5パーセントの奇跡 嘘から始まる素敵な人生 評価と感想/中々の良作なドイツ映画

5パーセントの奇跡 評価と感想
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多様性がさりげなく盛り込まれてるのもいいですね ☆4.5点

スリランカのシンハラ民族の血を引くドイツ人、サリヤ・カハヴァッテの実話で自身の著書を元にしたドイツ映画
監督はマルク・ローテムント、主演はコスティア・ウルマン、共演にヤコブ・マッチェンツ

予告編

『5パーセントの奇跡 ~嘘から始める素敵な人生~』

映画データ

5パーセントの奇跡 嘘から始まる素敵な人生 (2017) - シネマトゥデイ
『白バラの祈り ゾフィー・ショル、最期の日々』のマルク・ローテムントが監督を務めた、実話に基づく感動作。
5パーセントの奇跡 〜嘘から始まる素敵な人生〜|映画情報のぴあ映画生活
『5パーセントの奇跡 〜嘘から始まる素敵な人生〜』は2017年の映画。『5パーセントの奇跡 〜嘘から始まる素敵な人生〜』に対するみんなの評価やクチコミ情報、映画館の上映スケジュール、フォトギャラリーや動画クリップなどを紹介しています。

本作は2018年1月13日(土)公開で全国9館での公開です。
今後順次公開され、最終的には32館での公開となるようです。

監督はマルク・ローテムント
ドイツの監督さんなので初めましてですね。
2005年の第55回ベルリン国際映画祭で『白バラの祈り ゾフィー・ショル、最期の日々』という作品で銀熊賞(監督賞)と女優賞を受賞してます。

主演はコスティア・ウルマン
近作は『誰よりも狙われた男』を観てます。

共演はヤコブ・マッチェンツ
近作は『ヒトラーへの285枚の葉書』を観てます。

他に共演と配役は以下の通りです。サリヤ: コスティア・ウルマン

マックス: ヤコブ・マッチェンツ
ラウラ: アンナ・マリア・ミューエ
クラインシュミット: ヨハン・フォン・ビューロー
シーラ: ニラム・ファルーク
フリート: アレクサンダー・ヘルト
ハミド: キダ・コードル・ラマダン
ダグマール: シルヴァナ・クラパチ

あらすじ

サリヤは真面目で成績優秀、前途有望な学生として周囲からの期待も大きかった。しかし10代の時に突然、先天性の病気にて視覚の95%を失ってしまう。誰もが無理だという中、サリヤは一流ホテルで働くという夢をどうしても諦めることができなかった。サリヤは夢を実現するため、一世一代の“大芝居”を打つ!なんと目が見えないということを隠して、ミュンヘンにある最高級5つ星ホテルで見習いを始めるのだ。

逆境にも負けない決然とした意思を持ったサリヤ。周囲の予想を超え、親友のマックスの助けを借りながら何とか目が見えないことを隠し、ホテルスタッフからも信頼を勝ち取っていく。持ち前の明るさと努力でホテルの研修課題を順風満幡にクリアしていくのだったが、そんな折ホテルへ配送に訪れたラウラに恋をしてしまう。そして彼が慎重に築き上げて来た精巧な偽装が崩れ始めるのだった・・・。
徐々に予期せぬトラブルが起こり始め、想像以上に厳しい現実を前に、サリヤは本当の自分を見失ってしまう。
順調だったはずのホテルの研修でも問題を起こしてしまう。そしてサリヤは、夢も希望もなくしてしまいそうになるのだが・・・。

公式サイトより引用)

ネタバレ感想

ドイツ在住のスリランカ系ドイツ人サリヤ・カハヴァッテさんの実体験に基づく実話の映画化です。
実際のサリヤさんは15歳の頃、視力の95%を失い、高校卒業後、ホテルで見習いとして働いたあと、接客業と美食調理法においてキャリアを積み、15年もの間、視覚障害を秘密にしていたそうです。

