流れるような作りが逆に物足りなくもあり ☆4.5点
トム・クルーズ製作主演のスパイアクション『ミッション:インポッシブル』シリーズの第6作目。
前作『ローグ・ネイション』で登場した謎のテロ組織シンジケートの残党による核攻撃の脅威から世界を救うべく奮闘する姿を描く。
監督は前作から引き続きクリストファー・マッカリー、共演にサイモン・ペッグ、ヴィング・レイムス、レベッカ・ファーガソン、ヘンリー・カヴィル
予告編
映画データ
本作は2018年8月3日(金)公開で、全国368館での公開です。
パラマウント映画で日本での配給は東宝東和の新子会社の東和ピクチャーズ
ちょうど昨年の今頃、本作の撮影でトムが怪我したことが一般のニュースにもなっていました。
劇場での予告編はよく目にしましたが、予告もこの怪我のシーンをアピールしたものになっていました。
本作はアメリカでは2018年7月27日(金)公開で、週末3日間のオープニング興収は前作比110%の約6100万ドルで、シリーズ最高の出足となっています。
また批評家・観客ともに評判がよく、ロッテントマトではトマトメーター97%、オーディエンススコア90%となっています。
日本でもオープニング興収が前作比111%と好調で、ヤフー映画4.34点、映画.com4.0点、フィルマークス4.1点と評価の方も高くなっています。
自分はこうした評価を事前に目にしていて、期待に胸を膨らませ、公開から3週目に2D字幕版で鑑賞しました。
監督はクリストファー・マッカリー
『ユージュアル・サスペクツ』の脚本家として注目を浴びた方で、最近はトム・クルーズ出演作には何らかの形で関わっています。
脚本作の『オール・ユー・ニード・イズ・キル』『ザ・マミー/呪われた砂漠の王女』と監督作の前作『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』を観てます。
主演はトム・クルーズ
近作は『オール・ユー・ニード・イズ・キル』『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』『ザ・マミー/呪われた砂漠の王女』『バリー・シール/アメリカをはめた男』を観てます。
共演にサイモン・ペッグ
近作は『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』『スター・トレック BEYOND』『レディ・プレイヤー1』を観てます。
共演にレベッカ・ファーガソン
近作は『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』『ガール・オン・ザ・トレイン』『マダム・フローレンス! 夢見るふたり』『ライフ』『グレイテスト・ショーマン』を観てます。
共演にヘンリー・カヴィル
近作は『コードネーム U.N.C.L.E.』『ジャスティス・リーグ』を観てます。
他に共演と配役は以下の通りです。
イーサン・ハント: トム・クルーズ
ベンジー・ダン: サイモン・ペッグ
イルサ・ファウスト: レベッカ・ファーガソン
ルーサー・スティッケル: ヴィング・レイムス
オーガスト・ウォーカー: ヘンリー・カヴィル
IMF長官アラン・ハンリー: アレック・ボールドウィン
ホワイト・ウィドウ: ヴァネッサ・カービー
CIA長官エリカ・スローン: アンジェラ・バセット
ソロモン・レーン: ショーン・ハリス
ジュリア・ミード: ミシェル・モナハン
パトリック: ウェス・ベントリー
ゾラ: フレデリック・シュミット
ラーク・デコイ: リャン・ヤン
ニルス・デルブルック: クリストファー・ヨーネル
あらすじ
IMFのエージェント“イーサン・ハント”と彼のチームは、盗まれた3つのプルトニウムの回収を目前にしていた。だが、突如現れた何者かの策略で仲間の命が危険にさらされ、その最中にプルトニウムを奪われてしまう。イーサンとIMFチームは、プルトニウムを再び奪い返し、複数の都市の“同時核爆発を未然に防ぐ新たなミッション”を受ける。この事件の裏側には、シンジケートの生き残り勢力が結成したアポストル(神の使徒)が関連しており、手がかりは“ジョン・ラーク”という正体不明の男の名前と彼が接触する“ホワイト・ウィドウ”と呼ばれる謎めいた女の存在のみ。だが今回のミッションに対しイーサンの動きを不服とするCIAは、敏腕エージェントのウォーカーを監視役に同行させることを条件とした。
イーサンはホワイト・ウィドウの信頼を得るため、やむなく収監中の敵“ソロモン・レーン”の脱走に手を貸すが、その影響で味方の女スパイ“イルサ”と対立してしまう。一方、同行するウォーカーはイーサンへの疑惑を深め、二人はやがて対決の時を迎える。
やがてタイムリミットが刻一刻と迫る絶体絶命の中で、チームの仲間や愛する妻の命まで危険にさらされる等、いくつもの〈フォールアウト(余波)〉がイーサン・ハントに降りかかる・・・。(公式サイトhttp://missionimpossible.jp/story/より引用)
