ビニー/信じる男 評価と感想/賭けてきた人生

ビニー/信じる男 評価と感想
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マイルズ・テラーのMっ気に注目 ☆4点

ボクシングで2階級制覇するも、友人の車に同乗した際に起きた交通事故で頸椎骨折の重傷を負い、復帰を絶望された実在のアメリカのプロボクサー、ビニー・パジェンサが再起を果たすまでを描いた作品。
監督はベン・ヤンガー、主演はマイルズ・テラー、製作総指揮にマーティン・スコセッシ

予告編

映画データ

ビニー/信じる男 (2016):作品情報|シネマトゥデイ
映画『ビニー/信じる男』のあらすじ・キャスト・評価・動画など作品情報:交通事故から奇跡の復活を遂げたボクシングの元世界チャンピオン、ビニー・パジェンサの生きざまを描く人間ドラマ。
http://cinema.pia.co.jp/title/169569/

本作は予告編は見たこと無かったんですけど、主演が『セッション』のマイルズ・テラーってだけで観に行きました。

たぶん試写会応募すれば当たったと思うんですけど、6月後半は他に観たいの立て込んでたので、応募せずにお金払って観てきました。


監督はベン・ヤンガー
初めて名前聞く方です。
2001年に『マネー・ゲーム』という作品を監督してるみたいなんですけど、その後15年間何をしてたのかな?と思ってIMDb見てみました。

Ben Younger | Director, Producer, Writer
Known for: Money Game, Bleed for This, Prime

2005年にはユマ・サーマンとメリル・ストリープが出演している『Prime』って作品撮ってるみたいです。
『マネー・ゲーム』にはベン・アフレックと『ワイルド・スピード』と『トリプルX』でブレイクする前のヴィン・ディーゼルが出てますね。

主演はマイルズ・テラー
『ダイバージェント』シリーズは見てなく『セッション』しか知らないので、自分を非常に追い込むタイプの役者さんっていうイメージを勝手に持ってます。

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共演にアーロン・エッカート
『ハドソン川の奇跡』は最近WOWOWでやってたのを見たのですが副機長役の方ですね。
本作と共にいい役でした。

他に共演と配役は以下の通りです。

ビニー・パジェンサ役:マイルズ・テラー
ケビン・ルーニー役:アーロン・エッカート
ルイーズ・パジェンサ役:ケイティ・セーガル
アンジェロ・パジェンサ役:キアラン・ハインズ
ルー・デュバ役:テッド・レヴィン

あらすじ

ロードアイランド州出身の自惚れ屋のボクサー、ビニー・パジェンサ(マイルズ・テラー)別名“パズマニア・デビル”は、スーパーライト級チャンピオンのロジャー・メイウェザーに滅多打ちにされ、プロモーターのルー・デュバ(テッド・レヴィン)から引退を勧告される。
それをきっかけにビニーは、実力はあるが飲んだくれのトレーナー、ケビン・ルーニー(アーロン・エッカート)の元、無謀にも2つ上の階級に挑む。
ケビンの徹底したトレーニングが功を奏し、地元の人々が見ている前でフランス人ボクサーのジルベール・デュレを下し、世界ジュニアミドル級チャンピオンになる。
だがビニーはその試合のすぐ後、正面衝突の交通事故を起こし、首を骨折し瀕死の重傷を負ってしまう。
医師たちからは、二度と歩くことはできなくなるかもしれないため、脊椎を固定する手術を勧められる。
だがその手術を受ければ体を動かすことはできるようになるが、ボクサーとしての再起は不可能になってしまう。
ビニーは、遥かにリスクの高いハローという脊椎固定手術を受け、半年間も頭の回りに金属の装具を付けて過ごす。
気性は荒いが献身的な父親のアンジェロ(キアラン・ハインズ)と心配性の母親ルイーズ(ケイティ・セイガル)と共に彼は穏やかな日々を過ごす。
ビニーの周囲の人間たちは、彼はもうリングに立つことはないだろうと思っていた。
離れていくプロモーターやガールフレンドたち。
だが、ビニー本人はベッドにただ横たわるだけの命の使い方に疑問を抱いていた。
ビニーはケビンを説得し密かにトレーニングを始める。
しかしそれが父アンジェロに見つかり、ビニーとケビンは激しく非難されてしまう。
愛する家族の反対にあいながらも、ビニーはトレーニングを続ける。
そして事故から1年が過ぎた頃、彼は生涯で最も大きな試合となるスーパーミドル級チャンピオンのロベルト・デュラン(エドウィン・ロドリゲス)との対戦のために再びリングを目指す――。