映画では高校在学中からレストランのキッチンで働くサリヤの様子が描かれます。
手際がよくシェフからも信頼されてるようでした。

ある日、家族で食事してると、視界がぼやけてるのに気づきます。
日を追うごとに視界のぼけが広くなってくると病院を受診します。
医者は先天的な病気の合併症で網膜剝離が急速に進んでおり手術が必要と言います。
視力が残ってるうちに手術すれば、何%か視力が残る可能性があるという言葉に、ポジティブなサリヤは手術に臨みます。
サリヤは結果的に95%の視力を失い、ぼんやりとだけ見える状態になります。

両親は高校も転校して、盲学校に行くように勧めますが、サリヤは今の学校を頑張って卒業したいと言い通い続けます。
黒板の板書なども見えないので、先生の言葉を必死にノートに綴りますが、自分が書いてる文字も見えないので意味を成しませんでした。

そのうちにサリヤは先生が喋ったことを小声で復唱し始めます。
先生は疑問に思って、効果があるのかと尋ねますが、サリヤは先生が喋ったことをスラスラ喋るのでした。
視覚が失われた代わりに聴覚と記憶力が発達し、先生が授業で話したことを丸暗記できるためテストも合格し、無事卒業となります。

高校卒業後の進路は、かねてからホテルサービス業に従事したいと考えていたサリヤは、家族(特に父親)も反対する中、エントリーシートを様々なホテルに送りますが、視覚障害者と書いてるため面接にすら辿り着けません。

どうしてもホテルで働きたいサリヤは視覚障害を隠して応募すると、あるホテルの面接までこぎつけます。
面接日には母と姉にホテルの前まで付き添ってもらい、周囲の状況を説明してもらうと、面接に臨みます。

面接官と話し始めると、1時間前に面接予定だったマックスという男が遅刻して現れます。
市電の事故で遅れたと言い訳するマックスですが、面接官はそのチャラそうな見た目から怪しんでいます。
サリヤは自分一人で面接するよりもマックスがいた方がいいと考え、さっきニュースでやってましたよと助け船を出すと、2人で面接を受けることになります。

勉強が出来るサリヤは面接官の質問にも的確に答えられますが、服装からして面接に臨む雰囲気ではないマックスは採用されるのが厳しそうです。
サリヤは面接官が席を離れた隙に、マックスが前日に深酒をして女性と朝まで一緒だったことを言い当てるとマックスは驚きます。
視覚が失われたことによって嗅覚も発達したサリヤはアルコールや香水の匂いにも気づいたのでした。
サリヤは志望動機さえ考えてなかったマックスにアドバイスすると2人とも採用されることになります。

採用が決まったサリヤは実家を出て一人暮らしを始めます。
姉に手伝ってもらいホテルまでの通勤経路を確認すると、初日の研修に臨みます。

30人ほどの新人研修は班ごとに別れると、マックスと同じ班になります。
研修はまず客室清掃からベッドメイキングまでを所定時間内に終わらせることが課題になります。

サリヤは浴室洗面台の鏡を磨いてますが、汚れや曇りが取れているか見えないため、ルーペを当てて顔を近づけながら作業してます。
それに気づいたマックスがサリヤに声をかけます。
落ちこぼれ者のマックスは女たらしでお調子者な性格でしたが裏表の無い人物でした。
サリヤのことを人と違ったところがあると思い始めていたマックスはどうしてルーペなんか持ってるんだと声を掛けると、サリヤは不思議とマックスには何でも話せ、目が見えないことを打ち明けるのでした。
打ち明けられたマックスは「上司に話さないといけない」と言いますが、それは冗談で協力してくれると言います。
マックスは裏ワザ的な効率のよい鏡の拭き方を教えてくれると、お互いの不得意なところを補完するような関係になるのでした。