ネタバレ感想
個人的にはシリーズ最高傑作だった前作のローグ・ネイションは、冒頭から予告編でやっていた一番のアクションシーン(貨物飛行機掴まり)から入る展開に、度肝を抜かれたんですが、その後IMFのメンバーが集結する40分頃までノンストップでアクションが続き、中盤はストーリー重視になるものの、最後はラスボスを生け捕りにする展開で非常に痺れたんですが、本作は生け捕りしたことによるその後を描いていてローグ・ネイションとの結びつきが非常に強い作品となっていました。
2016年11月に書いた『ガール・オン・ザ・トレイン』の感想の時点で、レベッカ・ファーガソンが本作に出演することが決まっていたのは知っていましたが、監督も続投し、内容もローグ・ネイションの続きのような感じになるとは思っていませんでした。
そして本作は冒頭からノンストップアクションで観客を引き込んだ前作と違い、イーサン・ハントの夢のシーンから始まり、前作とは異なる雰囲気です。
シリーズ3作目『M:i:III』と4作目『ゴースト・プロトコル』で出てきた元妻のジュリアが花嫁姿で、前作のラスボスであるソロモン・レーンが髭面で神父になって出てきます。
自分は過去のシリーズは一通りは見ていますが、何度も繰り返し見ている訳ではないので、「あれ、誰だっけ?」となりまして、話が進むうちに元妻と前作ラスボスだと分かりましたが、シリーズ初見にはやや厳しい作りになってるかな?と思いました。
ミッションインポッシブルといえばお馴染みの指令シーンですが、本作ではホメロスの叙事詩「オデュッセイア」の本の中に入れられて届きます。
教養の無い自分にはその意図するところが分かりませんでしたが、「オデュッセイア」はトロイア戦争を勝利に導いた英雄オデュッセウスが数々の苦難と冒険ののちに20年ぶりに故郷に帰還を果たす流離譚だそうで、イーサンをオデュッセウスになぞらえているようです。
本作のミッションは、ロシアから盗まれた3つのプルトニウムが、現在、東欧マフィアの手に渡り、前作でソロモン・レーンが束ねていたシンジケート(各国の元スパイ)の残党がアポストル(神の使途)なる組織を結成し、プルトニウムを手に入れようと画策しており、それを阻止せよとのことでした。
この辺の設定は今年6月に公開された『アメリカン・アサシン』と全く同じです。
このアポストルは、その時々の雇用主の指示によって動いており、今回、ジョン・ラークという正体不明のテロリストの依頼を受けようとしてます。
このジョン・ラークはインドのカシミール地方で天然痘によるバイオテロを仕掛けたとされる人物で、天才物理学者デルブルック博士の失踪にも関わっていると噂されています。
デルブルックス博士の手にかかれば、プルトニウム入手から3日以内に世界のどこにでも持ち運び可能な小型高性能核爆弾が作れるとのことで、それだけは何としても阻止しなければならないのでした。
すると本作では次のシーンであっさりと東欧マフィアとの取引になり、イーサンたちの手にプルトニウムが入りそうになります。
しかしアポストルの襲撃に遭うと、これまたあっさりとプルトニウムを奪われてしまいます。
次のシーンは病院で怪我をしてベッドに横たわる人物をイーサンとルーサーが尋問しようとしています。
顔を見るとデルブルック博士なんですが、失踪したのをどうやって見つけてきたのかは分かりません。
博士が目覚めると病室のモニターにはバチカン、エルサレム、メッカで起こった同時核爆弾テロのニュースが流れてます。
それを見てほくそ笑む博士ですが、イーサンは怒りに震えながらスマホのパスコードを教えろと迫ります。
ルーサーによると、博士は2週間前に交通事故に遭い集中治療室に運ばれてきたようで、ソロモン・レーンに感化された博士の声明文や爆弾の設計図も手に入れていました。
イーサンは「ジョン・ラークと連絡を取っていたのは分かってる。スマホのパスコードを教えろ」と再び迫ると、博士は声明がニュースで読まれなければ教えないと言います。
イーサンは博士の要求を飲み長官に電話すると、放送しているCNNのニュースで声明が読み上げられます。
博士は声明が読み上げれてるのを確認すると、スマホのパスコードを解除してルーサーに渡し、ルーサーはデータをコピーします。
このシーンはイーサンが長官に電話したあたりから、博士を信用させるためのフェイクじゃないかな?と思うんですが、予想通り病室はセットで同時核爆弾テロのニュースも作られた物でした。
CNNのアナウンサーもベンジーのラバーマスクによる変装なんですが、博士にはバラさないで信じ込ませたままでいいんじゃないかな?と思います。
イーサンたちはご丁寧に、「本当は1時間前に車に追突されて、ここに運びこまれた」と博士に言い、「突っ込んだのは俺だけど」とベンジーが言うんですが、このシーンちょっと変なんですよね。
この時点ではプルトニウムは博士の手には渡って無いわけで、博士も核爆弾を完成させた記憶は無いと思うんですけど、何で同時核爆弾テロのニュースを信じたんだろうか?