(公式サイトhttp://vinny-movie.com/story.htmlより引用)

ネタバレ感想

時代的にはタイソン全盛期か、そのやや後だと思うんですけど、こういう人がいたのは知らなかったです。
当時はWBA、WBC以外の団体はマイナーで日本にはあまり情報が入ってこなかったと思うんですが、最初にビニーがチャンピオンになったのがIBF世界ライト級で、防衛にも失敗してるので余計にですね。

本作で最初に対戦するロジャー・メイウェザーは、49戦49勝無敗で5階級制覇してるフロイド・メイウェザー・ジュニアの叔父になります。
最初の対戦では減量に苦しみ計量時間ギリギリまで体重を落としてる様子が描かれますが、計量をパスすると一転、翌日試合が控えてるのに深夜までカジノをしたり、彼女を抱こうとしたりという、ハチャメチャぶりが描かれます。

案の定、翌日の試合に負けるんですが、このときのロジャー・メイウェザーはWBCの世界スーパーライト級王者で、ビニーはWBAとかWBCのメジャー団体だとことごとく負けてます。

翌日プロモーターのデュバ親子が勝手に会見開いて、引退を示唆するとビニーと父親であるアンジェロは激しく怒ります。

ビニーは父親のことをパパと呼ぶんですが、父親もドン・キングみたいな怪しいプロモーターにしか見えないので、最初はこの人もプロモーターなのかな?とごっちゃになるんですよね。
試合ではセコンドにもついて、息子のボクシングに関することには、あらゆることに口出ししてきます。

対照的に母親のルイーズはビニーの試合を見れないくらいの心配性で、家で娘たちがテレビ観戦してるのを解説してもらう感じです。

デュバ親子に引退勧告を受けたビニーは、ケビン・ルーニーにトレーニングを依頼します。

このケビン・ルーニーというトレーナーは、マイク・タイソンが心の師と仰いでたトレーナー、カス・ダマトが亡くなった後、その理論を引き継いでタイソンに教えていた人で、ボクシングのトレーニングだけでなく、モラルや私生活の面でも管理してた人だったんですが、タイソンがドン・キングと組むようになると突然解雇されるんですが、映画ではそのタイミングでビニーと出会います。

ケビンはメイウェザーに負けてトレーニングを怠けてたビニーにミドル級の選手とスパーリングさせ、体重を量ると、上のクラスでもパンチ力はあるし、動きもいいってことで2階級上げて世界を目指すことにします。

減量で苦しんで持ち味を殺すよりも、こちらの方がいいってことなんですが、ビニーの父アンジェロは「聞いてねぇ」ってまた怒ります。
ケビンはアンジェロを納得させると、ビニーに「お前は、自分で思ってるより打たれ弱いぞ」と言って、徹底的にディフェンスを鍛えます。

これが功を奏してビニーの地元で行われた、当時30戦無敗のWBA世界スーパーウェルター級(日本だとジュニア・ミドル)王者ジルベール・デュレを倒します。

ちなみに映画では2回KOでしたけど、実際は12回TKO勝ちだったみたいです。

これでIBF世界ライト級とWBA世界スーパーウェルター級の2階級制覇となるんですが、その1か月後、友人の運転する車に同乗し、対向車線をはみ出してきた車と正面衝突し、頸椎骨折の重傷を負ってしまいます。

意識を取り戻したビニーは、事故での怪我が受け入れられない様子で、医者の説明もロクに頭に入ってきません。
医者の見立てでは、ボクシング復帰はおろか、きちんと歩けるようになるかも微妙とのことでしたが、ビニーは足の感覚もあるし動かせると言って、信じることが出来ません。

医者は頸椎を固定する手術を勧めますが、それだとボクシング復帰は絶望的になります。
もう一方はリスクの高い方法で、ハローという金具で頭や頸椎を固定し、自然治癒に任せる方法ですが、普段の生活には細心の注意を払わねばならず、器具が取れるのも6か月以上かかります。

でも根っからのギャンブラーであるビニーはハローの方を選びます。

このハローっていうのは見たことある気はするんですが、詳しく知らなかったんですけど、頭に穴開けて頭蓋骨に直接ボルトで留めるんですね。
フランケンシュタインみたいに。

