ハリー・ポッター映画化前ならよかったかも ☆3.5点
1973年に出版されたジョン・ベレアーズによる児童向けゴシックホラー・ファンタジー小説「壁のなかの時計」の実写映画化作品。
監督はゴア描写が得意のイーライ・ロス、脚本・製作に「スーパーナチュラル」のエリック・クリプキ、主演に子役のオーウェン・ヴァカーロ、ジャック・ブラック、ケイト・ブランシェット、共演にカイル・マクラクラン
予告編
映画データ


本作は2018年10月12日(金)公開で、全国231館での公開です。
ユニバーサル映画で制作はアンブリン・エンターテインメント、日本での配給は東宝東和です。
劇場では予告編を目にしたこと無くて、タイトルを目にした時も明らかに児童向けファンタジーで見る気無かったんですけど、監督にイーライ・ロスの文字を見つけて、頭が「どういうこと?」となりまして、ジャック・ブラックとケイト・ブランシェットも出るし、カイル・マクラクランの名前もあったので、観に行った次第です。
原作小説の存在は知らず、字幕版での鑑賞です。
監督はイーライ・ロス
近作は『グリーン・インフェルノ』『ノック・ノック』を観てます。
主演にジャック・ブラック
近作は『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』を観てます。
主演にケイト・ブランシェット
近作は『キャロル』『ニュースの真相』『聖杯たちの騎士』『ボヤージュ・オブ・タイム(ナレーター)』『マイティ・ソー バトルロイヤル』『オーシャンズ8』を観てます。
共演にロレンツァ・イッツォ
イーライ・ロスと結婚してたんですけど今年離婚したみたいです。
近作は『グリーン・インフェルノ』『ノック・ノック』を観てます。
共演にカイル・マクラクラン
実写映画7年ぶりだそうで、近作は『インサイド・ヘッド』で声の出演です。
昨年の『ツイン・ピークス The Return』は毎週楽しみに見てました。
他に共演と配役は以下の通りです。
ジョナサン・バーナヴェルト: ジャック・ブラック
フローレンス・ツィマーマン: ケイト・ブランシェット
ルイス・バーナヴェルト: オーウェン・ヴァカーロ
セリーナ・イザード: レネー・エリス・ゴールズベリー
タービー・コリガン: サニー・スリッチ
ハンチェット夫人: コリーン・キャンプ
ルイスママ: ロレンツァ・イッツォ
ローズ・リタ・ポッティンジャー: ヴァネッサ・アン・ウィリアムズ
アイザック・イザード: カイル・マクラクラン
あらすじ
1955年、ミシガン州のニューゼベディ。
両親を車の事故で亡くした10歳のルイス・バーナヴェルトは、伯父のジョナサンに引き取られる。若い頃に家出したジョナサンは、ルイスの両親の葬式にも参列しておらず、ルイスも会うのが初めてだった。住宅地のいちばん奥にあるジョナサンの古い屋敷の中には、いたる所に時計が置かれ、不思議な雰囲気が漂っている。じつはジョナサンは魔法使いで、隣に住むフローレンス・ツィマーマン夫人も、かつて強力な魔法を操る魔女だった。
ただしジョナサンの腕前は二流で、ツィマーマンは超一流。彼らは何かと相手の悪口を言い合うのだが、実際には仲が良さそうで、喜んでルイスを迎えてくれる。
屋敷での最初の夜、ルイスは自室の外を誰かがうろついていることに気づく。ジョナサンが廊下を歩き回っているのだ。翌朝、壁のステンドグラスの絵柄が変わっているなど、ルイスは屋敷に何か秘密があることを察するのだった。新しい学校に通うことになったルイスだが、スポーツが苦手でなかなか友人ができない。そんな彼にただ一人、声をかけてくれたのは、スポーツ万能でハンサムの人気者、タービーだった。
どうやらジョナサンは、屋敷のどこかに隠された魔法の時計を探しているらしい。その場所は壁の中らしく、ジョナサンは壁を叩き壊したりもしている。不安を募らせるルイスの前に現れたのは、亡き母の幻で、彼は母から「本と鍵を探しなさい」と告げられた。
勇気をもって屋敷内を探索するルイスだが、なんと壁の絵や椅子、オルガンなどが勝手に動き出し、びっくり仰天!混乱するルイスを落ちつかせるため、ジョナサンは自分が魔法使いで、魔法の時計を隠したのは、亡き親友の魔法使いで、この屋敷の元持ち主、アイザック・イザードであると伝える。アイザックは闇の魔法を使って時計を作ったらしい。そして中秋の名月の夜、ジョナサンとツィマーマン夫人はルイスに魔術を見せ、呪文のテクニックを教えるのだった。
呪文を学んだルイスは、学校でも簡単な魔法を使うようになったが、友人だと思っていたタービーが選挙で学年代表の生徒になり、骨折も回復したことで、冷たくあしらわれてしまう。タービーの気を引きたいルイスは、伯父のジョナサンが魔術師であると教え、屋敷に誘う。ジョナサンから「開けてはダメ」と言われていた棚をタービーに強要されて開けるルイス。そこに入っていたのは「降霊術」の本だった。
本を読んだルイスが、死者を生き返らせる呪文を唱えたところ、あろうことかアイザックが甦ってしまった!このままではアイザックが魔法の時計の鍵を手に入れ、動かしてしまう。時計が動き出せば時間が逆戻りして、この世界すべてが過去となり、失われてしまうというのだ。甦ったアイザックに、ルイスとジョナサンはどう対抗するのか?思いもよらぬ魔法バトルの火ぶたが切って落とされたーー!
(公式サイトhttps://lewis-movie.jp/より引用)
ネタバレ感想
まず本作のオープニングなんですが、ユニバーサルとアンブリンのオープニングロゴが古いタイプのものになっていました。
ユニバーサルは上のユーチューブですと1963年-1994年くらいのもので、アンブリンのは最初の頃のものでした。
おそらくアンブリンの最初の作品の『E.T.』がユニバーサル映画なので、その頃のオープニングロゴと同じ感じになってるんじゃないかと思います。
本作がなぜイーライ・ロス監督になったのかは分からないのですが、スティーヴン・スピルバーグからは「怖く作って」と言われたそうです。