でも後から出てくる核爆弾は博士がいなくても完成させててプルトニウムをセットするだけでいいようになってたので、ラークがプルトニウムを手に入れたと思い込んだんでしょうかね?
そのための2週間なのか。
本作はここまでがオープニングでミッションインポッシブルのテーマが流れるんですが、このタイトルシークエンスはかなりカッコよかったです。
でも序盤からストーリーは激ムズそうな感じで、自分は1回じゃよく分からなくて結局2回観ました。
1回目観たときに「なんで?」と思った所も、2回目観たときは「そういうことか」とやや納得したんですけど、なんでそうなってるかというと、撮影に入った時点ではしっかりとした脚本が無かったみたいです。
上の記事によるとトムの突然のアイデアにフレキシブルに対応するためのようですが、北野武監督が現場でメモ書いて役者に渡すみたいな感じでしょうかね。
是枝監督も子役には脚本を渡さないで、口立てで伝えてるとどこかに書いてありましたけど、それとは全然違うか(笑)
イーサンたちはドイツの空港でIMF長官のアランと落ち合うと、博士のスマホの解析結果を聞かされます。
それによるとジョン・ラークはホワイト・ウィドウ(白蜘蛛)なる人物と連絡を取っていることが分かります。
このホワイト・ウィドウは表の顔は慈善家だが、裏の顔は武器商人で資金洗浄者であり、政府とも繋がりのある人物とのことでした。
そして今夜、彼女が慈善家として主催するパーティがパリのグラン・パレであり、そこのVIPルームでラークと会う予定であることが分かります。
ラークはウィドウを仲介人としてプルトニウムを入手しようとしているため、イーサンはラークに成りすましてウィドウに接触しプルトニウムを入手しようと考えます。
イーサンは時間が無いためCIAの飛行機でパリ上空からヘイロージャンプで侵入しようと考えますが、そこにCIA長官のスローンがやってきます。
スローンはCIAの下部組織であるIMFがCIAの頭を飛び越えて単独行動をしているのが気に入らず、またイーサンがプルトニウム入手に失敗したことから、部下のウォーカーを監視役として付けることを条件に作戦を許可するのでした。
ウォーカーを演じるのは『コードネーム U.N.C.L.E.』でナポレオン・ソロも演じたヘンリー・カヴィルですが、髭生やしてたので誰だか分かりませんでした。
ただ、今までのシリーズに出てこなかったキャラクターの割にはその後出ずっぱりなので、「正体不明のジョン・ラークなんだろうなぁ」という推測は成り立ちます。
時間が無いので2人は飛行機からヘイロージャンプで飛ぶんですが、このシーンのためにトムは100回以上飛んだそうで、もはやインストラクターの域じゃないかと思います。
劇中ではなぜかウォーカーが雷雲の中に飛び込んで行くんですが、案の定気絶してイーサンが助ける羽目になります。
ウォーカーは安全に着地できたのに、イーサンはヒヤヒヤものの着陸という理不尽さです。
ちなみにこのシーン、イーサンが傾斜になってるガラスの屋根に着地して転がってくんですが、ちょっと『M:i:Ⅲ』での上海のビルを彷彿とさせます。
会場に着くとクラブみたいになってて大勢の人が踊ってるんですが、DJしてるのはDJハーヴィーです。
クラブに入るときにセキュリティのブレスレットを付けられるんですが、ジョン・ラークに付けられるブレスレットは予め分かってて、監視した位置情報によるとラークはクラブの奥のトイレにいるっぽいので、2人は向かいます。
トイレに入ると複数人いるので誰がジョン・ラークか分からないのですが、トイレから人が出ていって残り1人になると、残ってるのは中国系の人(リャン・ヤン)なんですが、ウォーカーと目が合いイーサンが麻酔を打とうとすると、バトルになります。
イーサンは一旦はラークを気絶させ顔をスキャンしようとするのですが、途中でラークが目覚めると再びバトルになります。
ただ、この中国系の人、めちゃくちゃ強くてチート過ぎるんですね。
