤング≒アダルト』でも主演したシャーリーズ・セロン、共演にマッケンジー・デイビス

予告編

映画データ

http://cinema.pia.co.jp/title/175974/

本作は2018年8月17日(金)公開で、全国9館での公開です。
今後順次公開されて、最終的には54館での公開となるようです。

劇場での予告編はシャンテで何回か見まして、シャーリーズ・セロンの腹を見て、これは観ないといけないな(笑)と思いました。

監督はジェイソン・ライトマン
初めましての監督です。
『ゴーストバスターズ』のアイヴァン・ライトマン監督の息子さんだそうで初めて知りました。
これまで長編映画を6本監督し、製作にも6本ほど名を連ねてます。
2007年公開の長編2作目『JUNO/ジュノ』でアカデミー賞4部門(作品賞、監督賞、主演女優賞、脚本賞)にノミネートされ、脚本賞を受賞し、興収1億ドルを突破してます。

2009年公開の長編3作目『マイレージ、マイライフ』でもアカデミー賞5部門(作品賞、監督賞、主演男優賞、助演女優賞、脚色賞)にノミネートされてます。

2011年公開の長編4作目『ヤング≒アダルト』で、本作と同じく脚本ディアブロ・コーディ、主演シャーリーズ・セロンでコンビを組んでいます。

主演はシャーリーズ・セロン
本作では製作も兼ねています。
近作は『マッドマックス 怒りのデス・ロード』『ダーク・プレイス』『ワイルド・スピード ICE BREAK』を観てます。

共演にマッケンジー・デイビス
近作は『オデッセイ』『ブレードランナー 2049』を観てます。

共演にロン・リビングストン
近作は『フィフス・ウェイブ』を観てます。

他に共演と配役は以下の通りです。

マーロ: シャーリーズ・セロン
タリー: マッケンジー・デイビス
クレイグ(兄): マーク・デュプラス
ドリュー(夫): ロン・リビングストン
ジョナ(息子): アッシャー・マイルズ・フォーリカ
サラ(娘): リア・フランクランド
エリス(兄嫁): エレーヌ・タン
ローリー校長: ガメーラ・ライト

あらすじ

もうすぐ3人目の子供が生まれるマーロ(シャーリーズ・セロン)は、大忙しの毎日を送っている。娘のサラ(リア・フランクランド)は手がかからないが、息子のジョナ(アッシャー・マイルズ・フォーリカ)は情緒が不安定だ。今日も姉弟が通う小学校の校長に呼び出され、ジョナをサポートする専属教師を自分で雇ってほしいと言われてしまう。夫のドリュー(ロン・リヴィングストン)は優しいが、家事も育児も妻に任せっきりで、マーロもそれが当たり前だと思っていた。

ある日、事業で成功して贅沢な暮らしを送るマーロの兄のクレイグ(マーク・デュプラス)が、出産祝いに夜専門のベビーシッターを手配してくれると言う。見知らぬ人に赤ん坊を預けることに抵抗と罪悪感のあるマーロは断るが、クレイグは妹に強引にシッターの電話番号を渡すのだった。

無事に女の子を出産したマーロだが、家事は膨大に増えていた。さらに、再び校長に呼び出され、ジョナには違う学校へ行ってもらうと言われ、遂に感情が爆発し、校長を怒鳴りつけてしまう。
帰宅したマーロは、もはや限界と夜間のベビーシッターを頼む。22時半に現れたタリー(マッケンジー・デイヴィス)と名乗る若い女性を見て、唖然とするマーロ。おへその見えるTシャツにジーンズのファッション、いきなりタメグチのイマドキの女の子だったのだ。だが、戸惑うマーロにタリーは、「私を頼って」と自信たっぷりに宣言し、2階でゆっくり眠るようにと促すのだった。

