『脳内ポイズンベリー』と比較して ☆4点
予告編
映画データ
あらすじ
ライリーは、笑顔が素敵な活発な11才の女の子。彼女の頭の中には5つの感情が存在する。ライリーを楽しい気持ちにすることが役割のヨロコビ、嫌いなものを拒絶する役割のムカムカ、腹が立った時に怒りを爆発させる役割のイカリ、危険からライリーを守る役割のビビリ。でもライリーを悲しませてしまうことしかできないカナシミの役割だけは謎に包まれている…。そんな感情たちは、頭の中の司令部で、ライリーを幸せにするため日々奮闘していた。
ある日ライリーは、住み慣れた大好きなミネソタを離れ、見知らぬ街サンフランシスコで暮らし始める。不安定になった彼女の心は、感情たちに思わぬ大事件を起こす。転校先の教室で自己紹介をしているその時、カナシミがミネソタでの楽しかった≪思い出ボール≫に触れてしまい、ライリーは泣きじゃくってしまう。自身でもワケがわからぬカナシミの無意識にボールに触れてしまう衝動により、ついにヨロコビとカナシミは司令部の外に放り出されてしまう!
2つの感情を無くしてしまったため、頭の中の世界は異変の兆しを見せ始め、2人は巨大迷路のような≪思い出保管場所≫に迷い込み、ヨロコビ不在の司令部も大混乱となる。その頃ヨロコビとカナシミは自分たちも今まで見たことが無かった驚きと色彩に満ちた世界で大冒険を繰り広げていた。
―司令部を目指してライリーを再び笑顔にするために!(公式サイトより引用)
ネタバレ感想
脳内の感情を擬人化してみせる手法は奇しくも同じで、このアイデアは面白いです。
脳内ポイズンベリーでは、一度婚約破棄をして恋愛に臆病になってるアラサー女性が主人公。
一方の本作は、田舎から都会へと引っ越してきたばかりの11歳の少女が主人公。
そしてまた両作とも、脳内ポイズンベリーではポジティブ思考を司る石橋(神木隆之介)が退行し、インサイドヘッドではヨロコビの感情が退行し、大変なことになってしまいます。
ただ脳内ポイズンベリーでは風見鶏的な傾向はあるものの理性を司る吉田(西島秀俊)がいるのに対し、本作ではヨロコビも理性的な役割を担っていたと思います。
脳内ポインズンベリーでは各感情それぞれが平等で、合議制の多数決によって感情を決めていたのに対し、本作ではヨロコビがかなり主導権を握っていたので、ベッキーさんでは無いですが「元気の押し売り」感があるなぁと思いながら見てました。
まあ、そこがライリーの性格を特徴付けていたと思いますが(常にポジティブシンキングで親の理想通りのいい子)。
物語的にも、ヨロコビはなるべくカナシミを出さないように押し込めようとしますが、結果的にはカナシミも時には心を癒してくれる大切な感情なんだよ、ということをヨロコビが理解して一件落着します。
ヨロコビとカナシミの冒険描写、最後、空想を捨て司令室に戻ってくる辺りは、大人の階段を一歩上り始めたとも見えますし、家出から戻ってきたライリーをカナシミにコントロールさせたのも良かったのですが、欲を言えばもう一つ足りない気がしました。
ライリー一家がなぜミネソタからサンフランシスコに引っ越してきたかは、はっきりしませんが、どうもお父さんの会話の端々に投資とかいう言葉が出てきて、山っ気のある描写があるといいいますか。
ちょうど今期の朝ドラ「まれ」の父親(大泉洋)のように見えてしまって。
ゴールデンゲートブリッジを通った時も「金色ではないのね」みたいな会話があって、ちょっと一攫千金を夢見たゴールドラッシュのようだなと。
それで、ライリーが情緒不安定になったのは、引っ越しが直接の原因というよりは、そのお父さんの得体の知れない山っ気?みたいな毒気に当てられたような気がするんですが、その辺のところは物語的に回収されて無くて、そこがもう一つ足りないところかなぁと思いました。
ただ、はじめに書いた通り、脳内を擬人化するアイデアは面白いですし、感情というものを論理的に見せてくれる気もしますし、冒頭に「これはあなたの物語です」というように誰にでも当てはまるように作られてるので、中学生や高校生くらいの人に見て欲しい作品と思いました。
そうそう、ヤフー映画のレビューを読んでたら、冒頭のドリカムの歌とPVは要らなかったとか、火山のショートアニメも要らないとか言ってる人が多かったので、結構ムカムカに支配されてる人が多いんだなー(笑)と思いました。
鑑賞データ
TOHOシネマズ六本木 シネマイレージデイ 1400円
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