イーサンとウォーカーが2人がかりでも倒せません。
するとそこに一発の銃声が響いてラークは顔を撃ち抜かれて死んでしまいます。
銃を構えていたのはイルサでした。
計画ではイーサンはラークを注射で眠らせて顔をスキャンして、ノートPC付属の3Dプリンタ(これ欲しい)でラバーマスクを作る予定でしたが、銃弾で顔が傷ついてしまったのでその方法は使えなくなります。
イルサは「足狙うつもりだったのにごめん」と謝ると、イーサンは「ウィドウもラークの顔を知らないだろうしこのまま行く」と言います。
なんという、行き当たりばったり(笑)
イルサは「ここにいる理由は明かせないが、ラークは殺し屋に命を狙われてて危険だ」と言います。
しかしイーサンはウィドウに会いに行くと言うので、ウォーカーと共にVIPルームについてきます。
イーサンがVIPルームに着くとウィドウがスピーチしてるんですが、その内容を聞いてるとどうやら1作目で出てきた女武器商人マックス(ヴァネッサ・レッドグレイヴ)の娘のようで、本作はちょっと『007 スペクター』みたいな過去作を横断する作りになってる感じです。
スピーチが終わってイーサンがウィドウに話しかけると「あなたがラークなのね」と言われ、わざわざ否定することもないので、話がサクサク進みます。
ウィドウから「やりとりから、もう少し醜い男を想像してた」と言われるんで、イケメンは何をしても徳です。
ウィドウには兄のゾラっていうのがいて警戒されるんですが、ラークを狙ってる殺し屋がVIPルームに現れると、イーサンはウィドウが狙われてると勘違いさせ殺し屋を退治して脱出します。
グラン・パレを脱出すると取引の場はウィドウのアジトに移ります。
ウィドウのアジトに着くと、いきなり地図を見せられ、翌日にフランスに護送されてくる囚人を捕まえてこいと言われます。
写真を見せられるとその囚人はソロモン・レーンで、今回の売り主(アポストル)は金を必要としていなく、ソロモン・レーンとの引き換えが条件なのでした。
ローグ・ネイションでやっとこさ捕まえたソロモン・レーンなのに、何とご無体な。
レーン誘拐作戦にはゾラの手下も加わるんですが、ゾラの計画では護送するフランス警察を皆殺しでした。
イーサンはその計画を妄想するんですが、本作はイーサンの妄想シーンがちょくちょく入り、その度に叙情的な劇伴が流れるんで、そういうところはちょっとジョン・ウー版の感じがあります。
ウィドウは手付けとしてプルトニウム1つをイーサンに渡すと、翌日の襲撃に備えてお開きになります。
ウォーカーはパリにやってきたスローン長官と落ち合うと経過報告をしますが、イーサンがラークではないかと長官に吹き込みます。
長官は「滅多なことを言うでないぞ、何か証拠はあるのか?」と聞くと、ウォーカーはトイレでの格闘で中華系のラークが落としたスマホを渡し、この中に証拠が入ってると言います。
トイレの格闘シーンではイーサンがひび割れたスマホを拾っていたので、このシーンで観客には「ウォーカーがますます怪しい」と思わせます。
レーン誘拐作戦の日。
イーサンはレーンを捕まえるのにフランス警察を皆殺しにする訳にはいかないので、ゾラの目も欺きつつレーンを捕まるという激ムズ作戦を展開させねばなりません。
計画ではトラックを横転させ、レーンを護送する隊列がセーヌ川沿いの迂回路に入ったところで、挟み撃ちにしてフランス警察を皆殺しにする予定でしたが、イーサンはレーンが乗っている護送車が迂回路を通るとトラックで追突し、護送車ごと川に水没させます。
水没した護送車からのレーンの回収は、モーターボートで待機していたベンジーとルーサーがあたり、イーサンとウォーカーはフランス警察を引き付けカーチェイスを繰り広げます。
イーサンとウォーカーはトラックを乗り捨てると、用意しておいたバイクで逃走します。
シリーズではお馴染みのバイクでのカーチェイスシーンですが、パリの繁華街ということもあり交通量も人も多く、カメラの撮り方も凝ってるのでこのシーンはめちゃくちゃカッコよかったですね。