翌朝、目覚めると、タリーの姿はすでになく、代わりに8年間全く掃除していなかった1階のリビングとキッチンが、ピカピカになっていた。マーロは夫に、「彼女は何もかも完璧。なんだか、世界が明るくなった」と、久しぶりに晴れ晴れとした顔で微笑むのだった。
それからというもの、タリーは“完璧”を更新し続ける。さらに、「人生の全部をケアしなきゃ」と、昔話や愚痴を聞いてくれ、悩みごとの相談にまで乗ってくれ、いつしか二人は友情を結んでゆく。

だが、タリーは何があっても夜明け前に姿を消し、昼間は何をしているかなど、自分のことは一切語らないのだった――。

(公式サイトhttp://tully.jp/about.htmlより引用)

ネタバレ感想

予告編に出てくるシャーリーズ・セロンの腹を見て、「役作りのために太ったんだろうな?」とは思いましたが、23kgですか!

シャーリーズ・セロンが役作りのため23キロ増量して知った「一番ダメな食生活」 - フロントロウ | グローカルなメディア
新作映画の役作りのために20キロ以上体重を増やした女優のシャーリズ・セロンが、増量を通して学んだ、色んな意味での「一番ダメな食生活」とは?

自分も40代になったら体重がみるみる増加して、学生時代に比べて15kgも太ってしまったんですが、シャーリーズ・セロンは撮影終了後に1年半かけて元に戻したそうで、その役者魂に頭が下がるばかりです。

予告編では、ナイトシッターが今どきの若者ながら仕事ぶりは完璧で、その方法やアイデアや考え方に影響されて、主人公が救われていく・変わっていく話なのかな?と思いましたが、意外な方に話が転がっていき面白かったです。

主人公マーロの設定は演じるシャーリーズ・セロンの実年齢と同じくらいのアラフォーを想定してると思うんですけど、2人いる子供はすでに小学校に通っている年齢で、産休に入る前は会社で事務(描写は無し)をしていた設定です。

夫のドリューはIT土方(デジタル土方)って感じで裕福ではありません。
急な出張で2、3日家を空けることも多く、家のことはマーロに任せっきりという感じです。

2人いる子供は仕事で成功した兄の援助を受けて、兄が多額の寄付をしている私立のキリスト教系の学校に通ってます。

3人目の子供は予定外の妊娠のようで、先のことを考えるとマーロも気分が重くなります。

また長男のジョナは、映画内では自閉症とは言われてませんでしたが、ベン・アフレック主演の『ザ・コンサルタント』の主人公クリスチャン・ウルフの幼少期のようでした。

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出産前に兄の家で食事会が開かれたとき、兄の家では2人目が生まれたときにナイトシッターを使ったところ、とてもよかったとのことで、費用は出すから電話してみたら?とシッターの名刺を渡されます。

しかしマーロは保守的な考えの持ち主で他人に赤ちゃんを任せるなんてと考えます。

3人目の子を無事出産しすぐに退院すると、生まれた赤ちゃんにはミアと名付け家族5人での暮らしが始まりますが、30代前半で2人を生んだときと違って、すぐに何もかもがしんどくなります。

特に手のかかるジョナのことで学校に呼び出され、校長から「ジョナに向いてる学校がある」と転校を勧められると排除されてるように感じて声を荒げてしまいます。

夫のドリューは上の2人の子と遊んだりはしてくれますが、家事にはほぼノータッチで赤ちゃんの夜泣きにも起きません。
寝る前には寝室のベッドでヘッドホンをしてFPSのゾンビゲームを黙々とするのが日課ですが、そんな夫にマーロは文句も言わず、赤ちゃんにいつでも母乳が与えられるように、疲れきった表情で淡々と搾乳機で母乳を搾り出す様子が描かれます。

ある日、出張から帰ってきたドリューに「夕食が冷凍ピザか」と言われ、サラにも「ママ、その身体どうしたの?」と言われると、張り詰めていた気力も切れてしまい、兄からもらった名刺の電話番号に衝動的に電話してタリーがやってくることになります。