ハローに関してはこちらのブログがめちゃくちゃ面白くて、声上げて笑ってしまいました。

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ビニーはハローで固定して、実家に戻ってくるわけですけど、車降りるときに金属棒をぶつけて痛ててってなったり、彼女を呼んでキスしようとしたり、さらにその先もしようとしたりして、彼女からも呆れられてフラれちゃいます。

とにかく周囲はボクシングなんか二の次で、まずはビニーが五体満足に復活することを願ってるんですが、ボクシングを諦められないビニーは自宅地下にあるトレーニングルームでベンチプレスをしようとします。

以前持ち上げられた重りが付いてるのはビクともしなくて、バーだけを持ち上げるのがやっとです。

ケビンに相談すると、最初は断られますが、ビニーの熱意に負けて協力することになります。
ケビンが見るようになると、ベンチプレスなんかしたって仕方ないと言って、復帰に向けたトレーニングを組むようになります。

すると、父アンジェロに見つかって激しく怒られると、ケビンは追い出されてしまいます。
ビニーはここで初めて父に反抗して自分の思いをぶつけると、この親子はようやく父離れ子離れ出来たようでした。

半年経つとハローが取れるんですが、この描写がまた痛いのなんの。
医者は麻酔を使おうとするんですが、ビニーは「俺は今までヤクなんか使ったことねぇ」とか言って拒否するんで、麻酔無しで取ることになります。
医者が頭蓋骨に刺さってるボルトを回そうとするんですが、石灰化してるのでくっついちゃってるんですね。
「いたたたた、先生、反対に回してるんじゃない?」「いや、これで合ってます。石灰化してくっついてるんです。麻酔使いましょう」「いや、麻酔は使わねぇ」とか言われて先生も気の毒です。
ボルト取ると頭からタラーっと血が流れます(笑)

ケビンとビニーは復帰戦を模索しますが、対戦相手が見つかりません。
それも当然のことで、相手だって瀕死の事故から復帰したビニーに試合で死なれたら嫌でしょうから二の足を踏むわけです。

ケビンは一計を案じて、地元のテレビ局に、地下でトレーニングしてたときのビデオを送ります。
すると2階級制覇した元王者が、瀕死の事故から懸命なリハビリをして復帰を目指してると取り上げられて話題になります。

話題になるとお金になるってことで、デュバ親子が動いてラスベガスのMGMグランド・ガーデン・アリーナでIBC世界スーパーミドル級王者で元世界4階級制覇王者のロベルト・デュランと対戦する運びとなります。

対ロベルト・デュラン戦はカッコよかったですね。
今までの対戦ではずっとセコンドについてた父も観客席から試合を見てるんですが、もう母と同じ心配症になってて、前半ビニーがやられてるとケビンのところに来てタオル投入を促します。
でもケビンはビニーに気にするなって言って、2人の時間が流れると、「俺たちは、あのクソ地下から這い上がって来たんだ」と言ってビニーを奮起させます。

映画は12回判定で一人のジャッジが115-115のイーブン。
二人のジャッジが115-113になります。
判定は2-0でビニーの勝利でした。

実際は3-0で勝ったみたいですけど映画的な演出ですね。
映画では事故からの復帰戦がデュランになってましたけど、実際にはその半年前にIBO世界スーパーミドル級王者のダン・シェリーとやっていて勝ってるんですが、団体も選手もメジャーじゃないのでこちらも映画的演出で無くしてます。

それから、シュガー・レイ・レナードと同世代で黄金のミドルと呼ばれたロベルト・デュランもこのときは43歳になっていて、IBCっていう団体もマイナーなものでした。

ビニー・パジェンサはその後も10年ボクシングを続け引退したのは41歳の時でした。

ツール・ド・フランスのランス・アームストロングがガンを克服して復帰したのも知らなかったんですけど、あちらはクスリ、ドーピングしまくりだったのに対し、ビニーはそこは麻酔使おうよってところでも拒否するという対比が面白いですな。

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アメリカでは昨年もジェイク・ギレンホール主演の『サウスポー』とかありまして、コンスタントにボクシング映画出てくると思うんですけど、邦画ではパッと思いつく限り『どついたるねん』以降、たぎらせるのが出てきてない気がするので邦画も頑張ってほしいなぁと思いました。

鑑賞データ

TOHOシネマズシャンテ シネマイレージデイ 1400円
2017年 122作品目 累計129700円 1作品単価1063円

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