フランス警察に追い詰められたイーサンはレーンを回収したベンジーに連絡し、助けに来てもらって水路で逃げると、ウォーカーが手配した逃走用の車が停めてあるガレージに向かいます。
イーサンたちはウォーカーと合流すると、ガレージのシャッターを開けて停めてある車に頭から袋を被せたレーンを乗せようとしますが、その現場を近くで駐車違反の切符を切っていた女性警官に見られてしまいます。
銃を向けてくる女性警官にイーサンは見逃すように頼みますが、そのタイミングでイーサンを探していたゾラの手下たちがやって来ます。
ゾラの手下たちは女性警官に発砲し殺そうとしたので、イーサンは手下4人を撃ち殺すと、怪我をした女性警官に無線で救急車を呼ばせその場を後にします。
イーサンたちはレーンを乗せて移動してると、フランス警察がレーンを護送中から張り付いていた全身黒ずくめのバイカーがレーンを狙って狙撃してきます。
イーサンはベンジーとルーサーとウォーカーを車から降ろすとレーンを助手席に乗せ、再びカーチェイスになります。
イーサンはバイクの追撃をかわし、逃げ切ったと思ったら、先回りされて待ち構えられていました。
黒ずくめのライダーの正体はイルサで、レーンの命を狙っていましたが、プルトニウムを入手するためレーンを死なせるわけにはいかないイーサンは、イルサを車で跳ね飛ばすと、第二の合流地点でベンジーたちと落ち合います。
レーンには政府追跡用のGPSが首に埋め込まれていたため、ベンジーが誘拐時には簡易パッチで電波を遮断してましたが、ルーサーが器具を使って首の中から取り出すと、代わりのGPSを埋め込みます。
取り出したGPSはベンジーがドローンで飛ばすと、フランス警察のヘリはそれを追跡し、レーンの姿を隠すことに成功します。
イルサがレーンを狙ってることに気づいたイーサンは、わざとパリの街を歩きイルサをおびき寄せると、イルサにレーンを狙っている理由を尋ねます。
イーサン「レーンが逮捕されて、MI6からも自由の身となれたはずなのになぜ?」
イルサ「ことはそんな簡単じゃなかった。2年間レーンの部下だった自分は疑われ、完全な自由などなかった」「またレーンは、事件の性質から情報を得るために各国の政府をたらい回しにされ、MI6はそれを危惧した」「レーンが持ってるイギリスの情報の流出を危惧した政府は外交ルートでレーンの身柄を要求したが叶わなかった」「レーンの口封じと自身の潔白を証明するため自分が暗殺を実行するしかない」「だからレーンの居場所を教えて欲しい」
イーサン「それは出来ない」
イルサ「なら今まで通り自分で探して暗殺するだけだ」
2人は物別れに終わります。
ここまでを観てると『ローグ・ネイション』でナイスだと思われた生け捕りは完全に裏目に出ていて、イーサンがレーンを殺しておけばよかったんじゃんと思ってしまうのですが、ローグ・ネイションが好きな自分には、この流れはちょっぴり寂しいのです。
イーサンはウィドウに会うと、ロンドンでレーンを引き渡すよう指示されますが、もう1つ注文を付けられます。
ゾラはイーサンがイルサを跳ね飛ばすところを見ていて、VIPルームにもイルサがいたことを思い出すと、2人の関係を疑います。
またゾラの手下4人はイルサに殺されたと思っていて、イルサもロンドンで引き渡すよう要求するのでした。
本作ではイーサンやベンジーの口癖が「なんとかする」なので、イーサンはイルサを引き渡すことも了承します。
舞台はロンドンに移ります。
ウィドウへの引き渡しが2~30分後に迫る中、イーサンたちは地下壕でアラン長官と落ち合い会議をします。
ウィドウはすでにロンドンの街中で待機していて、イーサンに連絡し予定通り引き渡しが行われることを確認します。
イルサは離れた所からウィドウを監視していて、ウィドウが通話した際に発信源を特定しイーサンの居所も掴みます。
