ディザスターというより政治陰謀サスペンス ☆2.5点
ディザスター映画の第一人者ローランド・エメリッヒ監督の右腕的存在ディーン・デヴリンによる初監督作品。
異常気象対策のために作られた気象コントロール衛星の暴走を描いたパニック映画で主演にジェラルド・バトラーとジム・スタージェス
予告編
映画データ
本作は2018年1月19日(金)公開で全国349館での上映です。
ワーナー・ブラザース配給の大作で劇場で予告編は結構前から目にしましたね。
予告編は安定のディザスタームービーで面白そうだなと思いましたよ。
監督はディーン・デヴリン
本作が初監督作で、これまでは主に製作や脚本や出演で関わってきたようです。
ローランド・エメリッヒ監督の『ユニバーサル・ソルジャー』『スターゲイト』『インデペンデンス・デイ』『GODZILLA』『パトリオット』『インデペンデンス・デイ: リサージェンス』なんかで製作や脚本に関わってきたようです。
しかしながら本作と似たようなディザスター映画『デイ・アフター・トゥモロー』や『2012』には関わってないようです。
主演にジェラルド・バトラー
『300 〈スリーハンドレッド〉』の人ですね。
近作は『キング・オブ・エジプト』を観てます。
主演にジム・スタージェス
近作は『鑑定士と顔のない依頼人』を観てます。
共演にエド・ハリス
近作は『ゼロ・グラビティ(声の出演)』『ラン・オールナイト』を観てます。
共演にアンディ・ガルシア
近作は『ゴーストバスターズ(2016)』『パッセンジャー』を観てます。
他に共演と配役は以下の通りです。
ジェイク・ローソン: ジェラルド・バトラー
マックス・ローソン: ジム・スタージェス
サラ・ウィルソン: アビー・コーニッシュ
ウーテ・ファスビンダー: アレクサンドラ・マリア・ララ
チェン・ロン: ダニエル・ウー
アル・ヘルナンデス: エウヘニオ・デルベス
レナード・デッコム国務長官: エド・ハリス
アンドリュー・パルマ大統領: アンディ・ガルシア
あらすじ
度重なる異常気象、頻発する自然災害。
この深刻な事態に世界はひとつとなり、気象コントロール衛星を開発。
全世界の天気は精巧なシステムで完璧に管理され、人類は永遠の自然との調和を手に入れたかに思えた。
ところが!ある日突然、衛星が暴走を始めた!
リオデジャネイロが寒波に、香港が地割れに、ドバイが大洪水に、そして東京も……。
この星をすべて破壊し尽さんばかりの、想像を絶する空前絶後の巨大災害が次々勃発。
なぜ!? いったい地球はどうなる!?
この地球滅亡の危機を受け、科学者ジェイクは、再び人類の英知を信じて仲間の待つ宇宙ステーションへと飛び立った―。(公式サイトより引用)
ネタバレ感想
本作はアメリカでは2017年10月20日(金)公開で製作費1億2千万ドルの大作だったんですけど、オープニング興収が1370万ドルの2位スタートで、2018年1月11日(木)までの累計興収が3370万ドルと大コケしちゃったんですけど、世界興収で2億1千万ドルくらいいってるみたいなので、まあトントンなんでしょうかね?
劇中、熱波というか地熱が原因で地下のガス管が爆発し香港が地割れを起こすため、ダニエル・ウーという中国系アメリカ人演じるチェンが少し活躍するシーンがあるので、それによるものかは分かりませんが、公開された国の中では中国での興収が6500万ドルと一番高くなっています。
中国では『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』の興収が3800万ドルなんで、アメリカでコケても中国で当てることは大事だなと思いました。
ちなみに公開された国の中で次に興収が高いのはロシアの1000万ドルで共産国、様様な映画になっています(笑)
映画館で見た予告編のイメージだと衛星が暴走して、その暴走もAI(人工知能)の反乱的なものなのかな?と思ったのですが、結果としては人災で権力争いによるものでした。
あらすじ書くの面倒くさいんでウィキペディアのストーリーが詳しいんでそれをどうぞ。
映画は大コケしたのも納得の出来で、後半はまあまあいいんですが、前半が激つまらなかったですね。
なんていうかストーリーテリングが悪いというか、分かり辛いんです。
予告編で流れるリオデジャネイロをはじめとしたパニック映像も、ほぼ予告編のだけで終わっちゃってるんで肩透かしな感じです。
もっと頭空っぽにして見れるディザスター映画かと思ったら、ディザスター映画というよりは陰謀論的なサスペンス色が強い感じなんですが、それだとあまりにも背景の説明が少なすぎて分かり辛いのです。
途中があまりにもつまらなくて少し眠たくなっちゃったせいもあると思いますが…。
17か国で完成させた気象コントロール衛星はダッチボーイの愛称で呼ばれてるんですが、その言葉を聞いてすぐイメージしたのはリトルボーイなんですけど、それも微妙に最後にかかってくるのかな?