タリーはへそ出しタメ口の今どきの若者といった感じの26歳ですが、リビングにある赤ちゃんに必要なものをパッと確認すると、マーロに「あとは2階でゆっくり寝てて」と促します。
「授乳が必要なときだけ赤ちゃんを2階に連れてって起こすから」と自信たっぷりに言われると、途中、授乳で一回起こされただけで朝までぐっすり眠れたマーロでした。

しかも朝起きて1階に降りると、散らかっていたリビングは綺麗に片付けられ、綺麗な花まで飾られていて、マーロはすっかりタリーに魅了されてしまいます。

それからは度々タリーを呼ぶと、寝るまでの間に愚痴を聞いてもらい、朝起きると前夜話した愚痴が解消(カップケーキが作られていたり、美味しそうな朝食が用意)されていて、マーロも理想の母親になれたようで生き生きとしてきます。

ある晩などはタリーとセックスの話になり、マーロが夫とはセックスレスだと告げると、タリーはマーロからドリューの性癖を聞き出し、ウェイトレスのコスチュームに憧れていたことを知ると、マーロが以前に買ったままで着ないでいたウェイトレスのコスチュームを着てドリューを誘惑し、2人の雰囲気作りのアシストまでしてくれるのでした。

またマーロは校長先生の勧めに従い紹介された学校を見学に行くと、トイレの水洗の音にパニックを起こすジョナに、不思議な木のポーズをさせてリラックスさせる先生に出会います。
ジョナが騒いだことを謝るマーロに対し、その先生はジョナは何も悪いことはしてないのだから謝る必要は無いと言い、その言葉に救われたマーロはジョナの転校も決意するのでした。

色々なことがクリアになってきたマーロが、兄の家で開かれたパーティーで娘のサラと一緒にカラオケでカーリー・レイ・ジェプセンの「コール・ミー・メイビー」を歌うシーンはとてもよくてジーンときました。

マーロはいつものようにタリーにナイトシッターを頼むと、その日は30分遅れてやってきます。
理由を聞くと出かける前にルームメイトと口論になったようで、珍しくタリーが愚痴を言います。
そしてタリーは気晴らしに街(ニューヨーク)に飲みに行こうとマーロを誘います。
マーロは「ミアは誰が見るの?」と聞きますが、タリーは「赤ちゃんなら起きないから大丈夫」となぜか自信たっぷりに言います。
マーロはあまり気乗りしませんでしたが、タリーに押し切られて、車を運転するとシンディ・ローパーの曲をかけてノリノリになってきます(詳しい曲リストは下の記事をどうぞ)

映画『タリーと私の秘密の時間』を観て|Music Sketch|Culture|madameFIGARO.jp(フィガロジャポン)
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バーがあるブルックリンに来ると、マーロは昔、9年間住んでいたと言います。
バーに入ってタリーとお酒を飲んでると独身時代のガールズトークのように楽しくなってきます。

しかし、タリーがもうナイトシッターには来れないと言い出します。
マーロは「あなたが必要なの」と引き止めますが、タリーは「もう出来ない」と言います。
するとマーロは店を飛び出し、停めてあった自転車を盗んで走っていってしまいます。
タリーも自転車で追いかけると、着いたのはマーロが以前住んでいたアパートでした。

酔っているマーロはルームメイトがまだ住んでいると言ってブザーを鳴らします。
しかしタリーは自分が運転するからもう帰ろうとマーロを説得します。
マーロは飲酒運転になるから嫌だと言うと、バーで飲んでた時からお乳で張ってた胸が痛くなってきます。
タリーはマーロを介抱して近くのバーのトイレに行くと搾乳したり冷やしたりして痛みを和らげるのでした。

2人は酔いがさめるとマーロの運転で帰ります。
しかし酷く疲れていたタリーは寝てしまい、マーロも釣られるように眠気が襲ってきます。
そしてマーロが居眠り運転をしてしまうと、単独事故を起こし車は川に転落してしまいます。
マーロは川の中で人魚になったタリーに助けられると、病院のベッドの上にいます。