客室清掃の課題をクリアすると、次はホテルのフロント接客です。
声でお客様の特徴を覚えてるサリヤには向いてる接客で難なくこなします。

次にレストランのキッチンでの研修となります。
最初は皿洗いを任されますが、膨大な皿の量に追いつかないサリヤを皿洗い担当の人が見つめています。
皿洗い担当の人が近づいてくると、サリヤは正直に目が見えないことを言います。
すると皿洗い担当の人も任せとけと言って庇ってくれるのでした。
皿洗い担当の人はアフガン難民でアフガニスタンでは医師でしたがドイツではビザの関係で皿洗いのような仕事しか就けないのでした。
サリヤはその人の書類手続きを手伝ってあげて交流を深めます。

サリヤはキッチンのシェフのリーダーから電動スライサーを使ったハムのスライスを命じられますが、案の定指を切ります。
あきらかに見えてないと感じたシェフは、仕事が終わった後、キッチンにサリヤを残します。
キッチンの床にボウルを置いてサリヤを呼ぶと、当然の如くボウルを蹴り見えてないのがバレます。
サリヤが事情を話すと、シェフは責任は取れんぞと言って、電動スライサーの組み立てから教え、機械の構造と注意点を教えてくれるのでした。

ある日、キッチンで研修していたサリヤはある女性の鼻歌に心惹かれます。
その女性はラウラといって野菜の納入業者でした。
マックスのアシストもあってラウラと会話を交わすようになると食事に誘うのに成功します。

マックスは最初のデートから目が見えないことを打ち明けた方がいいとアドバイスしますが、見栄を張ったサリヤは最初から目の事を話すと話題がそればかりになるから嫌だと言い、最初のデートで打ち明けませんでした。
一方ラウラは実家の農場の野菜を運んでいて、離婚して5歳になる男の子の母親であると打ち明けます。
ラウラが留守中は実家の両親が子供の面倒を見てくれているが、そもそも仕事以外では大事な人に会うときしか出かけないと言うのでした。

サリヤはその頃になるとキッチン研修を終え、バー研修に入っていました。
バー研修はそれまでの研修に比べ、お酒の種類も多くメジャーカップも使用しなければならないので、覚えることが多くなります。
マックスの実家が経営するレストランの閉店後にトレーニングに励む二人でした。

それと並行してラウラとの交際も順調に進み、子供を交えて3人で遊ぶようになりますが、目の事は打ち明けられませんでした。

バー研修の教官は厳しい人で、サリヤは課題のカクテルを何とか仕上げますが、目の敵にしてるようでキッチン研修のようにはいきません。

悪いことは続き、父親が女を作ってスリランカに行ってしまったと姉から連絡があります。
実家に戻って話し合いをすると、家のローンの支払いのため母親が働きに出るとのことでした。
サリヤは自分もお金を出すと言って、アフガン難民の人にピザ屋の仕事を紹介してもらうと、ホテル研修の後、バイトを始めます。

バー研修、ピザのバイト、ラウラと子供とのデートと、無理をして三つとも成立させようとするサリヤは睡眠時間を削るようになると、薬にも頼り始めるのでした。

バー研修でグラスを磨いてると、それで磨けてるのかと教官からやり直しを命じられます。
目が見えないサリヤにはグラスの微かな曇りに気付けるはずも無いのですが、厳しい教官には目のことを打ち明けられなく、何度もやり直しを命じられます。
自宅に帰ってトレーニングすると、グラスの音の違いで磨き具合が分かるようになってきましたが、その頃には心身ともにボロボロでした。

ある日、サリヤはラウラから野菜の配達のため1時間だけ公園での子守を安請け合いしますが、その日はバー研修の一環で結婚式のドリンクサービスを担当することになっていました。
すっかり忘れていたサリヤはマックスからの電話に動揺すると、子供から目を離してしまい、いなくなってしまいます。
そこにラウラが戻ってきて子供がいないことを告げるとラウラは探し始めます。
オロオロするばかりで何もしないサリヤに探してよとラウラが言うと、ようやく目が見えないと言います。
ラウラが探してると通りを隔てた所で見つかり事なきを得ますが、目が見えないのを隠して子守をするなんてと怒って帰ってしまうのでした。
サリヤは急いでホテルに向かいますが、無精ひげを生やし薬で目はギラつき体はフラフラで、凡そ給仕できる状態ではありませんでした。
シャンパングラスを倒し、ウェディングケーキを倒すとクビを命じられます。