アラン長官はここにきてプルトニウム入手を諦め、レーンをCIAに引き渡すと言います。
理由はイーサンこそがラークだと疑われており、あらゆる証拠がイーサン=ラークだと示していると言います。
しかし親心もある長官はレーンをCIAに引き渡せば、イーサンはIMFに残れると言います。
そしてウォーカーが何のためにイーサンを監視してるか分かるか?と聞いてきます。
イーサンがプルトニウムを手に入れて裏切ればウォーカーにすぐ処刑されると言います。
ウォーカーも「悪く思うなよ」と言います。
しかし、それでもプルトニウム入手にこだわるイーサンはアラン長官に麻酔を打って眠らせてしまいます。
アラン長官に反旗を翻したイーサンに驚くベンジーとルーサーですが、イーサンを信用してるのでプルトニウム入手にかけます。
イーサンのアイデアはベンジーにレーンの変装をさせ、プルトニウムもレーンも確保するという、1粒で2度美味しいもので、本物のレーンは地下壕でウォーカーに見張ってもらい、レーンに変装したベンジーを取引現場に連れていくというものでした。
作戦を聞いたベンジーは「バレるって」とビビります。
またイーサンからレーンはイルサからも命を狙われてると聞かされると「オレ、死んじゃうじゃん」と言いますが、イーサンに「なんとかする」と押し切られ変装するのでした。
イーサンたちがウィドウの元へ向かうと、残されたウォーカーは不審な動きをします。
レーンを監視してるカメラを外すと、薬で眠らされてるレーンを起こし話しかけます。
予想通り、ラークはウォーカーで、今後の打ち合わせをレーンとするのですが、レーンの反応が芳しくありません。
不審に思ったウォーカーがレーンの顔に手をかけると、顔はラバーマスクで中から出てきたのはベンジーでした。
ベンジーも「悪く思うなよ」と言うと、アラン長官とイーサンたちが現れます。
長官とイーサンたちはラークを炙り出すために芝居を打ったのでした。
その様子はスローンにも中継されていて、CIAもウォーカーがジョン・ラークだと認識するのでした。
ここの伏線は描かれなかったのですが、おそらくイーサンもウォーカーと同じようにトイレで回収した割れたスマホをアラン長官に解析を依頼してあったんだと思います。
スローンはアラン長官に「すでに手は打ってある」と言うと、ウォーカーを逮捕するべく待機させてた部隊を投入しますが、アラン長官との約束を反故にしてレーンの身柄も拘束しようとします。
反発の声を上げるアラン長官とイーサンでしたが、そのタイミングで突入してきた部隊に「やれ」とウォーカーが指示を出します。
突入してきたCIAの部隊の中にはすでにアポストルに転じてる者がいて、撃ち合いになるのでした。
この銃撃戦にはイルサも現れ、アポストルを狙撃していきます。
レーンはその隙に逃げ出し、ウォーカーも逃げようとしますが、アラン長官がウォーカーの前に立ちはだかります。
しかしアラン長官はウォーカーに刺され命を落としてしまうのでした。
アレック・ボールドウィン、2作だけなのかぁ(悲)
イーサンたちIMFメンバーは長官の死を悼むと、ベンジーは「地下壕は任せて、ウォーカーを追え」とイーサンに言います。
ベンジーはウォーカーが逃げる際にGPSを注射していました。
イルサの協力もあり地下壕を制圧すると、ベンジーはウォーカーの位置情報を利用してイーサンに指示を出します。
ここからはトム・クルーズ御大56歳が走る、走る、走ります。
『ラン・ローラ・ラン』じゃなくて『ラン・トム・ラン』です。
このロンドンの疾走シーンで足首を骨折したんですが、そのまま使われてるみたいです。
ジャッキー・チェンの『プロジェクトA』の時計塔落ちみたいですな。
でもぶっちゃけこのシーン、どこか道路に出て、バイクなり自転車を止めて追った方が早かった気もします(笑)
ベンジーの指示でウォーカーに近づいたイーサンは、塔に入ったウォーカーがエレベーターで上昇する際に追いつきエレベーター籠に掴まります。