マーロの夫のドリューは医師から、「過去に奥さんがうつ病などの精神疾患を患ったことがあるか?」と聞かれます。
ドリューが無いと答えると、医師は「奥さんはこの数か月、酷い睡眠不足の状態だった」と言われます。
ドリューは「妻は最近は調子がよくて、そんなはずは…」と言って、言葉を失います。

誰もいない病室でマーロが目を覚ますと、タリーがお別れを言いにやってきて去っていきます。
ドリューは病院の受付で入院の手続きをしてるとマーロの旧姓を聞かれタリーと答えるのでした。

シーンは回想に入り、タリーがやっていたことが、実はマーロが1人でやっていたことが分かります。
家事と育児で限界に達したマーロが、独身時代の26歳の自分、タリーを作り出していたのでした。

全てが分かったドリューはマーロにすまなかったと言って涙を流します。

退院したマーロはまた家事と育児に励みます。
今までのようにジョナにブラッシングしようとすると、ジョナが「これって効果あるの?」と聞きます。
マーロは「分からない」と答え、「これって嫌い?」と聞きます。
ジョナは「気持ちよくない」と答え、「たぶんブラッシングは必要ないよ」と言うとマーロを抱きしめます。

キッチンに立つマーロがイヤホンで音楽を聴きながら野菜を切ってると、ドリューが隣に立ち片方のイヤホンを耳に差してマーロを手伝うと映画は終わります。

最初に書いたように完璧なベビーシッターによるハウツーで主人公が救われていく話かと思ったら、まさかの本人オチという、いい意味で裏切られる作品で、それが分かるとマーロに泣けてきました。

昔、ドリフのコント?だったかで、臨終の間際にいる母親に夫や子供たちが「お母さんの何々が食べたかった」と言うと、お母さんがムクっと起きて黙々と料理を作り終えると、再び床に伏して臨終を迎えっるていうのを繰り返しやるのがありましたが、ちょっとそれを思い出しました。

最近ですと本人オチで『めがみさま』と『告白小説、その結末』とあったのですが、どちらかというとミステリーやサスペンスな作品だったので、本作のようなハートウォーミングなドラマに使ってくるとは思わず上手かったなと思います。

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ただ序盤のさりげないシーンで伏線があって、マーロがカフェで偶然会う、かつてのルームメイトのヴァイとのやりとりが、タリーのルームメイトの話とリンクしてたり、タリーがウェイトレスのコスチュームを着て迫るのも、3Pみたいでヘンだったので、そこも伏線でした。

そういえば、先日観た『インクレディブル・ファミリー』も突然、専業主夫をやることになったMr.インクレディブルがワンオペ育児にテンパってしまう話で、赤ちゃんをエドナ・モードに預けたことによって救われんですが、育児にしろ介護にしろ一人で抱え込むとパンクしちゃうので、人を頼った方がいいんだなと思いました。

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テーマとしてはアラフォーになって家事も育児も疲れた母親が20代の頃のかつての輝きを取り戻したいというのも根底にあって、そういうのが無意識にリアリティ番組の「Gigolos」をボーっと見てたんだと思うんですが、この番組を知らなかったので、最初、女性向けのAVを見てるのかな?と思いました。

(アメリカのケーブルテレビ凄いな)

あとカフェのシーンでマーロがコーヒーじゃない名前忘れましたが飲み物を頼むと、横にいた老婦人が「それもカフェイン入ってるわよ、念の為」と言ってくるんですが、ああいうのも妊婦さんは辛いなぁと思います。
マーロはそのまま注文してましたけど、社会が正しい母親像を突き付けてくるといいますか、そういうのもお母さんにはストレスなんだろうなぁと思いました。

上映時間が95分とコンパクトな作品ですが、マーロとタリーの会話のボリュームは結構あるので、2人の関係性が予め分かった上で作品を観ると、また色々と気づくことがありそうで繰り返し観たい作品だと思いました。

鑑賞データ

TOHOシネマズシャンテ 1か月フリーパスポート 0円
2018年 134作品目 累計125100円 1作品単価934円

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