自暴自棄になったサリヤはクラブで泥酔し追い出されると、階段を踏み外し大けがをして病院に入院します。

病院には姉とマックスが見舞いにきてくれます。
姉によると母親の仕事が決まったらしく、もうバイトはしなくていいとのことでした。

サリヤは病院を退院すると、無理をすることはやめ、視覚障害者用の仕事に就こうとします。
面接に行くとそこはコールセンターで従業員の殆どが視覚障害者とのことでしたが、聴覚が過敏になっているサリヤにはとても働けそうにありませんでした。

落ち込むサリヤを励ますために2人でやってみたかったとマックスはサイクリングに誘います。
無謀だというサリヤに自分が目となって指示を出すからと言われマックスに委ねるとサリヤは何もかも吹っ切れるのでした。

無理をすることはやめて、障害を受け入れて、もう一度自問自答したサリヤは、やはりホテル研修の最終試験が受けたいと教官に直訴します。
仲間たちの後押しもあり、テーブルセッティングの最終試験が受けられるようになると、マックスと再び特訓します。

最終試験の日、制限時間内にそれぞれが独創的なテーブルコーディネートをしますが、サリヤはグラスを落としてしまい最低限のテーブルセッティングに終わってしまいます。

しかし、テーブルセッティングだけでは不合格でしたが、お客様との会話内容を覚えてるなどの接客が評価され、今までのトータルで合格となります。
苦手なことは変わってもらい、長所を伸ばそうというホテルの方針でした。

公園での一件以来、気まずくなっていたラウラにも勇気を出して声をかけ謝罪します。

研修合格を祝うパーティーで区切りがついたサリヤは、マックスと2人でお店をやることを発表すると周囲を驚かせますが、祝福されます。

お店オープンの日、ラウラも駆け付けると忙しいでしょうと言って手伝ってくれます。
オープン祝いは鈴の付いたサッカーボールで、音のしないサッカーボールで無理をして遊んでくれたサリヤへのお礼でした。
ラウラとも関係が修復して、ハッピーエンドで映画は終わります。

 

予告編は『彼女が目覚めるその日まで』を角川シネマ有楽町で観たとき、1回だけ見て面白そうだと思いましたが、予告編から受けるイメージのまんまで面白かったです。

まず、主人公のサリヤが視力を失ってもくじけずポジティブで、くよくよせずにテンポよく進むので序盤から面白かったです。

サリヤの視点もすりガラスのような映像で疑似体験のように表現されるので分かりやすかったです。

視覚が失われた代わりに、他の五感が発達する表現も分かりやすかったですし、レインマン的な面白さもありました。

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視覚障害がありながらも、持ち前の努力とアイデアとマックスの協力で序盤は完璧に乗り切るサリヤが、好きな女性の前ではつい見栄を張って躓いてしまう様子が男性にはあるあるで共感ポイントでした。

反対に女慣れしてるマックスが「先に言っちゃえ」と言うのも真理で、コンプレックス的なものはさらけ出しちゃった方がいいのですが、これがモテる男と真面目な男の違いですな。

マックスのキャラクターもよくて、実家は裕福そうですが、本人は落ちこぼれの女好き。
何が何でもホテルマンになりたいわけでは無くて、親に外で修業してこいと言われ渋々面接に来たクチで、マックスだけでは面接も研修も乗り切れなかったのですが、お互いの得意・不得意を補う様子は『最強のふたり』に通じるところがありました。

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ホテル側も働き方の多様性を認めて結果的にサリヤを合格させることや、アフガン難民の人も救命士の仕事に就けたりと、さりげなく多様性が示されてるのもいいですね。
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ドイツ映画ということで公開館数が少ないですが、ハートウォーミングな良作でなかなかのおススメ映画だと思います。

鑑賞データ

角川シネマ有楽町 TCGメンバーズ ハッピーチューズデー 1000円
2018年 13作品目 累計6700円 1作品単価515円

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