映画を観た印象は、主人公が孤児の設定とかを含め、「ハリー・ポッターに似てるなぁ」と思いましたが、実際、ハリー・ポッターの原点とも言われてるようです。

調べてみると本作の原作は1973年にジョン・ベレアーズにより出版され、その後ルイス・バーナヴェルトを主人公とするシリーズ物となっています。
第2作が1975年、第3作が1976年に出ると、その後17年空いて1993年に第4作が出ますが、ジョン・ベレアーズが1991年に亡くなったため、ブラッド・ストリックランドという方が執筆を引き継いでいます。
1993年の第5作と1995年の第6作までベレアーズ原案・ストリックランド著となっており、それ以降、2008年の第12作で完結するまでストリックランドの著作となってます。
日本で翻訳版が発売されたのは2001年になってからで、アーティストハウスという出版社から「ルイスと魔法使い協会」というシリーズで2004年まで、第8作まで翻訳されましたが完結までは翻訳されなかったようです。
そして今回の映画化にあたり、映画の邦題に合わせて改題して、ハリーポッターの日本版で知られる静山社から「ルイスと不思議の時計」のシリーズで第3作まで出版されています。
それで、ハリーポッターの原点と言われてるのは何でかな?と調べてみたんですが、ハリーポッター側からはベレアーズの原作に影響を受けているとは出てないんですよね。
ハリーポッターの作者のJ・K・ローリングも「ナルニア国物語」や「指輪物語」の名前は上げているもののベレアーズの名前は無く、一番影響を受けたのは「まぼろしの白馬」と言ってるようなんです。
https://ja.wikipedia.org/wiki/J・K・ローリング#影響を受けた作品
じゃあハリーポッターの原点というのはどこから来たのか調べると、アーティストハウスから発売された本の帯に書かれてました。
そもそも何で1973年に出版された本を2001年になって翻訳版出したんだろ?と思いましたが、2001年はハリーポッターの映画が公開された年なんですよね。
きっと1973年に出版されたものの、2000年までに第8作まで刊行されてるシリーズが翻訳されてないのを知った出版社が、魔法モノってことでハリーポッターのブームに便乗するべく出版しようとしたところ、実際読んだらハリーポッターの設定に似ていたのでこのような帯が付いたんじゃないか?と推測します。
なので本作はハリーポッターが映画化される前でしたら、かなり面白かったと思うんですけど、ハリーポッターを先に見てしまうと、原作が先に書かれてる分だけ魔法学校なども無く、設定自体スケールダウンしてるので、その部分では物足りなさが残ります。
ただ、ハリーポッターがパクったんじゃないかと思えるほど似てる設定がハリーポッターより20年以上前に書かれてる点は評価すべきで、そういうところがジャック・ブラックやケイト・ブランシェットの出演に繋がったんじゃないかと思います。
(↑この手を上げてるケイト様可愛い)
そして本作の場合、このジャックとケイトの掛け合いがとてもよくて面白いので、ハリーポッターの既視感がありつつも、最後まで楽しく観ることができました。
ところで、このゴシックホラーやダークファンタジーの分野といえばティム・バートンだと思うのですが、ティム・バートンにそんなにハマらない自分としては、バートンより明るめで笑いもあるイーライ・ロスの演出の方が合ってました。
また子供向けでありつつも随所にイーライ・ロスらしさもあって、カボチャ退治の微妙にグロい感じとか
ラスト近くのジャック・ベイビーの微妙に気持ち悪い感じとか
そういうところはニヤリと出来ました(笑)
それから時代設定が1955年ということで、冒頭にルイス少年がバスに乗ってくるシーンとかは、1962年の設定だった『シェイプ・オブ・ウォーター』のバスのシーンに似てて、映像とかはギレルモ・デル・トロ監督に近いかなと思いました。
本作はアメリカでの公開は2018年9月21日(金)で、日本と3週間しか変わらないんですけど、製作費4200万ドルで興収が6800万ドルとなっています。
海外での興収も6200万ドルくらいで、世界興収1億3千万ドルくらいなんで赤字にはなって無さそうな気がしますが、続編とか作られるんでしょうかね?
原作がシリーズ物なので続けていくことが肝な気がしますが、「これ1作で終わりだろうなぁ」という気もします。
ところで全く関係ない話ですが、本作の敵のアイザック・イザード(カイル・マクラクラン)は、ハリーポッターのヴォルデモートみたいに闇の魔術に取り憑かれて、屋敷で妻を殺して自分も死んだという設定なんですが、現在ニュースになっている高千穂の事件みたいな、一見、一家無理心中に見える事件でも動機などが分からないと、「悪魔的なものなのかなぁ」と思い、よくホラー映画である「前の住人が一家惨殺して」みたいな映画的なことを、本作と絡めてふと思ったりもしました(本作は、そこまで怖い映画じゃないですけど)

神話の里だというのもなんとも

デフェオ一家殺害事件からの『悪魔の棲む家』

鑑賞データ
新宿バルト9 夕方割 1300円
2018年 161作品目 累計141700円 1作品単価880円
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