しかし、イーサンに気付いたウォーカーは銃を構え、1枚の写真を見せると、それはジュリアの写真でした。
ウォーカーはイーサンが再び邪魔をするようだったら、ジュリアを直ちに殺すと言います。
塔の屋上に出たウォーカーは、既にレーンを救出しているヘリコプターに乗り込み、2人は逃げていってしまうのでした。
地下壕を脱出したルーサーとイルサはイーサンについて話をしています。
ルーサーはイーサンが過去に愛した女性は2人いると言い、1人は元妻のジュリアだと言います。
2人はとても愛し合っていたがジュリアの存在がイーサンの任務を脅かし、ジュリアの身にも危険が及ぶため2人は離婚し、ジュリアは身を隠したと言います。
そして、イーサンはイルサについてもとても心配していると言います。
ルーサーは東欧マフィアとの取引の際に自分の命を救ってくれたことが、今回の件を招いていると言い、イーサンのことを信じて欲しいと言うのでした。
すると、そのタイミングでイーサンが「な~に?」と帰ってきます。
プルトニウムがレーンとウォーカーの手に渡ったため、核爆発は時間の問題でした。
ベンジーは核爆弾の解除方法を見つけ出しますが、2基の核爆弾がお互いセンサーになっており、片方を止めると片方が爆発するため、2つを同時に止めた上、起爆スイッチの解除ボタンも同時に押さねばならないのでした。
しかも解除するには、爆弾のスイッチが押されカウントダウンが始まらないと解除出来ないと言うのでした。
イーサンたちはレーンのGPSを追跡すると時速900kmで東に向かっているのが分かります。
レーンは飛行機でインドのカシミール地方に向かっていることが分かります。
イルサはルーサーの説得によりレーンの暗殺を諦め、核爆弾の捜索を手伝うと言うと、イーサン、ベンジー、ルーサー、イルサの4人はカシミールに向かいます。
カシミールに着いた4人は車でGPSの位置を追うと、イルサはなぜレーンがカシミール向かったのかが分かったと言います。
カシミールはインドと中国とパキスタンの水源で核汚染により世界人口の1/3を消滅させようと企んでいるのでした。
レーンはGPSに気付いたのか位置情報が無くなります。
調べるとGPSの発信が無くなったのは天然痘の医療キャンプが設置されてる場所でした。
4人は医療キャンプに着くと、早速、核爆弾の捜索を開始します。
すると「イーサン」と声を掛ける人がいます。
イーサンが振り返るとそこにいたのはジュリアでした。
看護師であったジュリアは医師になり医師の男性と結婚して、2人ともアメリカの病院で忙しく働いてましたが、ジュリアの提案で国境なき医師団的な活動を始めると、天然痘のバイオテロがあった後、匿名の多大な寄付があり医療キャンプがすぐ立ち上げられ、カシミールにやってきたということでした。
イーサンはジュリアの夫に昔の同僚であると挨拶し、短い会話を交わすと核爆弾の捜索に戻ります。
すると1つの核爆弾はすぐに見つかります。
キャンプに立ててある電柱のアンテナにあるのを見つけるとルーサーが解除にあたりますが、カウントダウンはまだ始まっていませんでした。
残りの3人はもう1つの核爆弾を探しに散ると、医療キャンプの広場に止めてある2基のヘリコプターに向かうウォーカーの姿を発見します。
ウォーカーはレーンの指示により、起爆スイッチを押すとそれを持って安全な場所までヘリコプターで離れようとしていたのでした。
イーサンへの復讐に取りつかれているレーンは核爆弾とともに自爆する気でイーサンとジュリアの命も一緒に奪おうと考えていたのでした。
イーサンは飛び立ったヘリコプターにぶら下がっていた、荷物が入ったネットに掴まると綱をよじ登ってヘリコプターに侵入します。
イーサンはヘリコプターを操縦している2人のアポストルを始末すると、もう1基のヘリに乗っているウォーカーを追いかけます。
ヘリコプター操縦シーンでは、イーサンが操縦に戸惑うんですが、イーサンってヘリコプター操縦出来ないんでしたっけ?
