ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督やっぱこの人天才 ☆5点
1999年のスタージョン賞及び2000年のネビュラ賞中長編小説部門を受賞したテッド・チャンによるSF短編小説「あなたの人生の物語」の映画化で、監督はドゥニ・ヴィルヌーヴ
主演はエイミー・アダムス、共演にジェレミー・レナー
予告編
映画データ
監督はドゥニ・ヴィルヌーヴ
評論家100人が選ぶ期待の外国映画監督ベスト10の2位に選ばれるなど、映画ファンにはいま最も期待されてる監督ではないでしょうか。
同監督は劇場公開時の『複製された男』で知りまして、完全に心を鷲掴みにされたんですが、その時の感想はこちらです。
そして『プリズナーズ』と『灼熱の魂』を自宅鑑賞し、1年越しで楽しみにしていた『ボーダーライン』
今年はヒューマントラストシネマ渋谷で毎年開催されている「未体験ゾーンの映画たち2017」に『灼熱の魂』の一つ前に撮られた『静かなる叫び』が上映されてたんですけど、観ることが出来ず…。
https://aoyama-theater.jp/feature/mitaiken2017
本作については映画館でも予告編を目にした記憶が無くて、監督の次作もてっきりブレードランナーだとばかり思っていたのですが、アカデミー賞発表時からタイトルをじわじわと耳にし、現在に至るという感じです。
そのアカデミー賞では音響編集賞を受賞してます。
主演はエイミー・アダムス(右)
鑑賞中は名前が出てこなくて、顔が似ているニコール・キッドマンをベースにナオミ・ワッツかな?と思ったんですが、エイミー・アダムスです。
『アメリカン・ハッスル』のとき、めっちゃセクシーでした。
共演にジェレミー・レナー
『アメリカン・ハッスル』でもエイミー・アダムスと共演してますね。
アベンジャーズのホークアイで有名ですが、ミッション:インポッシブルのシリーズの役の方が好きかも。
共演にフォレスト・ウィテカー
昨年は『ローグ・ワン』にも出てますが『サウスポー』のトレーナー役の方がよかったかな。
共演にマイケル・スタールバーグ
ホアキン・フェニックスといつも間違えます。
あらすじ
巨大な球体型宇宙船が、突如地球に降り立つ。
世界中が不安と混乱に包まれる中、言語学者のルイーズ(エイミー・アダムス)は宇宙船に乗ってきた者たちの言語を解読するよう軍から依頼される。
彼らが使う文字を懸命に読み解いていくと、彼女は時間をさかのぼるような不思議な感覚に陥る。
やがて言語をめぐるさまざまな謎が解け、彼らが地球を訪れた思いも寄らない理由と、人類に向けられたメッセージが判明し……。(シネマトゥデイより引用)
ネタバレ感想
原作があり、オリジナルではないにせよ、作品へのアプローチとしてはクリストファー・ノーラン監督の『インターステラー』に近いでしょうか。
ノーラン監督が『2001年宇宙の旅』をやったのに対し、『未知との遭遇』を更に推し進めた感じがしました。
巨大な黒い宇宙船が日本では「柿の種」とか「ばかうけ」とか言われてるようですが、自分的には黒かったのでモノリスを思い浮かべましたね。
本作はヴィルヌーヴ監督作の中では『複製された男』に近い感じがして哲学と数学や物理、SFは近いからなぁなんて思いました。
『複製された男』で出てきた六本木ヒルズにもある蜘蛛。
ルイーズ・ブルジョワのMamanは蜘蛛なので8本脚でしたが、今作のタコみたいなイカみたいな宇宙人ヘプタポッドは7本脚。
ああいうデザインになったのも『複製された男』が影響してるのかなぁなんて思いました。
エイミー・アダムス演じるルイーズ博士は言語学者ですけど、最初に宇宙人の声を聞いたとき、イルカとかクジラみたいだなと思って、動物言語学者を連れてけばいいのに、とか思ったりして宇宙船の形状と相まってザトウクジラを思い浮かべたんですけど、ザトウクジラといえば『スタートレックIV 故郷への長い道』だとか、全然関係ないことを考えてたりもしました。
それから、あの文字のデザインも凄いですよねー。
イカとかタコとかだから墨使うんですけど、白いもやの中に墨で描かれるので水墨画のイメージもあって。
最初、花押のイメージもあったんですけど「白鶴 まる」だ。
非ゼロサムゲームの話もよかった。
ヨハン・ヨハンソンの音楽もよかったですね。
物語は言ってしまえば、ルイーズ博士がヘプタポッドB(音声でなく文字の方)を解析したことによって『サクラダリセット』でいうところの未来視の能力を手に入れる話で、時間とか概念の話なんですけど、それをアートデザインも含め、物理学や数学、言語学の考証を綿密にやっているところが凄い訳で、この辺は同じようなテーマなんですけど邦画とは開きがあるところだなぁと思います。
それでこの時間とか概念の話で似たような映画に『スローターハウス5』って映画があるみたいなんですけど、ジョージ・ロイ・ヒル監督作なんです。
1972年のカンヌ国際映画祭の審査員賞を獲ってるみたいなんですけど、全然知らなくて、作ったのも『明日に向かって撃て!』と『スティング』のちょうど間なんですけど、これは見てみたいと思いました。
(「メッセージ スローターハウス5」でググったら町山さんもお話されてたんですね)
全体的に固い真面目なお話ですが、宇宙人が2体出てくるので、アボットとコステロとあだ名を付けるところはほっこりできるシーンです。
アボットとコステロの話と言えば『レインマン』だなぁと思って観てました。
とにかく完成度の高い作品で、カナダという土壌が生んだのか、デヴィッド・クローネンバーグ監督っぽさもありつつ、ハリウッド大作も任せられる感じで、それでいてヨーロッパ映画のような上品さもあるという稀有な監督で次回作も楽しみにしてます。
鑑賞データ
TOHOシネマズ六本木ヒルズ シネマイレージデイ 1400円
2017年 81作品目 累計85600円 1作品単価1057円
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