なんでダッチボーイと呼ばれてるかというと、堤防の穴に指を突っ込んで決壊を防いだオランダの少年の話からきてるんですが、私この話知らなかったです(笑)
この話知ってると、最後、主人公のジェイクにかかってるんだなと思います。
それで映画は冒頭、このダッチボーイを開発したジェイクが聴聞会にかけられてる所から始まるんですけど、何で聴聞会にかけられてるかはよく分かりません。
委員から「お前、態度悪いから外すぞ」みたいなこと言われてジェイクはキレるんですけど、そのたびにマックスから「抑えて」というショートメッセージが送られてくるんで、マックスは弁護士なのかな?と思ったら弟でした。
それでジェイクがクビになって、マックスが責任者になるんですが、もうこの辺から分かり辛かったです。
ジェイクがクビになると時間が3年後に飛びます。
ダッチボーイはアメリカ主体で管理されてるんですけど、2週間後には国連主体に移行されるようで、結局この話が衛星の暴走に絡んできます。
犯人を言っちゃうと、犯人はエド・ハリス演じるデッコム国務長官で、ダッチボーイの権限が国連に移るのが許せないのと、自身が大統領の座に就き、ダッチボーイをコントロールするためでした。
デッコムは1945年頃のアメリカのように強いアメリカにしたかったと言うので、リトルボーイ(原爆)がかかってくるのかなと思います。
ジェイクが宇宙に送られるのは完全に『アルマゲドン』ですな。
「人類はこの男一人に託された」的な感じで送られたのかと思ったら、宇宙ステーションにはダッチボーイを管理するために100人単位で人がいるのでズッコケましたが、この辺も分かり辛いところです。
宇宙ステーションに着いたら5人くらいでチームを結成するのですが、これも結成のくだりだけで、各人の得意なスキルを活かして問題の対処にあたるみたいのもないので中途半端です。
結局、このメンバーの中にデッコムに金で釣られて、プログラムの中にウィルスを仕込んだ人物がいるというオチでした。
映画的なミスディレクションもあって、ジェイクが宇宙ステーションで色々調べていくと、犯人はパルマ大統領しかあり得ないとなるのですが、演じてるのがアンディ・ガルシアなので可能性としてはありそうじゃないですか。
それで劇中、パルマ大統領がフロリダ州オーランドで開催される民主党全国大会に参加するので、「ああ、民主党なんだ」と思ってアル・ゴア元副大統領思い浮かべて、パルマ大統領が犯人だったら面白いなと思ったんですが、エド・ハリスでした。
エド・ハリスは『ライトスタッフ』にしても『アポロ13』にしても『ゼロ・グラビティ』にしても、NASAが出てくる映画ではいい者だったのに、今回は悪者になっちゃって監督は分かってないなぁと思いましたね。
ダッチボーイのウィルスを取り除くにはシステムを一度停止させて、再起動させるしかないんですけど、システムを停止させるには大統領のアクセスキーが必要で、そのアクセスキーは大統領の指紋と虹彩認証だと分かるんですが、黒幕がデッコムだと分かったらすぐに止められるのかと思ったらNASAまで行かないといけないんです。
てっきり核のボタンみたいに側近がカバンを持ち歩いてるのかと思ったんですけど、ヘリコプターで移動してましたけど間に合わなかったならどうしてたんだろう(笑)
宇宙ステーションはウィルスによって暴走して自爆装置が起動したので、ジェイクは「俺が残る」と言って技術者たちをスペースシャトルに乗せて帰還させるんですが、この辺が「堤防を守ったハンス」にかかってくるんでしょうね。
一人残ったジェイクは大統領から送られてきたアクセスコードを入力しようするんですが、入力するための装置がある部屋の扉のロックがかかっていて開きません。
するとシャトルに乗ったと思われた宇宙ステーションの責任者のウーテが残っていました。
ウーテには「ここは私の寝床よ」と宇宙ステーションと共に生きてるみたいなキャラ付けをしますが、いまいちキャラ設定が弱かったです。
ウーテに扉を開けてもらってシステムを停止させると、無事再起動できます。
地球上ではダッチボーイによる異常気象が収まり歓喜の声が上がりますが、NASAでは自爆する宇宙ステーションにいるジェイクを見守ることしかできません。
しかし、自分一人ならば覚悟を決めていたジェイクも、ウーテがいたため助かる道を探すと、衛星に繋げるカプセルポッドが宇宙空間に浮いてるのが分かります。
2人でそれに乗り込むと遭難信号を送ります。
NASAがそれに気づいて、脱出したスペースシャトルに救出に向かわせると、カプセルは無事回収されて2人は地球に帰還できてハッピーエンドで終わるって話です。
ジェイクは聴聞会でクビになったあと離婚してるからいいのですが、最後に女性と助かるというのも、どっかの映画で見るパターンですが、途中に恋愛要素みたいのも無いので、唐突な感じがしましたね。
とりあえず八方丸く収まるようにハッピーエンドにしましたという、やっつけ感ありありの脚本で終始チグハグな感じが否めませんでした。
ジェラルド・バトラーもこのダッチボーイを作った天才科学者には見えないよなぁ(笑)
どっちかというと『アルマゲドン』の石油採掘員だと思います。
マックスもどういう能力があって責任者なのかよく分からないんですよねぇ。
ジェイクの弟であるということと、彼女であるサラがシークレットサービスであるということくらいしか、存在意義が無かったキャラクターだと思いました。
本作の失敗は予告編のイメージと違い過ぎたことで、物語を作り過ぎました。
単純に暴走したコンピューターに一人で立ち向かう技師にして、各地で起こる災害を見せた方がよかった気がします。
だってインパクトがあるのは人間が凍るところで、こういうのも衛星でどういうことが起きて、どうなったから人間が凍ったとか説明してくれた方が面白かったと思います。
こんなドッキリ映像作ってるくらいですから。
なんか観終わったあとの印象は、同じく分かり辛かったトム・クルーズの『ザ・マミー/呪われた砂漠の王女』と同じ感じでしたね。
鑑賞データ
TOHOシネマズ日本橋 1か月フリーパスポート 0円
2018年 14作品目 累計6700円 1作品単価479円
コメント
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