ベンジーとイルサはもう1基の核爆弾を探しますが、レントゲンなどの放射線機器があるため難航します。
すると今度はイルサが山小屋にいるレーンを発見します。
レーンの元に向かったイルサは核爆弾を発見すると、無線でベンジーに見つかったと伝えますが、レーンが襲ってきて捕まってしまうのでした。
ルーサーが解除準備していた核爆弾もカウントダウンが始まります。
カウントダウンは15分しかなく、ルーサーの腕でも解除に手こずりそうでした。
するとジュリアがルーサーの元にやってきます。
イーサンの任務を悟ったジュリアは手伝うと言います。
解除するには複雑に入り組んだコードを切らねばならず、医師であるジュリアの腕が役立つのでした。
イルサから連絡を受けたベンジーも山小屋に到着しますが、待ち受けていたレーンに捕まってしまいます。
イルサはレーンがベンジーに気を取られてるすきに、縛られていたロープを解くとレーンとのバトルになります。
イルサはレーンの首をロープで締め上げて気絶させると、首吊り状態だったベンジーをギリギリのところで助け出します。
2人はレーンを縛り上げると、先行しているルーサーの指示で爆弾を解除していき、お互いあと1本切れば解除できるところまで進めていき、待機します。
目を覚ましたレーンは「もう核爆弾は止められない」としきりにイルサに言いますが、イルサたちはイーサンが起爆スイッチを手に入れることを信じて待つのでした。
ウォーカーのヘリを追っているイーサンは雪山に差し掛かるとヘリごと体当たりして不時着させ、ウォーカーとバトルとなります。
断崖絶壁で戦っていたイーサンはウォーカーを倒すと、残り1秒で起爆スイッチを解除し世界は核の危機から救われるのでした。
このシーンは『ミッション:インポッシブル2』のクライミングを取り入れたものとなっていました。
意識を失ったイーサンは医療キャンプのベッドの上で目を覚ますと、声を掛けてきたのはジュリアで、インド軍のヘリで運ばれてきたと言います。
イーサンはジュリアの背後を見るとCIA長官のスローンが立っていてインド軍を引き連れて救出に来たのでした。
スローンはレーンを連れてイギリスに向かうと、当初の取引通りウィドウにレーンを引き渡します。
しかし今回のウィドウの仲介先はアポストルではなくイギリス政府で、イルサも晴れて自由の身となれるのでした。
医療キャンプでイーサンの回復を待つ仲間たちですが、ジュリアは次のキャンプへ旅立ちます。
ジュリアはイーサンをイルサに託すようにしてハグし、ベンジーとルーサーがそれを見守って映画は終わります。
感想としては、個人的には『ローグ・ネイション』の方が好みで、自分の中のシリーズ最高傑作は塗り替えられなかったんですけど、アクションは過去最高のものになってると思います。
ただ、今作のアクションは過去作のブラッシュアップ的な感じで、目玉となるような新しいものは無かった気がします。
観てて「すごいなー」とは思うんですが、既視感があるといいましょうか、なのでわりと冷静に観ていられるんですよね。
最初の方に上げたリアルサウンドの記事にもありましたが、本作はアクションとドラマ部分を同じような感じで撮って、前作と違って全編が並列的で流れるような演出になっているので、全体的な雰囲気としてはジョン・ウー版のような感じで、多少ナルシスティックな部分が自分には合わなかったのかもしれません。
あとやっぱりウィリアム・ブラント役のジェレミー・レナーがスケジュールの都合で出れなかったので、イーサン、ウィリアム、ベンジー、ルーサーのチーム感が好きだった自分には物足りなかったのかもしれません。
クリストファー・マッカリー監督はジェレミー・レナーに「ウィリアムを最初の方で殺しちゃう?」とも聞いたみたいですけど、ウィリアムに愛着のあるジェレミーは断ったみたいで、懸命な判断だったと思います。
『ミッション:インポッシブル7』が作られるとしたらトムの還暦記念になるのでしょうかね。
大作なんでおいそれとは作れないでしょうが、ウィリアムも加わったチームIMFを2年後くらいに見れたらいいなと思います。
鑑賞データ
TOHOシネマズ上野 1か月フリーパスポート 0円
2018年 131作品目 累計124100円 1作品単価947円
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